映画『怪物の木こり』ネタバレ感想「つまらないサイコパス物語」評価,ラスト考察,犯人の正体あらすじ伏線解説

  • 2023年12月5日

映画『怪物の木こり』サイコパスの亀梨和也が、謎の連続殺人鬼・怪物の木こりとバトルする、サイコパス VS サイコパスの物語!

シネマグ
全員サイコパス・コンセプトのメリットとデメリットがはっきり出ていた作品でした。つまらないとまではいきませんが、いろいろ惜しい映画…。

作品情報・登場人物・キャスト

あらすじ・ネタバレなしの感想

物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説|真犯人の正体!

視聴しての感想・評価レビュー(ネタバレあり)

ストーリー考察:怪物の木こりの本当の意味!さまざまな伏線

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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映画『怪物の木こり』作品情報

公開2023年12月1日(金)
上映時間:1時間58分
英題:『LUMBERJACK THE MONSTER』
ジャンル:ホラー、サスペンス、ミステリー、バイオレンス
年齢制限:PG12
監督:三池崇史(『オーディション』『テラフォーマーズ』『悪の教典』『土竜の唄』 アニメ『鬼武者』)
脚本:小岩井宏悦
原作:倉井眉介の小説怪物の木こり
制作:OLM
音楽:遠藤浩二
主題歌:SEKAI NO OWARI 「深海魚」

バイオレンスの巨匠とも言われる三池崇史さんが監督を務めます。近年だと2022年の韓国ドラマ『コネクト』も暴力描写がすごくよかったです。

お茶の間でコメンテーターとしても活躍する脳科学者・中野信子さんがサイコパス監修を務めた、ガチのサイコパス映画です。

映画『怪物の木こり』登場人物・キャスト

映画『怪物の木こり』登場人物・キャスト

©︎公式サイト

二宮彰|cast 亀梨和也(『映画 妖怪人間ベム』『ジョーカーゲーム』『事故物件 恐い間取り』)
戸城嵐子|cast 菜々緒(『グラスホッパー』『地獄の花園』『七人の秘書 THE MOVIE』)
荷見映美|cast 吉岡里帆(『ホリック xxxHOLiC』『ハケンアニメ!』『アイスクリームフィーバー』『ゆとりですがなにか インターナショナル』ドラマ『ガンニバル』)
東間翠|cast 柚希礼音(元宝塚歌劇団、映画『この小さな手』)
剣持武士|cast 中村獅童(『キャラクター』『ヴィレッジ』『怪物』『』)
杉谷九郎|cast 染谷将太(『大怪獣のあとしまつ』『竜とそばかすの姫』『すずめの戸締まり』『サンクチュアリ -聖域-』)
乾登人|cast 渋川清彦(『キングダム2 遥かなる大地へ』『HOMESTAY (ホームステイ)』『真犯人フラグ』)
みのすけ(『劇場版 奥様は、取り扱い注意』『連続テレビ小説 ブギウギ』)
堀部圭亮(『全裸監督2』『フェルマーの料理』)

映画『怪物の木こり』あらすじ

映画『怪物の木こり』

二宮彰(亀梨和也)は有名な弁護士事務所で働く有能な弁護士だ。しかし裏の顔は、邪魔者は殺害することもいとわないサイコパスだった。

彰は、同じくサイコパスの医師・杉谷九郎(染谷将太)に殺害した人物の死因の偽造を頼んでいた。杉谷とはお互いに利用し合う関係だ。

そんな中、絵本の怪物の木こりの格好をした人物による、頭部を損壊して脳を盗む・脳泥棒|連続殺人が発生。

怪物の木こりは児童養護施設の出身者を狙っているようだ。

彰も駐車場で襲われ、頭蓋骨を骨折させられる怪我を負った。

彰は怪物の木こりを絶対に殺してやろうと決意。

病院に婚約者の荷見映美(吉岡里帆)が見舞いにくる。

刑事でプロファイラーの戸城嵐子(菜々緒)は、弁護士の彰が怪物の木こりの連続殺人事件と関係しているとみて捜査を進める。

戸城と一緒に調査を進める乾登人・警部補(渋川清彦)は、数年前の妻の不審死に関して疑いを持たれている夫・剣持武士(中村獅童)もサイコパス気質だったと思いだしていた。

シネマグ
登場人物のほとんどがサイコパスの物語が幕を開ける!

ネタバレなし感想・海外評価

映画『怪物の木こり』あらすじ

シネマグ
面白くなくはないですが、いろんな要素が中途半端だった印象は否めません。突き抜けた部分がない感じですね。

登場人物が全員サイコパスのエンタメミステリー!かと思ってましたが、話のテンポは意外とじわじわ。

暴力描写もそこまで多くありませんでした。

高いエンタメ性を期待すると肩透かしを喰らうでしょう。

感想を語る犬
サイコパスの行動原理や心理描写など、細かい部分を楽しみたい人にはおすすめです。
おすすめ度 52%
バイオレンス・世界観 85%
サスペンス・ミステリー度 70%
IMDb(海外レビューサイト)※随時更新 (10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)※随時更新 批評家 %
一般の視聴者 %
メタスコア(Metacritic)※随時更新 (100点中)

※以下、映画『怪物の木こり』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『怪物の木こり』ネタバレあらすじ解説

31年前の東間翠事件

31年前。東間翠という女性脳外科医が、たくさんの児童を拉致して自宅でサイコパスにする実験を繰り返し、警察に踏み込まれた際に自殺した。

シネマグ
血飛沫のあがり方がさすが三池崇史って感じでしたね!

屋敷で生き残った児童は、タケシだけだった。

しかし実際には他にも数名の生き残りがおり、頭にチップを入れられた状態で各地の児童養護施設の前に捨てられていた

なぜ東間はこんな実験をしたのか?

東間翠の息子もサイコパスだった。

彼女は息子の治療法を見つけるために子供たちの脳にチップを入れてサイコパスに変え、その傾向やデータを集めていたのだ。

犯人の動機は?

二宮彰は病院で医者からレントゲンを見せられ、自分の頭に脳チップが埋め込まれていると知る。

現在は禁止されているもので、30年以上前に何らかの理由で埋められた可能性が高いと聞かされて驚いた。

婚約者の映美が見舞いに来たが、そっけない態度だった。

彰は少し前に映美の父親を殺していた。父親が経営しているこの弁護士事務所を乗っ取るためだ。映美のことも利用するために付き合っただけだった。

彰は杉谷にチップの件を相談。

杉谷は「31年前の東間事件でサイコパスを作り出すために誘拐された児童の脳内にチップが埋め込まれたらしい」と話し、彰がその事件の被害者で、怪物の木こりの目的は被害者から脳チップを取り出すことだ、と仮説を語る。

彰は怪物の木こりから自分の情報が警察に漏れるのを防ぐため、先に始末しようと考える。

彰は今度は怪物の木こりにジョギング中に狙われたが、何とか逃げ切った。

怪物の木こりの斧で頭を殴られたせいか、彰に人間らしい感情が少しずつ芽生えていた。利用して付き合っていただけの映美のことも大切に感じるようになる。

映美も、彰は本当は心の温かい人物で、表現が下手なだけだと思うようになる。

彰はかつて自分が暮らしていた児童養護施設へ。映美もついてきた。

施設の院長から、当時電話で彰について心理テストのような質問をしてくる人物がいたと聞かされる。

彰は園児たちと歌っている映美を見て涙を流す。それを見た映美は彰を抱きしめた。

夜、彰の家に怪物の木こりが入ってきて襲ってくる。正体は怪物の木こりの格好をした杉谷だった。

杉谷は、彰が本当にサイコパスじゃなくなっているのか確認したかったのだ。

斧を手に取っても振り下ろさない彰を見て、杉谷はがっかりした。

ラスト結末:映美が…

戸城は、乾が妻を殺害した可能性のある(不起訴になっていた)剣持を殴って異動させられたこと。31年前の東間事件の生き残りのタケシは剣持武士だったことを知って驚く。

戸城は彰の家に行き、車にGPSを仕込んだ。

彰に怪物の木こりと関わっていないか問いただすが、彰はナルシスティックな表情ではぐらかせた。

戸城は怪物の木こりの正体は乾だと思い、彼の自宅へ突入。しかし乾は「違う」と嘲笑した。

彰のスマホに、怪物の木こりから東間の屋敷に来いとメールが入る。縛られた映美の写真も添付されていた。

彰は東間の屋敷へ急ぐ。待ち受けていた怪物の木こりが彰を攻撃。

彰は後ろに下がって罠に足を挟まれた。

怪物の木こりはマスクを脱ぐ。正体は彰の予想通り、剣持武士だった

武士は以前、乾に殴られた際に脳チップが壊れて普通の感情を取り戻し、妻を殺してしまった罪の意識にさいなまれた

そして自分と同じように脳チップを埋め込まれてサイコパスになった人間たちを葬ってサイコパスによる被害を食い止めようとしていたのだ。

彰は映美を盾にする。「この女の父親は俺が殺した」と怖い表情を浮かべた(武士を騙すために演技をしている)。

武士は妻のことを思い出して斧を振り下ろせない。

彰と武士は乱闘になる。武士は棚で体を挟まれてダメージを負い、動けなくなった。

彰は、子供の頃に武士が東間翠の暴力から助けようとしてくれたことを思い出す。

彰は倒れて気を失った映美をかかえて屋敷を去った。

戸城と乾が屋敷に着く。武士は自らが放った炎で焼け死んだ。

翌日、戸城は彰に「絶対に逮捕してやる」と宣言。

彰は家に帰る。映美を抱きしめるが、彰が父を殺したと知った彼女は刃物で腹部を刺した

彰は映美の首をしめ「これで正当防衛になる。戸城刑事のところへいけ」と言って、血みどろになって倒れた

終わり

映画『怪物の木こり』ネタバレ感想・評価

良かった点

映画『怪物の木こり』の評価は43点

いろんな要素がこぎれいにまとまっていた印象。

演出で1番良かったのは、怪物の木こりが登場するシーン。少女が彰の背後を指さして、怪物の木こりが突然登場する場面はゾクっとしました。

シネマグ
さすが三池崇史監督。タイミングが絶妙です!

刺された彰が、映美を殴って首をしめて正当防衛の状況を作ってあげるラストもすごく良かった!

最後の最後に、サイコパスっぽい行動をとることによってサイコパスを脱し、相手への配慮を成しえた点が本当に素晴らしいと思います。秀逸な結末でした。

あとは、亀梨和也や染谷将太による、サイコパスっぽい言動の数々も良かったですね。

特に染谷将太の「猫は飽きちゃった(虐待して殺すのが)」などキモい雰囲気やセリフが素晴らしいと思いました。個人的なMVPは染谷将太さんかな!

亀梨和也は病院で医師から脳チップについて説明されて驚いたにも関わらず、「ああ、それなら知ってますよ!」と嘘をついて誤魔化します。

いかにもサイコパスが言いそうな軌道修正のセリフですね。

感想を語る犬
脳科学者・中野信子さんが監修しているだけあって、サイコパスの心理描写のディティールが普通の映画より細かいと思いました。

また、31年前の事件の担当者が「久しぶりだな乾」と言うセリフから、若い頃の乾がその事件に関わってた可能性が示唆されます。

その関係性から乾が怪物の木こりかとミスリードさせておいて、実際は剣持武士が犯人だったとわかるどんでん返しも良かったです。

ダメな点:全員サイコパスだとつまらない

シネマグ
観る前は全員がサイコパスというコンセプトはすごく面白いのでは!?と期待していましたが、実際はかなり微妙でした。

映画を観る醍醐味の一つが登場人物への感情移入や共感だからです。

別に主人公がサイコパスでも全然いいのですが、全員がサイコパスっぽい言動ばかりだと、物語として面白くありません。だれにも感情移入ができないので…。

そもそも全員サイコパス!という触れ込みですが、全員がサイコパスではありません。サイコパスっぽく見せているだけです。

警察の戸城や乾に関しては、「こいつらもサイコパスか!?」と思わせて終盤に人間性が垣間見えるあたりが巧妙だと考えることもできます。

しかし、せめて婚約者の映美くらいは序盤から普通っぽいキャラとしてみせたほうが良かったと思いました。

映美も彰のお見舞いに病院に来たときはそっけなくて、「婚約者もサイコパス?」って感じだったんですよね。

感想を語る犬
序盤から中盤までは全員が感情なしのサイコパス風キャラだったので、ストーリーに推進力がありませんでした

あとは菜々緒と亀梨の絡みが薄すぎる…。菜々緒が亀梨を何回か尋問するだけでしたね。バチバチしたやり取りがなくて見ていて冷めました

他には、サイコパスの悲哀みたいなテーマの主軸もうまく表現できていたとはいえません。

そもそも論になりますが、サイコパスの人間が、少しずつ人としての感情を取り戻したときにどんな心情になるのでしょうか? 想像が追いつきませんでした。

サイコパスな部分が少しずつ芽生えた優しい感情を受け止める複雑な構造なので、「俺はなんてことしてしまったんだー」的な単純な感じにならない気がするんですよね。

あとは主人公が最後に感情を取り戻す結末を前提とするなら、彰と映美のシーンももっと入れるべきでした。

2人がお互いにどれくらい相手を思っているのかが伝わってこなかったです。

これもやはり、サイコパスから普通の人間に戻る過程にいる彰がどんな心理状態なのかわかりにくいから…というのも大きいでしょう。

シネマグ
人間性を一体どの程度とり戻しているのかが不明です。

また、サスペンス・ミステリーとして展開が少なかったのも中だるみした原因だったと思います。

ツイスト(驚きの要素)としては、剣持武士(中村獅童)がタケシだったこと、乾警部補が犯人と見せかけて違ったことなどは良かったです。

しかし、それ以外はわりと淡々と進んでいった感が拭えませんでした。

怪物の木こり 考察(ネタバレ)

怪物の木こりの本当の意味

怪物の木こりは真犯人だった剣持武士(中村獅童)だけでなく、彰(亀梨和也)のことも指しています。

本当の意味は、劇中でナレーションされた怪物の木こりの絵本の中で明らかになります。

怪物の木こりとは、自分の人間性に揺れている人物。

サイコパスなのかそうでないのか揺れている彰と武士のことです。

シネマグ
サイコパス=怪物という面だけがフォーカスされ、それ以外の性質はないがしろにしてよいのか?という難しい問いかけがあると思いました。

伏線のまとめ

二宮彰が怪物の木こりに襲われた際に自分の財布の紙幣をむしゃむしゃ食べたのは最初なんでかな?と思いましたが、のちに金目当ての犯行だと見せかけるためだとわかります。

怪物の木こりと自分を結びつける情報を警察に与えたくなかったからです。

児童養護施設にいる彰を監視している人物がいたっぽかったですが、これは剣持武士か杉谷でしょう。

剣持の場合なら、彰を殺したいけど映美がいる前ではできなかった。

杉谷の場合は、彰に普通の感情が芽生えて良心の呵責で警察に駆け込まれでもしたら自分の罪も暴かれてしまうので、もしそうなら先に始末したいと考えていたのだと思います。

最後のまとめ

映画『怪物の木こり』は、人気ミステリー小説を高いレベルで映像化しましたが、ストーリーの中だるみ感が気になりました。

三池崇史らしさ全開のバイオレンスが思う存分楽しめたわけでもありません。

シネマグ
なんでPG12にしたんですかね?まあやはり集客を考えてのことなのでしょう。

映画と小説で求められているものが違うので、やっぱり小説の映像化は難しいですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『怪物の木こり』レビュー終わり!

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