映画『大怪獣のあとしまつ』は、豪華キャストが学芸会で集められて闇鍋にブチ込まれたようなカオス作品でした…。アイデアの良さが完全に台無しで、SNSでは“令和のデビルマン”という評価であふれかえっています。
コメディ作品には人間ドラマやストーリー性なぞ必要なし! そんな意図が見え隠れ。
大怪獣の死体だけでなくストーリーまで腐敗しているようです。
「日本の観客ってもしかして製作側に舐められてます?」
そうです、私たちは完全に舐められています!
今作で“希望”というアホなネーミングの怪獣が死んだのをキッカケに、観客と製作委員会の場外乱闘が勃発するでしょう。※2022/03/12 追記⇨この記事でプロデューサーと視聴者のバトルが現実になりましたね(笑)。
もはや駄作すぎて逆に映画館で見ておいた方がいいレベルです。
デモとかあまり好きではないですが、抗議をする人の気持ちがわかったような気がします。
邦画の未来のためにも、大人しくて優しい日本人はそろそろ卒業すべきだと気づかされました。
本作のクオリティの低さは、視聴者がバカにされている証明以外の何ものでもありません(日曜朝の特撮ヒーローモノの方がまだクオリティ高い気がしました)。
ショックが大きかったので、本作の何がダメだったかネタバレあり酷評・感想、ストーリーネタバレあらすじ解説、ひどいラスト・幼稚な社会風刺、邦画の未来への憂いを若干ギャグも交えつつまとめます。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)

映画『大怪獣のあとしまつ』作品情報・あらすじ・見どころ
英題:『WHAT TO DO WITH THE DEAD KAIJU?』
監督・脚本:三木聡(『時効警察』『緊急事態宣言』)
撮影:高田陽幸
編集:富永孝
音楽:上野耕路
製作:大怪獣のあとしまつ製作委員会
制作:東映東京撮影所
原作ではなく映画のノベライズ(小説化)として、著者違いで2バージョン出ています。
橘もも 著版↓
時海結以 著版↓
ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ
あらすじ:国防軍でも敵わなかった全長155mの大怪獣が突然死亡。首相や大臣たちはどの部署が死体処理を担当するかで揉めます。特務隊のアラタ(山田涼介)が処理のリーダーに抜擢されますが、各部署に振り回されて仕事は進みません。アラタの元恋人で環境大臣秘書・ユキノ(土屋太鳳)も奔走。しかし死体に放射能や有害物質が含まれていないことがわかると、大臣たちは死体を観光資源にしようと言い出して…。
大怪獣の後始末で内閣と軍部がアタフタするギャグや下ネタのみで構成。
SF・特撮・人間ドラマには一切見どころがなく、ストーリーがまったく面白くありません。金をかけてボロ雑巾が完成しました。
金を払って暗い劇場でクスッと笑いたい変人やB級マニア以外には、全くおすすめできない駄作です。実写『真夜中乙女戦争』『KAPPEI カッペイ』『嘘喰い』など、2022年はクソ邦画が豊富ですね…。
おすすめ度 | 22% |
ギャグ | 80% |
ストーリー | 35% |
IMDb(海外レビューサイト) | 3.3(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家29% |
※以下、邦画『大怪獣のあとしまつ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『大怪獣のあとしまつ』ネタバレ感想・評価
日本が誇る特撮作品の裏をつき、大怪獣の死体処理に奮闘するアイデアは素晴らしいと思いました。
内容も人間ドラマもなくハリボテで、「クソ映画!」と非難されても仕方ないレベルです。
本記事を読んだ人の投票でも、最低評価「つまらない。ひどいレベル」が全体の81%と、他の作品と比較しても群を抜いています。
死体の後始末ではなく、本作を公開してしまったことの“後始末”が見どころになるでしょう。
映画『シン・ゴジラ』の設定をパクリ、その後を描いた感じですが、パクったといえるほど上手く機能していないのがイタいです。
豪華キャストを集結させてギャグに終始する作りは、三国志をパロって滑った『新解釈・三国志』にそっくり。
ストーリー性がなさ過ぎて、映画館で鑑賞中にあくびと腕時計を見る回数が激増。
ギャグのツギハギを大画面で見せられて困惑しました。もはや金を払っての拷問タイムです。
各キャラの成長も一切描かれず、例えば土屋太鳳演じるヒロイン・ユキノの場合、軽いノリで元カレと不倫して物語終了。
また、空想特撮エンターテイメントと謳っているくせに特撮として見応えのあるシーンはゼロ。見どころは実力派キャストのアップでの顔芸…。
大俳優たちが、わざとらしく違和感のあるセリフ回しに振り回されているのを見るのも心が痛いです。表情で説明すべき部分も、全てセリフで言っちゃう映画の良さを活かしきれていないつくりとなっています。
VFX・CGも酷かったです。大怪獣の上に乗って転ぶシーンや、爆発などが背景と人物が合ってなくて安っぽいです。
キャスティングに金をかけてVFXに回す予算がなかったのでしょう(本末転倒)。日曜朝のヒーロータイム作品の方がまだマシなレベルです。
さらに、ストーリーは小学生以下向けにもかかわらず、キノコの下ネタや不倫恋愛を入れるなどターゲティングも乱射気味です。
キャストも山田涼介などイケメンジャニーズや人気の土屋太鳳、西田敏行らベテラン演技派まで、とりあえず客を呼べそうな俳優たちを囲った感じがイヤですね。
俳優陣はかわいそうに、利益をあらかじめ計算したスポンサーを満足させるエサでしかありません。
『パシフィック・リム』の菊地凛子を似たようなキャラでストーリー上なんの意味もなく登場させ、海外受けも狙っていそうなのも非常にイタかったです。
日本特撮を愛してやまないギレルモ・デル・トロ監督が本作を観たら、悪い意味で少年のように泣いてしまうでしょう。
制作陣やスポンサーが日本国民の知的レベルを相当低く見積もっていることも改めて判明しました。
日本の観客はみんなバカだから、豪華キャストでちょっと笑わせればOKだと本気で考えているのかもしれません。
そもそも特撮映画の触れ込みで中身はギャグオンリー映画って、宣伝も悪意があるというか半分詐欺ですよね。
投資した金だけは回収するために、本格的な特撮っぽい予告にしたのでしょう。ひどい…。
実写版『進撃の巨人』や『デビルマン』に並ぶ、邦画に新しく突出した駄作が誕生した瞬間を、金を払って公開初日に目撃した事実に打ちひしがれています。
アイデアで面白そうと思わせられ、私も結局釣られた側になってしまいました。『シン・ゴジラ』みたいな特撮SFと思って観に行ったら、実態は滑りギャグ映画…。『大怪獣のあとしまつ』被害者の会の仲間入りです。
もう明るい未来は描けません。
考察:コメディならストーリー性は不要?
映画『大怪獣のあとしまつ』は、死体のあと処理で政府と軍がグダグダすべり倒すだけの内容でした。
『シン・ゴジラ』に寄せた登場人物たちが織りなす、ストーリー性ゼロの偉大な駄作。
それは大きな間違いで、コメディだからこそ泣ける要素やキャラの成長が大事だったりします。感動・哀愁とのコントラストで大きな笑いが生まれるのです。
「ストーリー性なしでOK!」そんなわけありません。
本作のようにギャグシーンだけ見せたいなら、それはTVのバカ殿枠とかでやるべきです。
映画館で金を払わせてギャグのツギハギを見せるべきではないでしょう。
あと、山田涼介演じる特務隊・アラタが死体のメタンガスで膨らんだ部分を棒で突っつく(大事故になる可能性大)、土屋太鳳演じるヒロイン・ユキノがダムを爆破させて川から海に死体を流そうとするなど、いくらコメディだとしても登場キャラ全員のIQを下げすぎるのはどうかと思いました。
緊張感ゼロです…。
リアリティラインが低すぎて、かつ行動原理も破綻しているため観ていてまったく臨場感が生まれません。
ドン引きしてしまい、メインの笑いにすら寄り添えないのです。
IQの低さが面白さにつながっていればまだ良いですが、アホでなおかつ笑えないタイプの1番イタい奴らでした。
行動パターンが常人とかけ離れている人々ばかりで逆に冷めてしまうのが、普通のコメディ映画と大きく違う本作の個性的なところです。
低レベルな社会風刺はもう止めよう!
ディカプリオ主演の『ドント・ルック・アップ』などの海外のコメディ映画と比較して、『大怪獣のあとしまつ』は社会風刺の入れ込み方が本当に低レベルだと感じました。
総理大臣を筆頭に内閣がグダグタな話し合いばかりやっている、数十年前からこすり倒されたワンパターン設定…。
こんなステレオタイプの設定しか浮かばないのでしょうか?
福島原発問題の際に当時の菅直人内閣が着ていたジャージで内輪で笑い、コロナのような緊急事態宣言を適当に出し、令和元号の発表をパロって“希望”の色紙を見せるなどスベリ倒し、ヒネりも見応えもありません。
もはや風刺ではなく単なるギャグですよね。
大喜利だと50点くらいの回答を延々見せられる感じ…。観ていて困り果てました。
挙句の果てに環境大臣を筆頭に中盤からは下ネタのオンパレード。中年女性が「ウ○コかゲ○の匂いか?」と真剣に議論します。名実ともにクソ映画です。
子供と一緒に楽しく見るはずだった親御さんは、映画館を出た後で本作から影響を受けた子供の下ネタ連呼にうんざりするでしょう。
バレバレの伏線、期待を裏切るラストオチ(ネタバレ)
『大怪獣のあとしまつ』は、ストーリーの根幹を成す謎や、ラストのオチもボロボロです。
- 国防軍の攻撃をものともしなかった怪獣が、謎の光に包まれて死亡
- 山田涼介演じるアラタは、光に包まれて2年間行方不明
そんなバレバレの伏線が最後のオチとして回収されます。主人公・アラタが怪獣を宇宙に運び、ゴミ処理問題は強制終了です。
コチラの「知ってたよ…」という感情を無視し、主人公・アラタは不倫関係にあるヒロインの前でドヤ顔で変身します。
滑りすぎていてある意味笑えるシーンではありますね。
ある意味ラストに期待していた観客を裏切るメタ的なギャグになっていますが、スベりました…。
ちなみに、ウルトラマン解決のラストは、西田敏行演じる総理大臣の「デウス・エクス・マキナ」のメモが伏線になっています。
このデウス・エクス・マキナは“機械仕掛けの神”という意味の演劇用語で、神を降臨させて散らかった物語を強制的に終了させる方法。
光のウルトラマンが散らかった話をなんとかしちゃうラストは、最初から暗示されていたわけですね。
ただ本作では単にその知識をひけらかしたいだけに見えます。少なくてもストーリーに深みを与えるなど、効果的な伏線にはなっていません。
そもそも、主人公・アラタに秘密があるオチなら、彼のキャラクターをもっと掘り下げるべきでした。
アホな主人公にまったく感情移入できないまま2時間たち、彼は宇宙へ飛び立ちます。
舐められっぱなしの日本の観客
実写『デビルマン』『ガッチャマン』『進撃の巨人』『テラフォーマーズ』と駄作が豊富な日本の映画界に新たに爆誕した『大怪獣のあとしまつ』。
さまざまな社会問題と同等に語られるべき由々しき事態です。
グローバルでの経済格差以前に映画格差はますます広がり、日本は世界でどんどん孤立していくでしょう。
選挙にいくのもいいですが、まずTwitterとかで「駄作は駄作!」と言い切ることから始めませんか?
一人一人の声をスポンサーにしっかり届けましょう。
また、すでに本作を観てしまった可哀想なあなたも、「山田涼介くんが出てるから記念に!」と、円盤を買うという愚行はやめてください。
各方面でボロクソに叩かれている本作をPRしなきゃいけない山田涼介くんや土屋太鳳さん。完全な罰ゲームです。一体彼らは前世でどんな悪事を働いたのでしょうか?
常人のメンタルでは絶対に耐えられないですよね。
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