映画『007ノータイム・トゥ・ダイ』(007 No Time to Die)はダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役を務める最後の作品。
ボヘミアン・ラプソディで有名になったラミ・マレックがヴィラン・サフィンです。
ボンドが衝撃すぎるラスト結末を迎え有終の美という雰囲気がありつつも、上映時間は3時間弱(163分)とタイタニックなみに長く、ひどいとまではいきませんが中だるみを感じてしまいました。『カジノ・ロワイヤル』を超えていない印象です。
キャスト・キャラ解説、ストーリー結末ネタバレあらすじ、ぶっちゃけ感想・評価、ヴィラン・サフィンの目的・物語の深掘り考察をしていきます。
映画『007ノータイム・トゥ・ダイ』キャスト・キャラ紹介
作品情報
監督: キャリー・ジョージ・フクナガ
脚本: ニール・パーヴィス/フィービー・ウォーラー=ブリッジ
音楽:ハンス・ジマー
主題歌:ビリー・アイリッシュ「No Time To Die」
撮影:リヌス・サンドグレン
監督のキャリー・フクナガは日系アメリカ人3世で映画『ジェーン・エア』『ビースト・オブ・ノー・ネーション』『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(脚本)で知られています。
ハンス・ジマーは『ダークナイト』などの音楽でも有名。
撮影は『ララランド』や『ファーストマン』で知られるリヌス・サンドグレンです。
ジェームズ・ボンド/ダニエル・クレイグ
ジェームズ・ボンドはイギリスの諜報機関MI6に所属していた凄腕エージェントでしたが、現在は引退しています。
前作『スペクター』のマドレーヌと仲良く過ごしているようです。
俳優のダニエル・クレイグは、2006年『カジノロワイヤル』でボンド俳優としてブレイクし、『慰めの報酬』『スカイフォール』『スペクター』と合わせて本作で007・5作目になります。『ナイブズアウト名探偵と刃の館の秘密』『ナイブズ・アウト2: グラスオニオン』でも主演。
マドレーヌ・スワン/レア・セドゥ
マドレーヌは、国際的犯罪組織クアンタム(スペクターの下部組織)の重要人物ミスター・ホワイトの娘で医者(カウンセラー)。
『スペクター』でボンドに協力し、恋仲になりました。
幼い頃サフィンに母親を殺され、サフィンを撃って逃げますが湖の氷の下に落ち、サフィンに命を助けられたという過去があります。
リューツィファー・サフィン/ラミ・マレック
サフィンはスペクターとは別で動く謎の組織のリーダー。日本文化が好きなのか不気味な能面を被っています。
過去にマドレーヌの父ミスター・ホワイトによって家族を皆殺しにされ、マドレーヌが小さい頃に彼女の家に復讐に行きました。しかしマドレーヌだけは助けます。
俳優ラミ・マレックは『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役でブレイクした人物。
パロマ/アナ・デ・アルマス
パロマはCIAの新米美人エージェントで、ボンドが旧友フェリックスから依頼された科学者・オブルチェフ奪還のサポートをします。
キューバでのオブルチェフ奪還が初めての任務であり、緊張しています。
女優アナ・デ・アルマスはキューバ出身で、映画『ブレードランナー2049』のヒロイン・ジョイ役や『ノック・ノック』『ナイブズアウト/名探偵と刃の館の秘密』『ナイトウォッチャー』『底知れぬ愛の闇』で有名。
2022年はNetflix『ブロンド』でマリリン・モンロー役で主演を果たしました。
今回のパロマ役はめちゃめちゃセクシーでパーフェクトなボンドガールでしたね。007の次回作にも出演して欲しいです!
ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ
007ことジェームズ・ボンドが前作『スペクター』以来5年ぶりにMI6エージェントとして現役復帰。DNAナノ兵器の流出を防ぐミッションのため世界をまたにかけるというストーリーです。
イタリア・北欧などの絶景の中での激しいアクションシーンが見どころ!
今作がダニエル・クレイグがボンドを務めるラストの映画であり、ボンドの衝撃の結末が描かれます。
おすすめ度 | 70% |
アクション | 80% |
ストーリー | 76% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.9(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト | 84%(100%中) |
※以下、映画『007ノータイム・トゥ・ダイ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『007ノータイム・トゥ・ダイ』ネタバレ感想・評価
ちなみにサイト読者の皆様から頂いた投票は2021年10月5日時点で1100件以上あり、
- 「超面白い!みんな劇場で観て!」→44%
- 「まあまあ楽しかった。見る価値アリ!」→33%
と、高評価が77%とても多い結果となりました!
話は変わって終盤で、ボンドが島の基地でサフィンの手下を階段で次々に倒していくシーンは、ワンカットの長回しがされていて臨場感がありました。
徹底考察:007ノータイム・トゥ・ダイ
007史上初の親子の物語!
ノータイム・トゥ・ダイは、ボンドガールであるマドレーヌとの恋を描いていたのはもちろん、ボンドとマドレーヌの間に子供マチルドがいた点が斬新でした。子持ちスパイです。
またプロローグの、家族を殺されたヴィラン・サフィンがマドレーヌの母親を殺した後に、マドレーヌに撃たれながらも湖の氷の下に落ちた彼女を助けるシーンが印象的。
サフィンもマドレーヌに家族のような感情を抱いていたのでしょう。
ノータイム・トゥ・ダイはボンドとマチルド、サフィンとマドレーヌという2つの親子の絆の物語だといえるのではないでしょうか。
サフィンが娘・マチルドをあっさり解放したのも、幼い頃のマドレーヌの姿と重なったからでしょう。
サフィンがボンドを敵視した最大の理由
ヴィラン・サフィンはなぜ逃げずに基地に残り、自分が死ぬリスクを冒してまでボンドにヘラクレスの生物兵器を感染させたのでしょうか。
推測になりますが、サフィンはボンドがマドレーヌを捨てたことが許せなかったのかもしれません。
その証拠にサフィンは終盤で「マドレーヌとの別れをお前が選んだんだ」的なセリフをで言っていました。
サフィンがボンドに感染させたヘラクレスは、マドレーヌに触れたら彼女が即死してしまうもので、ボンドは例え生き延びたとしても最愛の人に一生触れられない人生を歩むことになります。
能面を外したサフィンとボンド
サフィンはボンドに毒を与えた際に、自分も感染してマドレーヌに触れられなくなったわけで、この行為は自分を罰してマドレーヌを呪縛から解放する意味もあったのだと思います。
自分(サフィン)とボンドという、女性を不幸にする2人の男性からの解放です。
『007ノータイム・トゥ・ダイ』は明確な悪と正義の戦いではなく、ボンドとサフィンという孤独で哀しい男同士の対決でした。
戦いの結末に勝者はなく、娘を思う2人の父親が散っていっただけ。
ボンドとサフィンは表裏一体・鏡のような存在なのでしょう。
最後は2人とも能面をとり、スパイやテロリストでなく人間同士として幕を閉じたのです。
ボンドは死んだか?
『007ノータイム・トゥ・ダイ』のラストでは、ボンドが基地の上に立ち、そこにミサイルが降り注いでいたので、どう考えても死亡確定でしょう。
普段なら死ぬのはボンドガールの方ですが、今回は節目もあってかジェームズ・ボンド本人が死に、恋人・マドレーヌが生き残ります。
このボンドの死を踏まえて『ノータイム・トゥ・ダイ』のタイトルの意味を考えてみると、「今まで死ぬタイミングを奪われていた」のような、過去作含めてジェームズ・ボンドというキャラに対してのアイロニカルなメッセージも含まれている気もします。
またわざわざ作中で殺すのは、それだけ6人目のジェームズ・ボンド俳優ダニエル・クレイグの存在が大きかったともいえます。
「ダニエル・ボンドは本当に最後だよ!」というメッセージでしょう。
ダニエル・クレイグは2006年の『カジノロワイヤル』から15年間ジェームズ・ボンド役お疲れ様でした。個人的には一番好きなボンド俳優でした。
フレディ役が抜けないラミ・マレック
大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーを演じたことも記憶に新しいラミ・マレックですが、本作で彼が演じたヴィラン・サフィンは、ある1点においてとてもフレディ的です。
それは、日本かぶれなところ。
サフィンは能の仮面を被り、孤島の基地に日本庭園や和風の部屋を作っていました。
史実としてフレディ・マーキュリーも日本の文化が大好きで、自宅に日本庭園を作っていたことでも知られています。
製作陣のシャレなのか、ラミ・マレックが演じるサフィンがフレディの設定を引き継いでいるように見えて仕方ありません。
※追記)記事にコメントいただいたので補足ですが、サフィンや日本庭園の設定は『007は二度死ぬ』のオマージュではないかとのことで、考えてみるとこちらの方が正しいかもしれません。
次のボンド俳優は?
ダニエル・クレイグも初めてボンド役を演じた『カジノロワイヤル』当初は、昔ながらのファンから「ボンドらしくない」などと酷評されましたが、結果的に絶賛されるようになりました。
なので次のボンド俳優も『ゴールデン・アイ』のピアース・ブロスナンのようなクラシカルなイメージから脱却した個性的な俳優が選出されるのではないでしょうか。
ちなみに現時点では噂に上がっている、ネクストボンド候補はこんな感じです。
トム・ハーディ(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ヴェノム』『ダークナイトライジング』『ダンケルク』『裏切りのサーカス』)
イドリス・エルバ(『ザ・スーサイド・スクワッド 極悪党、集結』『パシフィック・リム』)
リチャード・マッデン(『ゲーム・オブ・スローンズ』『エターナルズ』)
サム・ヒューアン(ドラマ『アウトランダー』や映画『SAS:反逆のブラックスワン』)
ヘンリー・ゴールディング(『ジェントルメン』『シンプル・フェイバー』)などなど。
トム・ハーディも捨て難いですがなんとなく予想できてしまうので、個人的には、サム・ヒューアンを推したいです。
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