『エクソシスト 信じる者』黒人と白人の2人の少女が同時に悪魔に取り憑かれる!
『エクソシスト 』(1973年)の正当な続編という立ち位置で制作されました!
作品情報・キャスト
あらすじ・ネタバレなしの感想
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴後の感想・酷評レビュー(ネタバレあり)
考察:父同士の対比、ヨブ記
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『エクソシスト 信じる者』作品情報
制作国:アメリカ
上映時間:1時間51分
原題:『The Exorcist: Believer』
ジャンル:ホラー
年齢制限:PG12
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン(『ハロウィン 2018』)
脚本:デヴィッド・ゴードン・グリーン|ピーター・サットラー
制作: ブラムハウス・プロダクションズ
『M3GAN ミーガン』や『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』などを手掛けたブラムハウスが制作しています。
キャスト
アンジェラ・フィールディング(悪魔に取り憑かれた少女)|cast リディア・ジュエット
ヴィクター・フィールディング(アンジェラの父)|cast レスリー・オドム・Jr
キャサリン(アンジェラの友達。一緒に取り憑かれる)|cast オリヴィア・オニール
ミランダ(キャサリンの母)ジェニファー・ネトルズ
トニー(キャサリンの父)|cast ノーバート・レオ・バッツ
アン(アンジェラの隣に住む看護師)|cast アン・ダウド(『ヘレディタリー継承』)
ビーハイブ(ヴードゥー教の祈祷師)|cast オクウィ・オクポクワシリ
レヴァンス牧師 |cast ラファエル・スバージ
クリス・マクニール(1973年に悪魔に取り憑かれたリーガンの母)|cast エレン・バースティン
『エクソシスト 信じる者』あらすじ
ハイチに滞在した際に妻・ソリーンを失った男性・ヴィクターは、13歳の娘・アンジェラと仲良く暮らしていた。
しかしある日、アンジェラは友達のキャサリンと放課後に出かけたまま帰ってこない。
ヴィクターやキャサリンの両親、警察が必死の捜索を続ける。
学校の生徒たちによると、アンジェラとキャサリンは放課後に森に入っていったらしい。
3日後、アンジェラとキャサリンは農場で見つかる。
アンジェラは「母と話をするために森の廃墟でキャサリンと降霊術を行い、そこから先のことをあまり覚えていない」と言う。
家に帰ったアンジェラはおねしょや痙攣をするようになる。
さらに手や足の爪が割れ、腹部にHelpと引っ掻き傷ができた。
キャサリンも少女とは思えないような形相で凶暴になっていた。
ヴィクターはアンジェラを精神科に入院させようとする。
隣人で看護師のアンは、数十年前の経験を本にしたクリス・マクニールに連絡を取るように言った。
クリスには、エクソシストと共に娘・リーガンを悪魔・パズズから救った経験があった(1973年のシリーズ第1作の内容)。
しかし現在、リーガンは失踪し、どこにいるかわからないと言う。
クリスはアンジェラの様子を見て、「悪魔祓いが必要だ」と言った。
悪魔と人間の戦いが再び幕を開ける!
ネタバレなし感想・海外評価
ところどころグロテスクで気持ち悪くてゾクっとするシーンもありました。
よほどのB級ホラー好きでないと本作を楽しめないと思います。
ただ、PG12なこともあって所々生ぬるく、そこまで怖くもありません。
海外レビューサイトでは批評家からの評価が絶望的に悪いです。
「お願いだからもうエクソシストの続編は作らないでくれ!」
「ウィリアム・フリードキン監督の第1作目に近づいてすらいない…」
「つまらないけど、エクソシスト2(1977)よりはマシかも」などなど、悲痛なレビューが散見されます。
おすすめ度 | 24% |
怖さ | 45% |
ストーリー | 26% |
IMDb(海外レビューサイト) | 4.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 22% 一般の視聴者 59% |
メタスコア(Metacritic) | 39(100点中) |
※以下、『エクソシスト 信じる者』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『エクソシスト 信じる者』ネタバレあらすじ解説
取り憑かれた2人の娘
クリス・マクニール(第1作のリーガンの母)は、悪魔に取り憑かれたキャサリンと会う。
キャサリンに近寄ると十字架で目を突き刺されてしまった。クリスは病院へ運ばれて入院する。
ヴィクターやミランダ(キャサリンの母)は教会に悪魔祓いを依頼した。
マドックス神父が、教会のお偉いさんたちにアンジェラとキャサリンの状況を伝える。
一旦は悪魔祓いが必要だということになったが、教会は「危険すぎる」という理由で悪魔祓いを許可しなかった。
ヴィクターたちは知り合いの牧師、レヴァンスやスチュアート、それからヴードゥーのまじない師・ビーハイブを呼んで自分たちで悪魔祓いを行うことにした。
ヴィクターたちは、家の中でアンジェラとキャサリンを背中合わせで縛り付ける。
心肺計測装置が取り付けられた。同じパズズに取り憑かれているからか、アンジェラとキャサリンの心拍がシンクロする。
ビーハイブがみんなにヴードゥーの護符を配った。
ミランダや近所のアンが必死に聖書の言葉を唱える。しかし悪魔には効かない。
ビーハイブがヴードゥーの聖水をかける。アンジェラは苦しみながら黒い塊を吐き出した。
マドックス神父がやってきて、アンジェラとキャサリンを触りながら神の言葉を唱える。
しかし、マドックス神父は悪魔の念力で首の骨を破壊されて死亡。
衝撃のラスト結末
取り憑かれたアンジェラはヴィクターに向かって「おまえはハイチで医者に選択を迫られたときに妻を選んだ。しかし実際には妻は死んで娘が助かった」と嘲笑う。
悪魔・パズズは、「どちらか1人の娘を助ける!」と言った。
キャサリンの父・トニーは「キャサリンを助けてくれ」と叫んだ。
ヴィクターはアンジェラや神の御心を信じ、選択をしなかった。
アンジェラは宙に浮かび、心肺停止。しかし幼い頃にハイチで土着宗教の祈りを母親が受けていたせいもあってか、息を吹き返した。
今度はキャサリンの鼓動が停止する。電気マッサージを施すが、キャサリンは死亡した。
事件のあと、病院で入院しているクリスのもとに娘・リーガンが帰ってくる。
回復したアンジェラは学校に通っていた。キャサリンの姿はない。
アンは「生き続けることが大事だ」と今回の出来事を振り返った。
映画『エクソシスト 信じる者』ネタバレ感想・評価
悪魔でなく眠気と戦った2時間
エクソシストのテーマ曲が掛かるシーンがピーク。『ヴァチカンのエクソシスト』の方がまだ全然面白いです。
まず話のテンポがノロノロでした。アンジェラとキャサリンが取り憑かれるまでが長くて退屈すぎて序盤で眠くなりました。
1973年の第1作の母親役エレン・バースティンが出てきたと思ったら目をぶっ刺されて速攻退場。
このババ○一体何しにきたのでしょうか?経験あるからって安易に悪魔に近づかないでください。50年前の出来事から何も学んでません。
本作は第1作の正当な続編という立ち位置なので エレン・バースティンを出したのでしょうけど、いくらなんでも退場させるのが早かったような気がします。
せめて悪魔祓いの少し前まではいるべきでは?
プロットも、2人の少女が悪魔に取り憑かれるところまでは良かったのですが、教会は悪魔祓いを断り、ご近所の集まりで悪魔祓いスタート!もはやエクソシストではありません。
神を信じる心があればエクソシスト(悪魔祓いのスペシャリスト)じゃなくても人を救える!というコンセプトがあるのでしょうけど、それはもう別の作品でやってくださいよ。
分断を生むポリコレ
ポリコレ自体は別にいいと思います。黒人の親子を中心にすえたこと自体には問題はありません。
しかし最後に、白人のキャサリンが死んで、黒人のアンジェラが生き残ったのはやりすぎだと感じました。
「キャサリンの父は自分の娘を助けてくれと取り乱し、アンジェラの父・ヴィクターは信仰を貫いたから」という理由はあります。
ただ、白人一家と黒人一家で絶望と希望の壁ができてしまったように見えました。
信仰の問題にポリコレが絡んできたため、メッセージがややこしくて胸糞悪いものになった印象です。
現実社会で白人と黒人の間にほとんど分断がなくてこの結末なら理解できます。
しかし実際に差別などの問題がなくなっていない状態でこの展開は、逆にやりすぎてしまった感が否めません。
ヴードゥー教?
キリスト教ではないヴードゥーの祈祷師を登場させるコンセプトは、斬新ではありました。
一方で、物語が散らかる大きな要因になっていたような気がします。
制作側はおそらく「異教徒でも神はひとつ!悪魔祓いで協力できる!」という、異なる宗教同士が手を取り合えるメッセージを伝えたかったのでしょう。
ただストーリーは聖書の内容からの引用が多かったこともあり、ヴードゥー教の祈祷師はオマケ程度にしか見えませんでした。
ヴードゥー教についてもほとんど解説はありません。物語にヴードゥー教を登場させる理由が弱いです。
これも多様性やポリコレの影響でしょうか?
ちゃんとしたエクソシストが1人もいなかったのもそうですが、ヴードゥー教の祈祷師を登場させたことによってもエクソシストらしさが崩れ去った気がします。
ちなみにラストでアンジェラが助かったのは、母胎にいたときにハイチの現地人から祈りを受けていたからという理由もあったのでしょう。
すべての宗教は根底で繋がっていると伝えたかったのでしょうか…。
『エクソシスト 信じる者』ネタバレ考察 ヨブ記
ヴィクターがハイチで経験した出来事は、「妻を助けてくれ!」と言ったら、妻が死んで娘が助かったというもの。
本作のラストでキャサリンの父・トニーが経験したのは、「自分の娘を助けてくれ!」と言ったら、娘が死んで友人(アンジェラ)が助かったというもの。
先に苦難を経験したヴィクターはそのときの経験から学び、今回は判断を誤りませんでした。
結末に希望を添えるなら、きっとトニーも今回の娘を失った絶望を乗り越え、次の試練では選択を誤らないことでしょう。
隣人のアンが最後に言っていた、「生き続けていれば…」のメッセージに繋がるわけです。
また、全体のプロットには旧約聖書のヨブ記が大きく関わっています。
ヨブ記は、特に悪いことをしていない男性・ヨブが神から皮膚病などさまざまな試練を与えられ、挙句の果てに「神を選ぶか自分を選ぶか?」と選択を迫られる内容。
ヨブは神への信仰を捨てず、救われました。
『エクソシスト 信じる者』では、信仰よりも自分の願望を“選択”してしまった者に悲劇が訪れます。
最後のまとめ
『エクソシスト 信じる者』は、2人の少女が同時に悪魔に取り憑かれる設定、第1作のエレン・バースティンの再登場、聖書をうまく取り入れた教訓に飛んだ物語と、いろいろなアイデアが詰まっていました。
しかし内容は、エクソシストもおらず、ポリコレや異教の要素がうまく消化しきれていない衝撃的なほど残念なもの。
前評判が悪いのは薄々知っていましたが、これほど面白くないとは思いませんでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『エクソシスト 信じる者』レビュー終わり!
記事の画像引用元:公式サイト
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