1995年に公開された『バットマン フォーエヴァー』は、当時世界で300億円以上を稼ぐ大ヒットを記録したものの、ティム・バートンの『バットマン』よりは不思議なオーラがなく、クリストファー・ノーランの『ダークナイトシリーズ』のヒットもあり、今や完全に影が薄い存在になってしまった。
しかし、それなりに楽しめるし、もう少し評価されてもいいと感じたので、超豪華なキャストや、映画の特徴について、感想をまじえながら解説や考察をしていく。
バットマン フォーエヴァー登場キャラ・凄すぎるキャスト解説
バットマン フォーエヴァーの制作費は約100億円!アクションとその舞台もこってるけど、100億のほとんどが出演者に使われたのでは?というほどキャストが豪華。
(ちなみに、実写第1作のバットマン(1989)でジョーカー役を演じたジャック・ニコルソンは60億円貰っていたという噂)
ブルース・ウェイン(バットマン)/演ヴァル・キルマー
脚本を見て失望して出演を断ったマイケル・キートンの後釜としてブルース・ウェインを演じたのは、ヴァル・キルマー。
映画『トップガン』のアイスマン役で有名で、2021年公開『トップガン マーヴェリック』にも出演している。
演技も上手いし、風貌もブルース・ウェインという役柄にもマッチしていた。
バットマン・ビギンズのクリスチャン・ベールよりはいいんじゃないか?
ハービー・デント(トゥーフェイス)/演トミー・リー・ジョーンズ
過去の事件により、硫酸で顔の左半分がただれ、その時に脳に障害を負って悪に染まったのがヴィランのトゥーフェイス。
演じたのは、『メンインブラック』や『ノーカントリー』で知られる名俳優トミーリー・ジョーンズ。缶コーヒーのBOSSのCMでも有名。
高い演技力で悲しんだり怒ったり、情緒不安定さを表現。ファッショナブルかつアホな破壊者は見応えあり。
エドワード・ニグマ(リドラー)/演ジム・キャリー
エドワード・ニグマは、ブルース・ウェインの会社「ウェイン・エンタープライズ」の研究員。脳の特定の位置に映像を送って陶酔させる3D装置を開発。しかしウェインに倫理的に問題があると言われたことに憤慨し、上司を殺して会社を辞める。
その後、リドラーとなり、トゥーフェイスと手を組んで3D装置で億万長者になり、バットマンを陥れようとする。
3D装置は、人のIQを吸収できる設定なんだけど、頭はそこまでよくなっているように見えない。
個人的にはヴィランが大暴れする『スーサイドスクワッド』に入って欲しい(笑)。
ちなみに2022年の実写映画『ザ・バットマン』のリドラーはポール・ダノが務め、全然違うテイストに!
チェイス・メリディアン博士/演ニコール・キッドマン
チェイスは色っぽい精神科医で、いきなり空から現れたバットマンに恋する女性。
まさかヒロインにニコール・キッドマンとは!(キューブリック監督の映画アイズ・ワイド・シャットなどに出演)
まあ、彼女は今でこそスターだけど、1995年当時はトム・クルーズの妻っていうイメージでヒット作もあまりなかったので、無理なキャスティングじゃなかったのか。
ディック・グレイソン(ロビン)/演クリス・オドネル
のちにロビンになった、ディックを演じたのは、俳優のクリス・オドネル。人気海外ドラマ『NCIS:LA 極秘潜入捜査班』の主人公カレン役で有名な人。
アルフレッド・ペニーワース/演マイケル・ガフ
アルフレッドは、ブルース・ウェインの執事。
演じたマイケル・ガフは、1989年の『バットマン』から1997年『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』の計4本でアルフレッド役を務めた。
彼ほど執事っぽい執事もいないかもしれない。『ダークナイトシリーズ』の執事マイケル・ケインと肩を並べるだろう。この2人で対決してほしい。しかし、マイケル・ガフは2011年に94歳で亡くなっている。
ティム・バートンと仲がよく『スリーピー・ホロウ』などに出演。
シュガー/演ドリュー・バリモア
シュガーは、トゥーフェイスの付き人の女性。
出番はめっちゃ少ないけど、『E.T.』や『チャーリーズエンジェル』で有名なドリュー・バリモアが演じている。
確かにバリモアが演じたので色っぽいけど、ぶっちゃけ誰でもいい役…。キャリア低迷時に得られた役だったのだろう。
『バットマン フォーエヴァー』考察/ジム・キャリーが最高
『バットマン フォーエヴァー』の一番の見どころは、なんといってもリドラーを演じたジムキャリーだろう。彼が主演して1994年に大ヒットした『マスク』のようなテンションとセリフが楽しめる。ってゆうかまんまマスク(笑)。
派手な動きと皮肉の効いたセリフで、笑いの渦に巻き込んでくれる。彼の中でもキャリアの中でも最高潮なのが、本作のリドラーかも!
ジム・キャリーなしでは、この映画はヒットしなかっただろう。
サイコパスたちのお花畑パーティー映画
実写前作『バットマン・リターンズ』は、トラウマ持ちたちの寂しいクリスマス!の雰囲気だったが、『バットマン フォーエヴァー』はサイコパスたちのパーティーって感じ。
奇声を発しながらスッテキを回すリドラーと、とりあえず銃をぶっ放すトゥーフェイスの2人は完全な壊れっぷりが楽しめることはもちろん、ヒーローサイドもぶっ飛んでいる。
ブルース・ウェインはいきなりトラウマでフリーズしてしまうことが何回もあるし、ヒロインのチェイス博士は空から降りてきた大コウモリ(バットマン)に一目惚れして、いきなり夜の12時に家に来いと誘惑する変人。
登場人物は、アルフレッドとロビン以外みなサイコ。つまりこの映画はサイコVSサイコの構図なのだ。
『バットマン フォーエヴァー』はキャラクターのはじけっぷりを楽しむ映画なのだ。
1992のアニメに近いバットマン実写
バットマンは、コミックスでスタートし、1960年代以降にTVドラマシリーズや、90年代にはアニメも大ヒット。
そのアニメ版の雰囲気に一番近いのが『バットマン フォーエヴァー』だろう。
ティム・バートンの『バットマン』は雰囲気ダークすぎるし、クリストファー・ノーランの『ダークナイト』や『ダークナイトライジング』は、ヒーローの印象が薄い。
ただアニメに近いというのが、逆に本作の影が薄い要因かもしれない。
バットマン フォーエヴァーの超細かいシーン解説
ブルース・ウェインはアップルウォッチ使用?
結構ハイテク面も凝っていて、ブルースはアルフレッドと、時計でビデオ通話(テレビ電話)している。
この時代、ハイテクといえばこれだったのかもしれない。ウルトラマンの科学特捜隊のビデオシーバーからヒントを得たのだろうか?
アップルの社員が『バットマンフォーエヴァー』を見て、アップルウォッチが誕生したのかもしれない。
2人のうち1人しか助けられないゲーム
リドラーとトゥーフェイスとの最終決戦で、ロビンとチェイスがケースから穴に落下しそうで1人しか助けられないシーンがあるんだけど、ダークナイト(2008)でも、ハービー・デントと恋人・レイチェル1人しか助けられないゲームがあったなあと思い出した。
両方ハービー・デント絡みだね。まあ2人の1人ってコイントスゲームと同じだからね。
バットマン フォーエヴァーの評価が低い理由/ハッピーエンド
この映画の唯一気に入らないところは、ハッピーエンド。ロビンも仲間になり、チェイス博士とも、割といい感じで終わる。
バットマンの実写映画は全部で7作あるが、ハッピーエンドは本作と自作の『バットマン&ロビンMr.フリーズの逆襲』の2つだけ。
ティム・バートン版は毎回孤独で寂しい感じで終わるし、ノーラン監督のダークナイト3部作もハッピーな雰囲気とは程遠い。
しかし、両親殺されたトラウマ持ちでコウモリコンプレックスの男の話なんだから、ハッピーになれなくて当然である。
ファミリー層向けに作られたこともあるが、最後はバットマンの切ない憂いのある表情を楽しみたいファンからすると、ハッピーエンドは受け入れられなかったのかもしれない。
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