Netflix映画『ペイン・ハスラーズ』全米で大問題になったオピオイド系鎮痛薬についての実話をもとにした作品です!
エミリー・ブラント(『クワイエット・プレイス』シリーズ)とクリス・エヴァンス(『キャプテン・アメリカ』)出演!
この記事でわかること!
作品情報・キャスト
あらすじ・見どころ
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
正直な感想・評価(ネタバレあり)
ストーリー考察
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『ペイン・ハスラーズ』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:124分
原題:『Pain Hustlers』
ジャンル:ヒューマンドラマ、社会問題、コメディ、クライム
年齢制限:16歳以上推奨
監督:デヴィッド・イェーツ
脚本:ウェルズ・タワー
原作:Evan Hughesの小説「The Hard Sell: Crime and Punishment at an Opioid Startup」
本作は、アメリカでオピオイド系の鎮痛剤「サブシス」の販売促進で違法な手段を使って訴えられた、インシス・セラピューティクス社に関する実話をもとにした映画です。
(実際の事件に関する記事→日本経済新聞)
キャスト
役名 | キャスト |
ライザ・ドレイク | エミリー・ブラント(『プラダを着た悪魔』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『ボーダーライン』『クワイエット・プレイス2』『メリー・ポピンズ リターンズ』『ジャングル・クルーズ』) |
ピート・バーナー | クリス・エヴァンス(『キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ』シリーズ、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』 『バズ・ライトイヤー』 『グレイマン』) |
ジャック・ニール | アンディ・ガルシア(『ブラック・レイン』『ゴッドファーザー PART III』『オーシャンズ』シリーズ) |
ジャッキー | キャサリン・オハラ(『心みだれて』『ビートルジュース』『ペネロピ』) |
フィービー・ドレイク | クロエ・コールマン(『65/シックスティ・ファイブ』『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』) |
ライデル医師 | ブライアン・ダーシー・ジェームズ(『スポットライト 世紀のスクープ』『SMASH』『ウエスト・サイド・ストーリー』) |
Netflix『ペイン・ハスラーズ』あらすじ・見どころ
ストリップクラブで働いていたライザ(エミリー・ブラント)は、店でザナ製薬の重役ピート(クリス・エヴァンス)と酒を飲み気に入られる。
クラブの仕事をクビになったライザは、住んでいる家を追い出されてしまった。娘のフィービーはてんかんを患っており、保険適応外の治療が必要だった。
ライザはザナ製薬に押しかけた。ピートはライザの履歴書を大幅に偽造して経営者のジャックに紹介。
ライザはザナ製薬に雇われることになった。しかし1週間以内に社が販売したい新薬・ロナフェン(ガン性の疼痛薬)の処方箋を医者に欠かせないとクビになってしまう。
処方箋を書かせ薬を売れば莫大な利益を得られるため、大手製薬会社はこぞって医師たちに贈り物をしたり接待しているという状況だった。
ライザは過酷な競争を勝ち取り、ライデル医師に処方箋を書かせることに成功。
勢いに乗ったライザやピートは新人の営業たちを率いて薬の売り込みをし、セミナープログラムと称した接待パーティーを開きまくる。
会社は莫大な利益をあげ、順風満帆かと思われたが…。
「ペイン・ハスラーズ」 オピオイド危機を題材にした社会派サクセスストーリーでヒューマンサスペンス映画。エミリー・ブラントとクリス・エヴァンスの演技バトル、製薬会社のサイコぶりが怖すぎる😰 pic.twitter.com/4Yl1vJbpQQ
— daiyuuki (@daisukesuzjapan) October 27, 2023
※以下、『ペイン・ハスラーズ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ペイン・ハスラーズ』ネタバレ・ラスト解説
最悪の社会問題に発展
歩合制の契約だったため、ライザは巨額の金を得ておおよろこび。ライザの母親・ジャッキーもザナ社の営業として雇われた。
ザナ社は医師を接待する贅沢なセミナーパーティーを開催しまくり、営業マンたちは枕営業をしまくり他社のシェアを奪っていく。
会社は急成長し、ナスダック上場も果たした。
しかしこの頃から経営者のジャックの言動が過激になっていく。ジャックは全社員に「床が汚れるから靴を履くな」と指示した。
さらに会社の成長のために、「ガン患者以外にもロナフェンを処方するように医師を説得しろ」とめちゃくちゃな要求をしてきた。
ピートは金のためになりふりかまわず突き進む。
ライザはためらったが、医師のライデルはノリノリで適応外の処方をしまくってしまう。彼の病院はロナフェン目当ての中毒者たちでにぎわった。
全米ではザナ社のロナフェンによる中毒者が急増し、死亡者まで報道されて大問題になった。
ラスト結末:罪の意識
ライデル会社はガン患者以外にロナフェンを不当に処方した罪で逮捕される。
ある日、ライザの以前の隣人・シドニーがロナフェンの過剰摂取で死亡。
ライザは罪の意識を感じ、事件の内部告発に踏み切った。ピートなど重役が違法な医師の接待パーティーを計画していた証拠を検察に提出する。
経営者のジャックの証拠は手に入れられなかったが、ライザの母・ジャッキーがジャックと寝たあとでメールでセミナーの相談をしたものがデータとして残っており、それが証拠として機能した。
ジャックやピートは逮捕され、数年の禁固刑を言い渡される。ライザも1年3カ月服役することになった。
数年後、ライザは母や販売員の仲間たちと化粧品の販売会社を経営していた。しかし、ザナ社やロナフェンの事件は決して忘れることはできない。
映画『ペイン・ハスラーズ』ネタバレ感想・評価レビュー
本作をひと言で表現するなら、マーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオ映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のエミリー・ブラントバージョン。
エンタメ系の成り上がりと没落の物語としてのカタルシスは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の足元にも及びません。
さすがにその作品と比べたらいけないかもしれませんが、すごく悪く言えば「劣化版ウルフ・オブ…」に見えてしまいます。(ラストのオチも似てますし)
疼痛薬の中毒性をテーマにした作品としても、マイケル・キートン主演でオピオイドの危険性を描いたドラマ『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』などと比較すると、深刻さを全然伝えきれていなかったと思いました。
扱っているテーマがシリアスなわりに、そこまで風刺が効いていない笑いをブッ込む手法も賛否両論になるでしょう。
アダム・マッケイ監督の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』や『バイス』のような、風刺強めのテイストにしたほうが良かったと思います。
エミリー・ブラント演じるライザだけまともな人生を送っているふうなラストも、倫理的にどうなのかと疑問を感じました。
全体的にヒロインがキレイに描かれすぎています。
一応コンセプトを考えると、なぜヒロインが美化されているのかわかるのですが(考察の項目で詳しく)、パーティーを開催しまくって医師に薬を処方するように仕向けたのは彼女であり、適応外の処方を止めれなかった罪はかなり大きいと思います。
海外大手レビューサイトの評価もロッテントマトズの批評家支持率が26%とかなり低いですね。
エミリー・ブラントが出ている映画は面白いものが多い気がしますが、本作はそこまででもなかったという印象でした。
CineMagの点数 | 65点 |
ストーリー | 45点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.6(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 26% 一般の視聴者 % |
メタスコア(Metacritic) | 44(100点中) |
映画『ペイン・ハスラーズ』考察(ネタバレ)
母と娘の関係を中心に製薬会社の内情を描く
『ペイン・ハスラーズ』がやりたかったことは、母と娘の愛情を軸にオピオイド問題を切り取ることだったのだと思います。
ライザは世間にオピオイド中毒者を増やしてしまった犯罪者であるまえに、ひとりの娘の母親なのです。
違法な薬の販促事業の対立軸に、娘のてんかんの持病があります。
オピオイド問題に関わらず組織の違法行為に加担しているのは、家族を持つ1人の人間です。
自分のことだけでなく、家族の幸せを考えて内部告発できなかった、加担してしまったという人は多いでしょう。
本作では、そんな根本的な問題提起がなされていたと感じました。
ライザに関しては娘の手術で巨額の金が必要だと考えると、盲目的になってしまうことも仕方なかったのかなという描かれ方をしています。
また、ライザと娘だけでなく、ライザと母・ジャッキーの関係性も重要なファクターです。
劇中ではほぼ笑い担当だったジャッキーですが、彼女が経営者のジャックと寝たおかげで証拠が手に入ったという結末は見事だったと思います。
ライザにとって「母はいつも男がきれないふしだらな女」で、それが心の傷になっているようでした。
しかし最後にはそのふしだらさがライザの告発の役に立ち、イコール母との関係の肯定につながるのです。コンセプトは非常に巧みで、深いものがあると思いました。
最後のまとめ
ネトフリオリジナル映画『ペイン・ハスラーズ』はエミリー・ブラントとクリス・エヴァンスという鉄壁の布陣をしき、オピオイド系の鎮痛薬が広まってしまった過程をシュールに描いた凡作でした。
すごく面白いエンタメ作でもなく、優れた問題提起の作品でもない中途半端感がただよっていたのが残念でした。
終盤の「ママがふしだらでよかった!」みたいな、笑いとしても関係性の昇華としても優れている展開がもう少しあったら評価は全然ちがったと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『ペイン・ハスラーズ』レビュー終わり!
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