映画『ウエスト・サイド・ストーリー』ネタバレ考察/鬱ラストやスピルバーグが伝えたいこと解釈・評価や残念な点

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』、1961年公開の超名作をスティーヴン・スピルバーグ監督がリメイク。

2022年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・助演女優賞など7部門にノミネートされており、アリアナ・デボーズさんが助演女優賞を受賞しました。

スピルバーグ初挑戦となるミュージカル映画!

美声やダンスの肉体的な迫力と、ライティングを効果的に使ったロマンチックな風景が噛み合って最高

ただ一方で、正直そこまでリアル路線にしなくても…という感想も持ちました。

CineMag

ミュージカルなのに暗い気持ちで映画館を出ることに。夢を観させてくれよ…

ネタバレ感想・評価良かった点・残念な点リタ・モレノのヴァレンティナのメッセージ考察スピルバーグが伝えたい社会の分断や反トランプ考察、本作のキャスト作品情報を知りたい人向けに記事をまとめました。を知りたい人向けに記事をまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)

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映画『ウエスト・サイド・ストーリー』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間:2022/02/11・アメリカ・156分
原題:『West Side Story』
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
原作:アーサー・ローレンツによるミュージカル
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:マイケル・カーン
音楽:レナード・バーンスタイン/デヴィッド・ニューマン
製作:TSGエンターテインメント/アンブリン・エンターテインメント
配給:ウォルトディズニージャパン

スピルバーグ監督と脚本のトニー・クシュナーは、『ミュンヘン』『リンカーン』『フェイブルマンズ』でもタッグを組んでいます。

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映画『フェイブルマンズ』

ちなみにアーサー・ローレンツによる原作ミュージカルは、ウィリアム・シェイクスピアの『ロミオ&ジュリエット』をモチーフにして作られたものです。

ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ

スピルバーグ版映画『ウエスト・サイド・ストーリー』

©︎ウォルトディズニージャパン

あらすじ:開発のために売られた街が舞台。白人たちのギャング・ジェッツと、プエルトリコ系のギャング・シャークスは犬猿の仲でした。ある日、体育館のダンスパーティーで元ジェッツのメンバーで出所したトニーと、シャークスのリーダーの妹・マリアが出会い、お互いに一目惚れ。マリアがトニーといることに激怒した兄ベルナルドがジェッツに喧嘩をふっかけ、両グループは翌日夜に乱闘の約束をしました…。

CineMag
クオリティという面ではさすが巨匠スピルバーグで、期待を軽々と超えてきます

美しい歌声、迫力のダンス、切ない青春に没頭でき、歓喜・感動の雨あられ状態。最高のエンターテインメントです。

海外レビューサイトの評価も非常に高いですね。

ただ、リアルすぎて1961年版のテイストと全然違うと感じてしまう人も多いのでは?と思いました。

おすすめ度88%
歌唱・ダンス95%
臨場感90%
IMDb(海外レビューサイト)7.8(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)批評家92% 一般94%

※以下、映画『ウエスト・サイド・ストーリー』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』ネタバレ感想・評価

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』の評価は89点。ミュージカルパートだけなら傑作でしょう。
CineMag
スティーヴン・スピルバーグ監督とミュージカル映画の相性が抜群だと証明されましたね。

スピルバーグっぽい登場人物の感情モロ出し演出が、ミュージカルだといつもよりプラスに働いていました。

冒頭での作品のトレードマーク・フィンガークラップ(指を鳴らす音)が鳴った瞬間に、昔見た1961年版の感動が掻き立てられて、ヒロインを筆頭に抜群の歌唱力で至福の世界へといざなわれます。

全体的に歌やダンスのクオリティはもちろん、喧嘩などの臨場感が半端なく、ミュージカル映画がこれほどエネルギッシュで肉体的になるものかと驚かされっぱなしでした。

ミュージカル映画でありつつ、ある面『ジュラシックパーク』や『インディジョーンズ』的な体感型アクションでもあるのです。

カメラワークもすごくて、引きのロングショットはもちろん、エクストリームクロースアップを多用していてメリハリがあり、まるでその空間にいるかのような一体感がすごい。

語る犬
音楽やダンスの良さも合間って、鑑賞中は終始 琴線むき出し状態です。

全編に青春のエネルギーがほとばしり、主人公・トニーとヒロイン・マリアが切なく愛を歌い合う場面だけでなく、何気ないシーンでも理由なく涙があふれてきます

また本作では色彩もこだわり抜かれています。特にアニータのイエロー&レッドのドレスでのダンスは美しい。

アニータのダンスシーン

©︎ウォルトディズニージャパン

ライティングも合わさって、ワンシーンワンシーンが芸術です。

プエルトリコ(有色人種)のシャークスメンバーはカラフルな服、ジェッツ(白人系)のメンバーは色味のない衣装で、対立・分断を視覚的に演出していたのも面白いと感じました。

ただ、1961年の映画がメロドラマ的な雰囲気があったのに対し、本作はミュージカルでありながら悲劇をリアルに描き切ったことで、はっきり言って観終わったあと非常に暗い気分になりました。

困惑した犬
ヒロインから見ると、実兄が恋人に殺されて、恋人が仲間に殺される最悪な展開。アレっ、鬱映画ですね…。

美しい悲劇というより、言ってしまえばリアルに胸糞なラスト…。

青春メロドラマを観に行った人たちは困惑したのでないでしょうか?

社会派やシリアスな作品が大好きな筆者でさえ、序盤の歓喜の雰囲気との落差に驚き、打ちのめされたほどです。

CineMag
暗い気分で映画館を出ました…。

ヴァレンティナ|リタ・モレノ:配役のメッセージ

1961年版の『ウエストサイド物語』でアニータ役だった女優リタ・モレノが、本作ではヴァレンティナ役を務めました。

CineMag
本作のオリジナルキャラとして、1961年版の男性店主・ドックの代わりに、女性ヴァレンティナにリタ・モレノをキャスティングしたことに意味がある気がします。

リタ・モレノを共通項とすると、プエルトリコ系のヴァレンティナが、白人男性と結婚して暮らし、ジェッツメンバーの保護者的な役割だった事実が、1961年版のアニータが兄を殺された悲しみと人種の壁を乗り越えたことを暗示しているようにみえるのです。

1961年版のアニータは、白人男性と結婚して幸せに暮らした

スピルバーグは1961年版にリスペクトと希望込めて、本作のキャスティングでさりげなくメッセージを示したのかもしれません。

単なるリメイクではなく、ストーリーに連続性が生まれている気がして感慨深いですね。

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