映画『ナイト・ハウス』ネタバレあらすじ感想!考察:ラスト黒い影や別解釈,評価・伏線解説

  • 2022年12月14日

映画『ナイト・ハウス』(The Night House)は、夫に先立たれた妻が湖畔の家で超常現象に巻き込まれていくパニックホラー。

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グロさや怖さはそこまでですが、ところどころに精神的にゾクッとさせられるシーンがあり、わりと楽しめました。

頭の中であれこれ解釈できて、意味がわかりそうでわからない(笑)!

そんな変なバランス感覚に優れた個性的な映画です。

ぶっちゃけ感想・評価ラストの考察や別の解釈ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレあり)

ホラー映画『ナイト・ハウス』は楽しかった!?(投票どうぞ)

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映画『ナイト・ハウス』キャスト・作品情報・見どころ

公開・制作国・上映時間:2022/01/26・アメリカ・108分
原題:『The Night House』
監督:デヴィッド・ブルックナー
脚本:ベン・コリンズ/ルーク・ピョトロフスキー
製作:デヴィッド・S・ゴイヤー
撮影:エリシャ・クリスチャン
出演レベッカ・ホール、ヴォンディ・カーティス=ホール、サラ・ゴールドバーグ、エヴァン・ヨニグケイト、ステイシー・マーティン

ベス役|レベッカ・ホール

ベス役を演じた女優レベッカ・ホール

©︎ディズニープラス+

ベスは美しい湖畔の家で暮らしていましたが、夫に拳銃自殺された可哀想な女性。

女優レベッカ・ホールはホラーにも向いてますね。過度に暴れすぎない抑えた演技が素敵でした。

レベッカの代表作は『それでも恋するバルセロナ』、『ザ・ギフト』『アイアンマン3』『ゴジラvsコング』など。最近では監督・脚本を務めたNetflix『PASSING 白い黒人』が高評価を得るなど、マルチな才能を発揮しています。

ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ

あらすじ:夫・オーウェンが自殺し、絶望にうちひしがれる妻ベス(レベッカ・ホール)。家で勝手に音楽がかかり、夫の存在を感じ取りますが…。

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アリ・アスター監督の『へレディタリー継承』を薄めたようなテイストです。

抽象的なストーリーや考察が好き!そんな人にはオススメです!

派手な演出や刺激が多いエンタメ・ホラーではありません。

(同じくディズニープラス独占の映画『パーキングエリア』よりは全然好みでした。)

おすすめ度 77%
オリジナリティ・世界観 85%
ストーリー 79%
IMDb(海外レビューサイト) 6.5(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家87% 一般69%

映画『ナイトハウス』はディズニープラス独占配信中月額990円でディズニー、マーベル、ピクサー作品などさまざまなコンテンツが見放題。お申し込みは下記から↓

※以下、映画『ナイト・ハウス』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『ナイト・ハウス』ネタバレ感想・評価

映画ナイトハウスの評価グラフ

映画『ナイト・ハウス』の評価は82点。

明確なストーリーより、“反転された世界”を効果的に使ったショットを楽しむ映画です。

夢なのか反転した世界へと迷い込み、ドアを開けて自分が寝ているのを発見するシーンや、鏡に打ち付けられたと思ったら向こう側の世界に移動してるなど、ハッと驚くような場面がいくつもありました。

ジャンプスケア(いきなり怖がらせる演出)も上手かったです。暗闇の中で謎の女性たちがいきなり出てくるシーンなど、タイミングが効果的だったと思います。

いきなり友人・クレアが消えて不気味な音が鳴り出すところも、それほど怖い場面ではないのにビビりました。

ヒッチコックみたいな横向きの影が振り向く場面が序盤にあり、鏡世界への伏線と、幽霊が夫だと勘違いするミスリードを兼ねていたのも興味深かったです。

伏線的な後ろの黒い影
左側に男の影がある(©︎ディズニープラス+)

ワンシーンでストーリーに伏線・ミスリード両方の効果を与えるとは!匠の技ですね。

あと、しっかり説明されていないため、夢と鏡の世界がニアリーイコールのような不思議な印象を受けます。ここが『ナイト・ハウス』の妙味なのでしょう。

ベスが反対側の家に行ったと思ったら元の家に戻っている場面から、夢の中では意識の位置が反転する?など、言葉で書いてみると意味不明な抽象的な疑問が浮かび、脳内で世界観が再構築されていくような映画でした。

1つの舞台と、複数解釈できるミニマルなアイデアで上手く展開する、映画通好みのホラーだと思います。

海外レビューサイトrottentomatoesを見てもその傾向が顕著で、批評家スコアは87%と高い一方、一般の視聴者は69%の支持率と大きな開きがあります。

『ナイト・ハウス』は人間の悪夢をそのまま再現したような抽象的で完成度の高い作品である一方、ホラー的カタルシス・エンタメ度は控えめで、超がつくほど面白いわけではない映画、とまとめられるでしょう。

ラストシーン考察/別の解釈

ストーリーの意味

幽霊かと思われた黒い影は、死神や悪魔なのでしょう(これ以降は一旦悪魔と表記します)。

まず、ベスは17歳で臨死体験をし、悪魔に魅入られました。

悪魔は夫・オーウェンをそそのかしベスを手に入れようとしますが、オーウェンは対抗するため黒魔術っぽいものを独学で勉強し、ベスに似た女性を殺して悪魔のもとへ送るという狂気に走ったのです。

湖の向こう岸の“反転した家”も悪魔の力を弱めるために作ったようです。

鏡の世界が魔術によるものなのかはハッキリしません。

悪魔がベスの頭を鏡に打ち付けて、鏡の向こう側の世界に送ったのを考えると、悪魔は鏡の世界にも存在できるのでしょう。

オーウェンは反転させた家をつくることで、鏡の世界と現実の区別をつかなくし、悪魔を混乱させたのだと思います。

終盤でのベスの発言から、悪魔はオーウェンに「お前が死ねばベスを助けるよ」的なことを言って自殺させ、気兼ねなくベスを狙い始めたのでしょう。

ラストの別解釈

ラストでベスの親友クレアが「You’re safe now(あなたはもう安全だ)」と言いますが、夫オーウェンの遺書と全く同じフレーズが引用されていたのが気になりますね。

ラストでは助かったと見せかけて、危険が全く去っていないことを暗示しているのでしょう。

全く同じセリフということから少し踏み込んだ解釈をしてみると、ラストで主人公・ベスがクレアに助けられたのは現実でなく、まだ鏡の中の世界なのかもしれません。

魂は合わせ鏡のようなループに迷い込み、現実でのベスは死んでいるのかも。

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ストーリー全体を通して、夫に死なれて気が狂ったベスの精神世界を投影しているようでもありますね。

そもそも同じ家が2つある反転の構造は生と死を表現したようで、ベスがその両方の間で揺れている印象を受けます。

湖畔の舞台自体が深層心理のメタファーになっているのです。

いずれの解釈にせよ、良い意味で後味の悪さを残し、ホラーとしてはなかなか良いラストだといえるでしょう。

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