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Netflix映画『荒れ野』

Netflix映画『荒れ野』ネタバレあらすじ感想!意味不明な怪物を考察・映像評価

Netflixスペイン映画『荒れ野』(El Paremo)は、荒野で暮らす母子に謎の怪物に迫りくるホラー!絵画のような美しい映像が堪能できる一方、意味不明で抽象的な物語です。

CineMag
グロいシーンも多いですが、どちらかというとホラーというよりアート寄りの映画。

スペイン映画らしい芸術性・抽象的なメッセージに優れており個人的には楽しめましたが、好みがハッキリ分かれるでしょう。

本作『荒れ野』のぶっちゃけ感想・評価怪物やストーリーの意味考察全編ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)

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Netflix映画『荒れ野』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間
原題:El Paramo 英題:The Beast/The Wasteland
監督:ダビド・カサデムント
脚本:ダビド・カサデムント、マルティ・ルーカス、フラン・メンチョン
主演アシエル・フローレス(ディエゴ役)
出演:インマ・クエスタ(母ルシア役)
出演:ロベルト・アラモ(父サルバドール役)

女優インマ・クエスタはNetflixドラマ『あなたの遺した混沌』『クリミナル:スペンイン編』などで有名。

ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ

あらすじ:幼いディエゴは人里離れた荒野に父母と暮らしています。カカシが示す境界の外には人間の恐怖を喰らう怪物がいるらしいです。父が旅に出て、ディエゴは母を守ろうとしますが…。

眼福の映像美+抽象的で意味不明なストーリーのホラーです。

個人的にはかなり好みですが、海外大手レビューサイトの評価も軒並み低いですね。(不条理系の映画なのでしょうがないのかも)

アート映画が好きな人や、明確な答えのない物語が好きな人には向いています。

CineMag
個人的にはかなり好きでしたが、エンタメ系コンテンツとは真逆で、好き嫌いがハッキリ分かれるでしょう。
おすすめ度75%
芸術性90%
ストーリー70%
IMDb(海外レビューサイト)6.7(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)一般26%

※以下、映画『荒れ野』のストーリーネタバレありなので注意してください!

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映画『荒れ野』ネタバレ感想・評価

Netflixホラー映画『荒れ野』の評価グラフ

 

Netflixホラー映画『荒れ野』の評価は85点。

荒野にポツンと一軒家があり、カカシで境界線が決められている…、浮世離れした舞台自体がメタファーのようです。

ルーシー・アザリロヴィック監督の映画『エヴォリューション』(2016)に近いコンセプトだと感じました。戦時に戦線以外の隔離された場所を描いていることから『パンズラビリンス』に似た側面もあります。

芸術大国スペインらしさなのか構図が美しいカットが多く、ストーリーは難解ながらも終始絵画を眺めているような感覚で視聴できます。

どこまでも続く地平線や、雲から覗く太陽、木板の隙間から差し込む陽光などなど、見応えがあるシーンが非常に多いです。アート作品として成立しています。

風景として非常に美しい一方、映像が叙情的ではないバランス感覚も素晴らしいです。

ストーリーの多方面からの解釈を許し、そもそも言葉で語れるような答えに重きを置いていないともいえるでしょう。

あくまでも推測ですが、ダビド・カサデムント監督は自分自身も解釈が及ばないようなシュールレアリスム的な手法で本作を作ったのかもしれません。

一応、次の項目では1つの解釈を提示してみました。

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映画『荒れ野』怪物の意味考察

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暴力は人間の内側にすでに存在する

映画『荒れ野』の怪物

ストーリーの抽象度が高すぎるので怪物の正体についても色々な解釈ができるでしょう。

フワッとした大まかな回答なら、この一家は戦火を逃れていることもあり、怪物は絶望や暴力の象徴といえます。

ただ物語を見ていると、それだけで片付けて良いかは疑問です。

怪物の登場や迫り方を見ていると、戦争から逃れても暴力からは逃れられないといっているようです。

CineMag
暴力は外部からでなく、人間の内側から生まれる避けられないものであると表現しているのでしょう。

些細なきっかけで暴力性が覚醒すると言い換えても良いでしょう。

怪物で親殺しを表現

『荒れ野』のストーリーからさらに具体的に考えると、怪物は少年ディエゴの父殺し・母殺しを具象化したものだと思います。

心理学でいうとエディプスコンプレックス(父殺し)や、母離れなどの精神的親殺しです。

映画『荒れ野』は、少年の心理状態の表現であり、心の中で父を追い出し、母に別れを告げ、外の世界へ飛び出していく過程を描いたのではないでしょうか。

そう捉えると、恐怖を喰う怪物が父母を殺す意味不明なストーリーが繋がります。

少年は成長する過程でたくさんの恐怖を抱き、それを糧に精神的なハードルを乗り越えると映像で表現しているようで素晴らしいですね。

終盤では黒い細長い怪物が、父が座っていたテーブルにいました。これも少年から湧き出る父への憎悪=怪物だと匂わせています。

父サルバドールの姉が両親から虐待を受けていたというエピソードも、親殺しの必然性を説いているようです。

深読みするなら、サルバドールは姉を自殺させた両親を実際に殺害したのかもしれません。

CineMag
戦乱と少年の通過儀礼をシンクロさせ映像で表現したのが、映画『荒れ野』なのでしょう。

怪物の正体はダリの絵画?

サルバドール・ダリ1937年の絵画「燃えるキリン」
サルバドール・ダリ「燃えるキリン」1937年

黒くて細長い怪物を、サルバドール・ダリの1937年の絵画作品「燃えるキリン」が浮かびました。

荒野で細長い黒い影…、スペイン製作で、主人公の父の名前もサルバドール。

ダリの絵画をホラー映画で表現するコンセプトがあったのかもしれません。

ダリも精神世界を描いていますし、本作『荒れ野』も精神世界っぽいです。

何かしらの影響を受けている可能性はあるでしょう。

映画『荒れ野』ネタバレあらすじ解説

ディエゴと母ルシア

19世紀スペイン。少年ディエゴの家族は戦乱を逃れるため、荒野に住んでいました。

家から離れた場所にはいくつかのカカシがあり、その境界線から外に出ると怪物に殺されると教えられています。

父・サルバドールはまだ幼いディエゴに、家畜のウサギを殺せと言いました。ウサギを可愛がっているとディエゴはできません。ディエゴは母・ルシアが家事を手伝います。

ディエゴの誕生日、父・サルバドールは散弾銃を贈りました。母・ルシアは糸電話をプレゼントします。

父は、「幼い頃に両親から虐待を受けていた姉が怪物を見るようになり、窓から飛び降りで死んだ」と過去の話をしました。

父の手には傷跡があります。

そんな中、川に船が流れ着き、ナイフで首を切られた男がいました。サルバドールは男の手当をします。男はいつの間にか家の中に入り、ディエゴの銃で自殺しました。頭が吹き飛んだ死体を見たディエゴは、言葉を失います。

男の荷物に家族写真があり、父・サルバドールは死体を馬に乗せて「家族の元に死体を届けてくる」と言って旅に出てしまいました。

しばらくはディエゴと母・ルシアで楽しく暮らしていましたが、サルバドールが帰ってこないことにルシアは精神不安定で鬱のような状態に。

ディエゴは、父の姉が窓から飛び降りて死んだ夢を見ます。

ある日、母・ルシアは「怪物が見える」と言い出し、庭で散弾銃を何発も撃ちました。ディエゴには何も見えません。

怪物を見るルシアとディエゴ

別の日の夜、父の馬が外を走っておりドアの外に荷物があります。ディエゴは外に出ると、背の高い黒い怪物の姿を見つけ怯えました。

ディエゴはルシアの命令で、家から外に出られない生活を送るようになります。ルシアはナイフをディエゴの体に触れさせ、敵を殺す方法を教えました。

ルシアは片方は外に出ている糸電話で「こっちに来て」と話しています。

ルシアが首吊り自殺を図りますがロープが切れて落下。ディエゴは母が何かしでかさないようベッドに縛りつけました。

外から物音がします。糸電話を拾うと「見えるぞ」と聞こえ、ディエゴは怯えます。

ルシアはなぜか赤いドレスを着てテーブルに座り、ゆりかごで木の人形を揺らしています。反対側に黒くて細長い死体のような怪物がいます。

ルシアは「狙いは私だ」と言い、ディエゴを外に締め出しました。家の中からルシアの叫び声が聞こえます。ディエゴが中に入ると、母は胸から血を流し、手にはナイフを持っていました。

黒い怪物がそばによってきます。ディエゴが「僕の母さんだ、近づくな!」と言うと、怪物はあとずさり。ディエゴは怪物を銃で撃ちました。

ディエゴは家に油をまき、火をつけました。メラメラと炎が上がります。

ディエゴは外に出てルシアを手押し車に入れ、家から離れていきました。カカシがある境界地点にくるとルシアは「進みなさい…」と言い、ディエゴは境界線を越えます

川のそばに来ると、母・ルシアはすでに死んでいました。ディエゴは母の死体を川に流します。瞳には黒い怪物が映っていました

映画荒れ野のラストシーン

ディエゴの手には父・サルバドールと同じような傷がついています。ルシアの赤いドレスをちぎって手に巻き付け、ディエゴは荒野を進んでいきました。

Netflix映画『荒れ野』終わり。

最後のまとめ

Netflix映画『荒れ野』は、抽象的な恐怖を素晴らしい映像美で表現した傑作だと思います。

CineMag
意味不明なアート映画なので一般受けはしないでしょうが、Netflixがこういう映画を製作してくれることに多様性や希望を感じました。

ダビド・カサデムント監督は絵画のような映像を撮影できるし抽象的なコンセプトの扱い方も上手いし、とても才能があると感じたので彼の他の作品も見てみたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『荒れ野』レビュー終わり!

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