映画『モービウス』(Morbius)はジャレッド・レトが不治の病を患う天才医師に扮し、コウモリのDNAからスーパーパワーを得るダークヒーロー作!
主人公モービウス医師は、余命わずかという状況から命・暴力と引き換えに無敵の能力を手に入れ、血を渇望することに葛藤します。
ヴェノムシリーズに続く、SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)の3作品目です。
キャスト、ぶっちゃけ感想・評価、考察、ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)

映画『モービウス』作品情報・キャストと演技の印象
原題:『Morbius』
監督:ダニエル・エスピノーサ(『チャイルド44』『ライフ』)
脚本:マット・サザマ
原作:「モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア」
撮影:オリバー・ウッド
製作: コロンビア ピクチャーズ/マーベル・エンターテインメント
配給:ソニー・ピクチャーズ
SSUとしてはトム・ハーディ主演の『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の次の作品です。
マイケル・モービウス|cast ジャレッド・レト
©︎マーベル・エンターテインメント
マイケル・モービウスは血の難病を患い、先が長くない天才医師。
ジャレッド・レトはヒーロー作品には『スーサイド・スクワッド』ジョーカー役でも出演し、出演シーンが大幅にカットされて各方面から超酷評されましたが、今作のモービウスは汚名返上になったのではないでしょうか。
リドリー・スコット監督の『ハウス・オブ・グッチ』(2022)では特殊メイクをしてアホセレブ・パオロを熱演。このキャラも個人的には大好きでしたが、最低な演技に送られるゴールデンラズベリー賞の助演男優賞を受賞したことでも話題に。
マイロ|cast マット・スミス
©︎マーベル・エンターテインメント
マイロはマイケルの親友で富豪。2人とも同じ病気を患っている。
マット・スミスは個性的な顔立ちで“悪い男”がよく似合う!
俳優 マット・スミス代表作:『ラストナイト・イン・ソーホー』ジャック役、ドラマ『ザ・クラウン』。
マルティーヌ・バンクロフト|cast アドリア・アルホナ
©︎マーベル・エンターテインメント
マルティーヌは医師で、モービウスの研究助手を務める女性。
俳優 代表作:『パシフィック・リム/アップライジング』、Netflix『スイート・ガール』、ドラマ『エメラルドシティ』
その他の登場キャラ・キャスト
エミール・ニコルズ(モービウスとマイロの医者)| ジャレッド・ハリス(『チェルノブイリ』)
サイモン・ストラウド(FBI捜査官)|タイリース・ギブソン
アルベルト・ロドリゲス(FBI捜査官)|アル・マドリガル
ヴァルチャー/エイドリアン・トゥームス|マイケル・キートン(『バットマン』『バットマンリターンズ』、『バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡』『スパイダーマンホームカミング』『DOPESICK』)
『モービウス』ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ・海外評価
あらすじ:同じ血の病を患い、同じ施設で育ったマイケル・モービウスとマイロ。モービウスは天才医師に成長し、自分と親友マイロを救うために病気の体に鞭を打って日々研究に没頭します。モービウスは、コウモリのDNAを人体に注入する実験を始めますが…。
ダークな雰囲気と見応えのあるアクションが楽しめます。
ストーリーも難しくなく、何も考えずに映像に没頭できますよ。
シンプルすぎるストーリーが低評価に繋がったのだと思います。良くも悪くも批評家好みの作品ではありません。
おすすめ度 | 78% |
世界観 | 80% |
ストーリー | 55% |
IMDb(海外レビューサイト) | 4.7(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家17% 一般65% |
※以下、MARVEL『モービウス』のストーリーネタバレありなので注意してください!
マーベル映画『モービウス』ネタバレ感想・評価
モチーフはコウモリですが、超人的なスピード・パワーに加えエコロケーション(反響定位)などの特殊能力もあり、DCのバットマンとは雰囲気が全然違います。(そういえば『ダークナイト』では電波ジャックしてエコロケーションっぽいことやってましたね)
演技派のジャレッド・レトがモービウスを演じることで、作品のリアリティが倍増していました。
難病を抱える医師ということで特殊メイクで生気のない顔色を再現。杖をついての移動という役柄でしたが、ジャレッド・レトはほぼ完璧に演じていたと思います。
彼が主役を務めたからこそ、シンプルなストーリーにそこまで薄っぺらさを感じなかったというのもあるでしょう。
物語の展開は天才医師が善か悪かわからない存在になり、罪を犯して葛藤するというわかりやすい流れですが、飽きませんでした。
あとジャレッド・レトはモービウスに変身する前はガリガリで、モービウスになってからはムキムキになりましたが、役作りのために痩せたり筋トレで仕上げたりしたのでしょうか?
©︎マーベル・エンターテインメント
だとすると体重差から見て相当きつかったはず。プロ意識がピカイチのなりきり俳優ですよね。
SSUはMCUに比べると作品数も少ないですし目立っていませんが、ヒーローの枠に収まりきらないモービウスやヴェノムなどのヴィランに、淡いけど力強い光を当てていますね。
エンドロールではマイケル・キートン演じる『スパイダーマンホームカミング』のヴィラン・ヴァルチャーも登場しましたし、『モービウス2』が早く見たいです!
今後SSUでモービウスやヴェノム、スパイダーマンがどう絡んでいくかは未発表ですが、『スパイダーマン・ノーウェイ・ホーム』でマルチバースの扉が開いたので、なんでもありっちゃありです。
個人的にはいっそスパイダーマン抜きでヴィラン同士で争うのもありかと思います。
ジャレッド・レト、トム・ハーディ、マイケル・キートンが共演するなんてことになれば熱いですね(3人ともDC映画にも出てるのが面白い)。
ちょっとテイストは違いますが、ライアン・レイノルズの『デッド・プール』も参戦させてはどうでしょうか。
ウェズリー・スナイプス演じるマーベルの吸血鬼ヒーロー『ブレイド』との合流も見たいですね!
アクションや視覚的な演出について
スローモーションになり銃弾をかわすなど、マトリックスっぽいアクション演出が印象的でした。
あと個人的に好きだったのは、モービウスの残像がヴィジュアル化されている点。コウモリがまとわりついているメタファーみたいにも見えて、めちゃくちゃかっこよかったです。
コウモリの群れが飛んでいるのを意識したエフェクトなのでしょう。
ヴェノムはスライムのようなねちょねちょ系アクションが癖になりますが、本作は残像アクションとでも呼べば良いのでしょうか。
SSUはストーリーがシンプル
ヴェノムシリーズの2作と今回の『モービウス』を見て感じたのですが、SSUってストーリー構成がすごいシンプルなのが特徴ですよね。登場キャラも少ないです。
ヴェノム2なんかもヴィラン・カーネイジが誕生して戦って終わりでしたし、本作も簡単にいえば自分と親友がモンスター化してバトルして終わり。
敵、恋人、警官などの脇役のキャラクターを掘り下げておらず、主人公視点のシーンが多いからシンプルに見えるのでしょう。
あとは『モービウス』と『ヴェノム2』は同じ種族同士のバトルという点も共通しています。
モービウス ネタバレ考察/パンドラの箱と神の罰
医学会の希望から殺人鬼へ変貌
©︎マーベル・エンターテインメント
天才医師が超人的なパワーを持つというと、ドクター・ストレンジにも似ていますが、モービウスはさらに落差が激しいと思います。
人工血液でさまざまな病人・怪我人の命を救っておきながら、コウモリの怪物となっていきなり人を8人も殺害してしまうのですから完全な殺人者です(傭兵だからいいってもんではないですよね)。
あの悪の塊のようなヴェノムでさえ一般人を殺害した数はもっと少ないと思います。
病気を克服して親友を失うカタルシス
本作では同じ血の難病を患い、親友として血の契りを結んだかのようなマイケルとマロイの関係が象徴的でした。
しかし、マロイもモービウスの忠告を無視してDNA血清を打ってしまい、唯一無二の友情は怪物同士の争いに形を変えてしまいます。
パンドラの箱を開けたモービウス
モービウスによる人間とコウモリのDNAを結合させる研究は、まさにパンドラの箱を開けてしまったようなイメージ。
DNA研究は現実の世界でも倫理的な問題でタブーしされる風潮がありますが、モービウスはやってしまいました。
素人考えですが、DNA研究って原子力と同じくらい手を出したら終わりな印象があります。病気の克服のためとはいえ、それに踏み入ってしまったモービウス。
ちなみに、新型コロナウィルスも発症は中国のコウモリからと言われていますし、タイミング良く世界情勢を反映しているのも本作のすごいところです。
『モービウス』の撮影開始は2019年の新型コロナウィルスが世界的に流行する前。マーベル制作陣の時代を先読みする能力というか運というか、感心してしまいますね。
映画『モービウス』ネタバレあらすじ結末解説
幼い頃から血液の病を患っていたマイケル・モービウス(ジャレッド・レト)は、人工血液を発明して医療の救世主となり、人命救助に多大な貢献を果たした天才医師でした。しかしノーベル賞を辞退するなど性格は曲がっていました。
モービウスは同じ施設で育った親友で富豪のマイロ(マット・スミス)と自分の病気を治すために、南米コスタリカ奥地の洞窟で吸血コウモリをたくさん捕まえ、研究室に持ち帰ります。
コウモリの唾液には血液凝固を防ぐ成分が含まれ、モービウスはコウモリのDNA血清を打てば血の難病が完治すると考えます。マウスで日々実験を繰り返し、ついに血清を作ることに成功。
助手の医師マルティーヌ・バンクロフト(アドリア・アルホナ)を連れ、船の上で自分の体内にDNA血清を打ちます。モービウスは吸血モンスターと化し、船を警備していた傭兵たちの血を吸って8名殺害。マルティーヌは争いの最中頭を打って気絶しました。
FBI捜査官のサイモンとアルベルトが船を調べます。病院に運ばれたマルティーヌに事情を聞きますが、何も思い出せないと言われました。
モービウスは研究室に戻り、殺人を犯してしまったことを嘆きました。血を飲めば超人的なスピードとパワー、音波で周囲の状況を完治するエコロケーション(反響定位)の力が手に入りますが、時間が経つと人工血液を飲まないと死ぬと知り絶望します。
マイロがやってきて、「俺にも血清を打ってくれ」と言います。しかしモービウスは危険だからと拒否。
その後、研究施設内で女性職員が血を吸われて死亡する事件が勃発。
モービウスはサイモンとアルベルトに捕まります。マイロが面会に来ました。モービウスは勝手に血清を打って吸血怪物と化したマイロが女性職員を殺したと気づきます。
モービウスとマイロは地下鉄で彼と戦いました。モービウスは空を飛び一旦離脱。
モービウスはマルティーヌと合流して、コウモリの血清を無効化して殺す薬を製作。
マイロは恩師エミール(ジャレッド・ハリス)を傷つけ、モービウスを呼び寄せます。
モービウスは倒れているエミールを発見しますが、エコロケーションで今度はマルティーヌが狙われていると知りました。
ビルの上でマルティーヌが首に穴を開けられて血を流して倒れています。モービウスは瀕死の彼女とキスをし、血を飲んでパワーアップしました。
マイロと激しい戦いの最中に、音波でコウモリの群れを呼んで襲わせます。マイロに薬を注射しました。モービウスの腕の中でマイロが死に絶えます。
モービウスは叫びました。
死んだはずのマルティーヌが目を覚まし、怪物化します。マルティーヌはモービウスの血を飲んでおり、その血液が体内に入っていたのです。
エンドロール後(ポストクレジット)
マルチバースの影響でこの世界に呼び出されたヴァルチャー/エイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)は、モービウスに会い、スパイダーマンを倒すため手を組もうと持ちかけます!
マーベル映画『モービウス』終わり
最後のまとめ
マーベル『モービウス』は、闇深きダークヒーロー誕生の瞬間を収めた、暗くてなかなか好きな作品でした。しかし世間的な評価が低いのが気になりますね。
続編『モービウス2』も製作してほしいですが、本作の興行次第ですね。どうなることやら。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『モービウス』レビュー終わり!
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