映画『バビロン』(Babylon)。ブラッド・ピットとマーゴット・ロビーがハリウッドの黄金期に強烈な輝きを見せ、破滅的な人生から抜けられなくなる!『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の最新作です!
作品情報・キャスト
ネタバレなしの感想
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから観る方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
↓映画『バビロン』の考察レビューは下記記事へ↓
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映画『バビロン』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:3時間5分
原題:『Babylon』
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、歴史
年齢制限:R15+(グロ描写や性的な描写あり,15歳未満禁止)
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
撮影:リヌス・サンドグレン
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
デイミアン・チャゼル監督
映画好きなら知らない人はいない鬼才デイミアン・チャゼル監督。
大ヒットした映画『ラ・ラ・ランド』(2016)では32歳でアカデミー賞監督賞を受賞しました。
今作『バビロン』は『ラ・ラ・ランド』のような華やかな雰囲気はありつつも、より攻撃的で良くも悪くも下品な内容に仕上がっています。
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映画『バビロン』キャスト
ブラッド・ピット
主人公のジャック・コンラッドを演じるのはブラッド・ピット。今作でも渋すぎる。
傑作サスペンス『セブン』や『ファイト・クラブ』が公開されたときはまだ小学生でしたけど、その頃から大好きです。ガイ・リッチー監督の『スナッチ/Snatch』とかイケメンすぎでしたね。
近年は本作と似たテーマのタランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』や、伊坂幸太郎原作の映画『ブレット・トレイン』に出演しています。
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マーゴット・ロビー
映画スターを目指す破天荒なネリー・ラロイ(モデルはクララ・ボウ)を演じるのはマーゴット・ロビー。近年1番見る女優な気がします。
映画『バビロン』では服を着ているのかいないのかわからない赤いドレスなど、とにかくセクシーなダンスシーンがてんこ盛りでした。
さらにセクシーなだけでなく、とことん下品(笑)。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で全世界に美貌をアピール。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』の演技が高く評価されたマーゴット・ロビー。
ブラッド・ピットとは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でも共演していましたね。
最近は『アムステルダム』への出演でも話題になりました。
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その他『ザ・スーサイド・スクワッド2 極悪党集結』『ハーレイクインの華麗なる覚醒』などに出演!
その他のキャスト
マニー・トーレス(映画会社のアシスタント)|cast ディエゴ・カルバ
シドニー・パーマー(ジャズバンドのトランペッター)|cast ジョヴァン・アデポ
ジェームズ・マッケイ(マフィアのボス)|cast トビー・マグワイア(『スパイダーマン』シリーズ。本作の製作総指揮も務めています。)
イナ・コンラッド(ジャック・コンラッドの元妻)|cast オリヴィア・ワイルド(『ドント・ウォーリー・ダーリン』)
映画『バビロン』あらすじ
1926年のサイレント映画黄金期。
メキシコ移民のマニー・トーレスは、映画会社の下働きとしてスターたちが集う尋常(じんじょう)じゃない堕落的なパーティーの準備のために、巨大な象を豪邸に運ぶ。
運んでいる途中で象が糞をしたためマニーたちはク○まみれになった。
夜、パーティーの熱狂はすごく、みんな裸で踊り、いたるところで性行為がおこなわれていた。
パーティーにきた映画スタージャック・コンラッド(ブラッド・ピット)はみんなにもてはやされ、ウエイトレスに胸を見せつけられる。
そんななか、映画スターを目指すネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)はセクシーな赤いドレスで登場。勝手にパーティーに参加してマニーのまえでドラッグを吸い込みまくり、広間で魅力的なダンスを見せつけた。
そのダンスが重役の目にとまり、ラロイはパーティーでドラッグを吸いすぎて死んでしまった女優の代わりに起用されることになるが…。
ネタバレなし感想・海外評価
タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をよりアグレッシブに描いたような印象です。
激しさと高揚感があるジャズのビッグバンドの音楽も最高です。
しかし倫理観までとっぱらってしまっているため、良くも悪くも登場人物に感情移入できず、エログロ映像満載なわりにはストーリーがややタンパクに感じられます。
すごく没入感があるわけでもないので、正直いって3時間は長いです。
海外レビューサイトRotten Tomatoesの評価も50点台とかなり低いです。
期待されていたアカデミー賞も主要部門はノミネートすらされず、作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞のノミネートにとどまっています。
おすすめ度 | 50% |
ハリウッド黄金期の世界観 | 80% |
ストーリー | 48点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 56% 一般の視聴者 52% |
メタスコア(Metacritic) | 60(100点中) |
※以下、映画『バビロン』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『バビロン』ネタバレ感想・評価
デイミアン・チャゼル監督作だから期待しすぎたというのもあるかもしれませんが、ゴージャスな映像はともかくぶっちゃけストーリーがつまらなかったです。
ハリウッドの裏側のエロさ、美しさ、死の悲劇を生のまま象のお尻からひねり出した印象!賛否両論どころの騒ぎではありません。
『セッション』『ラ・ラ・ランド』はエンタメ性と独自性がいい配分でしたが、今回はデイミアン・チャゼルの狂気がよくも悪くもパンツからはみ出しています。
サイレント黄金期の没落を3時間かけて描き、映画愛を詰め込んでいるのはわかります。
ただブラピ演じるジャックやマーゴット・ロビー演じるネリーなど、破天荒すぎる登場人物の心情から距離を取って映画界全体を描いているため、登場人物たちへの共感もできず、みんなが破滅するラストのカタルシスもありません。
とくにマーゴット・ロビー演じるネリーについては魅力的なものの、根っからク○な人物なので感情移入しずらいのです。
サイレントからトーキーへの移行と俳優たちの苦悩を表現した映画は、劇中でもあった『雨に唄えば』もそうですし、アカデミー賞作品賞を受賞した『アーティスト』(2011)などもあり、とくに真新しいテーマでもありません。
デイミアン・チャゼル監督はサイレント時代のハチャメチャな制作現場で起きたミラクル、そしていつも通りの妄想入り乱れるラストで先人たちの業績があったから今の映画があると描きたかったのでしょう。
トーキー映画に置いていかれた先人俳優たちをダメ人間・ク○人間として描き、栄枯盛衰を御涙頂戴でなくリアルに表現したのは斬新でした。
しかし、それぞれの表現がアグレッシブすぎて映画自体の流れまで破壊してしまった印象…。
個々のシーンがストーリーに大きく貢献しているわけでもなく、人物を深く掘り下げているわけでもなく、映画界への愛・栄枯盛衰という外枠のテーマまで突き破ってしまったように見えるのです。
蛇にかまれるシーン、ゲロゲロ、ネズミを食うシーンなど、どれも狂気のワンパターン。狂気以外におおきな意味があるかは微妙です。
ラストの衝撃は『ラ・ラ・ランド』や『セッション』から続くお約束みたいな感じもあり、他のパターンなかったのかと思ってしまいました。
ハリウッドのエログロとスターの没落!というメインテーマ以外にも、メキシコ移民、黒人差別、アジア系の生活、マーティン・スコセッシっぽいマフィア展開、シュールレアリスム的な表現などいくつもの要素が詰め込まれており、散らかった感がぬぐえません。
いきなり精神病院が出てきたり、ガラガラヘビと戦って噛まれたり、マフィアと一緒に秘密の見せ物小屋に行ったり、ラストでマーゴット・ロビーが闇に消えていったりなどの表現を見ると、なんとなくデヴィッド・リンチ的なシュールな芸術性を求めているのかとも感じました。
全部アイデアとしては面白いはずなのですが、どのシーンもどこか味気ないのです。
アート的な表現に焦点を当てているわけでもなく、エモーショナルかといえばそうでもなく、中途半端に感じてしまいます。
そんなちょっとドライな感じがデイミアン・チャゼルっぽいといえばその通りなんですけど、今回は一般受けする要素を思いっきり少なくしてスパイシーな部分だけで構成されていたようでした。
チャゼル監督の映画の次回作はまだ決まってないようですが、どんな方向へいくのか心配です。
↓映画『バビロン』のメッセージやテーマの考察・解説は下記記事へ↓
映画『バビロン』(Babylon)は賛否両論の大論争を巻き起こしていますが、ラストシーンの意味や全体のテーマはなんなのでしょうか!?深掘り考察していきます。 ラストの意味解説 本作のテーマ・メッセージ バタフライエフェ[…]
映画『バビロン』ネタバレあらすじ解説
ネリー・ラロイは酒場で男を誘惑する野性味あふれる女性を演じて注目をあび、次々と話題作にでてスターダムを駆け上がった。
映画が大好きだったマニーはジャック・コンラッドに気に入られて彼の元で働くようになった。マニーは撮影で使うカメラをギリギリで手配してミラクルなシーンに貢献し、次第に認められていく。
この時代はサイレント映画からトーキー(音声あり)への移行期だった。
マニーはトーキー映画を見にいく。するとスターになったネリー・ラロイとばったり会った。
ネリーはマニーを母がいる精神病棟へ連れていった。
その後、マニーは1人でトーキー映画を見た。感動のあまりすぐにジャックに連絡し、これからはトーキーの時代がくるとさけんだ。
トーキーの時代
ネリーはトーキーの撮影に戸惑っていた。マイクの位置が固定されているため、チョークの目印の場所で演技をしなければならないし、セリフはこれまで練習したことないし、スタジオでだれかがくしゃみでもすればそのシーンはやり直しだ。
テイクを重ねてやっとOKシーンが取れたと思ったら、カメラを回していた技師が熱中症で死亡した。
しばらくしてネリー・ラロイの声はヤギのようだと酷評されるようになった。
ネリーはパーティーで表舞台からすぐに消えると悪口を聞いてしまう。
ネリーはそのパーティーに来ている全員に自分の父親・ロバートがガラガラヘビと戦うところを見せるという。
みんな夜中から車で砂漠へ向かった。ガラガラヘビを発見するが、ロバートは酔って倒れてしまう。
ネリーはみんなに意気地なしと怒鳴り散らし、ヘビをつかんだはいいが首を噛まれてしまった。
みんなパニックになり、ジャックは車にひかれてしまった。
ジャズシンガーのレディ・フェイがヘビを殺して口でネリーの毒を吸い出した。2人は熱いキスを交わす。
マニーはトランペット奏者のシドニー・パーマーに目をつけ、彼が主役の映画を撮って成功する。
シドニーはマニーから肌の黒さを強調するように黒ずみを渡され、涙をこらえて演奏した。
ネリーとジャックの没落
映画制作会社の重役になったマニーは、ネリーを救うために彼女のアバズレ的なイメージを淑女のイメージに変えようと努力する。
マニーはセレブや富豪が集うパーティーにネリーを呼んだ。
しかしネリーは気取った雰囲気を演じることに我慢できずに下品なジョークを言い、食い散らかし、主催者にゲロを吐いて出ていった。
ギャンブル、ドラッグ、飲酒で落ちぶれたネリーは撮影の現場にも顔を出さなかった。
映画まで没になってしまい、マニーは莫大な被害をこうむって映画製作者として終わる。
いっぽう、ジャックもキャリアの危機に瀕していた。声やセリフ回しがトーキー映画になると滑稽なのだ。
大スターだったジャックはク○映画にしか呼ばれなくなる。
ジャックは自分の悪口をかいた記者・エリノアに何が悪いのか聞いた。
エリノアは、理由はないがあなたはもうダメだと返した。
衝撃のラスト結末
ジャックはパーティーでフェイに会う。フェイはヨーロッパへ移住するらしい。
すべてがどうでもよくなったジャックはホテルの部屋で拳銃自殺をした。
ネリーは、マフィアのジェームズ・マッケイ(トビー・マグワイア)の店で莫大な借金を背負ってしまう。
ネリーは「期日までに借金を返さないとアソコに硫酸をぶっかけて殺すと脅された」とマニーに泣きついた。
マニーは仕方なく映画制作にたずさわる売れない俳優に金を用意してくれと頼んだ。
マニーはジェームズに金を返しにいく。しかし用意された金は偽札だった。
ジェームズはいいものを見せると言ってマニーをトンネルの中へ連れていった。地下の空間ではグロテスクな見せ物がたくさんあり、ワニもいた。
ジェームズは筋肉ムキムキの大男が生きたネズミを食うところを見せて映画に使えると笑う。
ジェームズはマニーの金が偽札だと気づく。
マニーはジェームズの側近を斧で殺害して、命からがら逃げ出した。
翌日、暗殺者に襲われて隣にいた俳優は射殺されたが、マニーは殺されなかった。
マニーはネリーにメキシコに逃げようと言い、彼女を車に乗せる。
ドラッグを吸いまくったネリーに、マニーが結婚しようと告白。2人は熱いキスをする。
マニーが荷物取っている間にネリーは車を降りて闇の中に消えてしまう。
ネリーは数日後に死体で発見された。
十数年後。マニーは妻と娘と一緒にかつて働いたハリウッドのスタジオをなつかしそうに眺めていた。
マニーは映画館で『雨に唄えば』をみて、ネリーやジャックの時代を思い出して涙を流した。
映画『バビロン』終わり
最後のまとめ
デイミアン・チャゼル監督の新作映画『バビロン』は、想像以上に斜めうえの方向に行ってしまったイロモノ映画でした。
映像はゴージャスなものの、芸術的かといえばそうでもないし、下ネタバンバンだし、ストーリーのカタルシスも薄いですし、何よりこの内容で3時間は長いです。
次作はテレビドラマを手がけるようですが、どうなるかちょっと心配です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『バビロン』(Babylon)レビュー終わり!
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