Netflix映画『Passing 白い黒人』(パッシング)は黒人差別の問題をめずらしい視点から描いた社会派作品。
白人になりきった黒人女性を冷ややかな視点で描き、恥の感情に大きくスポットを当てているのが特徴です。
女優レベッカ・ホールが監督デビューした作品で、テッサ・トンプソンが主演を務めます。
感想・評価、ラストシーンの考察、ストーリーネタバレあらすじ解説をしていきますよ!
映画『Passing 白い黒人』キャスト・作品情報
原題:『Passing』
監督・脚本:レベッカ・ホール
原作:ネラ・ラーセンの小説「Passing」(1929)
主演:テッサ・トンプソン
出演:ルース・ネッガ
ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ
あらすじ:肌が白く、白人のフリをして買い物をしていたアイリーン(テッサ・トンプソン)が、白人として生きる黒人クレアと偶然再会し、彼女がプライベートに踏み込んできます…。
黒人の人種差別問題を今までと異なる切り口で描いた映画です。
何かに抗議するわけでもなく、たんたんとモノクロで進んでいくため、エンタメ系が好きな人や社会問題に興味がない人にはオススメできません。
一方で美しく印象的なラストがあり、人種問題のリアルを考えるキッカケという意味で見る価値があります。
おすすめ度 | 70% |
ストーリー | 77% |
社会問題 | 90% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト | 89%(100%中) |
※以下、映画『Passing 白い黒人』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix『Passing 白い黒人』ネタバレ感想・評価
ラストシーンの意味考察
アイリーンがクレアを殺害した理由
テッサ・トンプソン演じる主人公・アイリーンはなぜクレアを突き落としたのでしょうか?
クレアと夫ブライアンの仲が怪しいからにも見えますが、それとは別に大きな理由があります。
アイリーンは自分が白人として生きていた過去を恥じており、それを周囲に絶対に知られたくなかったのです。
序盤のホテルでの会話でクレアが、アイリーンも白人の男性と結婚して白人の子供を産んでいると思ったと言ったことからわかります。
現在のアイリーンは黒人というアイデンティティに誇りを持っており、黒人として生活をしています。
きっと、アイリーンはPassing(別の人種として生きる)して、また黒人社会に戻ってきただけに強烈な恥の感情を抱いていたのです。
本作は差別を恥の視点から描いたという意味で価値があると思います。
クレアを見ていると、かつての自分を思い出して葛藤したことでしょう。
本来差別されている側が同じ人種同士で争ってしまう悲劇につながりました。
雪で白く染まる黒人たち
ラストシーンではアパートに雪が降り、全体を俯瞰して終わります。
アパートにいた黒人たちが、みんな白く染まっていくようです。
利益のために黒人のアイデンティティを自ら捨ててしまうことのメタファーになっていると思います。
非常にアイロニカルで、社会問題を別の視点で提示した秀逸なラストでした。
↓映画『Passing 白い黒人』のあらすじラスト結末解説は2ページ目へ↓
- 1
- 2