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映画『グリーンブック』

映画『グリーンブック』あらすじネタバレ解説・差別のリアルな融和ラスト考察!黒人の差別意識や結末感想・評価

映画『グリーンブック』の評価がめちゃくちゃ高い理由を解説してみた。

あらすじネタバレ有りなので映画を見ていない人は注意してね。

(勘違いがあると困るので先に書いておきますが、黒人という言葉は厳密には差別用語ではありません。ご了承ください。)

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映画『グリーンブック』の製作者/キャスト

グリーンブックのキャスト

  • 監督:ピーター・ファレリー
  • 脚本:ニック・ヴァレロンガ
  • 出演:ヴィゴ・モーテンセン(トニー・リップ)、マハーシャラ・アリ(ドン・シャーリー)
  • 受賞:第91回アカデミー賞、作品賞、助演男優賞獲得(アリ)

ヴィゴ・モーテンセンはデヴィッド・クローネンバーグ監督の『イースタン・プロミス』や、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作への出演で有名な俳優。

マハーシャラ・アリは『グリーンブック』と同じく人種差別問題を取り扱った『ムーンライト(2016)』でも、アカデミー賞助演男優賞を獲得している。

ニック・ヴァレロンガはトニー・リップの実子

『グリーンブック』は実話が元になっており、脚本を務めたニック・ヴァレロンガは、なんとトニー・リップの実の息子。

父のトニーとドン・シャーリーに、実際に綿密なインタビューを行える関係にあったことが、この映画の完成度の高さの理由なのだろう。

映画『グリーンブック』のワンシーン

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『グリーンブック』ラストをあらすじネタバレ解説

あらすじネタバレ

youtu.be

ツアー最終となるバーミンガムでのクリスマス公演。ドン・シャーリーは会場のホテルで物置の控室をあてがわれ、レストランでも食事をさせてもらえないという差別を受ける。

シャーリーは不当な扱いをされるなら演奏をしないと言い、トニーと近くにある「オレンジバード」という黒人向けのライブレストランへ。

トニーはバーテンの女性にドンを世界一のピアニストだと紹介。すると演奏してほしいと言われる。シャーリーはクラシックを演奏し、喝采を浴びる

バンドメンバーも入り、ブルースを演奏。レストランは大いに盛り上がった。

トニーはクリスマスに彼の帰りを待ち望んでいる家族のために家に帰ろうとするが、運転中眠気に襲われ断念。

トニーが気づくとシャーリーが運転して、家の前まで来ていた。トニーはシャーリーに感謝し、家へ寄れというが、シャーリーは自分の住まいに戻る。しかし広いフロアで寂しさを感じ、トニーの家に戻ってきた。

トニーと彼の家族や親戚は、シャーリーを快く迎え入れたのだった。

『グリーンブック』完〜

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『グリーンブック』ネタバレ感想・評価/差別意識のリアルな融和に感動

『グリーンブック』は個人的にもとても感動できた作品だった。

なぜ心を揺さぶられるのか?

それはトニーとシャーリーが、お互いを理解していく過程がとてもリアルだったから。

トニーが「人種差別は絶対にダメだぜ!」という、あからさまな感じには描かれていない。

シャーリーの才能と個性を認め、仲間意識を持ったという印象の方が正解だろう。短絡思考のトニーが差別全体を憎んだかどうか?と考えてみると、そのように描かれているわけではないと思える。

人種差別や偏見は根深く、すぐになくせるものではないが、実際に交流さえすれば友だちになれる

それが『グリーンブック』が伝えたかったテーマではないだろうか。

社会全体の差別をなくそう!と大げさなことを謳うのではなく、まずはお互いを認め合って友だちになること。その積み重ねが大事なのだと、リアルな結論を提示してくれている。

人と人との壁は急になくなるのではなく、ゆっくりと溶けていくものなのだ。

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大衆に好かれにくい個性を持ったシャーリーを考察

シャーリー(グリーンブック)

映画『グリーンブック』を見て、いろいろ深い思考ができたという人は多いのではないだろうか。

人種問題をフラットに描くことに成功し、シャーリーがかわいそう!という安易な結論になっていないので、考える余地が多く残されているわけだ。

特に、シャーリーのパーソナリティの描き方が、従来の人種差別をテーマにした映画と違う。

シャーリーの人間性について箇条書きにしてみた。

  • 権力者と繋がりがある
  • 金持ち
  • 教養があるいわゆるインテリ
  • 神経質で自分の主張を通そうとする

これだけ見ると、シャーリーが現代においても大衆の共感を得にくい人物だとわかると思う。

しかしこの個性のおかげで、視聴者は彼に過度に感情移入することなく、「シャーリーかわいそう!」という安易な感想だけにとどまらずに済んでいるのではないだろうか。

差別を受ける黒人シャーリー側の差別意識

もう1つ従来の人種差別映画と異なるのは、

  1. 黒人の仲間に入れない
  2. 黒人の文化を知らない

という点だろう。

当時国民的な人気を誇っていたアレサ・フランクリンを知らないというシャーリー。

クラシック音楽に陶酔している変わり者!と考えることもできるが、あえて黒人文化に触れないようにしていたという見方もできる。

完全なクラシックプレイヤーなら知らないもあり得るが、レコード会社の方針でポップスっぽい音楽を演奏していたというのだから(史実ではジャズ)、他のジャンルの音楽に触れる機会がなかったとは考えにくい。

シャーリーは差別を受けるあまり、黒人文化を遠ざけていたのではないだろうか

それは誤解を恐れないように言えば、ある種の差別となるだろう。

シャーリー自身も何らかの差別意識を抱えている。

それを巧みに表現したことが『グリーンブック』の素晴らしさだったと思う。シャーリーも決して、道徳的に完全無欠な人間ではないのだ。

最後にバンドでブルースを演奏し、帰り道トニーに代わって車の運転をしたときに、彼はいらないプライドを捨てることができたのだろう。

トニーとシャーリー(グリーンブック)

『ムーンライト』や『それでも夜は明ける』と比較考察

共通点

黒人の人種差別問題を取り上げ、アカデミー作品賞を獲得した作品は、2010年代で3つ。『それでも夜は明ける』(2013)、『ムーンライト』(2016)、『グリーンブック』(2019)である。

軽い言い方をすれば、近年のトレンド。『グリーンブック』とこの2作品を比較してみよう。

『それでも夜は明ける』との共通点は、主人公が2人ともミュージシャンであるところ。文化人であり、一定の地位と名誉を与えられているところが似ている。

『ムーンライト』との共通点は、主人公が2人ともLGBT(ゲイ)だということ。

『グリーンブック』の特徴

『グリーンブック』がこの2つの映画と違う点を考えてみよう。

それは、ドラマティックさが省かれているという点だと思う。

いきなり奴隷にされて超過酷な生活を強いられる『それでも夜は明ける』や、子どものときから酷いイジメを受けていて、LGBTで母は娼婦という『ムーンライト』と比較すると、強烈度は低い。

もちろん『グリーンブック』もシャーリーがいきなり殴られたり、トイレを使うな!など差別は受けるのだけれど、シャーリーはうつむきながらも慣れているという感じで、感情を爆発させることは、ほとんどない。

逆にドラマティックさが省かれていることで、どんな人でも共感できるようなリアリティのある映画になっている。

差別の最も過酷な部分ではなく、日常にある差別を描いたのが『グリーンブック』なのだ。

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