映画『夏への扉/キミのいる未来へ』ネタバレあらすじ感想評価/タイムトラベル+コールドスリープ考察

  • 2022年12月14日

2021年6月25日公開の映画『夏への扉/キミのいる未来へ』は、

タイムトラベルとコールドスリープ(冷凍睡眠)を組み合わせたストーリーと、研究者の純愛が見どころのSF恋愛作品。

記事では

  • ネタバレあらすじ解説
  • 感想・評価レビュー
  • タイムトラベル+コールドスリープ考察

など、本作を徹底深掘りしています!

『夏への扉/キミのいる未来へ』作品情報

監督:三木孝浩

脚本:菅野友恵

原作:ロバート・A・ハインライン『夏への扉』(英題:The Door into Summer)1956年出版

撮影/編集:小宮山充/和田剛

主演:山﨑賢人/高倉宗一郎役

出演:清原果耶/璃子役

出演:夏菜/白石鈴役

出演:眞島秀和/松下和人役

出演:藤木直人/ピート役

出演:浜野謙太/坪井剛太役

出演:原田泰造/佐藤太郎役

出演:高梨臨/みどり役

出演:濱津隆之/冷凍睡眠会社担当役

主題歌:LiSA『サプライズ』

キャストの演技について

『夏への扉/キミのいる未来へ』は映画『キャラクター』ほどではないですが、俳優人も豪華ですね。

映画『キングダム』やNetflixドラマ『今際の国のアリス』キングダム2』(2022)にも出演している主演・山﨑賢人は透明感があり、それでいて感情を爆発させられるのがすごいと思いました。

『カメラを止めるな』や『ヒノマルソウル舞台裏の英雄たち』にも出てる濱津隆之が、コールドスリープの会社の担当のチョイ役でしたが、いい味出してましたね。

他にも個性派キャストが集結。原田泰造は『キネマの神様』(2021)にもちょい役で登場していました。

歌手のLiSAさんは映画『地獄の花園』などでも主題歌を担当していました。

『夏への扉/キミのいる未来へ』評価・感想レビュー

『夏への扉/キミのいる未来へ』猫のピート

映画『夏への扉/キミのいる未来へ』の評価は80点。

SF原作小説を基にしていることもあり、“猫のピートが夏への扉”を求めて家中のドアを開けてとお願いする”など、SFでありながら文学的な表現が楽しめたのがGoodでした。

冒頭は小説版の和訳をそのまま用いて独白をしており、文語体ならではの甘酸っぱい雰囲気が、純愛ストーリーにマッチしています。

猫ピートが“家の中に夏へ続く扉がある”と考えているというのも、とっても素敵ですね。

SFプラス猫ってある意味最高にキャッチーな組み合わせではないだろうか!?

あと原作が名作SFということもあって、タイムトラベルの設定やストーリー展開も割と良かったです(次の項目で考察など詳しく書きます)。

ただ、ちょっとストーリーが素直すぎる感想も持ちました。

ひどいとまではいかないのですが、刺激のあるSFを求める人はつまらないと感じてしまうかもしれません。

1番意外だったのは、30年後に璃子の住所に行ったら夏菜演じる白石が汚部屋にいてめっちゃ太っていたところ。

ただそのシーン以外は、黒幕が主人公・宗一郎本人であるとか、璃子もコールドスリープしているとかはある程度読めてしまいました。

ヒューマンドラマとしても恋愛としても過去へとさかのぼる『ボクたちはみんな大人になれなかった』のような奥深さが欲しかったですね。

『夏への扉/キミのいる未来へ』の全体的な感想としては、SF純愛映画の佳作という感じでしょう。

宗一郎がカセットテープで聞いていた、Mr.Childrenの「CROSS ROAD(クロスロード)」も、映画のストーリーとマッチしていて純愛の雰囲気を盛り上げていましたね。

コールドスリープ+タイムトラベル/原作と比較

コールドスリープ(冷凍睡眠)+タイムトラベルの組み合わせは今見ても斬新ですね。

主人公・宗一郎からすれば、

  1. コールドスリープで現在(1995)から未来へ
  2. タイムバックでまた現在に戻ってくる

となります。

結構トリッキーだね!

映画視聴したあとに原作小説を読んでみましたが、ストーリーの大筋は映画と変わりません。

60年以上前にこんな画期的なタイムトラベルを思いつくなんて原作者のロバート・A・ハインライン天才ですね。

1956年に発表された原作小説が、後続のタイムトラベル作品の元ネタになっているというのわかります。

『夏への扉』は、年下の恋人もコールドスリープすることにより2025年で2人同じ年齢で目覚めるというのもロマンチック!

SFに恋愛ファンタジーがプラスされたような独特な雰囲気があり、恋愛面でも計算され尽くされているのがわかります。

ちなみに映画『夏への扉/キミのいる未来へ』で脚色された主なオリジナル要素としては、

  1. 1995年で宗一郎に会って開発者を志した坪井の存在
  2. ロボピートの存在
  3. 遠井が1995年で宗一郎に会っている(小説は過去で会ってない)

があります。

夏への扉/タイムループ考察

映画『夏への扉/キミのいる未来へ』のタイムループをちょっと考察してみます。

まず冒頭で、“過去は未来同様に不確かである”物理学者スティーブン ホーキング博士の言葉があります。

物語でタイムトラベルを発明した遠井博士は、

「パラレルワールドは存在せず、過去と未来は影響し合っている」と言っていました。

未来によって過去が変わってしまう可能性があるということでしょう。

これを受け宗一郎は2025年から1995年に戻ったあと、また2025年に戻ってこなければならない制約が発生しましたが、詳しくは説明されませんでしたね。

推測になりますが、過去と未来はジェンガのように支え合っていて、1ピースでもかけたら書き変わってしまうのだと思います。

2025年にいた宗一郎が突然欠けたので、彼というピースを戻さなければならないのです。

老化した状態で2025年に来られてもそのピースは埋まりませんし、

1995年のコールドスリープ以降の世界に宗一郎が存在していたら、未来に何らかの影響を及ぼしてしまうでしょう。

その前提があってコールドスリープで肉体がほぼ同じ状態で戻ればOKなルールが出てきたのだと思います。

また、遠井教授は過去(1995年)で宗一郎に会ったとき、彼がもう1度コールドスリープすることも聞いていたはずです。

なので宗一郎は、パラドックスを起こさないためにコールドスリープに入るのが必然だったともいえます。

ただ、別に1995年3月8日にリミットを設定する必要はなかったのではという疑問も残ります。

ダラダラ3月10日まで研究してそこから、コールドスリープに入ってもあまり変わらないような気がしますね…。

もともと3月8日にコールドスリープを予約していたので、それに合わせる意味もあったのでしょう。

ちなみにロバート・A・ハインラインの原作では、未来で主人公がロボの特許や立ち上げさせた会社(アラディン)の申請日付を見ていて、

それと同じ日付にするために過去に戻ってから頑張って開発を間に合わせた感じでした。

小さなタイムパラドックス(過去が未来と違う)を起こさないためですね。

しかし原作では2回目のコールドスリープについて、

「もう1日かそこら待ってもよかったのだが、僕は待てなかった」

ロバート・A・ハインライン(著),福島正実(訳)

とあるので、別にいつ冷凍睡眠に入ってもよかったような印象を受けます。

この疑問点を解決するために話をもう少し深掘りしてみましょう。

厳密にいうとタイムトラベルをした時点で過去に影響を及ぼしてしまいますよね。

そこで出てくるのが遠井博士の「宗一郎自体がループしている」発言です。

この発言自体捉え方がいくつかありそうですが私の解釈では、

もともとある絶対的な時間の流れの中に、宗一郎が過去に戻るループが含まれているということ。

よって宗一郎の過去の行動が厳密だった理由をまとめると、

予め決められているループの軌跡を正しく再現しないと世界にどんな影響を及ぼすかわからないリスクがあるからとなります。

ループ自体が過去と未来の時間の流れに含まれているという解釈です。

この結論自体がパラドックスになっていてややこしいですね。

夏の扉のタイムトラベルはノーラン監督の『テネット/TENET』よりは難しくないとしても、色々考えてしまいます。

本当はこうだよ!という考察あったらコメントお願いします。

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