Netflixホラードラマ『アッシャー家の崩壊』(2023)。依存性の高い危険な鎮痛薬を全米にまき散らした製薬会社を経営するアッシャー家に、最悪な連続殺人事件と超常現象が襲いかかります。
作品情報・キャスト
あらすじ
ネタバレなしの感想
全8話ネタバレあらすじ感想・ラスト結末解説
最終回まで見た感想・ストーリー考察
これらを知りたい人向けに内容をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。好きな項目から読んでください。)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
Netflix『アッシャー家の崩壊』作品情報・予告
制作国:アメリカ
話数:全8話
原題:『The Fall of the House of Usher』
ジャンル:ホラー、スプラッター、ゴシック、サスペンス
年齢制限:18歳以上(グロテスクな描写、露骨な性描写あり)
監督・脚本・原案:マイク・フラナガン
原作:エドガー・アラン・ポーによる短編小説『アッシャー家の崩壊』(1839)
撮影:マイケル・フィモナリ
配給:Netflix
マイク・フラナガン監督
近年のホラー映画、ホラードラマを牽引するマイク・フラナガン。
Netflixでは孤島で怪物と宗教的な断絶をおぞましく描いた『真夜中のミサ』も面白かったです。『ミッドナイト・クラブ』も手がけていましたね。
『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』(2019)は酷評よりの賛否両論でしたが、フラナガンに対する世間の評価は徐々に高まっている印象です。
本作『アッシャー家』も、マイク・フラナガン版の『アメリカン・ホラー・ストーリー』ともいえる素晴らしいクオリティでした。
ちなみに本作にカミーユ役で出演しているケイト・シーゲルは監督の奥さんです。
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『アッシャー家の崩壊』あらすじ
2023年。中毒依存性が高い鎮痛剤で莫大な富を得た製薬会社・フォーチュナートのCEO/ロデリック・アッシャーが葬儀に出席している。
自分の子供の葬儀だった。この2週間で6人いたロデリックの子供が全員死んだ…。
ロデリックは“あの女”の姿を見る。教会を出てリムジンに乗り込もうとすると不気味なピエロが見えた。ロデリックは鼻血を出して倒れる。カラスが彼を見下ろしていた。
フォーチュナートが違法に認可された鎮痛剤で大勢の人々を死に追いやったと起訴したデュパン警部補は、ロデリックに呼ばれて彼の生家で息子たちの死の真相を告白される。
ロデリックは、母の不可解な死、子供たちの中にいた内部告発者、昔バーで知り合った謎の女性・ヴァーナの話、そして最悪な殺陣事件の真相を語り出すのだった。
『アッシャー家の崩壊』キャスト
役名 | キャスト(『出演作』) |
謎の女ヴァーナ | カーラ・グギーノ(『シン・シティ』『スパイキッズ』) |
ロデリック・アッシャー(製薬会社フォーチュナートCEO。マデラインの双子の兄) | ブルース・グリーンウッド(『ランボー』『スター・トレック』シリーズ、『ドクター・スリープ』)
若きロデリックはザック・ギルフォード(『パージ:アナーキー 』『真夜中のミサ』(『ミッドナイト・クラブ』)) |
マデライン・アッシャー(ロデリックの双子の妹) | メアリー・マクドネル(『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『クローザー』)
若きマデラインはウィラ・フィッツジェラルド(ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』『スクリーム』) |
アーサー・ピム弁護士(アッシャー家のお抱え弁護士) | マーク・ハミル(『スターウォーズ』シリーズ) |
C・オーギュスト・デュパン検事補 |
カール・ランブリー(『女刑事キャグニー&レイシー Cagney and Lacey』『ドクター・スリープ』) |
フレデリック・アッシャー(ロデリックとアナベルの長男) | ヘンリー・トーマス(『E.T.』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』) |
タミー(タマレーン・アッシャー。ロデリックとアナベルの長女) | サマンサ・スローヤン(『ミッドナイト・クラブ』) |
カミーユ・レスパネイ(ロデリックの次女。私生児) | ケイト・シーゲル(『真夜中のミサ』『意のままに』 |
ヴィク(ヴィクトリーヌ・ラフォルカデ。ロデリックの三女。私生児) | タニア・ミラー |
レオ(ナポレオン・アッシャー。ロデリックの次男。私生児) | ラフル・コーリ |
ペリー(プロスペロー)・アッシャー(ロデリックの三男。私生児) | サウリヤン・サプコタ(『ミッドナイト・クラブ』) |
レノーア(フレデリックとモリーの娘。ロデリックの孫娘) | カイリー・カラン |
モリー(モレラ・アッシャー、フレデリックの妻) | クリスタル・バリント(『ミッドナイト・クラブ』) |
ジュノ(ロデリックの現在の妻) | ルース・コッド(『ミッドナイト・クラブ』) |
アル(アレッサンドラ・ルイーズ。医者。ヴィクのパートナーで共同研究者。) | パオラ・ヌニェス |
アナベル・リー(ロデリックの最初の妻。フレデリックとタミーの母) | ケイティ・パーカー |
ルーファス・ウィルモット・グリスウォルド(フォーチュナート製薬の前CEO) | マイケル・トルッコ |
キャストはマイク・フラナガン組とでもいうべきか、『ドクター・スリープ』『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』『真夜中のミサ』『ミッドナイト・クラブ』に出演している俳優が多いですね。
ネタバレなし感想・海外評価
アメリカで大問題になっている疼痛薬・オピオイド的な薬を開発した製薬会社CEOの子供たちが1話の冒頭でなんと全員死亡しており、その謎が語られていきます。
グロテスクかつ、うっとりするような美しい場面があると思えば、胸糞のスプラッター展開もあり。
スプリンクラーから〇〇が撒かれてみんなが死んでいく場面はぶったまげました。
各エピソードの最後に凄惨でグロい殺人の場面があり、ホラーとしての満足感も非常に高い!
ジャンプスケアのタイミングも絶妙で、ふとした瞬間にビクッとさせられます。
時系列が行ったり来たりするのですが、そこまで複雑ではないです。
不気味で心地よい謎が漂いつつ、残酷な物語が展開していきます。
海外レビューサイト・ロッテントマトズでは批評家からの評価が90%と非常に高いです。
「鳥肌が立つシーンのオンパレード!」「フラナガン監督の脚本は完璧」「全編をとおして夢中になれる!」など絶賛のレビューが相次いでいます。
おすすめ度 | 92% |
世界観 | 96% |
グロさ | 90% |
ストーリー | 88% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 90% 一般の視聴者 % |
メタスコア(Metacritic) | 75(100点中) |
※以下、Netflixホラードラマ『アッシャー家の崩壊』のストーリーネタバレありなので注意してください!
1話「物寂しい真夜中に」ネタバレ
ロデリックとマデラインが10代の頃、母の死
ロデリックはデュパン検事補に「子供たちの死の真相を話す前に、母・エライザが死んだ時のことを話しておく必要がある」と言って語り出した。ロデリックの双子の妹・マデラインは地下にいるという…。
母・エライザは有名企業のCEO・ロングフェローの秘書として働いていた。
ロデリックとマデラインの父親はロングフェローだ。
母は20年働いたが、病気になった。
激しい痛みが母を襲ったが、敬虔なキリスト教とだった母は医師を呼ぶことを拒否して死亡。
ロデリックとマデラインは母の死体を庭に埋めた。すると、夜に雷がなり、穴から死体がなくなっていた。
半分腐りかけた母は、ロングフェローの家に行き、彼の首をしめて殺したあと、再び死んだという。
数週間前の出来事
製薬会社・フォーチュナートは依存性のある鎮痛薬・リゴドーンを全米に普及させた件で起訴される。
ロデリックは6人の子供たちの中に情報提供者がいると確信。子供たちに向かって「裏切った内通者を見つけたら5000万ドルやる」と言った。
1979年
ロデリックとマデラインはある事件のアリバイ作りのためにバーに立ち寄る。女性店主はヴァーナは不思議な雰囲気をまとっていた。
ヴァーナは「あなたたちは時空の外にいる」と語った。
エピソード1の感想と考察
ロデリックの目には母・エライザの霊?が見えていますが、デュパンは気づいていない様子。ロデリックにしか見えないのかもしれませんね。
ロデリックはドナルドソン医師に何かを耳打ちされた後に暗い表情をしていましたが、どんな内容だったのでしょうか?今後の伏線になりそうですね。
ロデリックの子供・ヴィクトリーヌがサルを実験体にして心臓補助器具を取り付けていた時の映像がグロくて気持ち悪かったです。
2話「赤死病の仮面」ネタバレ
1979年
デュパンは、短い期間で墓場から5体もの死体が盗まれた事件について捜査していた。
子供たちの葬儀から2週間前(内部告発後)
猿を使っての人工心臓の実験に失敗したヴィクトリーヌは父・ロデリックに嘘の報告をし、人体実験をしなければならなくなった。
ロデリックの末っ子・ペリー(プロスペロー)は、毎日複数人と性行為をし、乳首の画像を待ち受けにする変態だった。
ペリーは私生児だったので、なんとか兄たちを見返してやろうとフォーチュナート製薬が所有している廃墟の施設で金持ちを集めて乱行パーティーを開く計画を立てた。
ペリーは兄・フレデリックにいつもバカにされていたので、彼の妻・モリー(モレラ)にも招待状を送った。
乱行パーティー当日。参加者たちは裸当然で踊り狂う。ペリーは来ていたモリーに話しかける。
ペリーは実は裏で監視カメラを回し、モリーを含めた有力者たちの弱みを握るつもりだった。
赤いドレスにドクロの仮面を被った女性・ヴァーナが現れる。
ヴァーナはペリーに「人生の最高潮になる前に引き返せ」と言う。
ペリーは断った。
ヴァーナはモリーやスタッフたちだけに「逃げろ」とささやいた。
ペリーは参加者へのセッ○ス開始の合図として、スプリンクラーから水を放出させる。
乱行パーティーの参加者たちに強力な酸が降り注いだ。泣き叫びながら肉が溶け、倒れていく。
酸が降りやんだ。肉が溶けて死ぬ直前のペリーの前にヴァーナが現れてキスをする。ペリーは死亡した。
現在
ロデリックはデュパンに「ペリーは私が殺した」と言った。
エピソード2の感想
スプリンクラーで酸をぶっかける阿鼻叫喚の地獄絵図。まだ2話なのにやりすぎです(笑)。さすがマイク・フラナガンだと思いました。
また、2話からアッシャー家の人間たちのぶっ壊れ具合が露呈して面白いですね。
ケイト・シーゲル演じるカミーユが男女の部下2人に状況報告をさせていると思ったら、3人とも服を脱ぎ出して当然のようにセッ◯スし出します。
3話「モルグ(死体保管所)の殺人」ネタバレ
ロデリックらアッシャー家の人間はペリーの死に驚いた。しかし兄弟たちはレオ以外悲しまなかった。
ペリーがパーティー会場に選んだフォーチュナートの廃施設の貯水タンクには強酸性の有害物質が含まれていた。スプリンクラーでそれがまかれて参加者78人が死んだようだ。
事故ということになったが、ドクロの仮面を被った女性は誰なのかという謎は残った。
ペリーが死んだことで、カミーユは「世間からアッシャー家への同情を買える」と思いつく。カミーユはマデラインの同意も得て宣伝工作を考えた。
パーティー会場にいたモリーは全身3度の火傷で意識不明で入院した。
意識を戻したモリーが体をかきむしる。皮膚がはがれた母を見たレノーアは絶叫した。
レオは朝に恋人・ジュリアスの飼い猫・プルートーの死体を発見。自分がドラッグでラリってやってしまったと考え、猫の死体を捨てて外へ逃げたことにした。
タミーはいつも通り自宅で夫のビルと娼婦(正体はヴァーナ)に夫婦のフリをさせて自○行為を楽しんだ。
ヴィクのところに心筋虚血の女性(正体はヴァーナ)がやってきた。ヴィクは彼女を人工心臓の実験台にしようとたくらむ。
カミーユは、部下のトビーとティナから「付き合い始めたからあなたと寝たくない」と言われてクビにする。
カミーユはヴィクの弱みを握るため深夜に実験施設へ。女性警備員(ヴァーナ)が入るなと言ったが、カミーユはチンパンジーの飼育場に入っていった。
チンパンジーは人工心臓を取り付けられ、アドレナリンを与えられて強制的に生かされているひどい状態だった。
カミーユのまえにヴァーナが立ちはだかる。ヴァーナはチンパンジーに変わり、カミーユを惨殺した。
エピソード3の感想
ペリーが死んでもみんな悲しまないのが怖かったです。異常な一家ですね。
そしてカミーユが死亡。謎の女性・ヴァーナの正体は何なのか?気になります。
ケイト・シーゲル(カミーユ)はワキ毛ボウボウでしたね(笑)。
長女のタミーも夫と自分でセッ◯スしないで他の人にさせてるし、いろいろ異常すぎて怖すぎます。
4話「黒猫」ネタバレ
1970年代後半
ロデリックのもとにデュパンがやってきて、「フォーチュナート製薬の治験の被験者たちがサインを偽造されている」と言う。
ロデリックは自分のサインも偽造されていると知り、ボスのグリズに文句を言ったが取り合ってもらえなかった。
子供たちの葬儀から少し前
ロデリックとマデラインはペリーのパーティー会場にいた女性と、カミーユが死亡した施設にいた警備員がヴァーナ(1979年大晦日に2人が行ったバーの店主)だと気づいた。しかしその頃から老けていない。彼女の子供だろうか。
レオは捨て猫を保護している女性職員(正体はヴァーナ)から、プルートーそっくりの黒猫を引き取る。
しかし黒猫はマンションで何かにつけてレオを攻撃した。さらに大量のネズミやハトの死骸を部屋に放置する。
頭にきたレオは職員(ヴァーナ)に連絡して来てもらい、引き取ってもらうことに。
黒猫に顔を引っ掻かれたレオは、猫をつかんで顔を潰す。猫の目玉が飛び出た。なぜかそばにいたヴァーナの右目もなくなっている。
レオは猫が壁に隠れたと思い込んでハンマーで壁を壊していく。帰宅した恋人のジュリアスが止めるがレオは聞かない。
ベランダに黒猫がいた。レオはベランダに突進して落下。彼は命を落とした。プルートーがすり寄ってくる。
エピソード4の感想
グロいだけでなく、黒猫を傷つけるってすごく不吉で気持ち悪いです。
プルートーの死すらレオが見た幻覚だったようですね。
弁護士・ピムがフレデリックにモリーが持っていたスマホのパスコードを解除してくれと言って渡しましたが、ピムはペリーの死体からスマホを取っていましたよね。ペリーのスマホでしょうか。
5話「告げ口心臓」ネタバレ
1980年1月1日の午前0時
ロデリックはバーの店主・ヴァーナに手相を見られ、今日で人生が変わることを言い当てられた。
マデラインは「不死になる方法を探求したい」と話す。ヴァーナはマデラインにキスをした。
数日前(2023年)
ペリー、カミーユ、レオの3人の葬式が執り行われた。
フレデリックは重傷の妻・モリーを家に連れて帰り、在宅で治療を受けさせる。
アル(ヴィクのパートナーで医師)は、ヴィクがヴァーナの人体実験の書類に自分のサインを偽造したことに怒り、出て行った。
ロデリックには母と同じ血管性認知症の症状が現れていた。このままいけば寿命はわずかだヴィクの人工心臓だけが頼りだ。
ロデリックはヴィクの家に行き、人体実験の進み具合をたずねる。
頭がおかしくなっていたヴィクは「ずっと変な音が聞こえる」と言う。
ロデリックが奥の部屋をのぞくとアルの血まみれ死体があった。
アルが出て行くとき、ヴィクは彼女に置き物を投げつけて殺してしまっていたのだ。
アルに取り付けられた人工心臓だけが鼓動を打っていた。
ヴィクは自分の胸にメスを突き立て、ロデリックの目の前で死亡する。
エピソード5の感想
アルがヴィクに置物を投げられて頭が割れて死ぬときも、瞳が左右で離れ、長い髪が赤い血の水たまりに浸っていてアーティスティックでした!
アルの死体の胸が切り裂かれ、人工心臓だけが脈打っているシーンもインパクト抜群。どこか芸術的にも見えるのが不思議ですね。
6話「ゴールドバグ」ネタバレ
ロデリックは人工心臓が没収されないようにアルの死体に装着されていたものを取ってくる。
マデラインとロデリックはピムの調べで、ヴァーナが各年代の大物と一緒に写真に写っていて、全く老けていないことに気づいた。
いっぽうタミーは自分の人生を賭けたライフスタイルサブスクリプション「ゴールドバグ」のメディア向けのプレゼンに登壇する。
不眠症で精神的に不安定なうえに夫・ビルと仲違いしたタミーは、会見でヴァーナを見て暴走した。
部屋に帰ったタミーの前に再びヴァーナが現れる。タミーは火かき棒でヴァーナが写っている鏡を割っていく。
ベッドの上にある鏡を叩き割ったタミーはバランスを崩して倒れ、背中にガラスが突き刺さる。降ってきたガラスが首を切った。
タミーは死亡。
エピソード6の感想
タミーがガラスを割りながら破片の上を歩いて足が血だらけになるシーンが痛すぎて見ていてキツかったです。
7話「落とし穴と振り子」ネタバレ
1979年12月20日
ロデリックはデュパンと協力してフォーチュナート社の治験の不正を暴くと約束したが、マデラインの案で土壇場でデュパンを裏切った。成り上がるためだ。
それを知った妻・アナベルは子供たち(フレデリックとタミー)を連れて出て行った。
数日前:フレデリック
フレデリックは薬を投与してモリーを動けなくし、自分に嘘をついてペリーの乱行パーティーに行った罰としてペンチで歯を抜き取って痛みを与えた。
フレデリックはペリーが乱行パーティーに使った建物を破壊するために現地へ。
1人でドラッグを吸引してペリーへの復讐として死亡現場に小便をかけると、麻痺して倒れてしまった。
ヴァーナが近づいてきて、「モリーに虐待するあなたを見て、ドラッグに細工をした」と言った。
ヴァーナはフレデリックの声を真似て外にいる作業スタッフに「建物を取り壊せ」と命令する。
大型クレーンのハンマーが建物を突き破った。鉄板が鎖の先にぶら下がり、大きく振り子運動をしている。
建物が崩れ、振り子はどんどん下がってきた。
フレデリックは腹を何度も切り刻まれて死亡。
エピソード7の感想
超巨大な振り子がだんだん降下していく演出は秀逸でした。薬で麻痺したまま切り刻まれるフレディ。こんなキャッチーな死に方が他にあるでしょうか?
『アッシャー家の崩壊』最終回8話「大鴉(おおがらす)」ネタバレ
1979年大晦日
デュパンを裏切ってフォーチュナートを訴訟の危機から救ったロデリックは社のヒーローとなり、社長のグリズに莫大な年収と将来を約束された。
大晦日のパーティーは建設中の自社ビルで行われた。マデラインはグリズに酒と偽って毒を飲ませ地下に呼び出す。
グリズは地下で倒れた。ロデリックとマデラインはグリズをレンガの壁に埋めた。毒でじきに死ぬ事になる。
(墓からいくつもの死体が盗まれた件については、死体が違法な治験の証拠となるためグリズの指示で処分されていたことが発覚)
2人はアリバイ作りのためにバーへ行き、ヴァーナと酒を飲む。ヴァーナはなぜか2人がグリズを殺したことを知っていた。
ヴァーナは「富と権力と引き換えに、ロデリックとマデラインが死ぬときに血脈(子孫)も一緒に死に絶える。そんな取引に応じるか?」と問いかけた。
2人は「イエス」と答えた。
現在
グリズの殺人を告白したロデリック。「レノーアも今夜死んだ」と語る(ヴァーナに殺された)。
マデラインが作ったレノーアのAIボットから、「Never more」(2度とない)のメールが何度もロデリックに送られてきていた。
地下から目玉をくり抜かれて両目に青い石をつめられて血だらけのマデラインが現れる。
マデラインはロデリックに飛びかかり、首を閉めて殺そうとした。
家がガタガタと音をたて崩れそうだった。デュパンが外へ飛び出ると、家は崩壊した。瓦礫の上に大きなカラスがいる。
弁護士のアーサー・ピムは逮捕された(ヴァーナから取引を持ちかけられたが断った)。
ジュノはフォーチュナート製薬を解体した。
ヴァーナはロデリックやマデライン、そして子供たちの墓の前にやってきてそれぞれの持ち物を返す。
ヴァーナの予言に従えば、回復したモリーがNPO法人を立ち上げ、何百万人もの命を救うだろう。アッシャー家が鎮痛薬・リゴドーンで奪った命以上の人数を救うことができるかもしれない。
最終回まで見た感想・考察
最後の最後まで面白かったです。
終わってみるとエンタメホラーというより、詩的な美しさが光る作品だったと思います。
(エドガー・アラン・ポーの原作小説の影響もあるでしょう)
ストーリーとしてはアッシャーの後継者たちが各エピソードで1人ずつ死んでいくわりとシンプルなもので、最後にアッシャーが大鴉・ヴァーナと契約していたことがわかるだけです。
しかし演出が非常にうまくメタファーも効果的なので、全エピソードを見ると栄枯盛衰・諸行無常を味わい尽くした気分になりました。
淡々と陰鬱で美しい破滅の詩が描かれる本作は好みが分かれるかもしれませんが、私は大好きでした。
おもしろかったですが、もう1回見たくはないです。グロテスクなだけでなく、ここまでやるか!という倫理的な残酷さがあるので、見ていて精神的に落ち込んでしまいます。これぞ耽美ですね。
全体を通じて富と引き換えの代償というテーマがあり、最終話ではロデリックの成功の代償を子供たちが払わされたことが発覚します。
現実の貧困問題や環境問題にどう向き合うかが多分に反映されていると思いました。
双子としてこの世に同時に生まれたロデリックとマデライン。最後に2人は殺し合いますが、この辺はもう理屈ではなかった気がします。
お互いに魂の半分を求め合っている一方、お互いを本気で憎んでいるようでもあり、救いようのなさが浮かび上がっていました。
社会問題となった薬を生み出したアッシャー家が最後は全員で死んで幕引き。サムライの切腹のような潔さも感じられます。
アッシャー家の人間もキャラとして魅力的でしたが、特に素晴らしかったのはマーク・ハミル(スターウォーズのルーク役)が演じた弁護士・ピムです。
元は探検家だったピムは最果てな地で一体何を見たのか?おそらく人間の救いようのない一面を見たのでしょう。
ピムは「痛みを無くす」と謳うアッシャー家に仕えることで、自らの心の傷を無意識下に封じ込めていたのかもしれません。
それだけでなくヴァーナの口から語られたような人類の矛盾に心のどこかで共感しており、鎮痛薬・リゴドーンで人類が滅びればいいと思っていたのかもしれません。
最後のまとめ
マイク・フラナガン監督のホラードラマ『アッシャー家の崩壊』は、ゴシック的な映像美と超常現象的な謎、そして生理的な気持ち悪さが高い次元で融合した傑作でした。
マイク・フラナガンはどんどん評価を上げてきていますし、実際に作品もどんどんディープな世界観でおもしろいものになってきています。今後も彼の躍進劇は続きそうです。
そして妻のケイト・シーゲルを出し続けるのでしょう。夫婦で効率よく稼いでいますね(笑)。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『アッシャー家の崩壊』(The Fall of the House of Usher)レビュー終わり!
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