映画『ドクター・スリープ』は予想を超える完成度の高さで、さまざまな角度から楽しむことができました。
映画『シャイニング』の40年ぶりの続編としても最高です。謎がしっかり解決されています。
この記事では『ドクター・スリープ』あらすじ完全ネタバレで解説。
さらにトゥルーノットという集団についてや、『シャイニング』との作風の違いを考察していきます。
映画『ドクター・スリープ』作品情報
- タイトル:『ドクター・スリープ』(原題:Doctor Sleep)
- 公開年:2019年
- 監督: マイク・フラナガン
- 脚本: マイク・フラナガン
- 原作: スティーヴン・キング
- 主演: ユアン・マクレガー
- 出演: レベッカ・ファーガソン
- 音楽: ザ・ニュートン・ブラザーズ
- 撮影:マイケル・フィモナリ
監督のマイク・フラナガンはホラー映画の監督や脚本家として知られている人物で、『ザ・ ホーンティング・オブ・ ヒルハウス』やNetflixホラードラマ『真夜中のミサ』などでメガホンをとっています。
主演の ユアン・マクレガーは『トレイン・スポッティング』や『 ビッグ・フィッシュ』への出演で有名です。この『ドクター・スリープ』も彼の代表作となるでしょう。 DCコミックスの『ハーレイクイン華麗なる覚醒 Birds of prey』のメイン ヴィラン・ブラックマスク役も務めました。
キャストの レベッカ・ファーガソンは、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のヒロインで世界的に注目され、トップスターの仲間入りを果たした スウェーデン出身の美人女優。ジョナサン・ノーラン制作のSF映画『レミニセンス』でもヒロインを務めました。
映画『ドクター・スリープ』登場人物・キャスト
映画『ドクタースリープ』の原作はホラー小説界の帝王 スティーブン・キング。そして映画の監督・脚本は マイク・フラナガンです。その他の登場人物やキャストをみていきましょう。
ダニー・トランス( ユアン・マクレガー)
40年前オーバールックホテルで父ジャック・トランスが錯乱した惨劇を目の当たりにし、そのトラウマで酒浸りの生活を送ってきた。小さい頃からシャイニング(超能力)が使える。
アブラ(カイリー・カラン)
非常に強いシャイニング(超能力)を持った女子中学生。ダニーとは遠隔に黒板で文字を書いてやり取り。
ローズ( レベッカ・ファーガソン)
不老不死の謎の女性。肉体を持っており亡霊ではないが人間でもない。8人ほどの狂気の集団「トゥルー・ノット」のリーダーで、超能力を持った人間の生気を吸い取りながら何百年も生き続けている。
ビリー(クリフ・カーティス)
放浪していたダニーにアパートや仕事を紹介する。その後は彼の親友となった。
俳優 クリフ・カーティスは映画『MEG・ザ・モンスター』やドラマ『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』への出演が有名。
ディック(カール・ランブリー)
40年前にオーバールックホテルで、ダニーの父ジャック・トランスに殺された料理長。シャイニング(超能力)を持っており、死んで霊になったあとも、ダニーの元に現れ使い方を教える。
映画『ドクタースリープ』ネタバレ考察/ダニーの運命は40年前に決定
『ドクター・スリープ』の内容を考えるに「ダニーの運命は40年前に決まっていた」ということがいえるのではないでしょうか。ダニーは亡霊たちに襲われ、父のジャック・トランスの霊に乗り移られます。そして斧でアブラに襲いかかるのですが、40年前のジャックとまったく同じ行動をとっており、ここまでくると運命としか思えません。
こうなることは恐らく40年前にホテルを訪れた瞬間から決まっていたのでしょう。
ダニーの頭の中には、常にホテルの迷路と40年前の惨劇のイメージがあった。つまり彼は40年間、亡霊ホテルから精神的に抜け出せていないのです。
ラストのボイラー室で母親のウェンディの霊が出てくることを考えると、ダニーは善悪の枠組みを越えて「オーバールック・ホテル」を我が家のように感じていたのかもしれないです。
だからこそ放浪生活を続け、最後はホテルに戻ったのだと思います。ダニーにとって、ホテルはトラウマを超えてかけがえの無いものになっていたのでしょう。
映画『ドクター・スリープ』謎を解説(ネタバレ)
映画『ドクタースリープ』で出てくる、シャイニング(超能力)についてなど、とりわけわかりにくいポイントについて解説します。
シャイニングとは?
A.シャイニングは特別な人間が持つ超能力です。具体的には、脳内で会話する、予知能力、遠隔で存在を見つける、物を動かす、 幽体離脱などができます。
パワーが強ければ離れた相手に干渉することも可能です。
亡霊を封じ込める方法
A.ダニーは頭の中で、オーバールックホテルの巨大迷路とそこにある大きな宝箱を想像すると、亡霊を封じ込めることができます。
ディックの霊(40年前にジャックに殺された)に教わった方法です。
ローズたちの「トゥルー・ノット」はどんな集団?
A.ローズたち「トゥルー・ノット」は、銃で撃たれれば死亡することから、オーバールックホテルの亡霊とは違う存在だとわかります。
彼女らは肉体を持っており、シャイニング(特殊能力)を持つ人間を殺し、その強力な生命エネルギーを吸うことで不老不死でいられました。大人よりも“生命エネルギー”の純度が高い子どもをよく襲っているようです。
ローズの発言や、死ぬときに上がる煙から察するに、普通の人間ではありません。特殊能力を持つ、失われた部族の末裔なのでしょう。
さらに、ローズたちもシャイニングと似たような超能力を使うことができます。シャイニングが“陽”のパワーだとしたら、ローズたちの力は“陰”と考えることができるのではないでしょうか。
ドクタースリープでなぜ亡霊たちが復活した?
A.ダニーがホテルで宝箱の封印を解いたからです。ダニーがわざわざホテルに来たところから、亡霊の封印を特には“オーバールックホテル”という場所も重要だったと考えられます。
キューブリック『シャイニング』と『ドクタースリープ』の違い比較
“善と悪”から“陰と陽”の対立へ
キューブリック の『シャイニング』は、ジャックが悪の亡霊に取り憑かれ、息子のダニーや妻のウェンディを襲うという内容で、はっきりと分かれた“善と悪の対立”でした。
比較して『ドクター・スリープ』における敵は、ローズ率いる「トゥルー・ノット」であり、亡霊そのものではありません。
「トゥルー・ノット」は子どもを殺す非道な集団ではありますが、仲間を大切に思う気持ちなど、彼らなりの美学を持ち、おまけにシャイニングと同じような能力も使います。
『ドクター・スリープ』が超能力をどう使うか?という対決になっていることから、今作は『シャイニング』と比べて“陰と陽の対立”という側面が強くなっているといえるでしょう。これは同じく スティーヴン・キング原作の映画『 ダーク・タワー』と近い対立軸です。
単純な勧善懲悪ではなく、異なる二つの勢力がバランスを保っているという、より現代風の考え方で描かれているのが『ドクター・スリープ』なのです。
映画『ドクター・スリープ』は東洋思想が強い
前作『シャイニング』は、ジャック・トランス自身がホテルの亡霊の生まれ変わりだと示唆されたラスト( 1921年の集合写真)で終わりました。そして、『シャイニング』では曖昧だった東洋思想的な輪廻というテーマが『ドクター・スリープ』でキレイに回収されました。
さらにダニーとディック、アブラとダニーというシャイニング(超能力)の師弟関係もハッキリと描かれています。
そしてトゥルーノットのローズは座禅を組んでいます。瞑想でしょうか?ヨガでしょうか?
これらを総合すると、『ドクター・スリープ』は『シャイニング』と比べ東洋思想が強まっているといえます。
ドクタースリープのトゥルーノットは ツインピークスがヒント?
ローズが率いる集団「トゥルー・ノット」は、デヴィッド・リンチ監督による伝説的カルトドラマ『ツインピークス』の映画編『ローラ・パーマー最期の七日間』に出てくる謎の集団に似ています。『ドクター・スリープ』の原作者の スティーヴン・キングが影響を受けたのかもしれません。
ツインピークス『ローラ・パーマー最期の七日間』の謎の集団
存在意義がわからず、人がいないところでたむろしている雰囲気がそっくりです。
謎のグループというのは色んな作品で登場していると思うかもしれませんが、目的や存在理由がハッキリしないグループはほとんどないです。
そして ツインピークスの謎の集団は「トゥルー・ノット」と同じように、人間と対立する悪の存在として描かれています。
さらに、「トゥルー・ノット」メンバーのフリックは、 ツイン・ピークスで巨人役だったカレル・ストルイケンが演じています。
スティーヴン・キングとリンチには同じものが見える?
しかし、 スティーヴン・キングにも ツイン・ピークスの監督 デヴィッド・リンチと同じような、人間ではない謎の暗黒集団が見えているという可能性も捨てきれない。まさか謎の集団は本当に存在して、二人の巨匠には見えているのか?
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