映画『ゴールドボーイ 』少年たちが殺人犯に口止め料を要求する奇抜な設定が話題に!原作は中国のヒット小説です!
作品情報・キャスト・登場人物
あらすじ・ネタバレなし感想
ネタバレ衝撃のラスト結末解説・徹底考察
鑑賞後の感想・評価レビュー
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『ゴールドボーイ 』作品情報
制作国:日本
上映時間:2時間9分
ジャンル:サスペンス・クライム
年齢制限:PG12
監督:金子修介(『平成ガメラ』シリーズ)
脚本:港岳彦(『アナログ』『正欲』)
原作:紫金陳(ズー・ジンチェン)の小説「悪童たち(隠秘的角落)」(2021)、ドラマ『バッド・キッズ 隠秘之罪』
撮影:柳島克己
音楽:谷口尚久 主題歌:倖田來未
キャスト・登場人物
岡田将生|東昇 役
©︎記事の引用元・公式サイト
出演作:『ドライブマイカー』『CUBE 一度入ったら、最後』『さんかく窓の外側は夜』『1秒先の彼』『ゆとりですがなにかインターナショナル』
羽村仁成|安室朝陽 役
出演作:『リボルバー・リリー』『俺の家の話』
星乃あんな|上間夏月 役
出演作:『王様戦隊キングオージャー』『ちむどんどん』
前出燿志|上間浩 役
出演作:『ラーゲリより愛を込めて』
黒木華|安室香 役
松井玲奈|東静 役
出演作:『まんぷく』『プロミスシンデレラ』『よだかの片想い』
北村一輝|打越一平 役
出演作:『るろうに剣心 最終章/The Beginning』『沈黙のパレード』『Netflix 実写ゾン100』『ネトフリ 地面師たち』
江口洋介|東厳 役
出演作:『実写 るろうに剣心』『実写 沈黙の艦隊』『忍びの家』
キャストの演技の評価
岡田将生さんのサイコパスな演技も良かったですし、中学生役の羽村仁成さんもハマり役でした。『リボルバー・リリー』の子ですね。将来有望です。
全体的にスリリングな印象を与えているのはこの2人の掛け合いによるところが大きいでしょう。
黒木華さんも健気なシングルマザー役を完璧にこなしていました。
江口洋介さんとか北村一輝さんも何ひとつダメなところはないのですが、この2人じゃなくても成立した気もします。
特に北村一輝さんの出番はかなり少なかったですね。沖縄の俳優使っても良かったのでは?→ネタバレ少なめ感想はコチラ←
おすすめ度 | 85% |
世界観 | 80% |
ストーリー | 85点 |
※以下、映画『ゴールドボーイ 』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ゴールドボーイ』ネタバレあらすじ解説
読谷岬・突き落とし殺人
中学生・安室朝陽(あむろあさひ/羽村仁成)は、以前近所に住んでいた親友の上間浩(うえまひろし/前出燿志)とバッタリ出くわす。
浩は義理の妹・夏月(なつき/星乃あんな)と一緒にいた。
夏月の顔は暗く沈んでいる。
3年前に夏月の母が浩の父と再婚したが、浩の父は夏月に暴力をふるい、性的暴行をしようとした。
そこで夏月は刃物で浩の父を刺し、住んでいる浦添から2人で逃げてきたという。2人は朝陽のスマホで浦添で殺人事件のニュースが出ていないことにほっとする。
朝陽の両親は数年前に離婚しており、母・香(黒木華)に育てられていた。香はパン工場とホテルの仕事を掛け持ちしており、夜勤のため数日家に帰ってこない。
朝陽は夏月たちを家に泊めることにした。
翌朝、家の壁に“殺人者の朝陽”と、落書きがされていた。
朝陽の父・打越一平(うちこしいっぺい/北村一輝)がやってきて、「再婚相手がやらせたらしい。すまん」と謝る。
アキ(一平の義理の娘で、朝陽の同級生)が先日に自殺をしたことで、アキの母親が朝陽の関与を疑っているようだ。
朝陽は父からもらった金でカメラを買う。そして夏月と浩と3人で海へ遊びに行った。
朝陽が夏月を撮影していると、ずっと遠くの岬から人が落下するのが映り込んだ。拡大すると、明らかに突き落とされているのがわかる。
すぐに読谷岬へ行く。東昇(ひがし のぼる/岡田将生)が泣きながら警察に「義理の父が突然気を失い、義母をつかんで転落してしまった」と説明していた。
落下して死んだのは、沖縄を牛耳る企業・東グループの経営者夫妻だった。
朝陽たちは東昇が突き落とし殺人の犯人だと確信し、彼を脅して金を巻き上げようと計画を立てる。
朝陽と東昇の交渉
朝陽たちは東昇に接触して動画を見せ、「現金で六千万円用意しろ」と言う。
東昇は表情を変えず「婿養子なので遺産を相続できない。そんな大金すぐに用意できないからしばらく待ってくれ」と話す。昇は60万円だけ先にわたした。
夏月と浩は朝陽の家の近くの廃墟でしばらく暮らすことになった。
東昇の妻・静(しずか)は、夫が無感情な人間だと知っており、彼が犯人だと勘づいていた。
静は両親の葬儀を終えたあとで従兄弟で刑事の厳(げん/江口洋介)に相談。しかし証拠がないと言われる。
数日後、静が不倫相手を乗せた車で猛スピードを出し、事故に遭って死亡。死体からは覚醒剤が検出され、警察では事故で片付けられた。
厳は静かの夫・昇を怪しみ、事情を聞く。しかし決定的な証拠は得られない。
厳は昇の家に朝陽が来ていたのを不審に思った。
朝陽は昇に、「どうやって妻を殺したの?」と聞いた。これで東グループの財産は昇のものになる。
昇は、「美容コラーゲンカプセルを二重にして中に覚醒剤を仕込んだ」と話す。
朝陽は「口止め料の6000万はいらないから、父と再婚相手を殺してくれ」と昇に頼んだ。
昇は「直接手はくださないが、手伝う」とだけ言った。
さらなる殺人
朝陽のことを好きになっていた夏月は、朝陽の実父と再婚相手の殺害に同意。浩も朝陽の意見に従うことにする。
一番疑われそうな朝陽は殺害の実行から外れることになり、アリバイづくりのため学校へ行った。
朝陽の父・一平とその妻が先日自殺したアキの墓にやってくる。
夏月があらわれ「墓参りの儀式(うちかび)を手伝ってほしい」と言って一平たちを別の墓に連れてきた。
夏月はそこで2人に毒入りの餅を食わせて殺害。
隠れていた昇が2人の死体から歯を抜き(身元の特定を遅らせるため)、あらかじめ掘っておいた穴に埋めた。
後日、犬を散歩させていた男性が一平と妻の死体を発見。
刑事の厳は、朝陽が一連の事件に関わっているという考えを強めた。
衝撃のラスト結末
数日後、昇の家に朝陽たちが集まる。
朝陽は突き落とし動画が入った証拠のSDカードを昇に渡した。
昇はSDカードを割る。そして夏月と浩が一平たちに餅を食わせて殺害した動画を見せる(脅すために隠し撮りしていた)。そして「これでおあいこ。交渉は終わりだ」と言った。
昇は食べ物を配達させて酒を開け、今日が誕生日だという朝陽を祝う。3人は飲み物を飲んだ。その直後に苦しみ出す。
昇が毒を入れていたのだ。「昇は大人を舐めるな!」と朝陽に蹴りを入れた。
昇は朝陽たち3人がもがき苦しんで死んだのを見て笑い、クラシック音楽を流した。
後ろを向く。生きていた朝陽がナイフで昇の首を刺した。昇の行動を読み、飲み物を吐き出していたのだ。
朝陽が「父・一平たちの遺体が早く見つかるように土を掘ったのは俺だ」と言う。昇は血を流して死亡した。
朝陽は隠蔽工作のために自分の手を切りつける。刃物は浩の死体に握らせた。読み通り、警察の厳がやってきた。
数日後。朝陽は病院で厳に、「突き落とし事件で昇を脅迫して金を取ろうと言ったのは浩。勘違いして実父・一平を殺したのは夏月だ。僕は浩にずっと脅されていた」と嘘をつく。
朝陽は退院し、家で寝ていた。
母・香がポストの手紙を見る。夏月が朝陽宛に書いたものだった(死ぬ前に投函した)。
“朝陽の日記を事前に読み、アリバイ工作に気づいていたがすべて許す”と書かれていた。
香は息子が殺人者だと気づいてパニックになる。
手紙に気づいた朝陽が包丁を持ち、「実際に自分が殺したのは、アキ(同級生)と昇だけだ」と言い放った。アキに告白したがフラれたのでイラつき、自殺に見せかけて殺したと話す。
朝陽は外に出る。道向かいに厳が立ち、にらんでいた。香が厳に電話をし、厳は朝陽が殺人を告白した会話を聞いていたのだ。
映画『ゴールドボーイ』終わり
映画『ゴールドボーイ』考察ネタバレ
真犯人と動機
すべてを見通していたサイコパス少年・朝陽(羽村仁成)の行動や動機を解説します。
結論から言うと、「朝陽は昇を脅迫した最初の時点で、打越夫婦の殺害と昇と夏月たちを殺し合わせて罪をなすりつけることを計画していた」となります。
冒頭で自殺したと思われていた女子中学生・アキを殺害したのは朝陽でした。
アキは、朝陽の実父の再婚相手の娘です。朝陽はアキに告白しましたがフられ、腹いせに首吊りに見せかけて殺したのです。
父・打越一平(北村一輝)とその妻を殺害を計画したのは、アキの殺害に関与したと勘づかれたからです。
父・一平の殺害については遺産目当の動機もあるでしょう。一石二鳥だったのです。
朝陽は昇(岡田将生)が自分たちを殺そうとしていると勘づきながら、なぜ夏月や浩に知らせなかったのでしょうか?
夏月と浩にも罪をなすりつけるためです。
真相を知っている昇も一緒に殺しました。
朝陽は同級生・アキの殺人で快感を覚え、その快感にどんどん溺れていったように見えます。
ラストシーンの意味:今後どうなる?
朝陽が刑事・厳(江口洋介)と対峙するラストシーン。ここで映画は終わります。
朝陽は今後どうなるのか?気になりますね。
厳は香(朝陽の母・黒木華)からの通話を受け、朝陽が昇を殺害したこと、夏月や浩へ計画的に罪をなすりつけたことを知りました。
厳は朝陽を逮捕するでしょう。
しかし考えてみると夏月からの手紙は朝陽が燃やしましたし、証拠となるのは朝陽が自白した電話の音声しかありません。
昇や夏月ふくめ証言を取れそうな人物は全員死亡しています。
朝陽が言い逃れしようとすれば、できそうな気がしますね。
2つ目のパターンとしては、朝陽はすべてをコントロールできなかったことに失望して道路に飛び出すのかもしれません。
いろいろ想像できる余韻に富んだラストシーンでした。
エンドロール後の「ゴールドボーイ2」とは?
エンドロール後に、『ゴールドボーイ2』の文字が踊りでました。
「制作陣による続編を作りたいアピール」というのもあるでしょうけど、『ゴールドボーイ2』の文字を出すことで殺人鬼の少年・朝陽の物語がまだ終わらないことを示唆しているとも考えられます。
先ほど考察したように、朝陽が罪から逃れる今後の展開を示唆しているように思えました。
罪を逃れた朝陽は、ほとぼりがさめたらまた誰かを殺してしまうのかもしれません。
ゴールドボーイの意味
タイトルのゴールドボーイ(Gold Boy)の意味を訳すと「金で作られた少年」です。ちょっと意味不明ですね。
どちらかというとゴールデンボーイ(Golden Boy)「若いうちに成功した人物」のニュアンスに近いでしょう。
ただ、ゴールドボーイがサイコパスの朝陽を指していると考えると「金属のように冷たい人間」という意味も込められているのかもしれません。
朝陽と東昇:キャラクターの共通点
朝陽と東昇。両方とも日の出を表す言葉という共通点があります。
名前だけで、朝陽は殺人を犯した東昇と同類であるとわかるのです。名前の設定による伏線ですね。
もっと詳しく考えると朝陽(あさひ)は、東から太陽が昇ったあとに感じられるものです。
名前からして、朝陽は東昇の後継者なのです。
さらに日本の数学コンテスト(広中杯)で朝陽は優勝。昇は過去に2位でした。
2人が同じサイコパスだという明確な対比の構図があり、「どうせ大人の昇が勝つんでしょ!」と思わせて朝陽が策略で完全に上回る点にプロットの巧さがありますね。
沖縄・残波岬の実際の事件
『ゴールドボーイ』で東昇が義父母を突き落とした読谷岬(よみたんみさき)は存在しません。
撮影場所は残波岬の周辺だと思います(岡田将生さんが義父母を突き落としたシーンの場所もあったような)。
残波岬は美しいところですが、自殺の名所・心霊スポットとしても有名です。
実は2019年に残波岬で突き落とし殺人が起こっています(30代の男性が知り合いの女性を金銭目的で突き落とした)。(→参考記事)
残波岬の実際の殺人事件からストーリーの着想を得て『ゴールドボーイ』の脚色がなされたのかもしれませんね。
元ネタはゴールデン・ボーイ?
映画『ゴールドボーイ』の原作は紫金陳(ズー・ジンチェン)の小説「悪童たち(隠秘的角落)」です。
ただ、子供が大人が影響を受けあって殺人を犯してしまう展開はスティーヴン・キングの『ゴールデン・ボーイ』(1982年。中篇小説集『恐怖の四季』収録)とよく似ていると思いました。
日本で映画化するにあたって『ゴールデン・ボーイ』を参考にしたのかもしれません。
もしくは紫金陳さんの原作の時点で、『ゴールデン・ボーイ』が構想の元ネタだった可能性もあります。
映画『ゴールドボーイ』ネタバレ感想・評価
少年たちの狂気がグッド
少年少女がだんだんと狂気に染まっていく過程が面白いと思いきや、「朝陽に関しては最初からすべて計画済みのサイコパスだった!」というどんでん返し。
岡田将生と羽村仁成の駆け引きが楽しかったです。少年たちのリミットが外れていくさまが痛快でした。
少年犯罪って案外こんな感じかもしれないというリアリティがありました。
そんなに意外じゃない結末
ただ、サスペンスとしてはそこまで意外性がなかったのが少し残念ではあります。
正直、朝陽が同級生のアキの自殺に絡んでいるのも最初から読めました。
東昇(岡田将生)と朝陽(羽村仁成)の対立構図があり、2人とも“演技をしている演技”だったので、朝陽がサイコパスなのは予想どおり。
朝陽が夏月と浩を裏切るのも想定内。
終盤で昇が3人を毒殺しようとしましたが、朝陽だけは生き延びるんだろうな。となんとなく予想はついていました。
昇の背後にカメラをパンした瞬間に、朝陽が立ってるだろうな…と。
予告で「ネタバレ厳禁!傑作!」とかハードル上げまくっていたので、それもよくなかったと思います。
ワクワクしていろいろ想像しながら見てしまった結果、だいたい想定内で終わった感じ。
おそらくサスペンス映画が好きな人ならそこまで予想外の内容ではなかったのでは?
それなら予告でそこまでハードルを上げないで欲しかったです。
本作の根底にあるのが沖縄の貧困問題(特に片親の場合が深刻)です。そこに少年犯罪の巧みな心理描写を絡めた脚本や演出が見どころのドラマだったと思います。
サスペンスの傑作として見てしまうと、そもそも「朝陽が数学コンテストで全国1位を取る超秀才」など、ツッコミどころが目につきます。
最後のまとめ
映画『ゴールドボーイ 』は紫金陳(ズー・ジンチェン)の大ヒット小説「悪童たち(隠秘的角落)」をベースに、舞台を沖縄に移したサスペンスの良作でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。邦画『ゴールドボーイ 』レビュー終わり!
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