映画『るろうに剣心 最終章/The Beginning』は、佐藤健と有村架純が剣心と雪代巴を演じ悲劇的な出会いと狂気的な切ない愛を描いた、るろ剣実写のフィナーレを締め括る作品。
酷評になってしまいますが、つまらなかった!です。
前半はリアリティがあって良かったのに、中盤から後半の剣心と巴だけのシーンから一気に「何これ、PV?」みたいな感じで勢いがなくなってしまいました。
記事では、
- The Beginningのネタバレあらすじ解説
- 相関図
- ぶっちゃけ感想・評価レビュー
- 佐藤健の演技について
- 前作と比べて良かった点
などを徹底考察していきます。
ストーリーも映像も良かったのに、主人公剣心の表情が乏しすぎて感情移入出来なかったのが残念!
『るろうに剣心 最終章/The Beginning』作品情報
スタッフ・キャスト
監督・脚本:大友啓史(『レジェンド&バタフライ』)
原作:和月伸宏 『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』
撮影:石坂拓郎
主演:佐藤健/緋村剣心・抜刀斎役
出演:有村架純/雪代巴役
出演:高橋一生/桂小五郎役
出演:安藤政信/高杉晋作役
出演:江口洋介/斎藤一役
出演:村上虹郎/沖田総司役
出演:北村一輝/辰巳役
出演:荒木飛羽/雪代縁(幼少期)役
るろうに剣心 最終章The Beginning 感想はひどい?評価70点
評価は70点くらい。
ひどいとまではいきませんが、全体的にはつまらなかったです。
有村架純の雪代巴は細かい所作が美しく見入ってしまいましたし、高橋一生の桂小五郎は狂気がにじみ出ていて見応えありました。
ただ、主人公・剣心役の佐藤健が終始無表情すぎて、物語のカタルシスを台無しにしていた印象です。
名作と謳われるOVA『追憶編』ほどの感動は得られませんでした。
前半こそ、桂小五郎たち長州藩の維新の実態が描かれ、大友啓史監督の『龍馬伝』のような“リアリティのある幕末”が堪能できました。
しかし中盤で剣心と巴が2人で暮らす場面になってからは中だるみというか、一体何を見ているんだろう感が強まりました。
セリフも少ないこれらのシーンは本来、二人の表情や葛藤が見どころのはずでしたが、有村架純の巴はともかく佐藤健の剣心の表情が乏しすぎて、なにかのミュージックビデオを見ているかのような印象を受けけてしまいました。
ストーリー自体は“許婚(いいなずけ)を殺した剣心を愛してしまった巴の苦悩と、剣心の人斬りへの葛藤”と見応えあるはずのものだったにも関わらず、当の剣心が終始無表情だったのでほとんど感情移入できません。
全体的には前作の『るろうに剣心 The Final』の方がまだ見応えがあって面白かったです。
佐藤健の剣心が無表情すぎる!
個人的に俳優・佐藤健さんが嫌いなわけではないですが、いち映画好きとしてあえて言わせてもらうならば“表情が乏しすぎ”です。
剣心・抜刀斎のキャラを、あえて無表情かつ人間味のなさで表現していたのは理解できますが、映画の最初から最後までほとんど同じような表情でした。
寡黙で闇を抱えるキャラクターなので、表情は大きく変わらないのはよしとしましょう。ただ、心情に沿った微妙な変化すらも感じられないので、視聴者は心の動きがわかりません。
『るろうに剣心 最終章/The Beginning』は前作よりもヒューマンドラマ要素が強い分、表情の乏しさが作品全体のクオリティに大きな打撃を与えてしまったと思います。
(時折目を細めて葛藤を表現してはいたものの、それについては近視なの?と感じてしまいました…。)
演技としては桂小五郎を演じた高橋一生や有村架純の巴のほうがぜんぜん見応えがあったと思います。
最終章/The Beginningは、桂が抜けて剣心がメインのシーンになってから、急に映画としての勢いがなくなってしまったと思います。
ザ・ビギニングのストーリー・演出でダメだった点
るろ剣The Beginningはストーリーがダメだったということはなく、むしろ今までの「るろうに剣心実写映画シリーズ」では1番まとまっていました。
ただ、気になった箇所がいくつかあったので解説していきます。
顔がまったく汚れていない剣心
桂小五郎などの顔が幕府に追われる武士らしくいい意味で汚れていたのに対し、剣心の顔はずっと綺麗なままで浮いていました。髪型もビチッと決まってきます。
建物や武士はみんな小汚くてリアリティがあるのに、主人公だけ磨いたようにピッカピカなのは違和感がすごいです。(唯一畑仕事のシーンだけはちょっと汚れてましたが…)
巴の許嫁が見廻り隊で死んだと聞いて動揺しない剣心
巴が、許嫁が京都の見廻り隊に志願して死んだと聞かされたとき、自分が殺したとは考えないまでも、俺と同じような暗殺者が殺した可能性を考えてショックを受けるはずではないでしょうか?
ほとんど動揺が見られなかったのが違和感です。
二人の想い出の家に火を付ける
これは剣心が新たな出発のためにファイヤーをバックのシーンを撮りたかったのだと思いますが、「巴と一緒に過ごした思い出の場所を燃やす!?」と、ちょっとびっくりしてしまいました。サイコパスっぽいですね…。
爆弾で自分だけ吹っ飛ぶ敵キャラ
演出についてになりますが、剣心を洞窟に誘き寄せて爆死した敵は、爆弾の威力が届く範囲に剣心が来てから点火するべきではないでしょうか。無駄死にです。
その次の敵も、爆弾を爆発させますが、近くにいた剣心に衝撃こそあるものの、自分だけ吹き飛びます。
爆発のシーンはコントみたいでした。
辰巳を前に目を閉じ続ける剣心
爆発を目の前で受けて目が痛かったことはわかりますが、目が潰れていない限り敵・辰巳が剣を持って立っているとわかった時点で目を開けると思います。
目が見えないというか、かすんでいるだけの状態でなおかつピンチなら、普通は痛みを堪えて目を開けるでしょう。
目を閉じているのがちょっと不自然に感じました。
巴の最後のセリフ音声なし
剣心の頬に巴が傷をつけるシーンで、巴は口こそ動かしていたものの音声はありません。この場面は音があった方が感動したのでは?と思いました。
剣心は爆弾で耳が聞こえなくなっていたのかもしれませんが、「そこだけ律儀に一人称視点にしなくてもよいのでは?」と感じました。
今までの実写るろ剣映画と違ってグロい!
剣心が敵の頸動脈を噛み切ったり、腕をぶった斬ったりとリアルな惨殺をしている場面が多く、個人的にはその点が楽しめました。
実写前作までのチャンバラっぽい小手先のアクションではなく、なまなましくてグロかったです。完全にR指定の表現でしょう。
ただ、前作までのような派手なアクションを期待していた実写映画ファンは物足りなさを感じたかもしれません。
グロい話の続きになりますが、雪代巴が登場シーンで剣心が斬り殺した刺客の血を浴びている演出も美しかったです。水原希子主演の映画『彼女』もそんなシーンがありましたが最近流行っているのでしょうか?
女性と血、グロテスクですがアート的な美しさが生まれる組み合わせですね。
芸術点高め!
桜降る夜での斬殺と血飛沫!雪降る山小屋での愛する者を斬殺!などなど、『るろうに剣心 最終章/The Beginning』は芸術点高めのシーンが多くて、その点は良かったです。
殺陣の血飛沫もすごかったですしね。
桜が散る夜に人を斬り、血が舞う。映像として素晴らしいです。
最近公開の『Hokusai/北斎』とまではいかないにしろ、The Beginningは芸術的な表現が楽しめる映画だったと思います。
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