映画『グッバイ・クルエル・ワールド』(Goodbye Cruel World)。社会に居場所のない者たちがヤクザから大金を盗み、歯車が狂っていく異色作!もちろん登場人物は全員クズです!
作品情報・キャスト相関図・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、ラストのメッセージ考察、ストーリーネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
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映画『グッバイ・クルエル・ワールド』作品情報・キャストと演技の印象
英題:『Goodbye Cruel World』
ジャンル:バイオレンスアクション・ヤクザ
監督:大森立嗣
脚本:高田亮
撮影: 辻智彦
主題歌:ボビー・ウーマック「What is this」
原作はなくオリジナル作品です!
相関図
登場人物・キャスト紹介
登場人物 | キャスト・出演作 |
安西幹也 元ヤクザ。ホテル経営で妻子とやり直したいと思っている。 |
西島秀俊 今作の西島さんは“あのシーン”が最高でした。必見!棒っぽい演技だと言われることがありますが、やっぱ好きです。 (『ドライブ・マイ・カー』、『クリーピー偽りの隣人』ドラマ『真犯人フラグ』) |
萩原 危ない仕事で稼ぐ暴力的な男。 |
斎藤工 こんな悪い斎藤工見たことがない。迫力がすごくてもはや狂犬です。 |
美流 デリヘルで働く女性。恋人武藤の借金のせいで追い詰められている。 |
玉城ティナ 幸薄い女性といえば玉城ティナ!みたいなキャスティングでした(笑)。セクシーさも解禁! |
矢野 ラブホテルの受付係。美流のことが好き。 |
宮沢氷魚 (『賭ケグルイ』『ちむどんどん』 |
蜂谷一夫 ヤクザと繋がりがある刑事。 |
大森南朋 無表情で淡々と操作を続けながら、内側はどこか壊れている。そんなキャラを見事に演じてました。 (『ヘルタースケルター』『アウトレイジ最終章』) |
浜田 元学生運動員で、現在は過激派左翼として政治家の失脚などを画策している。 |
三浦友和 若者に説教しちゃう系おじさん最高。 |
飯島 元ヤクザで安西の舎弟だった。 |
奥野瑛太 本物です(笑)。本物のチンピラを呼んできて演技させているみたい。目ん玉ひんむいて呂律回らない感じが素晴らしすぎる。 |
武藤 美流のビビりな彼氏。 |
宮川大輔 |
ネタバレなし感想・あらすじ・海外評価
あらすじ:安西(西島秀俊)、浜田(三浦友和)、萩原(斎藤工)は、借金を返済できない美流(玉城ティナ)と武藤(宮川大輔)を雑用にしてヤクザが資金洗浄しているラブホテルに乗り込み、銃を突きつけて金を奪った。美流は自分が情報を提供したにもかかわらず取り分が少ないことに怒るが、萩原に軽くあしらわれる。一方、金を取られたヤクザは繋がりのある刑事・蜂谷(大森南朋)に犯人を捕まえるように依頼する。ならず者同士の醜い争いの火蓋が切って落とされた…。
メッセージ性・アート性が強いグロアクション。
ボタンの掛け違えから悲劇が…みたいな理不尽な展開の映画が好きな人はハマると思いますが、一般受けするかは疑問。見る人によって大きく評価が分かれるタイプです。
個人的には映像で魅せるメッセージ性が素晴らしく、見る価値はあると思います。
おすすめ度 | 75% |
狂気の世界観 | 90点 |
ストーリー | 70点 |
Filmarks | 3.5(5点中) |
※以下、映画『グッバイ・クルエル・ワールド』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『グッバイ・クルエル・ワールド』ネタバレ感想・評価
前半はわりと淡々と進んでいき退屈さを感じましたが、終盤からラストにかけて熟成された狂気が溢れ出るような展開に歓喜。
日本のヤクザ映画というより、タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』に近い雰囲気でした。(挿入歌も洋楽でしたし、意識したのかもしれませんね。)
本作で一番好きなシーンは、西島秀俊さん演じる安西がホテル経営で頓挫して元舎弟の飯島を殺し、気づいたら酒を飲む浜田の横で笑っている場面。
カメラのアングルと西島さんの表情の相乗効果で、白目がほとんど見えない不気味な瞳だったんですよね。
刑事の蜂谷が美流や矢野と一緒に楽しく踊っちゃう場面も素敵!
社会のクズ同士がシンクロしています(笑)。そして蜂谷は照明が点滅する中で刺されます。展開が唐突すぎ。狂ってますね。
斎藤工さんの萩野も良かったですね。人の命をなんとも思っていないホンマモンのクズ感が言動から溢れ出ていて素晴らしいと思いました。萩野が主人公のスピンオフみたいです(笑)。
そして忘れちゃいけないのが、安西の元舎弟・飯島役を演じた奥野瑛太さん。目を見開いて呂律の回らない状態で暴れる姿は本物のチンピラかと思わせられるほど凄まじかったです。役にハマりすぎ。
考察(ネタバレ)
ラストのメッセージ
ラストではお互い大怪我を負った安西と刑事の蜂谷が海辺のバス停でバッタリ出逢い、笑い合います。
なぜ海辺なのでしょうか。
美流と矢野が回想で話していた「海辺で暮らしたい」という想いとリンクしているからです。
もちろん安西が美流の想いを知っていたわけではないですが、何かに導かれたということでしょう。
“社会の掃き溜め”同士の心はシンクロしていたというメッセージだと受け取りました。
クルエル・ワールドの意味
クルエル・ワールド(Cruel World)は残酷な世界という意味です。
安西、美流、蜂谷、萩野、浜田ら社会不適合者たちにとって、残酷な世界とはこの日本社会そのものです。
彼らは社会のクズとしてしか生きられず、その生き方に別れを告げるためには死ぬしか道はありませんでした。
つまり現実に「グッバイ」しているわけです。
ハードボイルドですね。
社会不適合者同士の化学反応
『グッバイ・クルエル・ワールド』をひとことで表現するなら「社会不適合者同士が引き寄せられての化学反応」となるでしょう。
行き場のない者が行き着く先に待っているのは、同じく行き場のない者だけです。
彼らはそんなクルエル・ワールドから逃れることができません。その中でもがき苦しみ、お互いに争い潰し合う。
最初に強奪を働いた仲間だったはずが、ボタンの掛け違えから殺し合いに発展する。ものすごい皮肉ですね。
美流と蜂谷のダンスや血が飛び散る殺害シーンなどアート的な映像に彩られて、儚く散るしかなかった者たちの悲哀が浮かび上がってきます。
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