Netflix『ブラッド・レッド・スカイ』(原題:Blood Red Sky)は、吸血ゾンビママが飛行機で大暴れするドイツのパニックホラー映画!
アイデアは斬新でしたが、吸血ゾンビママのビジュアルが怖すぎて、母子愛やヒューマンドラマにイマイチ感情移入できませんでした。
思っていたよりアクションも地味目で、エンタメ性もありません。
キャスト作品情報、あらすじネタバレ解説、ぶっちゃけ感想や本作の評価を書いていきます!
Netflix『ブラッド・レッド・スカイ』作品情報・キャスト
公開・制作国:2021年7月23日 Netflix ドイツ・イギリス合作
監督:ペーター・トアヴァルト
脚本:シュテファン・ホルツ/ペーター・トアヴァルト
主演:ペリ・バウマイスター/ナディア役
出演:カール・アントン・コッホ/エリアス役
出演:アレクサンダー・シェーア/エイトボール役
出演:カイス・セッティ/ファリード役
監督のペーター・トアヴァルトは映画『ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない』などアクション系が得意な人物。
主演のペリ・バウマイスターはNetflixドラマ『ラストキングダム』などで有名な女優です。
見どころや評価
設定はとても画期的なのですが、万人が面白いというタイプの映画ではないです。
アクションがめちゃめちゃすごいというわけでもありません。
B級ホラー映画が好きな人にはおすすめですが、それ以外の人が見ると「なんか微妙」「つまんねえ…」となる確率が大体70%です。
『ブラッド・レッド・スカイ』海外レビューサイト点数と個人の評価
- Rotten Tomatoes 批評家81% 一般の支持89%
- IMDb 6.1/10
- 当サイトCineMag管理人の評価 68点/100
映画『ブラッド・レッド・スカイ』感想と評価
B級パニックホラー止まり
Netflix『ブラッド・レッド・スカイ』の評価は68点。
まず、吸血ゾンビになりかけの母親がハイジャック犯と戦うアイデアは斬新でよかったと思います。
『Sweet home俺と世界の絶望』のように主人公が怪物になれるパターンですね。
『ブラッド・レッド・スカイ』ではそこにさらに母子愛の要素も加わります。
主人公ナディアが「自分が怪物になってしまうのではないか」という葛藤も見られました。
ただ、登場キャラに魅力のある人物が少なく、特にヒューマンドラマ部分など物語全体としては見応えがない映画になってしまいました。
ハイジャックアクションなので、ハイジャック犯を印象深いキャラクターにしてほしかったですが、メインヴィランのエイトボールもイカれたサイコパスというだけで、特に掘り下げられてはいません。
また、迫力やアイデアが試されるゾンビアクションも普通というか意外と地味で、人々が機内でパニックになっているだけで2時間経ってしまった印象。
終盤で吸血ゾンビ化したエイトボールが飛行機の外に投げ出されて、また網を伝って戻ってくるシーンは良かったですが、それ以外はハッとさせられる場面が全体的に少なかったです。
ストーリー性がなくても『アーミー・オブ・ザ・デッド』『フィアーストリートシリーズ』のように派手なアクションが楽しめれば、エンタメとしてもっと楽しめたと思いますが、思ったよりリアル路線で地味な印象でした。
ラストのオチは良かった
ラストでエリアスが母・ナディアの理性が完全になくなって襲いかかってくるのを見て、飛行機を爆発させたシーンは良かったですね。
切なさ・皮肉・インパクトを兼ね備えたオチでした。
ナディアは息子エリアスを守ろうとしてモンスターになったにも関わらず、最後は息子に襲い掛かろうとしてしまうのですから。
ゾンビ化してしまった肉親殺しは『ウォーキング・デッド』などゾンビ作品で必ず出てくる十八番ではあるのですが、しっかり取り込んでいましたね。
ちなみにラストでは、個人的にケビンコスナー主演のB級映画『ネスト』を思い出しました(知っている人少ないだろうな…)。
考察!ママ吸血鬼のビジュアル怖すぎ
なぜNetflix『ブラッド・レッド・スカイ』が全体的として見どころの少ないゴリゴリのB級パニックホラーになってしまったのか。
個人的には明確な理由があると思います。
結論から言うと、吸血ゾンビになった母・ナディアのビジュアルが怖すぎて感情移入しづらいから。
母・ナディアは序盤で撃たれ、やむを得ず吸血ゾンビになります。
そこから息子エリアスとの絆が描かれていき、本来であれば彼女が吸血ゾンビ化してしまう葛藤までしっかり視聴者に伝わってくるはずでした。
しかし、ナディアのウーパールーパーに歯が生えたような怖すぎる見た目によって、そういったヒューマンドラマ要素に集中できません。
上記の写真を見てもらえばわかるように、もう完全に人間に見えなくて怖い…という印象しか出てこないんですよね。
なので息子のエリアスと抱き合っているシーンも感動などできませんでした…。
母子愛の物語にちょっと入り込みにくいですね。
(ちなみに吸血鬼がモチーフになるNetflixドラマ『真夜中のミサ』も配信中!)
母の愛と狂気はハイジャックより怖い
本作のテーマや伝えたいメッセージは何なのか?
それは、母の愛や狂気はハイジャック犯を凌ぐ!というものだと思います。
相手はハイジャック犯とはいえ、母ナディアは容赦無く殺して行き、結果的にエイトボール含め吸血鬼を増やして機内はパニック状態に。
結果的には、ナディアは息子を救うためにほとんどの乗客を犠牲にしたのです。
なんか他人の子供の肉を自分の子に与える古事の鬼子母神(きしぼじん)の伝説に通じる部分がありますね。
母の愛情が狂気に変化すると、飛行機くらいは爆発させられるということかな…。
『ブラッド・レッド・スカイ』は、母の愛の大きさと破壊力が伝わってくる作品でした。
吸血鬼なの?ゾンビなの?
『ブラッド・レッド・スカイ』のモンスターは吸血鬼なのでしょうか?それともゾンビなのでしょうか?
血を吸うので吸血鬼かと思いきや、相手を噛むだけで感染させられるのでそこはゾンビ設定ですよね。
吸血鬼の場合は、首から血をしっかりすっかり吸わないと相手を吸血鬼化できない設定が多いです。
あとは血をチュウチュウ吸うというより、噛み付いて相手が瀕死になっても関係なく貪る感じなので、そこもゾンビっぽいですね。
あとは、食欲が無限大だったり、理性がなくなって誰でも襲っちゃたりというのもゾンビ設定っぽいです。
こうやって挙げてみると『ブラッド・レッド・スカイ』のモンスターは、“血を吸う”要素以外はゾンビに近いといえます。
吸血鬼とゾンビのいいとこ取りみたいな感じなので、やっぱり吸血ゾンビという表現が正しい気がしますね。
映画『ブラッド・レッド・スカイ』ネタバレあらすじ解説
ナディアは“ある病気”の治療のために、息子エリアスとドイツからニューヨーク行きの飛行機TA473に乗りました。
しかし飛行機は、欧州イスラム過激派にハイジャックされてしまいます。
乗客は犯人たちから座席の上に手を置くよう指示されますが、少年エリアスが席を飛び出してしまいました。
エリアスを追った母・ナディアは、ハイジャック犯の1人のエイトボールという人物に撃たれてしまいます。
エリアスは泣き叫びますが…。
『ブラッド・レッド・スカイ』ネタバレあらすじ
撃たれたナディアは生きていました。
地下の貨物室へこっそり逃げて、吸血鬼に変身します。
ナディアは数年前の吹雪の日のことを思い出していました。
〜ナディアの回想〜
ある冬の日に夫・ニコライが運転する車に乗り、まだ赤ちゃんのエリアスを抱いていました。
しかし、ひと気のない道で車がエンストします。
夫・ニコライは助けを求めて入ったある道沿いの家で吸血ゾンビに殺されてしまい、ナディアも腕を噛まれてしまいました。
ナディアは吸血鬼に変身してしまう体になります。
その家に戻って吸血ゾンビの親に殺されそうになりながらも、変身を抑制する薬を奪って家に火をつけます。
〜現在〜
ナディアはパワーをつけるために貨物室の仔犬を殺して血を吸い、ハイジャック犯の1人を首を噛み付いて殺害。
飛行機の進路がハイジャック犯によって変更されていました(テロとして欧州のどこかへ墜落させるため)。
ナディアはハイジャック犯のリーダー・バーグを殺害します。
犯人たちはバーグだけが知る計画に沿って飛行機からパラシュートで逃げるつもりだったので、どうしていいかわからず混乱しました。
ナディアは他のハイジャック犯を倒そうとしますが、紫外線を照射するブラックライトで身動きを取れなくされ、捕まってしまいます。
ナディアはエイトボールに血を抜かれ、殺されそうになりますが、そこでエリアスが銃を撃って窓が割れて機内は大パニックに。
ナディアは地下の貨物室へ逃げたエイトボールを追います。彼は車の中にいて、ナディアの血を自分に注射して吸血鬼になりました。
ナディアはフロントガラスを少し割り、燃料を流し込んでエイトボールを燃やしました。
しかしエイトボールは生きており、仲間のハイジャック犯を噛んで次々に吸血鬼に変えていきます。
エリアスを気にかけくれた科学者・ファリードが手を噛まれたので、ナディアは彼が感染しないよう左手を切断。
吸血鬼たちは客室に躍り出て乗客たちを次々に噛み殺しました。
ナディアやファリードたちはコックピットに入り、副操縦士でハイジャック犯でもあるバスティアンに操縦を任せます。
飛行機をどこかに着陸させることになりましたが、このまま着陸すると何体もの吸血鬼がその地に解き放たれてしまい、パンデミックが起こってしまいます。
バスティアンは、貨物室で死んでいる犯人の1人が飛行機を爆発させるリモコン(スマホ)を持っていると言いました。
エリアスはナディアが止めるのも聞かず、狭い空間を通り抜け、そのリモコンを取りに地下の貨物室へ向かいます。
エリアスは拾ったブラックライトで吸血ゾンビたちの猛攻を退けますが、エイトボールに襲われてピンチに。
監視カメラでその映像を見ていたナディアは、バスティアンを噛み殺して彼の血を吸ってパワーアップ。エイトボールの元へ向かいました。
ナディアはエイトボールとの戦いで殺されかけますが、エリアスがドアを爆発させ、エイトボールは飛行機の外へ投げ出されます。
しかし、彼は荷物の網に引っかかって飛行機内に戻ってきました。そこで間一髪太陽がのぼり、エイトボールは皮膚がただれて死亡。
飛行機はファリードの自動操縦により無事スコットランドの空港に着陸します。
しかしファリードがテロの実行犯だと勘違いされてしまいました。
エリアスが助け出されファリードが捕まったあと、特殊部隊が突入します。しかし部隊は吸血鬼たちに殺されてしまいました。
エリアスは飛行機に駆け寄ると、完全に吸血鬼に支配されてしまったナディアの姿を見つけます。
ナディアがエリアスに襲い掛かろうと走ってきたので、エリアスはスマホの起爆ボタンを押して飛行機を大爆発させました。
吹き飛ばされたエリアスは生きており、犯人ではないと誤解がとけて解放されたファリードに抱きしめられます。
Netflix映画『ブラッド・レッド・スカイ』終わり。
最後にまとめ
Netflix『ブラッド・レッド・スカイ』はママ吸血ゾンビが息子のためにハイジャック犯と戦うという画期的なアイデアがありつつ、風貌が怖すぎてイマイチ感情移入できないイマイチな佳作でした。
アイデアは素晴らしいと思うのでもう少しだけママ吸血鬼の姿をキャッチーで人間らしくとどめておけば、フランス発ホラー映画『群がり』のようにもっと味わい深い作品になったと思うと残念です。
映画『ブラッド・レッド・スカイ』感想・評価レビュー終わり。
ネットフリックス・パニックホラー作レビューおすすめ記事
Netflixオリジナル『バイオハザード:インフィニットダークネス』は、レオンが軍部の闇をめぐって生物兵器と激しいバトルを繰り広げるフル3DCGアニメ。 まるでゲームをしているかのような臨場感に、わかりやすい悲劇のストーリーが楽しめま[…]
Netflixオリジナル『クラシック・ホラー・ストーリー』(A Classic Horror Story)は、男女が森の中の家で、激ヤバ激痛の事件でパニックになるイタリアのホラー映画。 コテコテの王道ホラーの要素が楽しめ、斬新なストー[…]