マーベル映画『ブラックパンサー/ワカンダフォーエバー』チャドウィック・ボーズマン亡き後のワカンダの女性戦士たちの奮闘を色鮮やかに描きます!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、メッセージ深掘り考察、ストーリーあらすじ結末・エンドロールのネタバレ解説を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』作品情報・キャスト
原題:『Black Panther: Wakanda Forever』
ジャンル:マーベルヒーロー・MCU・バトルアクション
年齢制限:G(年齢による制限はありません)
監督:ライアン・クーグラー
脚本:ライアン・クーグラー/ジョー・ロバート・コール
主題歌:リアーナの「ライフ・ミー・アップ」
2018年の前作に引き続き、ライアン・クーグラーが監督を務めます。ブラックパンサー以外では『ロッキー』のスピンオフ『クリード』シリーズも大ヒットさせた世界が注目する人物です。
登場人物・キャスト紹介
©︎マーベルスタジオ
主人公・シュリを務めるのはレティーシャ・ライト。『ナイル殺人事件』(2022)にも登場してましたね。
オコエはウォーキング・デッドのミショーン役で大好きなダナイ・グリラ。顔面から伝わってくるパワーやファッションセンスがすごい。
ティ・チャラの恋人の女性戦士ルキアを務めるのはルピタ・ニョンゴ。ジョーダン・ピール監督の『Us』の演技が印象深いです。
映画『Us/アス』は、『ゲット・アウト』(2017)や『NOPE/ノープ』(2022)の監督ジョーダン・ピールが2019年に送り出したサスペンスホラー。サスペンスホラーの王道の要素を多く含みながらも、セリフやシーンの生々しさ、予想で[…]
ラモンダ女王を演じたアンジェラ・バセットもさすがの迫力でした。
ヴィラン・ネイモア役のテノッチ・ウエルタさんは知りませんでしたが、本作でブレイクしそうですね!
あらすじ
ティ・チャラ(ブラックパンサー)が病死してから1年後。
妹のシュリは彼を救えなかったことをまだ後悔しながらハーブの研究に没頭している。
世界ではアメリカなどの大国がヴィブラニウムを手に入れようと、裏でワカンダの研究施設を襲撃させていた。
それを知った女王ラモンダは国際会議で「ヴィブラニウムは絶対に渡さない」と宣言し、捉えた傭兵を突き出す。
ラモンダは、シュリをサバンナに連れ出し、喪服を燃やす。そして兄を思い出し涙するのだという。
シュリはそんなのは迷信だと考えていた。
そのとき川からネイモアという男性が飛び出してきた。
彼は海中王国・タロカンの王で「他の国の船が海で自分たちの資源であるヴィブラニウムを採掘しているから協力して倒したい」と同盟を持ちかける。
ラモンダはいったんネイモアの要求を突っぱねた。
ラモンダはヴィブラニウム探知装置を作ったアメリカの天才学生・リリが狙われることを知り、シュリとオコエは彼女を助けるために現地へ向かうが…。
ネタバレなし感想・海外評価
チャドウィック・ボーズマンがいなくなってしまったブラックパンサーシリーズを女性讃歌として美しくよみがえらせた力作!
私が暮らす沖縄には米軍基地がある関係でアメリカの方が多く住んでいるのですが、本作は黒人の力強さをたたえる側面もあるからか映画館は黒人の家族連れが多く満員。鑑賞中は笑い声や驚きの声であふれていました。
シュリ、オコエ、ナキアら女性戦士の葛藤、ワカンダの行く末をかけた優美な海上バトルは見応え抜群です。
ただストーリーはメッセージ性重視で長いです。上映時間はなんと2時間41分。
おすすめ度 | 80% |
世界観 | 87% |
ストーリー | 70% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 86% 一般の視聴者 94% |
メタスコア(Metacritic) | 67(100点中) |
※以下、マーベル『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ネタバレ感想・評価
映像もメッセージ性もすごかったですが、前作と比較してクールさやエンタメ性に欠けていたと思います。
(それだけ故チャドウィック・ボーズマンが偉大だったということかもしれません。)
今回は海中王国タカロンとワカンダの総力戦ということで、海上での戦闘シーンに手に汗握りました。
爆発で水飛沫が上がるところや、エムバクがネイモアに殴られて装備が砕ける瞬間をスローモーションで映し、その迫力に体ごと引きずり込まれます。
地上・海・艦隊の上、さまざまな場所でバトルが繰り広げられるコンセプトはDCの『アクアマン』のよう。
戦いのロケーションが変わるだけでいくつもの絶品料理を堪能している気分になりました。
前作同様アフリカの打楽器や儀式がフューチャーされています。美しいビジュアル面に加えて民族学的な興味をそそられるシーンの数々に魅了されました。
ダナイ・グリラ演じるオコエの赤を大胆に使った奇抜なファッションがとってもすてき。見応え抜群です(笑)。いっぽうルピタ・ニョンゴ演じるナキアはブルー系でとても美しかった。
いっぽう、ストーリーはエンタメとしてめちゃくちゃ楽しい!というよりは黒人や古代ラテンアメリカ部族が侵略されてきた歴史に対する現代のアンサー的な側面が非常に強かったです。
故チャドウィック・ボーズマンをたたえ、前ブラック・パンサーで病死した兄ティ・チャカの面影が消えない妹・シュリ(レティーシャ・ライト)が2代目ブラック・パンサーを継ぐ話で、対抗組織としてタロカン部族が出てくるだけの非常にシンプルな内容。
黒人讃歌に加え女性讃歌のテーマもプラスされ、未来への希望は残す結末は見事でした。
前作はアフリカで育った黒人とアメリカで育った黒人同士の葛藤という非常に新しいテーマがあったのですが、本作はそれを「侵略された部族同士の対決」にトレースしたにとどまっていました。
ヴィブラニウムを奪おうとして争いの原因を作ったアメリカにどう始末をつけるのか描かれなかったのもちょっと不満。
ただこの流れでブラックパンサー3がワカンダ VS アメリカになるならワクワクします!
あと、気になったのが、海中部族・タロカンの設定や描写が来月2022年12月公開の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と酷似してませんか!?
海中部族・タロカンがクジラにしがみついて攻めてくるシーンには「なんかすごいものを見ちゃった!」という驚きと感動があるのですが、同じような場面がアバター2にあれば感動が薄れそうです(ジェームズ・キャメロンなら別次元かもしれませんが)。
現在、世界の興行収入第1位は『アバター』(2009)。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)が1度その記録を塗り替えたのですが、中国で再公開されたアバターが抜き返したという状態なんですよね。
なので公開時期を『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の少し前に設定したのは戦略というかやっかみもありそうです(笑)。
映画『アバター2:ウェイ・オブ・ウォーター』(Avatar: The Way of Water)。ジェームズ・キャメロンが極上の映像体験を作りあげてくれました!予想をはるかに超えるクオリティです。CineMagI[…]
メッセージ考察(ネタバレ)
被差別民族同士の対決
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は前作と同様、白人そっちのけで「黒人の黒人による黒人のための映画」でした。
新しいのは海中部族・タロカンが15〜17世紀のスペインによるラテンアメリカ征服で海に逃げ延びたという設定。
ワカンダとタロカンがたもとをわかち対決することになるのですが、これは世界史でアフリカの民族がヨーロッパ諸国のコマになって同族同士で争わされる構図とよく似ていますね(ルワンダ虐殺など)。
本作でも、アメリカやフランスなど大国がヴィブラニウムを勝手に採掘したせいで、ワカンダとタロカンの小国同士の戦争が勃発してしまいます。
ワカンダとタロカンは種族は違いますが、ヴィブラニウムで発展した文明を持ち、平和な暮らしを願っている点では一緒です。
しかし大国が絡んでくると、資源だけでなく先手を打って大国を排除するか、話し合いでどうにかするかで意見が致命的に割れてしまい争いが発生します。
ストーリーはシンプルでしたが、争いがおこるプロセスをうまく描くことで鋭い問題提起が出来ていたと思いました。
マーベルヒーロー映画でありながら、リアルな歴史問題を入れ込んでいるのが素晴らしいと思います。
争いの解決に関してはブラックパンサーとなったシュリも、ヴィラン・ネイモアもお互いを許すという感じで真新しくはなかったのがちょっと残念でした。
しかし細かい点でいえば、シュリはネイモアからもらったブレスレットの繊維でハーブの再生に成功したので、根底では共通の目的のためにつながっていたという解釈もできます。
ディティールにまでしっかりメッセージが込められていますね!
ラストの深い意味
エンドロール中にティ・チャカとナキアの間にトゥーサン(ティ・チャカ)という子供がいたことが明らかになります。
シュリは甥っ子の存在に希望を持つ感動のラストでしたが、ここには他にも深い意味が込められています。
それはワカンダを離れて暮らすトゥーサンの境遇がウンジャダカ(エリック・キルモンガー/前作のヴィラン)と共通なこと。
だから、シュリがハーブを摂取して仮死状態になったときに兄でも母でもなくウンジャダカが出てきたのでしょう。
甥っ子の未来のためです。
ウンジャダカの登場は復讐の炎にのまれて間違った争いをするなというシュリに対する警告の意味があり、その意図がシュリを通してトゥーサンにも伝わると思います。
ウンジャダカなりの罪滅ぼしなのかもしれません。マイケル・B・ジョーダン最高です。
ワカンダや世界が再び危機に陥り、遠い異国で選択を迫られたときトゥーサンはウンジャダカのように間違った決断をしないで済むでしょう。
現実でも、奴隷貿易や侵略によってアフリカ系・ラテン系と呼ばれる人たちは世界中に散らばっています。
散らばった国々で貧富の差もあるでしょう。
そんなときに同じルーツを持つ人々が争ってはならない!
ブラック・ライブズ・マター(BLM)の本質を抽出したような素晴らしいメッセージが込められていました。
↓『ワカンダ・フォーエバー』のラスト結末解説は2ページ目へ↓
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