岡田准一・綾野剛主演の映画『最後まで行く』。藤井道人監督が有名な韓国映画を原作にしたハイレベルなリメイクを作り上げました。
作品情報・キャスト相関図
あらすじ
ネタバレなしの感想
ぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
原作との違い解説
ラスト・砂漠のトカゲ考察
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『最後まで行く』作品情報・予告
制作国:日本
上映時間:1時間58分
ジャンル:サスペンス・クライム・ブラックコメディ
年齢制限:G(年齢制限なし)
監督:藤井道人
脚本:藤井道人/平田研也
撮影:今村圭佑
音楽:大間々昂
キム・ソンフン監督の韓国映画『最後まで行く/끝까지 간다』(2014)のリメイクです。
藤井道人監督
重厚な映像と社会派テーマを入れ込んだ作品が得意な藤井道人監督が、韓国の本格サスペンスをリメイク!
本作『最後まで行く』は完成度が高く、論理的に作られた印象でした。
緻密でシリアスな展開とシュールで笑えるシチュエーションのバランスもよく、原作の雰囲気を研究しつくしたうえで新しいものを作ったのでしょう。
2023年4月には横浜流星さん主演の映画『ヴィレッジ/Village』も公開され、こちらも面白かったです!
↓藤井道人監督作品のレビュー記事↓
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映画『最後まで行く』相関図キャスト
©︎https://saigomadeiku-movie.jp/
岡田准一
刑事課の工藤祐司を演じるのは元V6でジャニーズ事務所所属の岡田准一さん。汗まみれになりながら、自分がおちいる状況にパニックになっていく迫真の演技が堪能できました。
綾野剛
県警本部の監察官・矢崎を演じるのは綾野剛さん。
ネタバレになるので詳しくは言えないですが、本作の綾野剛さんの狂気的な演技は最高でした。ずっと見ていられます。
藤井道人監督作品では『ヤクザと家族 The Family』,Netflixドラマ『新聞記者』に出演してましたね。
2023年は戸愚呂弟役でNetflix実写『幽遊白書』に登場!2024年はドラマ『地面師たち』で主演。
キャストその他
役名 | キャスト(出演作) |
ヤクザ仙葉組の組長・仙葉 | 柄本明(『ロストケア』『ある男』『湯道』『シャイロックの子供たち』『ノイズ』『流浪の月』) |
工藤美沙子(工藤の妻。離婚寸前) | 広末涼子(『WASABI』『鉄道員(ぽっぽや)』『秘密』) |
淡島幹雄・課長 | 杉本哲太(『ヴィレッジ』,ドラマ『エンジェルフライト』) |
尾田創 | 磯村優斗(『今際の国のアリス2』『ホリック xxxHOLiC』『PLAN 75』) |
岸谷真由子(尾田創の彼女) | 清水くるみ(『桐島、部活やめるってよ』連続テレビ小説『ブギウギ』) |
映画『最後まで行く』日本版のあらすじ
12月29日。工藤刑事(岡田准一)は母が危篤だと聞かされ、豪雨のなか病院へと猛スピードで車を走らせていた。さらに課長から「おまえが受け取った賄賂について監査が入ることになったからすぐに来い」と連絡が入る。
道で女性がおどり出てきてぶつかりそうだった。その直後、工藤は飛び出してきた男性(尾田創/磯村勇斗)をはねて殺してしまった。
パニックになった工藤は死体を車のトランクに入れた。
そのあとで、検問所でトラブルに巻き込まれていた工藤のまえに監察官の矢崎(綾野剛)が現れる。
数日後、工藤の携帯に「お前が人を殺したのを知っている」とメッセージが入った…。
ネタバレなし感想・海外評価
二転三転するエンタメ性の高いサスペンスです。映像も重厚で見応えバツグンです!
岡田准一さん、綾野剛さん、柄本明さんなどキャストの迫真の演技にも引き込まれます。
細かい部分の設定は異なる点も多く、ヤクザ絡みの内容も大きく追加されていますので韓国のオリジナル版を見た人でも十分楽しめます。
おすすめ度 | 85% |
世界観 | 87% |
ストーリー | 85% |
IMDb(海外レビューサイト)※随時更新 | (10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)※随時更新 | 批評家 % 一般の視聴者 % |
メタスコア(Metacritic)※随時更新 | (100点中) |
※以下、映画『最後まで行く』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『最後まで行く』ネタバレ感想・評価
良かった点
日本版ならではの良い改変もあります。藤井道人監督による重厚感のある映像は相変わらず素晴らしいです。
岡田准一がピンチを切り抜けたと思ったらあらぬ方向へ二転三転してしまう展開もグッド!
途中から悪徳監察官の綾野剛サイドでストーリーが展開していく構成も見事でした。
キャストの演技もすごかったです。
何より悪徳監察官を演じた綾野剛さんと、ヤクザの組長を演じた柄本明さんの狂気がものすごすぎて、彼らの表情を見ることができただけでも劇場鑑賞する価値があったと思いました。
綾野剛さんは冷徹な表情でグイグイ迫ってくるところが、追い詰められたサイコパスっていう感じで良かったです。車上の爆発から生き延びる強引な展開でも有無を言わせない感があります。
柄本明さんは、まあこの人がアップでうつるだけで映画として成立するような貫禄があるのですが、特に最後エンドロール中に磯村勇斗さんを見下して「地獄から抜け出したいか?」とたずねるドアップの場面は、人間の深淵(しんえん)が垣間見えたような気がして、もはや芸術だと思いました。
もちろん岡田准一さんの凄みのある演技も良かったですが、個人的には綾野剛さんと柄本明さんが特に印象に残りました。
ダメな点:作り込みすぎ、クドイ
ダメというほど致命的ではないですが、強いていえばサスペンスとしては合理性・論理性を重視しすぎていて勢いが失われていた面があると思います。
昨今のコンテンツの流れなので仕方ない部分もありますが、説明過剰なのであれこれ考えて楽しむ余白がありませんでした。
綾野剛さん視点でのストーリーにけっこうな時間を割いたまではいいのです。
しかし事故が起こった場面、チンピラの磯村勇斗さんが撃たれた場面、ヤクザの柄本明さんとの関わりまで、視聴者に全部おっぴろげにしてしまいました。
特に綾野剛演じる矢崎とヤクザとの関係については、匂わせ程度でもよかったと思います。
綾野剛さんの義父まで悪人というのもやりすぎでした。
さらにヤクザの柄本明さんが岡田准一、綾野剛だけでなく、磯村勇斗やその彼女(清水くるみ)にまで裏で手を回していると明らかにしてしまいます。
全体的に話に合理性を持たせるための説明的な相関関係の枠を出ていないと思いました。
全貌(ぜんぼう)を見せてしまったがために、結局は柄本明の手の上で転がされていたという映画ではよくある話に落ち着いてしまいました。
2人の運命がシンクロした!というより、柄本明がすべて操っていた計算づくかつ矮小なイメージ。
すごく悪くいえば優等生が作ったサスペンスで、演技以外に突き抜ける要素がなかったような印象です。
悪い意味ではなく藤井道人監督は「隠されている部分に色気がある!」という美学を持っていないのでしょう。映画『新聞記者』『ヴィレッジ』とかもそうですが、藤井監督はどちらかというと隠された不正を暴く側に興味があるのだと思います。
最後は岡田准一が寺の墓地で綾野剛に新年のカウントダウンと同時にバックドロップをくらわせて倒すのですが、翌早朝、綾野剛はまた車で追いかけてきてチキンレースで幕を閉じます。
綾野剛に関しては貯水池で岡田准一が死体に仕掛けた爆弾で吹き飛んでいたので、あれで普通に生きているのも引っかかるうえに、また襲ってくる感じが若干くどいです…。
韓国の原作を見なかったことにはできないので評価はむつかしいですが、それを差し引いても韓国版の方がサスペンスとしてのインパクトはあったと思います。
韓国の原作と比較!違いは?
(※韓国原作版のネタバレをふくみます。)
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2014年の韓国オリジナル版と今回の日本リメイク版の主要な相違点を比較し、最後に両者の印象をまとめます。
まず、冒頭では主人公(岡田准一)の母がまだ死んでいないという点が異なります。車で磯村勇斗をはねちゃったあとで「お母さんが死んだ」と嫁(広末涼子)から電話がかかってくる絶望感がものすごいです。
飲酒運転の検問所で岡田准一がつかまっているときに綾野剛が出てくるのも、ここで出しちゃうんだという気はしましたが、良い変更だったと思います。
葬儀所の安置室の母の棺に死んだ男性の死体を入れる際は、韓国版が娘が持っていたリモコンで動く軍人のオモチャを利用して外からロープをたぐり寄せるアイデアがおもしろかったのに対し、日本版では岡田准一がふつうに換気口に入って死体をひきずって運びます。
葬儀所の監視カメラを風船で隠すお茶目なシーンもなかったですし、死体を棺に入れるまでは韓国版のほうが好きでした。
韓国版では悪徳警官がいきなり主人公の課にやってきて殴りつけ、主人公の顔を便器に突っ込むシーンだったのに対し、日本版では綾野剛がとつぜん岡田准一を車から引きずり出してボコボコにする流れ。
日本版では砂けむりが上がっていて映像としてはすごく美しかったですが、インパクトという面では韓国版のほうが優れていたと思います。
あとは韓国版では、金庫の鍵が死体のケツの中に入っているとわかり、それを取り出す超グロテスクでなまなましいシーンがあったのに対し、日本版では死体がカードキーを所持していて、あとは指紋認証のために指だけ切り落とす展開でした。
韓国版が細かい伏線をエサに視聴者の予想を裏切りまくるミスリード型だとしたら、日本リメイク版は説明型といえるのではないでしょうか。
韓国原作はマジシャンの数々のトリックでずっとおどろかされているイメージ。日本版はマジックの種明かしを楽しむ感じです。
構造が違うのでどちらが優れているとかはないですが、個人的には韓国版の演出のほうが全体的に好みでした。
ちなみに娘の名前は韓国版も日本版も両方、ミナですね。原作では広末涼子さんポジションは妹の設定ですが、本作では妻に変更されています。
ストーリー考察(ネタバレ)
砂漠のトカゲ
柄本明演じるヤクザ組長・仙葉がたとえ話として語った砂漠で片足と片手を交互にあげて手のひらの熱を逃すトカゲの話。
ちなみにアフリカ・ナミビア・ナミブ砂漠に生息するアンチエタヒラタカナヘビのことです。
『最後まで行く』の終盤で岡田准一と綾野剛が巨大な金庫と札束の山のなかで撃ち合うシーンがありましたけど、このとき2人とも四つんばいで動く様子がまさにトカゲで、綾野剛さんはご丁寧に片手片足で動いているシーンがありました。
組長・仙葉が行っていたように、主人公たちは現実から抜け出せない哀れなトカゲなのです。
ラストの意味
ラストでは岡田准一さんと生きていた綾野剛さんが橋の上で車をぶつけあい、笑いあいます。
よく2匹の蛇が絡み合っているロゴがありますが、似たもの同士の2匹のトカゲである2人がお互いの尻尾に噛みつきながら破滅していくことの示唆ではないでしょうか。
映画『最後まで行く』ネタバレあらすじ解説
パニックになる工藤刑事
工藤刑事(岡田准一)は男性の死体をトランクに乗せて母が息を引き取った病院へ急ぐ。
しかし途中で飲酒運転の検問で止められてしまった。飲酒運転をしていた工藤はあせり、警察のバッジを見せて「刑事だから見逃してくれ」と言う。
男性をはねていたせいでフロントガラスが割れていた。怪しんだ警官たちは工藤を車から出し、「トランクを開けろ」と言った。トランクの中の死体のスマホが鳴る。絶体絶命の工藤は暴れ出した。
そこへ県警本部の監察官の矢崎がやってきた。矢崎は工藤から「ワイロの件で話を聞きたい」と言われる。工藤は「母が死んだから病院に行かせてくれ」と言い、なんとかその場をしのいだ。
病院では妻・美沙子(広末涼子)が怪訝そうな顔をしていた。
工藤は死んだ母を見つめながらも、死体をどうしようか?という考えが頭から離れない。
葬儀会社の女性がやってきて、母の遺体はすぐ葬儀会社の安置室へ運ばれた。
工藤は「お通夜はやらなくていいから一晩母に付き添わせてくれ」と言う。そして夜に通気口から男性の死体を運び込み、「母さんごめん」と言って棺(ひつぎ)のなかに押し込んだ。
安置室に仙葉組の組長・仙葉泰(柄本明)がやってきて工藤に香典を渡す。工藤は仙葉からワイロを受け取る代わりに、仙葉組に便宜をはかっていた。
仙葉は砂漠で体が焼けないように砂に着いている足を交互に入れかえるトカゲの話をしたあと、「大金を手に入れられる」と持ちかけた。
工藤の母の葬式が行われる寺が政治家のマネーロンダリング(資金洗浄)をしており、数億の金が眠っているというのだ。
尾田という人物が金庫の鍵を持っているらしい。
翌朝、工藤は警察署に呼び出されて監察官・矢崎(綾野剛)と面談をする。
矢崎はヤクザからのワイロには目をつむると言い、「何か隠していることはないか?」と続ける。工藤は何も話さなかった。
工藤は仙葉に言われた通り、「尾田という人物を逮捕しよう!」と刑事課に提案。しかし尾田の写真を見た工藤は、自分が車ではねて今母の棺の中にいる男性だと知っておどろいた。
同僚の久我山太地(駿河太郎)たちが尾田のアジトへ乗り込むことになり、工藤もついていく。しかし工藤はそこに尾田がいないことを知っていた。
久我山は近くに監視カメラを発見し、ある車が尾田が住んでいた場所の近くで急ブレーキを踏んでいた場面を見つける。
工藤は自分の車が写っているのを見てビビるが、幸いにも映像は荒かった。
午後は母の葬式だった。工藤が寺に到着すると非通知で電話がかかってくる。工藤は相手が死体についての情報が乏しいことを感じ取り、電話を切った。
矢崎が突然ドアを開けて現れ、工藤を何発も殴った。
矢崎は娘・ミナを車に乗せ、「指定場所に尾田の死体を持ってこい!」と言い去って行った。
矢崎と尾田サイドの話
監察官の矢崎は裏で寺の資金洗浄や金庫の管理をしていた。チンピラの尾田に金庫の鍵をあずけていたが、尾田は鍵を持って逃走したのだ。
矢崎はヤクザの仙葉に「尾田を探してくれ」と依頼した。
いっぽう尾田は金庫を開けようとするが、金庫は二重ロックで、カードキーだけでなく矢崎の指紋認証も必要だった。
矢崎は気が気でない思いで自分の結婚式を迎えた。控え室で尾田が仕掛けた人物に記念の手形を押してしまう。県警の重役である義父から、金を無くしたら命はないとプレッシャーをかけられた。
尾田は仲間を使って、金庫の指紋認証を矢崎のものから自分の指紋に切り替えた。
尾田は金庫へ向かうが、仙葉組のヤクザたちに追いはらわれた。
尾田がアジトにつくと矢崎が銃を持って入ってくる。尾田と彼女・岸谷真由子(清水くるみ)はすきをついて走って逃げた。
しかし尾田は銃で撃たれ、さらに道に出たところで車に衝突されて死亡。
矢崎は工藤が尾田の死体をトランクに詰めたのを見てあせった。
ラスト結末
工藤は火葬を途中でとめ、やってきた同僚の久我山に事情を話して棺(ひつぎ)から死体を運び出すのを手伝ってもらった。
工藤は尾田の死体の指を彼のスマホに近づけてロックを解除。尾田のフリをして彼女の岸谷と連絡を取り、アジトに呼び出した。
工藤はやってきた岸谷をロープで縛り、事情を聞く。そして尾田の死体を調べて金庫のカードキーをゲットした。
外に出た工藤と久我山は車の中で今後について話し合っていた。そこへ矢崎から電話がかかってきて、工藤は外へ出ろと言われる。
工藤だけが外へ出ると、車に巨大なドラム缶が降ってきて久我山は死亡した。
工藤は尾田の死体から指を切り取り、死体には仙葉からもらった爆弾を仕掛けて矢崎が指定した貯水池へ向かう。
貯水池についた工藤は、尾田の死体と娘・ミナを交換した。
矢崎が車で去ろうとすると大爆発が起きた。車は吹き飛んで貯水池に沈む。
大晦日の夜、工藤はカードキーと尾田の指で墓場の奥にある寺の金庫を開けた。金庫のなかには札束の山がいくつもある。
そこへ生きていた矢崎がやってくる。2人は銃で撃ち合い、金庫の外へ出て殴り合った。
工藤は銃で脇腹を撃たれながらも矢崎にバックドロップを食らわせて倒した。
そこへヤクザの仙葉たちがやってくる。
仙葉は工藤をスタンガンで気絶させ、「そもそもワイロの件をリークしたのはワシだ」と言う。そして部下に金庫の金を積ませた。
仙葉の車には岸谷(尾田の彼女)が乗っている。
翌朝、目を覚ました工藤は車を走らせ、橋の上で停車。妻・美沙子に電話して「もう1度やり直さないか」と言う。
電話を切ったあと、車がぶつかってきた。矢崎だ。
工藤と矢崎は狂ったように笑い、叫びながら車を走らせ、ぶつかりあった。
日本版『最後まで行く』終わり
エンドロール
事件が起こる数日前。
仙葉組長は部下に尾田を暴行させ「地獄から抜け出したいか?」と聞いた。
最後のまとめ
藤井道人監督の邦画『最後まで行く』は、韓国のオリジナル版の良さを活かした素晴らしい仕上がりでしたが、突き抜けた部分がないのが少し残念でした。
藤井道人監督は『ヤクザと家族 The Family』はかなり好きなのですが、それ以外は80点くらいの佳作以上、傑作未満の作品を連発している気がします。
本作では砂漠のトカゲの話など比喩を使っていましたし、横浜流星主演の映画『ヴィレッジ』でも能面を抽象的な象徴としてフューチャーしていました。作風はじょじょに変化している印象もあります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『最後まで行く』レビュー終わり!
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