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映画『レミニセンス』

ネタバレ考察!映画『レミニセンス』記憶の海に溺れた人類のメタファー的舞台解説・ストーリー解釈と感想・口コミ評価や評判は?

映画『レミニセンス』(原題:Reminiscence)は、記憶潜入を警察から依頼された人物が、失踪した恋人の過去から陰謀を暴いていくスケールの大きなSF作品。

ヒュー・ジャックマン主演で、『ウエストワールド』のスタッフが集結していますが、正直SFサスペンスとしてはイマイチな出来栄えでした。

ひどいとまでは行きませんが、はっきり言って予告や公式サイトの宣伝のイメージと全く違います。

ただ、海に沈みかけたメタファー的な舞台が美しかったのと、記憶に関しての新しい概念を提示していたという素晴らしい部分もあるので、それらを重点的にネタバレ深掘り考察していきたいと思います。

あとは同じ記憶潜入モノとして似たコンセプトであるクリストファー・ノーラン監督の傑作SF映画『インセプション』と比較して、SFサスペンス的に何がダメだったのかネタバレ解説もしています。

CineMag
観終わったあとも一緒に『レミニセンス』の世界観に浸りましょう!ちなみにレミニセンスの意味は「それを記憶した時点より、あとでの方がより鮮明に思い出せるという意味の心理学用語」らしい。

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映画『レミニセンス』キャスト・作品情報

公開・制作国:2021年9月17日
監督・脚本:リサ・ジョイ
製作:ジョナサン・ノーラン
撮影:ポール・キャメロン
主演:ヒュー・ジャックマン
出演:レベッカ・ファーガソン
出演:タンディ・ニュートン(Thandiwe)
出演:クリフ・カーティス
出演:ダニエル・ウー
出演:アンジェラ・サラフィアン

ジョナサン・ノーランとリサ・ジョイ監督、そして女優タンディ・ニュートンとアンジェラ・サラフィアンはHBOドラマ『ウエスト・ワールド』でもチームを組んでいましたね。

レベッカ・ファーガソンとクリフ・カーティスは、ユアン・マクレガー主演のホラー映画『ドクター・スリープ』でも共演しています。

クリフ・カーティスは巨大サメ映画『MEGメグ』ドラマ『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』への出演で有名。

※以下、映画『レミニセンス』のストーリーネタバレありなので注意してください。

『レミニセンス』ネタバレ感想・評価

おすすめ度70%
SF世界観80点
ストーリー77点
IMDb(海外レビューサイト)5.9(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト37%(100%中)
映画『レミニセンス』のCineMag総合評価は78点。

クリストファー・ノーラン監督の実弟で『ダークナイト』『ダークナイトライジング』や『インターステラー』の脚本を務めたジョナサン・ノーランが制作ですが、それらのノーラン作品と比べるとSFの世界観の緻密さというか、鬼気迫るリアリティに欠けていると思います。

CineMag
記憶に侵入できる設定が思いっきり『インセプション』っぽいですが、本作はSFサスペンスとしては及ばないでしょう。(海外大手レビューサイトの評価も軒並み低いですね…)

特にがっかりしたポイントは「他人の記憶に潜入する!」という謳い文句とは裏腹に、基本的に寝てる相手の側でその記憶を投影して目視するだけなところ。

厳密にいうと相手の記憶に潜入しているというより、映像データを眺めているだけといった方が近いでしょう。

脳の回路の記憶に潜入しているなら、書き換えなどができないと変ですもんね。干渉できないのが違和感です。

ジョナサン・ノーランは僕が大好きなドラマ『ウエストワールド』の原案,監督,脚本も手掛けていますが、その作品と比較してもクオリティは低いと思います(まあウエストワールドは全てにおいてハイレベル過ぎますが)。

視聴者は、予告や公式サイトを見て期待したようなカタルシスは得られなかったのでは!?

一方で本作『レミニセンス』からは哲学的に深いメッセージを受け取れたので、そもそも緻密なSFサスペンスというより、記憶という概念を哲学的に覆すところに価値を置いた作品だと感じました。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』に近いテイストですね。

ただ、その余韻に浸れるような抽象的メッセージすら、スルメを噛むように反芻しないと単なる悲劇で受け取られてしまう伝わりにくさを孕んでいました。

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映画『レミニセンス』徹底考察

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記憶は単なる過去ではない!

レミニセンスのワンカット、女優レベッカファーガソン

記憶というと、過去のものだと思う人が多いのではないでしょうか?

しかし実際は、記憶が過去だけに属しているというのは私たちの思い込みなのかもしれません。

主人公・ニックが記憶に生き続ける映画『レミニセンス』のラストを考えると、記憶は過去であり現在であり、未来であり、そしてそのどれにも属していない別世界のようにも感じられます。

閃いた猫
時間軸で考えると、記憶は過去・未来・現在を超越した第4のベクトルなのかも!

サイラスの記憶を眺めるニックに対して、恋人メイが語りかける本作で1番ドラマチックなシーンがありますが、これも記憶が時間や場所を超越できる証明になっていると思います。

サイラスの過去にニックがアクセスし、メイがニックの存在を感じて話かける構図ですからね。

紐解けば、死ぬ直前のメイは未来のニックに想いを伝えていたことになります。

記憶とは単なる回想ではなく、時間や場所を超えて相手に想いを伝えられる手段だという素晴らしいメッセージがヒシヒシと伝わってきました。

実際私たちは自分の頭で、記憶の中にいる誰かを思って大切に感じることはできます。もしかすると、この時に相手にもその想いのエネルギーが伝わっているのかもしれませんね。

時空を超えた愛を感じたからこそ、ニックは記憶の中のメイと過ごす道を選び、そしてその想いは現在から過去のメイに実際に伝わっているのだと思います。

制作陣が本作で1番伝えたかったのは、そんな哲学的な発想ではないでしょうか。

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主人公はパラレルワールドへ

映画レミニセンスのラストシーン

実際には、人間の記憶は時間が経過するに連れて頭の中で都合良く改変されていきます。

ここからは推測も含みますが、記憶は単なる過去でなく自分の理想を反映したパラレルワールド(別世界)になり得るのかもしれません。

ラストで主人公・ニックはワッツが見守る中、記憶潜入装置の中でメイと生き続ける道を選び、そのまま記憶から覚めず老人になります。

何となく観ていると、

  • 最愛の人との記憶に溺れた
  • 1番幸せだった過去に逃避した

と取れるでしょう。

しかし実際は、ニックは記憶が生み出したパラレルワールドで恋人・メイと幸せに過ごしているのかもしれません。

死んだ妻を連れ戻すために冥界に行ったオルフェウスの物語(伏線)が裏切られたハッピーエンドです。

ギリシャ神話のオルフェウスの物語になぞらえるなら、主人公ニックは記憶という冥界の中で、恋人メイと暮らし続けるロマンチックなラストといえるでしょう。

神話のように生者の世界(現実)に帰らなかったパターンですね。

ただこのアイデアが斬新かと言われるとそうでもなく『インセプション』『マトリックス』とか『ミッション8ミニッツ』の設定に近いものがあります。

まとめると『レミニセンス』の結末は、SFサスペンスとして画期的ではないにしろ、純愛が織りなす美しさを孕んでいたと思います。

記憶の海に溺れるメタファー的な世界観!

レミニセンスの舞台

映画『レミニセンス』の舞台は海面上昇により、一般市民はダムで海水を抑えた足に水が浸かる場所で、ボートなどを移動手段に生活するディストピアでした。

閃いた猫
遠い距離から足が水に浸かったニックに近づいていく、冒頭1分ほどのワンカットシーンも素晴らしかったですね。

ニックの記憶潜入でも水に横たわりますし、この水に侵食された世界観自体が、人々が記憶の海に溺れたように見えて、メタファーとして非常に美しいと感じました。

作中では過去に大規模な世界大戦が起こった(ニックやワッツも従軍していた)と言及されてましたが、その戦争もメタ的に考えれば人間が過去の価値観に固執したことが原因で起こったのではないでしょうか。

つまり人類社会全体が、過去の記憶=幻想に囚われていたのです。

人々は争いを経て、美しい過去の記憶の海に溺れてしまったと表現しているようですね。

水浸しの世界と記憶潜入のアイデアがぴったりマッチしていたのは、人間の潜在意識の中で記憶と水がある面で共通するイメージを持ち、意味を伝えやすかったからだと思います。

さらに、この水浸しの世界自体がレミニセンス(記憶潜入)されている誰かの頭の中の比喩と考えることもできます。

ニックとメイの恋愛は装置で水に揺られている誰かの記憶の中の物語と考えてみるのも、それはそれで味わい深いでしょう。

閃いた猫
製作陣は『レミニセンス』は入れ子構造・マトリョーシカという裏設定まで考えていたのかもしれない!

推測ですが映画の本編で入子構造まで明かしてしまうとストーリーの結末として微妙なため、世界観での表現に留めたのかもしれませんね。

インセプションと比較・レミニセンスの欠陥

記憶と現実世界の区別がない

レミニセンスのヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソン

SFとして考えた時の映画『レミニセンス』の1番大きな弱点は、潜入した自分の記憶と現実世界が大差ないことでしょう。

普通に考えてみても潜入した記憶と現実では、異なる点がたくさんありそうですが、そういう設定がなかったのが残念でした。

『インセプション』みたいにコマ(トーテム)を回して現実と区別できるとか、何か個性的なアイデアがあってもよかったのでは?

記憶と現実の境目が曖昧なことで、現実だと思っていたら記憶だったという裏切りは生まれるのですが、それだけだと観ていて回想を上手く使った作品と大して違わないと感じてしまいました。

ルールが弱い・ゲーム性がない

映画レミニセンス

『レミニセンス』では過去に起こった五感に入っている記憶・情報全てを追体験できるので、潜入した先が現実世界まんまで区別できない理屈も分かるのですが、これが作品をつまらなくしていた原因だと思います。

なぜって自分の記憶を詳細に辿るだけなら、「待てよ、よく思い浮かべてみるとこんな出来事があったぞ!」と探偵がひらめく昔ながらのサスペンスと本質的に変わりません

事件あとで鮮明に思い出すのがレミニセンスという言葉の本来の意味でもあり、それを映像を使って記憶をリアルに再現したのは分かりますが、そもそも映画やドラマで回想するときは当時の映像が俯瞰的に挿しこまれるので、目新しい印象を受けません。

他の記憶潜入ルールについても、

  • 記憶に長く滞在するとバーン(焼き付き)が起こり、現実に戻ってこれない。
  • 記憶と異なる経験してない方向に誘導されると、脳に異常をきたす

など、ありがちでインパクトに欠けるものです。

『インセプション』なら、夢に階層がある、時間の進み方が違う、リンボ(煉獄)にいくと戻ってこれないなど、もっと煮詰められてワクワクするルールがあり、それによってゲーム性が生まれていましたが、比較して『レミニセンス』は知的SFゲーム感が薄かったですね。

最後のまとめ

映画『レミニセンス』はSFサスペンスとしてはちょっと残念なストーリーでしたが、記憶潜入のモチーフを最大限に活かした海面上昇で水浸しの美しい世界観や、記憶の概念を覆すようなメッセージがあり、そこが印象深かったです。

ただ、『ウエストワールド』のスタッフが集結していたので、あのドラマで得られたようなカタルシスがなかったのがちょっと残念でした。

最後で読んで頂きありがとうございます。『レミニセンス』レビュー終わり!

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