『終わらない週末』ネタバレ考察・ラスト解説 鹿の意味,フレンズ,何が起こった?映画あらすじ評価,Netflix

  • 2024年4月29日

2023年12月8日配信のNetflixオリジナルのサスペンス映画『終わらない週末』。

サイバー攻撃で携帯やパソコンが使えなくなった突然の終末世界。

郊外に豪華な別荘を借りて過ごしていた夫婦のもとに、オーナーだと名乗る怪しい人物が駆け込んでくるのですが…。

ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク、マハーシャラ・アリらトップスターが共演するミステリアスかつシュールなサスペンスです!

シネマグ
全米図書賞にノミネートされた同名の原作小説がもとの期待大のサスペンス!予想以上に斬新なストーリーでした!意味不明な物語を徹底考察していきます!

作品情報・キャスト

ネタバレなしの感想

物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説

視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)

考察:ラストシーンの解釈、鹿の2つの意味、監督による解説

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓

サスペンス映画『終わらない週末』おもしろかった?(投票どうぞ)

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Netflix映画『終わらない週末』作品情報

公開:2023年12月8日
制作国アメリカ
上映時間:2時間21分
原題:『Leave the World Behind』
ジャンル:サスペンス・スリラー
年齢制限16歳以上
監督:サム・エスメイル(『MR. ROBOT ミスター・ロボット』)
脚本:サム・エスメイル
原作:ルマーン・アラム終わらない週末(Leave the World Behind)
配信:Netflixオリジナル
シネマグ
バラク・オバマ元大統領が製作で参加しています!

映画『終わらない週末』キャスト

映画『終わらない週末』主要キャスト4人

アマンダ役|cast ジュリア・ロバーツ(『プリティ・ウーマン』『ノッティングヒルの恋人』『シークレット・アイズ』)

クレイ役(アマンダの夫)|cast イーサン・ホーク(『ガタカ』『トレーニング・デイ』『リグレッション』『ムーンナイト』『ノースマン 導かれし復讐者』)

G・H・ジョージ役(ゴージャスな別荘のオーナー)|cast マハーシャラ・アリ(『ムーンライト』『グリーンブック』)
(G・H役は、企画当初はデンゼル・ワシントンが候補に上がった)

ルース役(G・Hの娘)|cast マイハラ

ローズ役(アマンダの娘)|cast ファラ・マッケンジー

アーチー役(アマンダの息子)|cast チャーリー・エバンス

ダニー役|cast ケビン・ベーコン(『Cop Carコップカー』『ラブ・アゲイン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』)

映画『終わらない週末』あらすじ

映画『終わらない週末』ジュリア・ロバーツ

アマンダ(ジュリア・ロバーツ)と夫のクレイ(イーサン・ホーク)は、ニューヨークの近郊にあるゴージャスな別荘を借りて週末をそこで過ごしていた。

息子のアーチーや娘のローズも一緒だ。

しかし優雅な休息の日も束の間。未曾有のサイバーテロが発生し、世界中で携帯電話やパソコンなどの電子機器が使用できなくなっていた。

海へ行くと、巨大なタンカーがコントロールを失ってビーチに突っ込んできた。アマンダたちは逃げる。

アメリカ国内は大パニックになる。しかしアマンダたちは何も情報を得られず、状況をつかめない。

夜になるとアマンダらが滞在する家に、この別荘のオーナーだというG・Hジョージ(マハーシャラ・アリ)と彼の娘・ルースがやってくる。

G・Hは「混乱する市街地から逃れるためにやってきた。急だけど泊めてくれ」と説明する。

アメリカは崩壊へと突き進んでいた。

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映画『終わらない週末』ネタバレなし感想・海外評価

映画『終わらない週末』ジュリアロバーツが叫ぶシーン

ブルーを基調とした映像が凄まじいほどに美しく、ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホークらキャストの演技も素晴らしいです。

シネマグ
ストーリーは非常に考えさせられるものですが、逆に考えないと意味不明なまま終わります

詳しくはネタバレの項目で語りますが、明確なオチがある普通のサスペンス・スリラー映画ではありません

感想を語る犬
個人的には観る価値は十分あると思います。ただ好みや賛否はハッキリ分かれるでしょう。
海外の口コミ評判

悪い口コミ「ひどい結末」

私はこの映画をとても楽しんでおり、どこかにつながると思っていましたが、そうではありませんでした。

撮り方も音楽も演技も。すべて素晴らしかったです。この映画は特別なものになる可能性を秘めていました。なんてがっかりしたことか。

映画のペースは一流で、2時間20分を感じません。夢中にさせ、ずっと何が起こっているのかを謎に思わせる演出は効果的でした。

しかし、実際に何が起こっているのかを知るとがっかりさせられます。

この映画をお勧めしないとまでは言いませんが、視聴中は期待を抑えてください。

©︎引用元


良い口コミ

めちゃくちゃ素晴らしいです。わかる人ならわかる作品。もし何が言いたいかをつかみとれなければ、最後にはイライラすることになります。

私は100%夢中になり、携帯電話をスクロールも一時停止もしませんでした。

素晴らしいパフォーマンスで、全体的にゾクゾクしました。

劇的で信じられないほど奇妙です。

©︎引用元

感想を語る犬
海外レビューサイトでは、演技や映像、テンポは素晴らしいと言われているものの、全体のコンセプトや結末をめぐって賛否両論の状態です。
おすすめ度 80%
世界観 90%
ストーリー 85%
IMDb(海外レビューサイト) 6.8(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 74%
一般の視聴者 48%
メタスコア(Metacritic) 67(100点中)

※以下、Netflix映画『終わらない週末』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『終わらない週末』ネタバレあらすじ解説

何が起こっているかわからない…

アマンダはG・Hを信用できず、彼と娘をこの別荘に泊めたくはなかった。本当にこの家のオーナーかも怪しい。

テレビにサイバーテロの特別警告が流れる。アマンダは仕方なくG・Hを泊めることを了承した。

パソコンやネットも当然ながら使えない。娘のローズはドラマ『フレンズ』の最終回が見たくて仕方なかったが、ネット配信サイトの画面も止まっている。

翌朝、ローズは別荘にたくさんの鹿がやってきたのを目撃した。

クレイは車で近隣のスーパーまで行こうとする。途中でスペイン語で助けを求める女性がいたが、クレイは見捨てて車を走らせる。

大きなドローンがアラビア語が書かれた赤いビラを大量に地上にまき散らしている。クレイはパニックになりながら別荘に戻った。

ローズとアーチーは近くの森で小屋を見つけた。

付近でものすごい騒音が鳴り響き、みんなは耳をふさいだ。何かの攻撃だろうか。

アマンダたちは車に乗り込み、別荘から離れることにした。

しかし市街地に向かう道路は、何百台ものテスラの自動運転車で塞がれている。

アマンダたちに向かって自動運転の車が数台突っ込んできた

アマンダは見事なハンドルさばきで突っ込んでくる車を回避しながら、仕方なく別荘へと戻る。

衝撃のラスト結末

夜になると、数匹のフラミンゴが別荘のプールに降り立った。

翌朝、アーチーが血を吐き、歯が数本抜け落ちる

クレイはG・Hに連れられて近隣に住む用心深い男・ダニーのところへ。

ダニーに薬をもらおうと思ったが、ダニーは戦争が起こったと信じており、薬をわけてくれない。

G・Hとダニーは銃を向け合った。

クレイが間に入って止め、ダニーを説得する。ダニーに金を渡し、アーチーに効きそうな薬をもらった。

いっぽう、アマンダとルースはいなくなったルースを探して森の小屋へ。

小屋は数十匹のシカに囲まれた。1匹の大きなシカが何かを言いたげにアマンダに近づいてくる

アマンダはシカを威嚇して追い払った。

シネマグ
シカに向かってわめきちらすジュリア・ロバーツが笑えました。シュールすぎ。

ルースとアマンダは、海の向こうに見える市街地にミサイルが降り注いでいる光景を目撃して唖然とする。

ローズは近くにあるソーンズ邸にいた。無人だった。

ローズはお菓子をほお張ると、赤い廊下の先の階段を降り、地下シェルターを見つける。

地下シェルターには長い間生活できそうな設備がそろっていた。

ローズは大量のDVDの中からフレンズの最終回を見つけ、プレイヤーの再生ボタンを押す

映画『終わらない週末』終わり

映画『終わらない週末』ネタバレ感想・評価

映画『終わらない週末』の評価は88点。
シネマグ
映像はアートとも呼べる美しさ余白広すぎのシュールな物語あっけないけど印象的なラスト。個人的にはかなり好きな映画でした。

戦争に巻き込まれたのか?それとも人類が感知できない外敵が現れたのか?何が起こっているのかは最後まで明かされません

放射線量は上がり、ミサイル攻撃もありましたので戦争かと思いきや、結局アーチーの歯が抜ける病気やシカの行動は説明されませんでしたからね。

何が起こっているか答えはありません

具体的に何が起こったかを考えてしまうと、本作の罠にハマります。

終盤でマハーシャラ・アリが言っていた「アメリカを壊滅させる軍事作戦=誤情報に踊らされてお互いにつぶし合う」。これと同じパターンにハマってしまうわけです。

感想を語る犬
視聴者を皮肉るような構造ですね。

何が起こっているかわからない中で、ジュリア・ロバーツは鹿の群れに向かって喚き散らしたり、イーサン・ホークは空から撒かれた大量のビラにビビりまくったり…。

登場人物はいたって真剣でも、見ている側からしたら笑えるシーンが多数盛り込まれています

ケビン・ベーコンも、「これからは物々交換が主流になる!」と豪語しておきながら、しっかり金を受け取っているという…もはや笑うしかありません。

アマンダとG.H.、クレイとルース(G.Hの娘)がそれぞれいい感じの雰囲気になるのも、不安から起こる人間性のゆるやかな崩壊と見れなくもないです。

「終末に巻き込まれた人たちを観察すると面白い!」そんな不謹慎かつリアリティのあるテーマが込められていると思いました。

好き嫌いは置いておいて、非常に高度なメッセージです。

情報の錯綜感はコロナ禍を彷彿とさせます。

ちなみにマハーシャラ・アリ演じるG・Hが言っていた「国防省と取引している超有名なクライアント」は、おそらくイーロン・マスクのことでしょう。

感想を語る犬
テスラの自動運転車が大量に事故っていましたし、思いっきりネタにされてますね。

笑い同時に根源的な恐怖もあります。

フレンズの最終回観てたら、いつの間にか死んでた…。案外、人類の終末はそんな感じかもしれません

妙にリアルで、もはや悟りの領域にあるストーリーだと思いました。

サスペンスとしては明確な結末がほしかった気もしますが、フレンズオチはある意味でインパクト抜群。(ちなみにフレンズのくだりは原作小説にはないらしいです。)

高度なギャグと悟りをミックスさせた斬新な終わり方でした。さすが全米で話題になった小説がもとになっているだけあります。

『終わらない週末』ネタバレ考察

ラストシーンの解釈

娘のローズが別荘の近くの家の地下シェルターでフレンズの最終回DVDを探して、それを見るところで終わる衝撃のラスト!

まず前提として感想の項目でも触れたように、アメリカで何が起こっているかを具体的に考えた時点で罠にハマっているので気をつけましょう。

そこは「未曾有の脅威が訪れた」くらいのフワッとした感じにとどめておく必要があります。答えがない物語ですから。

答えのないストーリーを呑み込む大人の度量が必要です。

それを踏まえて、ラストや本作のストーリーは何を意味しているのでしょうか?

解釈はいろいろあると思いますが、個人的には実際の終末は滑稽なもの」というテーマがあるように思いました。

何が起こっているかわからないながら全員がパニックに陥り、ローズは何か危機的な状況だとは理解しているものの、フレンズの最終回を見たいという願望に取り憑かれています。

映画『パンズ・ラビリンス』のメッセージとも通底する部分がありますね。

シネマグ
現実逃避の最後の手段がフレンズの最終回なわけです。

戦争に巻き込まれる時や、人類の終焉は案外こんな感じなのかもしれません。

感想を語る犬
くだらない描写が多いように見えて、実はかなりリアルな終末世界を描いたのが本作だと感じました。

ローズの今後も全く謎ですよね。

鹿とフレンズに導かれた結果1人だけ助かるかもしれませんし、地下シェルターだからといってミサイルが直撃したら死ぬだろうし。

シネマグ
フレンズを観てたらいつのまにか人類史が終わっていた…そんな視点が込められていると思いました。

人類の儚さを体現したような、ある意味で非常にリアリティのある結末でした。

鹿(シカ)の意味

2つの解釈があると思います。

シネマグ
1つ目は鹿はローズやアマンダにメッセージを伝える神の使いというもの。

ローズは、ドラマ『ザ・ホワイトハウス』のとあるエピソードについて語りました。

「洪水が起こったとき、ある信心深い男性が『神が助けてくれる』と1人で祈りを続け、『逃げろ』というラジオの警告やヘリなどの助けを拒否。その結果、男性は死亡して神に文句を言った。しかし神は『ラジオやヘリなどを送ったがお前は拒んだ』と語った」

つまり本作では、神からのメッセージが鹿なのです。

中盤でローズは森で鹿を見つけます。その奥にはシェルターのあるソーンズ邸がありました。

ローズはそこへ行くべきだと直感し、最後にはシェルターを見つけました

さらにローズはそのあと鳥の群れが飛んでいるのを凝視しています。

論理的ではなく、鹿や鳥などの自然から何かメッセージを感じたのでしょう。

週末世界では常識や論理思考なんて何の役にも立たない」と言っているようで興味深いです。

しかし、逆に母・アマンダは神からのメッセージである鹿を追い払います。

神からの助けを拒否した男性のエピソードと同じですね。

人は本当にピンチのときに先入観で選択を誤ってしまう。そんな教訓があると思いました。

2つ目の解釈は先程とは真逆で、人類の終焉を感じ取った鹿が人類の居住区域にどんどん侵入してきているというもの。

鹿たちの「おまえら(人類)はもう終わりだ!これからは俺たち動物が輝く時代」というアピールに見えなくもないですね。

上空から回転するように人物に迫るカメラワーク、それに加えて鹿やフラミンゴを出すことで、人類という枠組みを超えた視点で物語が切り取られていたようにも思いました。

月から地球を眺める視点もありましたね。

感想を語る犬
神の視点や宇宙規模、人間以外の動物の視点からある家族が迎える人類の終焉を描く。そんな映画でした。

サム・エスメイル監督による解説

ローリングストーンのサム・エスメイル監督インタビューによると、「原作小説を読んで恐怖を覚えた。人は災害や危機によって容易に人間性を失っていく。これは現実社会でも常に起こっている」と感銘を受けて、映画化してみたいと思ったそう。

やはり「何が起こっていたか?」よりも、「終末で人々の人間性が徐々に崩れていく」ことにスポットを当てた作品のようです。

サイバー攻撃は映画のオリジナル要素だとも書いてました。実際に何が起こっていたかの謎を明確にしてしまうことなく付け加えられる要素だったとのことです。

最後のまとめ

映画『終わらない週末』は、どうやって撮影したのかわからないような興味を惹く映像の数々と、終末世界に人間がどんな行動をするかのシュールなメッセージが組み合わされた良作でした。

本当の終末は滑稽である」そんな含蓄が聞こえてきそうです。

公開後の評価はやはり海外や国内問わず賛否両論でしたね。

とりあえずみなさんもフレンズの最終回は早めに観ておきましょう(笑)。でないと世界が終わるときにDVDを探し回るハメになります。

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