Netflix映画『ノー・ウェイ・アウト』ネタバレあらすじ感想!蛾と悪夢と怪物考察・伏線解説・映画評価

  • 2022年12月14日

映画『ノー・ウェイ・アウト』ラスト結末の解釈と伏線

『ノー・ウェイ・アウト』のラスト結末の意味は何でしょうか。

まず、アンバーは足がいきなり治ったりしているのですでに死亡していると解釈できるでしょう。

彼女は死んだ後も、屋敷の中で悪夢をみながら彷徨い続けているのです。

CineMag
後味の悪い胸糞バッドエンドですね。

彼女が結局邪悪から逃れられない結末は、タイトルで示唆されています。邦題は『ノー・ウェイ・アウト』で、日本語だと「出口はない」という意味です。

英題も『No One Gets Out Alive』で、こちらも「誰も生きて出られない」という似た意味。

つまり、タイトル自体がストーリー結末の伏線というかネタバレになっているわけです。特に英題はラストのオチそのままですね。

アンバーは屋敷に来てから悪夢を見るようになるわけですが、石の箱から怪物が出てくる儀式の際も夢を見てましたし、いつから死んでいるのかが不明確です。

最後の儀式で実際に怪物に首を食いちぎられていたとも解釈できますし、物語の中盤までにすでに死んでいた可能性もあります。

蛾のメタファー考察:怖すぎ…

ノーウェイアウトの蛾

屋敷の中では蛾が飛び交い、作品のモチーフになっていました。蛾が何らかの意味を持っていると考えられます。

主に2つの意味があると思います。

蛾=母親

アンバーが、屋敷のベッドの横の蛾を手で潰して殺した後に、その蛾がまたパタパタと羽ばたき、母親が現れます。このシーンの意味は母親=蛾でしょう。

この場面と、終盤でアンバーが儀式の最中に見た夢で母親を殺しているシーンが連動している気がします。

1つの解釈では、アンバーは実際は母親を殺しているのだと思います。

アンバーはキンシとバーで飲んでいるときに、「全てが終わってから(母が死んでから)再スタートを切った」と言っていましたが、本当は病気の母親を殺していたのではないでしょうか。

CineMag
中盤で蛾を殺すシーンで、母親を殺したと示唆している…。そう考えると恐ろしいですね…。

ラストでアンバーの手の中から蛾が出てきたのも、殺したはずの母親と同じ世界にいるという証明でしょう。

アンバーが聴いていた母親のボイスメッセージは「今日はありがとう。明日も会いにきて(母親)」でした。普通に考えると病気の母からの最後の言葉だったのかもしれませんが、いつもお見舞いに行っていたなら「明日も会いにきて」とはならないはずです。

実際に殺してはいなくてもあまりお見舞いに行かずに、そのまま母親が死んでしまったのかもしれません。

アンバーはメキシコの古代文明の呪いの石箱に殺されたように見えますが、石箱の中には母親の呪いも入っていたという解釈もできて、面白いと思いました。

蛾=現実と夢の境界線

蛾がアンバーの母親の霊のメタファーになっていることから派生して、現実と夢の境界線を表しているとも考えられます。

抽象的な発想ですが、蛾の片方の羽は現実、もう片方は夢や死の世界と捉えると、蛾が羽ばたくと現実と夢がクロスするようなイメージになりませんか。

エンディングで蛾の羽が左右反転になった万華鏡のような映像が流れていましたし、蛾は現実と夢や死後の世界の境界線を表現しているのだと思います。

先程のアンバーがいつ死んだのか?いつからが夢か?の話につながりますが、もしかするとアンバーがベッドの横の蛾を殺したとき、悪夢の中に飲み込まれたのかもしれません。

石の箱と怪物の意味

石の箱から出てきた怪物

石の箱(映画『樹海村』のコトリバコみたいですね)は、メキシコの古代アステカ文明で生贄の儀式に使われていたと推測できます。

石の箱には横たわる赤ちゃんの霊?もいましたし、生贄にされた女性・子供などの怨念がこもっているのでしょう。

この石の箱から出てきた女性の顔をした変な怪物は、調べてみたところアステカのトウモロコシの女神チコメコアトルだと思われます。チコメコアトルは生贄を斬首するようなので、『ノー・ウェイ・アウト』の怪物と一緒ですね。

ただ、怪物にはもっと抽象的な意味もありそうです。

アンバーは、死んだ母親の「明日も会いに来て」というボイスメッセージにすがっており、母子の仲が良かったのか微妙ですし、彼女自身が母親を手にかけた可能性も捨てきれません。

また、冒頭に出てきてすぐに怪物に襲われた女性シモーナも、電話の会話から家族と何らかのトラブルがあってアメリカに来ていました。

2人の女性から、親に対して後ろめたい感情が共通して浮かび上がってきます

彼女たちの親に対しての良心の呵責と、親が抱いたであろう情念の対比は、まるで蛾の2枚の羽のようです。

視点を広げると彼女らは親だけでなく、母国を捨てたという捉え方もできます。

石の箱はメキシコ・アステカの神様が、土地を離れる若者たちの魂を悪夢に封じ込めるための装置なのかもしれません。

ちょうど、親が子供を箱入りにするイメージですね。

Netflix『ノー・ウェイ・アウト』ネタバレ感想・評価

Netflix映画『ノー・ウェイ・アウト』の評価は70点。
観終わったあとでいろいろ考察を巡らせると面白いですが、映画自体はあまり面白いと思えませんでした。
序盤ですぐ幽霊がたくさん出てきちゃって緊張感がないですし、終盤まであまり怖くない展開がダラダラと続いていきます。
「アンバーやっぱ死んでたんか〜」という感慨深い終幕は素敵でしたが、それ以外は特に見どころがありませんでした。
オリジナリティはあり、最近のNetflixホラー・サスペンスだと『ブラン・ニュー・チェリー・フレイバー』や『悪夢は苛む』をあっさりさせたようなテイストですね。
ちなみに読者様のアンケートは2021/10/07時点で81件頂き、「イマイチ」と答えた人が38%で1番多かったです。そのほかはバラツキがあるので、満足度は一般的に低いけど人によっては刺さると結論づけでよいでしょう。

最後のまとめ

Netflixホラー映画『ノー・ウェイ・アウト』は、蛾をモチーフにした美しいテーマ主人公アンバーと母親の関係など含みのある奥深いストーリーが堪能できる一方、ホラー的な恐怖や面白さが足りなくて残念でした。

もう少し全体的に緊張感があれば良作になっていたと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。『ノー・ウェイ・アウト』レビュー終わり!

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