Netflix『悪夢は苛む』ネタバレあらすじ感想!ダヴィドの正体や儀式の意味考察・評価・伏線の解説

  • 2024年3月24日

Netflix映画『悪夢は苛む』(原題:DISTANCIA DE RESCATE)は、娘を連れてアルゼンチンの田舎でひと夏を過ごそうとする女性が、謎の少年ダヴィドと出会い、悲劇に見舞われる物語。

環境問題と抽象的な難解サスペンスを合体させたような実に奇妙な作品で、一般受けはしないかもしれませんが個人的には大好物でした。

ストーリーネタバレあらすじ解説ぶっちゃけ感想・評価ラストシーンの意味深ぼり考察をしています。

CineMag
原題『DISTANCIA DE RESCATE』は“救える距離”という意味です。これが物語の鍵になっています。ストーリーを表面上なぞると「意味不明!」となる可能性もあるので、ネタバレありの考察メインの記事にしました。
Netflix映画『悪夢は苛む』アンケート結果

Netflix映画『悪夢は苛む』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間:2021/10/13・Netflix・93分
原題:DISTANCIA DE RESCATE/英題:FEVER DREAM
監督:クラウディア・リョサ
脚本:クラウディア・リョサ/サマンタ・シュエブリン
原作小説:サマンタ・シュエブリン「DISTANCIA DE RESCATE」(2020)

アマンダ役|マリア・バルベルデ

アマンダ役を演じる女優マリア・バルベルデ

アマンダは、幼い娘ニナと共に父の故郷であるアルゼンチンのど田舎で夏を過ごそうとやってきた女性。

アマンダを演じたマリア・バルベルデ・ロドリゲスはスペインの女優で、Netflix映画『忘れられない恋の歌』でも主役を務めています。

カローラ役|ドロレス・フォンシ

カローラ役を演じる女優ドロレス・フォンシ

カローラはアマンダが新しく住み始めた家のご近所さん。おかしな行動をする息子ダヴィドがいます。

アマンダと仲良くなり、過去に経験した不思議な出来事を語ります。

ダヴィド役|エミリオ・ボダノビッチ

ダヴィドを演じる子役エミリオ・ボダノビッチ

ダヴィドはカローラの息子で、倒れて意識朦朧とするアマンダに話かける謎多き少年。

病気を術師に治してもらい、それ以来おかしな行動が目に付くようになって母カローラから見放されています。

ネタバレなし感想・見どころ

女性アマンダが生命の危機に瀕し、現地で知り合った少年ダヴィドとの会話による回想で数日前を振り返っていくという、奇抜な構造に加え、環境問題と母子の関係を抽象的に結びつけた、読解の難易度が比較的高い映画です。

表面的なストーリーの裏にアーティスティックで非常に美しいメッセージがあり個人的にはとても評価したい作品です。

ただ、映画を見てあれこれ思考を張り巡らせるのが好きじゃない人や、エンタメ系が好きな人には向いていないかもしれません。

おすすめ度 70%
革新性 95%
ストーリー 80%
IMDb(海外レビューサイト) 5点(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト 71%(100%中)

※以下、映画『悪夢は苛む』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『悪夢は苛む』ネタバレあらすじ解説

オープニング

意識が混濁して森で倒れているアマンダに、少年ダヴィドが語りかけます。ダヴィドは「細部を大事にして、この土地へきたときから思い出して」と言いました。

アマンダの回想

アマンダは娘のニナとひと夏を過ごそうと、父の故郷であるアルゼンチンの田舎へやってきます。

近所に住むカローラという女性と友達になりました。カローラは数年前、馬の繁殖をする夫オマールが連れてきた種馬を不注意で逃がしてしまった話をします。

馬は川の水を飲み夜に倒れて死亡。息子ダヴィドも川のそばの水溜りに入ったせいで倒れます。

カローラは地域の住民が頼りにする、緑の家のおばあさん術師にダヴィドを見せました。

すると「毒で体がもたないから魂を手放して別の体に入れれば、毒が2つに別れて肉体は助かる」という“移し”の儀式を提案されますが…。

クリックで映画『悪夢は苛む』ネタバレあらすじ解説!
ダヴィドの体は治りますが、もう以前の彼ではなく動物の死骸を埋めるなど変な行動をするようになり、カローラは彼のことを息子と思えなくなってしまいました

話を聞き終えたアマンダは信じられず、同じ親としてカローラを理解できないと思います。

アマンダはダヴィドと仲良くなりますが、彼は夜中にマンホールの中でスケボーしていたり、アマンダがカローラと出かけているときに家の鍵を閉めて、中でニナと2人でかくれんぼしたりと不審な行動が目立つように。

ある夜、ダヴィドが家に侵入し、アマンダのベッドのそばまでやってきます。アマンダは驚きと恐怖でニナを車に乗せてこの土地を離れることに決めました。

翌朝、アマンダは最後にカローラに挨拶しようと彼女の職場に行きます。アマンダはカローラと草むらの上で話していると突然倒れ、病院へ運ばれました。

アマンダを運ぶダヴィド

病院のベッドで朦朧とするアマンダにカローラが話かけ「ニナが危ないから緑の家へ連れて行く」と言います。

アマンダはベッドから起き上がって外へ出て、倒れました。そばにやってきたダヴィドに「緑の家へ連れて行って」と頼みます

ダヴィドはアマンダをボートに乗せ、漕ぎながら話しかけました。

アマンダは、ニナが落とした飴が濡れていたのは朝露だと勘違いして舐め、それをニナにも舐めさせていたと気づきます。飴についていたのは朝露でなくこぼれた農薬でした。

農薬がついた飴

アマンダは、見えない糸が張り詰め、切れるのを感じて死亡

ダヴィドはアマンダに1年後の映像を見せます。

夫マルコ(ニナの父)が、病気から治ったニナの様子がおかしい原因を調べるため、カローラの家にやってきました。

カローラはすでに家を出ており、マルコは彼女の夫オマールに何が起こったか聞きます。しかしオマールは逆に、俺が聞きたいと言い返しました。

マルコが車に乗ろうとすると、後部座席にニナが持っていたモグラの人形を抱えたダヴィドが座っています

オマールはダヴィドを無理やり降ろし、マルコの車は去って行きました。

Netflix映画『悪夢は苛む』END!

映画『悪夢は苛む』ネタバレ感想・評価

映画『悪夢は苛む』の評価は84点。
本作をひとことで言うと、深刻な環境問題と抽象度の高いサスペンスを融合させた怪作です。コンセプトも演出もとても優れておりアート的な評価もできると思います。
それぞれのシーンや言葉の意味が何重にも捉えられ、本質的なストーリー意外にも様々な解釈ができるのが魅力的。
生き物を生き返らせるスティーヴン・キングの小説『ペットセメタリー』のアイデアをさらに進化させたような印象で最近の作品でいうと北欧ノワールファンタジーNetflix『カトラ』(2021)にも近いですね。
全体的なメッセージやラストに関しても、似たコンセプトのNetflixドラマ『瞳の奥に』より深いと思いました。
いろいろ素晴らしい点は多いですが、2021年に配信されて見た映画の中でも解釈の難しさはトップクラスで、一般受けはしないかもしれませんね。
ストーリーで意味がわからない点があった人は、ぜひ次の考察パートもご一読して参考にしていただければ幸いです。

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