映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』ネタバレ考察・解説!小栗旬の演技がダメ?ラブシーンが凄すぎ!伝えたいことは?

  • 2022年12月16日

映画人間失格ネタバレ解説!蜷川監督の極彩色映像美はミスマッチか?

ミスマッチだけどそれでもいい

映画『人間失格』彼岸花の赤を強調した極彩色シーン

先に申し上げたとおり、本作は太宰作品を読んでいないと登場人物の言動が理解できない。

しかし太宰作品に親しみがある人にとって映画の評価が高くなるかといえばそうでもなく、蜷川監督の映像美が「太宰っぽくねえ」と感じられてしまうレビューも多かった。

考えてみると太宰文学は色の表現がそれほど多くなく、「御伽草子」の浦島太郎のように色を極めて芸術的に描いた作品もあるが、“極彩色”というよりは“淡い”印象だ。

蜷川監督の映像美は太宰文学と考えるとミスマッチかもしれないが、別にフィクションなので、そこは重要ではないと思う。

構図や色使いは美しかったし、見応えがあった。

次作の実写映画『ホリック xxxHOLiC』(2022)と比較しても、本作の方が映像美とストーリーのバランスが優れていたように思う。

小説が得意なことを映像で表現

あと『人間失格 太宰治と3人の女たち』の映像で素晴らしかったと思うのは、小説が得意な表現を取り入れていたこと。

小説は、情景描写を重ねて人の心を表現できるのが強みだ。短い文章内でたくさんの情景を詰め込める。つまり、人物の心をさまざまな風景で創造できる。(映像ではワンシーンでたくさんの風景が出てくるのは見づらいのでやりにくい)。

それを蜷川監督は映画でやっていたように感じる。

特に前半の、静子のモノローグと、トンネルや梅の花の映像を重ねるシーンとか、小説っぽい表現だなあと感激した。蜷川監督が初めてこれをやったわけではないと思うけど、映像を文学的に表現することに成功していて、そこは評価できると思う。

好き嫌い分かれるかもしれないが、写真家ということもあって構図も素晴らしいし、才能豊かな監督だという印象。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』最後の結論

人間失格 太宰治と3人の女たち 小栗旬と宮沢りえ

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、太宰の小説を読んだことがないと登場人物に共感できず、小説に慣れ親しんだ人は小栗旬の太宰や映像美に違和感を感じるという一般的な評価がされにくい作品になった。

ただそれでも映画として評価できる部分も多いし、新しい解釈に価値があると思う。蜷川監督の次回作にも期待したい。