『マスカレード・ナイト』ネタバレあらすじ解説
©︎映画「マスカレード・ナイト」製作委員会
練馬区で、ロリータファッションの独身女性・和泉春菜が殺される事件が起こります。しかも彼女は妊娠していたようです。
匿名の密告者から警察に、「ホテル・コルテシア東京で12/31に開催される仮面舞踏会に練馬事件の犯人が現れる」と情報が入りました。
新田浩介(木村拓哉)はアルゼンチン・タンゴのレッスンを受けており、ダンスインストラクター・奥田真由美(中村アン)と大晦日デート予定でしたが、その件で急遽呼び出されてイライラ。
所属する捜査一課刑事は3年ぶりにホテル・コルテシア東京で潜入捜査をすることになりますが…容疑者はなんと宿泊客500人。タイムリミットは24時間です…。
コンシェルジュ・山岸尚美(長澤まさみ)は、宿泊客・秋山久美子(田中みな実)から「窓からの眺めに明石家さんまのビル広告が入って邪魔!」というクレームを受け、たくさんの白い風船でその広告を隠して解決。感謝されます。
新田と山岸は、久しぶりに会って憎まれ口を叩き合いました。
フロントクラークの氏原祐作(石黒賢)は、自分と同じくロサンゼルス支部移動候補の山岸を認めたくないようです。
山岸は、宿泊客の日下部篤哉(沢村一樹)から「恋人の狩野妙子(凰稀かなめ)にプロポーズするからレストランにバラの絨毯をひいてくれくれ」と言われ、なんとか対応すると答えました。
しかし、ホテルに来ていた相手の妙子からも「そのプロポーズを断りたい」と相談を受けます。
山岸はレストランの通路にスイートピーを敷いて、妙子の断りの意図が日下部にスマートに伝わるようにしました。
新田は、日下部が偽名で宿泊していると知り怪しみます。
仲根緑(麻生久美子)という女性が夫の誕生日を祝うと言って宿泊しますが、夫の姿はありません。
潜入捜査中の新田や関根(泉澤祐希)や、指揮を執る尾崎(篠井英介)らが当然仲根を怪しみます。仲根の夫が1年前に既に死んでいることも判明しました。
そんな中、プロポーズを断られた日下部が仲根緑を見かけ「彼女に話しかける場所をセッティングしてくれ」と山岸に頼みます。
新田は山岸を手伝うため仲根の部屋へ行き、ビルの側面に“ハッピーバースデー”という映像を流させます。
仲根はそれを見て涙を流しました。
山岸は「ハッピーバースデーの映像のプレゼントは日下部という人からなので、彼に会ってみては?」と提案しますが仲根に断られました。
仲根は新田と山岸と一緒にホテルの教会へ行き「癌で死んだ夫とここで結婚式を挙げる予定だった。彼を忘れるためにや今日は来た」と告白します。
仮面舞踏会の開始時刻が迫り、捜査一課係長の稲垣(渡部篤郎)らは焦りました。
新田から「練馬事件の犯行が手慣れすぎているから初犯でなく、似た事件があるはずだ…」と聞いていた刑事・能勢(小日向文世)は、過去に埼玉でロリータファッションの独身女性が感電死した事件があると突き止めます。
警察は練馬事件で死んだ和泉春菜が務めていたトリマー店の防犯カメラに、挙動不審の宿泊客・浦辺幹夫(博多華丸)が映っていることを突き止めます。さらに、家族で宿泊に来ている曽野昌明(勝村政信)が事件があった練馬近辺に住んでいることがわかりました。
新田らは、密告者は望遠レンズで被害者女性の部屋をのぞいて事件を知ったから、送られた文章が「女性の死体があるかもしれない…」と曖昧だったのだ、と気づきました。
仮面舞踏会がスタートし、捜査はますます混乱。
新田はブライダルコーナーに行った怪しい浦辺を確保しますが、既婚者である彼は和泉春菜の恋人で、犯人に浮気をバラすと脅されて操られていただけでした。
調査班により練馬付近の店で望遠レンズを買ったのは曽野昌明で、実際にレンズを使っていたのは彼の息子・英太だとわかります。
警察は曽野の息子・英太と、仮装していた妻・万智子(木村佳乃)を確保し取り調べます。
事件を見た英太は母親の万智子にそれを伝え、彼女がそれを友人の貝塚由里(高岡早紀)に相談。由里が犯人・森沢光留をゆすって仮面舞踏会で金を受け取ろうと計画していたようです。
犯人はホテルで密告者を殺害するつもりなのでしょう。
山岸は教会で倒れている由里を発見。何者かにスタンガンで眠らされます。感電のタイマーがセットされました。
新田は仮面を着けて舞踏会に潜入。ある人物を発見し、アルゼンチン・タンゴに誘います。
男性のような風貌のその人物の目の特徴から仲根だと気づき、真犯人・森沢光留だと確信しました。
森沢(仲根)の夫が死んだという話も全て作り話です。森沢は自分を脅す密告者・万智子の正体を突き止めて逆に脅迫し、由里の計画を万智子から全て聞き出していたのでした。
森沢は「山岸と由里が0時丁度に感電死する」とほのめかします。あと数十秒しかありません。
新田は地下の教会に走りますが、時すでに遅しで山岸は死亡…。
かと思われましたが、まだ感電装置が作動しておらず山岸も由里も助かりました。
犯人森沢は山岸の腕時計(5分遅れている)を見てタイマーをセットしたため、作動時刻が遅れたのです。
捕まった森沢の供述から、彼女の双子の妹が過去にレイプ被害に遭い、そのあとの警察の執拗な取り調べ(セカンドレイプ)に耐えきれず、大晦日に自殺していたことがわかります。
森沢は双子の妹の代わりを求めて女性たちと関係を持ち、妹が好きだったロリータファッションを強要。他の男性との関係がわかると、殺害したのでした。
由里の計画に乗せられたフリをして危険を冒してまでホテルに来たのは、警察の失態をさらして復讐する意図があったのです。
事件はなんとか解決。
日下部は実は山岸と氏原をテストしていたホテルのロサンゼルス支部の人間で、山岸がロスに行くことに決まります。
後日、山岸がロサンゼルス支部へ異動する日になりました。
新田はホテルにやってきて、「君が帰ってくる日にディナーを予約してくれ」と言います。
山岸は無理だと一旦断りますが、承諾しました。
映画『マスカレード・ナイト』終わり!
オチまでの流れカンタンまとめ!
映画『マスカレード・ナイト』は登場人物が多くやや複雑だったので、麻生久美子演じる犯人・仲根緑=森沢が巻き起こした本筋の事件について時系列でわかりやすくまとめてみました。
- 練馬で起こった独身女性・和泉春菜の感電死からスタート
- 密告者がホテル・コルテシア東京の仮装パーティーに犯人が現れるとFAX
- 夫と誕生日を過ごす予定の宿泊客・仲根緑の部屋に彼女しかいない
- 仲根緑の夫が1年前に死亡しており、彼女は夫を忘れるために宿泊していると判明
- 練馬事件と同様の手口の殺人が、過去に埼玉でもあったと判明
- 宿泊客・曽野昌明の息子が練馬女性の部屋を望遠レンズでのぞき、母親の万智子が友人・由里と犯人をゆすり、金の受け取り現場をコルテシアに指定
- 仲根緑の話は全部嘘で、本名は森沢ひかる。レイプ被害に遭い警察の取り調べによる苦痛で自殺した双子の妹の代わりを作ろうとして、独身女性たちを殺していた
- 万智子は由里(夫・昌明と不倫してた)を裏切り、犯人・森沢に計画の情報を提供
- 森沢は警察への復讐として権利を失墜させるために監視の中で皆を騙し、教会で由里と山岸の感電タイマーをセット
- 山岸の時計を見てタイマーをセットしたため(5分遅れている)、殺人に失敗し森沢逮捕
仲根=森沢はわざと最初に自分が疑われるように仕向け、お涙頂戴のストーリーで山岸や警察に勘違いだったと思わせて犯行に及ぶ方法を取りました。
疑われた人物の疑いが晴れて、やっぱり事件に絡んでいたという全体的な流れは前作『マスカレード・ホテル』とも似ていますね。
森沢は仮面を2つ着けていたとも取れるでしょう。
ちなみに映画『キャラクター』(2021)にも同じようなミスリードが出てきました。(原作「マスカレードナイト」の方が発表が早いので、『キャラクター』がこっちに似ていると言った方が正しいかも…)。
宿泊客(容疑者)それぞれの秘密(ネタバレ)
日下部篤哉/沢村一樹
日下部の正体は、ホテル・コルテシア・ロサンゼルス支部の人事担当。
無理難題をふっかけて山岸と氏原どちらを招くかテストしていた。
曽野昌明/勝村政信
曽野昌明は妻・万智子と息子を連れてホテルにきた人物。
万智子の友人・由里と不倫をしている。
曽野万智子/木村佳乃
万智子は昌明の妻。
息子が殺された和泉春菜の部屋を望遠レンズでのぞいており(写真を撮っていた)、事件を知った。
事件について由里に相談すると、犯人をゆすろうと持ちかけられる。
犯人森沢に身元を知られて脅され、夫と由里の浮気を知っていたこともあってホテルでの計画詳細を森沢に全て伝えていた。
貝塚由里/高岡早紀
由里は、万智子の友人で昌明と不倫をしている女性。
ホテル・コルテシアを不倫に使っている。
万智子から和泉春菜殺人の犯人を知っていると打ち明けられ、犯人を脅してホテルの仮面舞踏会で金を受け取り、そのあと警察に逮捕させるという計画を立てた。
浦辺幹夫/博多華丸
浦辺はゴルフバックを担いだ不審な宿泊客。
警察からは密告者もしくは犯人と思われていたが、事件を撹乱するために犯人・森沢に脅されて操られていただけだった。
浦辺は妻子持ちで春菜と交際していたため、それが世間に公表されるのをネタにされ森沢に脅迫されていた。
死亡した春菜は妊娠していたとのことだが、浦辺の子供だと考えられる。
仲根緑/麻生久美子
仲根緑は、夫に死なれた女性を演じてホテルに泊まった人物。
本名は森沢光留(もりさわひかる)で、練馬区でロリータファッションの和泉春菜を殺害した犯人。
実はトランスジェンダーであり、体は女性でこれまでの人生では男として振る舞ってきたようです。
最愛の双子の妹がレイプの被害に遭い、警察の取り調べがセカンドレイプ的でそれを苦に自殺した過去から、似ている女性に接近して関係を持ち、理想の妹をつくりあげていたことが発覚。
その女性が他の男と関係を持ち、妹の代わりになれないことがわかると、殺害していました。
由里の恐喝に乗ってホテルに来たのは、警察の監視体制の中で殺人を犯し、警察組織を嘲笑って復讐するためです。
最後のまとめ
映画『マスカレード・ナイト』はキャスト良し、演技よし、映像良し、ストーリー良しの傑作だったと思います。
邦画サスペンスでこれくらいバランスが良い作品は珍しいのではないでしょうか。
小説の実写映画化で、原作と同じかそれ以上の完成度の作品も珍しいですね。
マスカレード実写映画シリーズの続編第三弾も期待したいです!
『マスカレード・ナイト』レビュー終わり!
2021年公開作品ネタバレ考察レビュー
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