映画『金の国 水の国』ネタバレあらすじ感想・ラスト解説,考察と評価レビュー

  • 2024年3月25日

アニメ映画『金の国 水の国』(きんのくに みずのくに)は、長年争いを続けている2つの国を救うためにポッチャリ王女とさえない青年が奮闘するハートフルな感動作!

シネマグ
純粋すぎる恋愛に涙がこぼれます。ルッキズムを否定している点でもすばらしい。

作品情報・キャスト

ネタバレなしの感想ぶっちゃけ感想・評価・考察(ネタバレあり)

物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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『金の国 水の国』声優・CV

主人公・サーラ|CV 浜辺美波

主人公・サーラ

©︎『金の国 水の国』公式サイト

サーラは100人以上いるA国の姫の1人。ポッチャリめの体形。

声優をつとめた浜辺美波さんは庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』(2023)でヒロインを務めることでも話題に!

ナランバヤル|CV 賀来賢人

ナランバヤル

©︎『金の国 水の国』公式サイト

B国の建築家。図書館長の息子。

賀来賢人さんは映画『新解釈・三国志』やドラマ『マイファミリー』に出演していましたね。

その他のキャスト

サラディーン|CV 神谷浩史

ライララ|CV 沢城みゆき

ジャウハラ|CV 木村昴

レオポルディーネ|CV 戸田恵子

ピリパッパ|CV 茶風林

ラスタバン|CV 銀河万丈

オドゥニ|CV てらそままさき

『金の国 水の国』あらすじ

映画『金の国 水の国』

©︎IMDb

長年に渡り戦争を続けてきた金の国と水の国は、国境に高い壁をつくり、何十年も国境を断絶していた。

昔の王たちの誓いにより、金の国から1番の美女、水の国からは1番頭の良い青年が両国に送られる約束が果たされるはずだった。

金の国の王は水の国の青年を、特に気にかけていない93番目の王妃サーラに嫁がせると決めた。

サーラは辺境の屋敷に水の国の青年を迎え入れるが、みこしの中に入っていたのはなんと犬だった。

水の国は犬を結婚相手として送りつける無礼を働いたのである。

しかしサーラはここで両国に問題が勃発すれば確実に戦争が起こると考え、犬が送り付けられたことを隠すことにした。

サーラは犬をルクマンと名付けてかわいがった。

いっぽう、水の国の王は金の国の王妃を辺境の貧乏な青年・ナランバヤルに嫁がせることに決める。

しかしナランバヤルの家に送られてきたのは猫だった。

金の国は嫁として猫を送りつける無礼を働いたのだった。

ナランバヤルは猫をオドンチメグと名付けてかわいがった。

ある日、サーラの犬・ルクマンが国境の壁の抜け穴を通って水の国へ行ってしまう。

サーラは仕方なくその穴を通って水の国へ。

ルクマンは森の穴に落ちていた。

そこにナランバヤルが通りかかり、犬を助ける。

レオポルディーネ第一王女から水の国の婿(むこ)を見せるように言われて困っていたサーラは、ナランバヤルに婿役になってほしいと頼むが…。

ネタバレなし感想・海外評価

感想を語る犬
何気なく見ましたが、こんなに感動するとは思いませんでした。

王女と一人の男性が2つの国を争いから救うために奮闘するというありがちなストーリーで、展開も非常にわかりやすいです。

だからといって子ども向けとは思いませんでした。

シンプルなストーリーの裏に、人間の本質をつくような鋭い問いかけがたくさんあります。

ヒロインと主人公の恋愛がとっても尊いものに感じられ、後半はずっと目頭が熱くなりました。

展開におかしな点がない練り込まれたプロット!というわけではないですが、国を救う王女の話が現代風にアップデートされた意義深い作品です。

おすすめ度 85%
メッセージ性 94%
ストーリー 75%
IMDb(海外レビューサイト) 7.5(10点中)

※以下、『金の国 水の国』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『金の国 水の国』ネタバレ感想・評価・考察

ルッキズムを超えた良作!

『金の国 水の国』の評価は85点。

話は子ども向けのわかりやすい内容ともいえますが、登場人物のセリフや行動には争いや平和についての真理が含まれていました

純粋すぎるサーラとナランバヤルの恋愛も素直に応援したくなります。

シネマグ
王女が国を救う物語なのに美男美女が主人公じゃないところがすごくいいです。

サーラはお餅みたいな輪郭でポッチャリ体形。体重は0.1トンくらいありそうだと揶揄(やゆ)されていました。

ナランバヤルも明らかにイケメンとして描かれていません。

頭はいいですが、口下手で何考えているかわからない系のキャラです。

そんな2人が恋をするから運命だと感じられるのです。さらにリアリティもあります。

アニメでも実写でもそうですが、イケメンと美女という設定は万人が憧れやすいものの、リアリティは皆無です。

さらに悪いことに、運命ではなくただお互いの容姿にひかれたようにも見えてしまいます。

本作は美男美女でないのでその欠点がなく、より純粋な恋愛に感じられるんですよね。

サーラとナランバヤルの容姿がダメというわけではなく、ルッキズムに異を唱えた真の多様性がそこにある気がしました(真の多様性というのは逆説的な言い方ですが)。

ディズニー・ピクサーなんかではもう数年前からかわいいヒロインやイケメン主人公は採用していません。メガネでイケテナイ女子や、ダサい中年男性を主人公にすえることで、現実に通じる普遍的な価値観を提示しています。

原作漫画の良さでもありますが、日本のアニメ界もその観点に到達したのだという実感が湧きました。

セリフや行動がいちいち胸に刺さる

ナランバヤルがレオポルディーネ王女から結婚相手を選ぶときにどう判断すればいいかと問われたときに、「最後にさらに残っているお菓子を勝手に食べないこと」と言っていました。

心が洗われるようなすごくステキな表現だと思いました。

このブログを書いている私も結婚しているので、その言葉の意味が痛いほどわかる気がします。

相手の前でカッコつけるとかも大事かもしれませんが、もっと大事なのはいつも相手のこと第一に考えることです。

夫婦や家族だけでなく、人間関係においても真理だと思いました。

また、サーラが絶世の美女でないために笑われると知りながら、水の国の族長のまえに出てきた自己犠牲の精神も美しいです。

美しさを否定されたり、笑いものになることは一般的に女性からすれば最大級の屈辱ですが、それよりも大切な何かがあると身をもってしめしていました。

天空の通路でナランバヤルが一緒に落ちようと言って2人で歩き出すシーンにも感動。

ストーリーはシンプルですが、セリフがとっても深く、行動にもイチイチ感動させられる。そんな作品でした。

映画『金の国 水の国』ネタバレあらすじ解説

ナランバヤルの計画

第一王女・レオポルディーネに呼び出され、サーラはナランバヤルを連れて行く。

ナランバヤルは金の国の豊かさに驚いた。金の国は水の国に商業ルートを閉じて富を独占していたのだ。

レオポルディーネはわざとバラバラにされた懐中時計を持ってきて、水の国で1番頭のいい若者なら直せるはずだと言う。

建築技師のナランバヤルはなんなく時計を直し、部品が2つ足りないことまで指摘した。

レオポルディーネの愛人で国の人気役者で左大臣のサラディーンはナランバヤルが本当の婿でないことを見抜いた。

しかし国王のように戦争賛成派ではないレオポルディーネはひとまずそのことを黙っておくことにする。

ナランバヤルは両国の王がお互いに戦争を仕掛けようとしていると見抜き、サラディーンを酒に誘って事情を聞き出した。

サラディーンは金の国の水があと50年もたないことを話し、国王と右大臣が水の国から水と土地を奪おうと考えていると続けた。

ナランバヤルはサラディーンに水の国から金の国へ水路を引けば戦争をしなくて済むと熱く語った。50年はかかるかもしれないが、罪もない国民たちが大勢死ぬよりはマシだ。

サラディーンはナランバヤルの熱い気持ちにほだされて裏で動くことを了承した。

いっぽう、サーラは逃げ出したオドンチメグを探して水の国へやってきた。

ナランバヤルの父がサーラを家に迎える。

しかし村に水の国の族長がやってきて、金の国から送られてきた絶世の美女を一目見たいと言う。

慌てたナランバヤルの父はサーラに妻のフリをしてくれと頼んだ。

サーラはナランバヤルには金国から送られてきた妻がいると勘違いして落ち込んだ。

サーラはナランバヤルのために了承した。しかしすごい美女でもなくぽっちゃり体形のサーラは族長たちに笑い者にされる。

族長はサーラに酒の飲み比べを挑んだ。酒豪のサーラはそれに勝利。

サーラは金の国に帰る途中でナランバヤルとすれ違った。

翌日、ナランバヤルは金の国の建築技師に設計図をみせ、工事の計画を進める。

ラスト結末

何日かたち計画は順調に進んでいたが、ナランバヤルが国交を回復させようとしていることが右大臣にばれて、兵士たちに追われた。

ライララたちがナランバヤルを助ける。

王宮に来ていたサーラが水の国の内通者だとされ、彼女まで追われるはめに。

サーラは追われているナランバヤルを見つけ、王や右大臣の権力が及ばない第一王女側の宮殿に行ける隠し通路があると案内する。

2人が塔の窓の下のレバーを開くと、石の床が現れて反対側の宮殿に行ける天空の道ができた。

道はボロボロでいつ崩れるかわからない。サーラはナランバヤルに1人で行くように言うが、ナランバヤルは落ちるなら2人で一緒に落ちようと言う。

2人が天空通路を進んでいると、金の国の国王がやってきて剣を振り回す。

ナランバヤルは前王が平和を望んでいたとさとす。

国王は平和の名君として歴史に名を刻むことを選択し、2人を許した。

サーラはナランバヤルに妻がいるのが勘違いだと知る。2人は抱きしめ合い、愛を誓い合った

まもなく金の国と水の国は国交を回復。

サーラとナランバヤルは結婚し、娘が2人生まれていた。

成長した2人の娘が水路の建設を指揮するナランバヤルとサーラに昼食を届ける。

映画『金の国 水の国』終わり

映画『金の国 水の国』作品情報・予告

公開日:2023/01/27
上映時間:117分
英題:『Gold Kingdom and Water Kingdom』
ジャンル:アニメ
年齢制限:G(全年齢対象)
監督:渡邉こと乃
脚本:坪田文(『半沢直樹』,Netflix『金魚妻』)
原作:岩本ナオのコミック『金の国 水の国』
キャラクターデザイン:高橋瑞香
制作:マッドハウス
音楽:Evan Call

最後のまとめ

映画『金の国 水の国』は、ストーリーは比較的シンプルでしたが、現実社会にも通じる真理をつくようなディープさがある感動の良作でした。

世界ではウクライナとロシアが戦争中で、そのほかでも争いは絶えません。

本作のようなアプローチですぐに平和がくるかは難しいですが、みんながもっとシンプルに物事を考えれば少しは世界が良くなるかもしれないですね。

そんな気づきを得られました。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『金の国 水の国』レビュー終わり!

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