映画『浅草キッド』キャストネタバレ感想/解説!ビートたけし誕生秘話評価,あらすじと実話考察 特殊メイクは本人?

  • 2023年3月24日

Netflix映画『浅草キッド』は、芸人ビートたけしと師匠・深見千三郎の交流と葛藤を描いたヒューマンドラマ。ラストは感動しましたが、前半はやや中だるみでもったいなかったです。

ビートたけしによる実話を元にした同名エッセイが原作で、監督・脚本を芸人・劇団ひとりが務めています!

ぶっちゃけ感想・評価メッセージ考察ストーリーネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)

Netflix映画『浅草キッド』の評判投票結果

映画『浅草キッド』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間:2021/12/09・日本・123分
監督・脚本:劇団ひとり
原作:ビートたけしの小説『浅草キッド』
主題歌:ビートたけし「浅草キッド
エンディング: 桑田佳祐「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶

お笑い芸人・劇団ひとりが監督。大泉洋主演の映画『青天の霹靂』(2014)以来、監督2作目となります。この2人は本作で再タッグですね!

主要キャスト相関図

映画浅草キッド キャスト相関図

ビートたけし役|柳楽優弥

ビートたけし役の俳優・柳楽優弥

たけしは、深見のコントに魅せられて浅草にやってきた青年。

俳優・柳楽優弥は是枝裕和監督の『誰も知らない』や、映画『北斎/HOKUSAI』(2021)で有名。個性が光る若手の演技派ですね。2022年はDisney+オリジナルのホラードラマ『ガンニバル』でも主演をつとめました。

首の動きや声質まで完璧にビートたけし!(ただ、似すぎててモノマネ感が…)。老年期のビートたけしは本人が特別出演!?と見せかけて、特殊メイクした柳楽優弥でした!

驚きの完成度ですね。柳楽がこっそり本物のビートたけしとすり替わっても気づかないかもしれませんw。

深見千三郎|大泉洋

深見千三郎役の俳優・大泉洋

深見千三郎は、幻の浅草芸人。ストリップ劇場・フランス座を舞台にコントで多くの尊敬を集める。

性格は照れ屋の江戸っ子気質。

実際に、萩本欽一や東八郎など名だたる芸人が深見に師事していた。

俳優・大泉洋は、『探偵はバーにいる』や『新解釈三国志』などで知られる個性派。『水曜どうでしょう』などバラエティでも人気ですね!2022年は綾瀬はるかとドラマ『元彼の遺言状』でタッグを組んでいます。

2023はミュージカル映画『シングフォーミーライル』で主人公の吹き替えを務めて話題になりました。

本作の深見はかなりのハマり役でした。インタビュー動画もどうぞ↓

ビートキヨシ役|土屋伸之(ナイツ)

ビートキヨシ役 芸人ナイツ土屋伸之

キヨシは、たけしに漫才コンビを組もうと誘った人物で、もとは深見の弟子。

漫才コンビ・ナイツでお馴染みの土屋伸之は、俳優としてドラマ「警視庁・捜査一課長」「うつ病九段」の端役で出演していましたね。

千春|門脇麦

千春を演じる女優門脇麦

千春は、浅草フランス座でストリッパーとして踊る女性。元は歌手を目指していた。

大成功すると夢を持つたけしを羨ましく思う。

女優・門脇麦の代表作映画『二重生活』『止められるか、俺たちを』『さよならくちびる』

その他の登場人物・キャスト

麻里(深見師匠の妻でストリッパー)|鈴木保奈美
麻里役のキャスト鈴木保奈美

井上(劇作家でたけしの友人)|中島歩
友人井上役の中島歩

東八郎(深見の弟子でTVで活躍するコメディアン)|尾上寛之
東八郎のキャスト尾上寛之

ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ

あらすじ:1972年。たけしは浅草フランス座でその地域では伝説的な芸人・深見千三郎に弟子入りし、タップダンスや雑用に明け暮れます。しかし時代はTV。フランス座の客入りは次第に減っていき、たけしは人生の選択を迫られるのでした…。

CineMag
派手さはないですが、師匠と弟子の関係に心打たれるハートフルなヒューマンドラマです。

メッセージ性や学びもあり、エンタメ作品しか見ないという人以外なら感動できるでしょう!

おすすめ度 80%
義理人情 86%
ストーリー 84%
IMDb(海外レビューサイト) 7.1(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 一般視聴者 78%

※以下、映画『浅草キッド』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『浅草キッド』ネタバレ感想・評価

映画『浅草キッド』の評価円グラフ

 

Netflix映画『浅草キッド』の評価は80点。
CineMag
ラストはビートたけしと師匠・深見のかけがえのない関係が心に刺さり、大きな感動を覚えましたが、全体としては無難な佳作で止まってしまった印象
つまらないとかではないですが、構成やシーンの配分など編集でもっと傑作になっていたと思うともったいない気がして残念です(上からですいません…)。
まず構成としては、
  1. 現在のビートたけしが舞台袖でタップダンス
  2. たけしが師匠・深見から離れて漫才を開始
  3. 師匠・深見に弟子入りして修行
  4. たけしが有名になったあとの師匠との交流
  5. 過去を回想する現在のビートたけし
という流れなのですが、複雑なストーリーではないので、時系列の入れ替えをもう少し抑えても良かったのでは?と感じました。
現在のたけしのシーンを最初と最後に入れるだけの方が、ベタで素直なストーリーがダイレクトに伝わった気がします。
CineMag
序盤で師匠を離れてからの場面が入ると、その時点で「師匠の関係は一旦終わったのか…」と一歩引いた気持ちで見てしまうのです。
あとはタップダンスのシーンとか、ストリップショーのシーンとかにちょっと時間を使い過ぎでは?とも感じました。
その時間を登場キャラの交流に割り当ててくれた方が良かったです。
話は変わって、大泉洋の深見・師匠が、とても味わい深くて素晴らしかったです。子供っぽくて、頑固で、弟子思いで、そして面白くてと、ドンピシャのハマり役だったと思います。
反対に柳楽優弥のたけしは、ちょっとやりすぎ感がありました(悪くはなかったのですが)。
実際のたけしよりイケメン!なのは置いておいて、首をカクカクひねる動作まで完コピしていたがゆえに、モノマネっぽく映ってしまったのです。
演技が悪いとかでなく、ビートたけし自身が個性的で、かつ大勢にモノマネされてきたための既視感だと思います。
たけしを完璧に演じている!ではなく、たけしのモノマネをしている?と心のどこかで感じてしまうのです。
個人的には完コピせず、柳楽優弥なりのたけしで良かったのでは?と思いました。
あとは、現在の老年のたけしを特殊メイクで完コピしていたのもびっくりしました。最初は特殊メイクと分からず、たけし本人がサプライズで登場?と思ったほどです。
他にはラストの、ビートたけしが浅草フランス座の中をぐるっと回るワンカット風シーンがマイケル・キートンの『バードマン』っぽくて、凝っているなあと思いました。

浅草キッド考察:美しい世代交代

映画浅草キッドのたけしと大泉洋

映画『浅草キッド』は、師匠と弟子の世代交代の葛藤だけでなく、美しさも表現していたのが素晴らしかったと思います。

CineMag
調べてみると、ビートたけしの師匠・深見千三郎は、実際にたけしと飲んだあとで火事で死んでいるようで、2人の美しい関係や儚い幕引きはフィクションではないのだと、新たな感動を覚えました。

現代で世代交代というと、売れない芸人が勝手にTVに出れなくなって消えていき、才能ある次の若手が出てくるという群雄割拠のイメージが浮かびます。

しかし、それは師匠と弟子の関係で成り立っておらず、大勢が入り乱れるTVだからでしょう。

映画『浅草キッド』のように、弟子たちが売れなくなったり引退したりした師匠を支える関係も、実際には多くあるはずです。

視野を広げれば、どの業界でも既得権益を持った年配と、彼らが邪魔だと感じる若手の構図がありますが、師匠と弟子のような人間と人間の交流でなく、ただのカテゴリ分けで争っているだけなのかもしれませんね。

誰もがたけしと深見・師匠のような懐の深さと人情を持ったなら、どの分野でも世代交代が“美しく”進んで、より良い日本になるかもしれません。

CineMag
後世に道を譲る美学のようなものが今の日本に残っているのか?自問自答してしまいました。本作はその問題提起という意味でも価値があります。

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