映画『愛すべき夫妻の秘密』ネタバレ感想ラストシーン考察!シットコムと現実の対比評価,Amazonオリジナル

  • 2022年12月14日

Amazonオリジナル映画『愛すべき夫妻の秘密』は、ニコール・キッドマンとハビエル・バルデム主演で、アメリカで1950年代に毎週6000万人が視聴したとされるシットコム『アイ・ラブ・ルーシー』の主人公で実生活でも夫婦だったルーシーとデジの栄華と苦悩を描いた傑作

CineMag
人気シットコムのワンエピソードが収録される激動の1週間の舞台裏を描きます。

劇中で撮影されるシーンはコメディでありながら、逆に登場人物の心情吐露の装置となっている巧みな構造で、ラストのドラマティックな展開に心を揺さぶられます。

ネタバレなしのあらすじと見どころぶっちゃけ感想・評価ラストシーンのネタバレ考察を読みたい人向けに記事をまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)

映画『愛すべき夫妻の秘密』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間:2021/12/21・アメリカ・132分
原題:Being the Ricardos
監督:アーロン・ソーキン
脚本:アーロン・ソーキン
撮影:ジェフ・クローネンウェス
製作:Amazon Studio

アーロン・ソーキンが、『モリーズゲーム』(2017)、Netflix『シカゴ7裁判』(2020)に続いて監督・脚本を務めます。

ルシル・ボール(ルーシー)役|ニコール・キッドマン

ルシル・ボール(ルーシー)役を演じる女優ニコール・キッドマン

ルーシーは、数々のテレビ番組・映画で名を馳せた実在のスター女優。なかでも1950年代に放送された「I LOVE LUCY」(アイラブルーシー)は国民的な人気番組となり、その重圧たるや相当なものでした。

演じたニコール・キッドマンはルーシー本人に似せているのか眉が細すぎるのが気になりましたが、エレガントな仮面の裏に潜むプロ意識・狂気・苦悩を迫力満点で表現していました。演技のうまさとか以上に、凄みが先に伝わって来る感じ。ほんと名女優ですね。本作で2022年のゴールデングローブ賞主演女優賞に輝きました。

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デジ|ハビエル・バルデム

デジ役のハビエル・バルデム

デジはルーシーの夫。シットコム「アイラブルーシー」にはプライベートと同じく夫婦役で出演して、製作にも大きく携わっています。

ハビエル・バルデムはスペインの俳優で、ペネロペ・クルスの旦那さん。『ノーカントリー』の助演男優賞獲得で世界的に認知され、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン砂の惑星』(2021)にも出演しています。

本作では人たらしでしたたかなデジの役柄を完璧に演じていました。

ウィリアム|J・K・シモンズ

ウィリアムは「アイ・ラブ・ルーシー」に登場する俳優。常に相手役の女優ヴィヴィアンに文句を言っています。

俳優J・K・シモンズは映画『セッション』のフレッチャー教官役で有名な個性派。

本作では酸いも甘いも噛み分けた老俳優を貫禄たっぷりに表現していました。

ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ

あらすじ:実生活でも夫婦のルーシーとデジがリカード夫妻役を演じるシットコム「アイ・ラブ・ルーシー」は、全米で6000万人が視聴するモンスター番組に成長していました。そんな中、ルーシーの共産党員疑惑とデジの不倫報道が新聞に掲載され、番組存続の危機に…。渦中での台本読み合わせから本番収録までの激動の1週間を描きます。

エンタメ寄りではないですが、考え抜かれたセリフ・会話によって感情の機微が巧みに表現された傑作です。

ラストの複雑な感情表現が秀逸で、ハイクオリティなヒューマンドラマが見たい人はぜひAmazonプライムで視聴しましょう!

おすすめ度 84%
キャストの演技 87%
ストーリー 90%
IMDb(海外レビューサイト) 7.0(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家70% 一般73%

※以下、映画『愛すべき夫妻の秘密』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『愛すべき夫妻の秘密』ネタバレ感想・評価

Amazonオリジナル映画『愛すべき夫妻の秘密

Amazonオリジナル映画『愛すべき夫妻の秘密』の評価は90点。

アーロン・ソーキン監督作品の中でもNo.1の完成度だったと思います。

Netflix『パワー・オブ・ザ・ドッグ』と並んでアカデミー賞レースにも絡んでくるのでは?と感じられる切れ味抜群の映画でした。

  1. ルーシーが脚本家や監督にダメ出しをしまくるプロ意識が光る前半
  2. デジとの馴れ初めやすれ違いを描き、シットコムに理想の夫婦生活を重ねていることがわかる中盤
  3. シットコムでルーシーの心情を痛切に表現した後半

こんな感じの構成でシュチュエーション的な盛り上がりよりも主人公ルーシーの感情がジェットコースターのように揺れ動いているのが見て取れ、心を打たれました

登場人物がセリフや展開を話し合う場面で、ルーシー、デジ、制作のジェス、脚本のマデリンらが意思疎通できているようで、全員バラバラなことを言っているシーンなども見事。

全体的に、セリフ自体が洗練されていてかつ笑えました。

後半でルーシーの共産党員疑惑が晴れるかどうかがかかる収録の前に、J・K・シモンズ演じる共演者や脚本家がルーシーの周りに集まります。

この時の会話も直接的な言葉でルーシーを励ますのではなく、「アイ・ラブ・ルーシー」というシットコム番組におけるそれぞれの役柄の本質を語り合うことで心情吐露し、結果的に彼女を勇気づける流れが巧みです。

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