Netflixで配信の『シカゴ7裁判』(The Trial of the Chicago 7)を視聴。
1968年の抗議デモが暴動に発展して裁判になった実話をもとに描いている。
ベトナム戦争を 終結させたい左翼の若者と、政権の露骨な叩き潰しが法廷で真っ向対立していて見どころ十分。
あらすじネタバレ解説や、良かった点、イマイチだった点を考察してみましたので、好きなところから読んでね。
ネタバレ考察/左翼の活動の意味を理解できる有意義な作品
個性的な7人のリーダーたちが意見を衝突させながらも、徐々に一枚岩となって不条理な政権と司法に毅然と立ち向かい、聴衆にもそれが伝播していく感動と カタルシスがあった。
特に裁判に対するスタンスの違いが浮き彫りになっていたヘイデンとアビーがお互いに敬意を抱いて、本来の目的である戦争 終結の方向を向くさまは印象深い。
過激左翼と呼ばれている彼らの活動が、 ベトナム戦争 終結の一助になったかもしれない。実際の ベトナム戦争終わりは7年後の1975年で、ヘイデンやアビー・ホフマンの活動がどれほど影響したかは不明だが、大衆に戦争反対の意識が広まったことだろう。そんな救いのあるラストだった。
彼らの活動は決して無意味ではない。個人的に『シカゴ7裁判』からは、そんな学びがあった。
リアリティと緊張感ある裁判シーン解説
司法の現場に詳しいわけではないけど、裁判のシーンはリアリティと緊張感にあふれていてとても見応えがあった。
被告7名と弁護士が並び、 陪審員、判事、検事がいる。さらに書記もいて、後ろの傍聴席に家族や関係者も座っている。総勢100名以上のキャストが必要で、撮影は大変だっただろう(デモのシーンもそうか)。
裁判を描いた映画でも、本作はかなり裁判自体のシーンが多く、全体を映していたのではないか。
例えば名作『十二人の怒れる男』なら 陪審員の相談の場面だけ、 リチャード・ギアの『真実の行方』であれば裁判の外や刑務所での人間ドラマが多い。
リアルな現場の風景に、個性的な左翼リーダーたちの発言をプラスすることで、裁判のシーンが緊張感とドラマを兼ね備えたものになった。
感想/政権と司法が悪いシンプルな構図がイマイチ
ベトナム戦争は アメリカ政府が 南ベトナムの独立を支援した後に駐留軍を派遣し、攻撃されると軍事介入して泥沼化した。
そう考えると、確かに当時の政権が悪い部分はあるだろう。
北ベトナムは ソ連が支援していて、 共産主義VS資本主義の縄張り争いだったのだ。
前提として ベトナムと アメリカに多大な犠牲を出したこの戦争が間違っていたことに少しも異論はないが、『シカゴ7裁判』では ベトナム戦争反対派VS悪い政権というシンプルすぎる構図が気になった。
左翼側が主人公だということもあって、左翼リーダーたちの多様性はよく表現されているのだけど、保守側は一括りに“悪い”とされていたのが微妙。
現実には、 共産主義に対抗して世界を良くしたい思想(正しいかは置いておいて)を持った人物など、さまざまな考えがあったはずだ。
判事のシュルツの良心に少しスポットが当たっていたけど、保守思想の正当性をもっと描いたほうが、よりリアリティのある社会派映画になったと思うし、ラストもさらに感動できたと思う。
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