映画『ヤクザと家族 The Family』ネタバレ感想・感動のラスト解説!あらすじ評価,藤井道人監督の秀作

  • 2024年5月15日

藤井道人監督、綾野剛主演の映画『ヤクザと家族 The Family』。ヤクザ世界の義理人情と栄枯盛衰と切なさを描いたすばらしい作品でした。

シネマグ
ヤクザ映画が好きでない人も楽しめます。キャストの演技と衝撃的なラスト結末に超感動

作品情報・キャスト

あらすじ

ネタバレなしの感想

視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)

ラスト結末解説

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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映画『ヤクザと家族 The Family』作品情報・予告

公開:2021/01/29
上映時間:2時間16分
ジャンル任侠・ヒューマンドラマ
監督・脚本:藤井道人
原作なし、映画オリジナル
撮影:今村圭佑
音楽:岩代太郎
プロデューサー:河村光庸

↓藤井道人監督作品のレビュー記事↓

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『ヤクザと家族 The Family』キャスト

綾野剛と舘ひろし

主人公・山本賢治(けん坊)を演じたのは綾野剛さん。人情に厚いけど不器用なところもあるヤクザを完璧に演じていました。綾野剛さんが主演じゃなかったら全く違う作品になっていたような気がします。

綾野剛出演作品↓

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脇を固めるのは、紫咲組の組長役に舘ひろしさん、若頭役に北村有起哉さん、いきつけの店の経営者役に寺島しのぶさん、賢治の恋人に尾野真千子さん。賢治の子分に市原隼人さんと盤石の布陣。全員良かったです。

寺島しのぶ演じる愛子の息子役は磯村勇斗さんでしたが、彼の演技はすごく感情移入できて最高でした。本作の演技で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞も獲得しました。若手の演技派ですね。

磯村勇斗出演作品↓

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『ヤクザと家族 The Family』あらすじ

『ヤクザと家族 The Family』

山本賢治(綾野剛)はヤクザだった父の葬式に出席。父親が覚醒剤のトラブルで死亡したと知った賢治は、売人から覚醒剤を奪い、海に投げ捨てる。

ある日、賢治は母代わりの愛子(寺島しのぶ)が切り盛りするいきつけの店で銃で撃たれそうだった紫咲組の組長・紫咲博(舘ひろし)を助けた。

紫咲は賢治に礼を言い、組員にならないかと誘った。賢治は断る。

そんな中、賢治たちは覚醒剤の元締めの組・侠葉会の加藤に拉致され殺されそうになる。しかし賢治が紫咲の名刺を持っていたことで加藤と紫咲が話し合い、賢治は解放されることになった。

賢治は紫咲に恩を感じて涙を流し、紫咲組に入った…。

それから数年後、賢治は紫咲組が経営するクラブで由香という女性と知り合い心惹かれていく。

しかし賢治が侠葉会の川山を暴行してしまったことで抗争が起ころうとしていた。

ネタバレなし感想・海外評価

シネマグ
ストーリーも切なすぎて感動的!ラスト結末も最高です。豪華キャストの演技もすばらしくて見応え抜群です。

暗めのトーンの重厚な映像も美しい。

暴対法が改正されてヤクザが食えなくなったという社会問題も入れ込まれており、ヤクザ・任侠モノにあまり興味がない人でも楽しめるつくりになっています。

血がブシャーとなるなど少しグロテスクなシーンはありますが、万人が楽しめるヤクザ映画です。

おすすめ度 90%
世界観 85%
ストーリー 85%
IMDb(海外レビューサイト) 7.0(10点中)

※以下、『ヤクザと家族 The Family』のストーリーネタバレありなので注意してください!

『ヤクザと家族 The Family』ネタバレ感想・ラスト評価

『ヤクザと家族 The Family』の評価は86点。
シネマグ
ヤクザの義理人情が暴力団対策法の強化と共に散ってゆくさまを描いた秀作です。

全体を通じて綾野剛さんの渾身の演技に引き込まれます。組に迷惑はかけたくないけど死んだ弟分のために敵対組織に復讐してしまう主人公の葛藤を高いレベルで表現していました。

かっこよすぎもせず、あまり頭も良くなさそうな雰囲気を出せているのがすごいです。

カッコよくて頭脳明晰な漫画のようなヤクザより感情移入できますし、演じるのも難しいと思います。

臨場感のあるカメラワークも良かったです。

綾野剛が追いかけられるシーンで急に主観映像に切り替わったり、舘ひろしが敵対組織から銃撃を受けるシーンでは車の中から撮影され、視聴者は車に乗っている感覚で路肩に突っ込むシーンを味わえました。

藤井道人監督らしい暗く青みがかったトーンによる映像もヤクザの悲哀を美しく切り取っていました

ラスト結末について

終盤では磯村勇斗演じる翼が過去にヤクザだった父を殺した人物にところへ敵討ちに向かうと、賢治が代わりにその人物を殺していたという展開。

翼が犯罪者にならないように代わりに敵討ちを果たした賢治。不器用な彼らしいやり方に一種の美学を感じました。

オープニングでは人が血を流しながら海に沈む幻想的で美しい描写がありましたが、ラストでこれは綾野剛演じる主人公・賢治だったと判明します。アーティスティックで印象に残る結末でした。

そして個人的には磯村勇斗さんが最高。綾野剛演じる賢治に小さい頃から可愛がられ、賢治が出所したら半グレになっていた翼によるラストの「ちょっと話そうか」という賢治の娘に向けたセリフが本作を特別なものにしていた気がします。

結局、主人公・賢治は市原隼人演じる弟分に殺されてしまい、親分(舘ひろし)も病死。アニキもシャブ中になっており、賢治の恋人・由香も役所をクビになるというさんざんな結末でしたが、翼と賢治の娘のラストの会話で一縷の希望の光が差したようで感動的でした。

微妙だと感じた点

『ヤクザと家族 The Family』で唯一気になったのは作り込まれた感ですね。

個人的な意見ではありますが、本作のストーリーは計算されつくされており、それはもちろんいいことなんですけど計算されてる感が映像から透けて見えるような気がしました。

役者の表情が目に入る前に、構図からそのシーンの意図が見えてしまう感じです。人によってはそれでいいと感じるかもしれませんが、個人的にはさりげなく演出するシーンがもう少しあっても良かったと思います。

序盤で綾野剛が車に轢かれるシーン、舘ひろしが車で移動する場面、敵対組織の川山がクラブで女性を襲ってパコパコしてるシーンなど、次に何が起こるのかなんとなく読めちゃうんですよね(のんきに移動している舘ひろしは案の定敵の攻撃を受けるし、ク○野郎の川山は刺されて死亡)。

完璧に設計されていることで逆に次の展開の意外性が少しだけ削がれてしまった印象です。

もちろん作り込まれて計算されたシーンの方が伝わりやすいんですけど、随所にもっと何を意図しているか読めないシーンを入れて緩急をつけた方がいいと思いました。そうすれば傑作と呼ばれる域になったような気がします(上からですいません)。

あとは暴対法という社会問題をゴリ押ししすぎてた感じもしました。暴対法でヤクザのしのぎができなくなって稼げなくなった社会とヤクザの没落を描いたことには大賛成なのですが、「法改正」のワードが何度も連呼されていて少しだけ気になりました。1,2回聞けばわかります。

最後のまとめ

藤井道人監督の映画『ヤクザと家族 The Family』は、綾野剛や磯村勇斗ら俳優陣の迫真の演技でヤクザの世界の終末をあざやかに描いた良作でした。

シネマグ
本当に美しい映画だったので藤井道人監督にはヤクザモノをもう1作くらい撮ってほしいです。たぶん私と同じように熱望している人は多いと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『ヤクザと家族 The Family』レビュー終わり!