A24のホラー映画『トーク・トゥ・ミー/TALK TO ME』、ネタバレあらすじ結末解説や徹底考察レビューをしていきます!正直な感想評価も!
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『トーク・トゥ・ミー』作品情報
制作国:オーストラリア
上映時間:1時間35分
原題:『Talk to Me』
ジャンル:ホラー
年齢制限:PG12
監督:ダニー・フィリッポウ/マイケル・フィリッポウ兄弟
脚本:ダニー・フィリッポウ/ビル・ハインツマン
原案:デイリー・ピアソン
製作費:約6億円
全世界興行収入:約37億円
キャスト:ソフィー・ワイルド、ミランダ・オットー、ゾーイ・テラキス
アリ・アスター監督の『ミッドサマー』や『へレディタリー/継承』を抑えてA24(映画配給・制作)史上最高の興行収入を叩き出しています。
満を持して日本に上陸です。
映画『トーク・トゥ・ミー』あらすじ
数年前に母を事故(睡眠薬の過剰摂取)で亡くした高校生のミアは、親友のジェイドやその弟・ライリーと一緒にSNSで投稿されて流行っている交霊会の現場へ。
呪われた手を握り「トーク・トゥ・ミー」と言うとおぞましい霊が見える。さらにその状態で「アイ・レット・ユウ・イン」というと霊が体に憑依し、恐ろしい言動を繰り返すのだった。
呪われた手の持ち主・ヘイリーは、憑依される時間を90秒と決めていた。
それ以上憑依させると霊がその人の中に残ると言われているからだ。
ミアは交霊会で霊を憑依させる。
怖かったがみんなに認められ、なぜか素晴らしい体験にも思えた。
後日、ジェイドの家で交霊会が行われる。
みんなで次々に手を握って霊を憑依させて“ハイ状態”を楽しんだあと、ジェイドの弟・ライリーも試してみた。
ライリーに取り憑いたのは、なんとミアの母親の霊だった。
ミアは母親の霊からの言葉に動揺し、ライリーは憑依の制限時間を超えてしまう。
※以下、『トーク・トゥ・ミー/TALK TO ME』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『トーク・トゥ・ミー』ネタバレ感想・評価
ホラーの醍醐味が凝縮された最恐の作品でした。
まずホラーの演出がめちゃくちゃ上手い。
間の取り方とかタイミングとか完璧です。
観客に恐怖させる時間を十分与えてから、予測不可能なタイミングでおぞましい造形の悪霊を登場させます。
計算し尽くされた演出に脱帽でした。
取り憑かれて頭を机に打ちつけ、自分の目玉を取り出そうとする少年ライリーなど、ショッキングすぎて目を背けたくなるシーンも盛りだくさん。
心構えができていないタイミングで凄惨な映像を入れてくるんですよね。
フィリッポウ兄弟は今作が初の長編映画ですが、センスがすごいですね。
霊媒となる呪われた手を握って「トーク・トゥ・ミー」と言い気持ち悪い霊が出てくるシーンも怖いんですけど、もっと怖いのはそのまま「レット・ユウ・イン」と言ってしまう90秒チャレンジの心理状態です。
集団ヒステリーのようなものを非常に巧みに描いており、それがまた怖いと思いました。
みんなからウザがられているミアは、90秒チャレンジでなんとか認められたかったのでしょう。
主人公・ミアのキャラ設定と心理描写が巧みです。
最後に主人公・ミアが死ぬラストも秀逸でした。
ミアは「鏡をのぞきこんだら自分が映っていない夢を見る」と言っているなど、何気ない伏線も効果的でしたね。
A24『トーク・トゥ・ミー』考察(ネタバレ)
ラストシーンの意味
ミアはライリーを突き落とそうとして、結局自分が車道に落ちて死亡。
霊となったミアは病院のなかで回復したライリーを見て(時間の概念の喪失)、さらに自分が鏡に映らないのを見てパニックに。
暗転したと思ったら、今度は90秒憑依チャレンジで霊として呼び出されます。
憑依チャレンジをやった側が、霊として呼び出される側になる皮肉に満ちたラストでした。
もしかするとミアたちが呼び出した霊も、もともとは90秒憑依チャレンジで死んだのかもしれません。
ミアたちは呪われた手に囚われていると考えることもできます。
霊は、自分が置かれた状況から抜け出したくて憑依するのでしょう。
ラストシーンでミアはスペイン語を話す青年たちに呼び出されました。
また本作を俯瞰してみると、みんなの輪に入れずに浮いており、ある意味で幽霊のようだったミアが本当に幽霊になってしまう話とも捉えられます。
母の霊の正体
理由は3つ。
①ライリーに憑依したミアの母の霊はミー(ミアの愛称)で呼び、「それが母の証拠だ」と言ってました。
しかし、その前に1度ミアの体の中に入った霊であれば彼女の記憶を読めるでしょう。(ヘイリー?もその可能性に触れてましたよね)。
②そして後半ではミアの母の霊が「遺書は父さんの嘘」と言ったり、「部屋に入ってくるのは父さんじゃない」と言ったりします。
ミアが父親をハサミで刺すよう仕向けるための言動にしか思えません。
ミアの母なら娘に父を殺させるようなことはしないでしょう。
さらにミーではなくミアと呼んだりもしているので、偽物くさいです。
「ライリーの面倒はこちらで見る」という発言も、肉体を欲する偽物の言動でしょう。
③冒頭で登場して自殺したダケット、その兄・コールが「霊は化けられる」って言っていました。
そもそもミアの母の霊がライリーに憑依したなら、知り合いの少年・ライリーの顔面を机に打ちつけて壊すようなことはしないはずです。
ダケットは冒頭で「お前はたくさんの人を殺すと死んだ父さんに言われた」と言っていました。
ダケットも、父さんの霊が見えたと思っていたけど、実は関係ない悪霊にだまされていたのだと思います。
SNS社会のメタファー
本作の憑依チャレンジはドラッグを暗喩したものらしいですが、SNS社会のメタファーにもなっていると思いました。
90秒の憑依チャレンジは、2014年から流行ったアイス・バケツ・チャレンジ(筋萎縮性側索硬化症/ALSの研究機関に寄付するか氷水をかぶるか)に似てますね。
SNSは実質的にたくさんの人が見ており、コミュニティを形成しています。
スマホを通して何百人もの人が注目している中でコレをやれ!と言われたら、本当は嫌なことでも拒否しずらいのです。
『トーク・トゥ・ミー』では誰も見てなかったら絶対にやらないであろう憑依チャレンジを、仲間の悪ノリとSNSの注目のためにノリノリでやってしまいます。
「危険なことをしているけど、承認欲求を満たせてハイになれる!」ある種の集団ヒステリー状態です。
さらに、「SNSの情報ってほとんどがゴミだよね」という暗喩もされていると思いました。
「呪いの手を握って出てくる霊のほとんどが害悪を成す悪霊」という構図に似ているからです。
日々安易にSNSの情報に触れることは、何度も悪霊に憑依されることと同じなのかもしれません。
脳にダメージが蓄積します。
有名Youtuberとして名を馳せたフィリッポウ兄弟だからこそ、SNSの害悪を熟知しているでしょう。それを作品に反映させたのだと思いました。
カンガルーの伏線
序盤に登場したカンガルーはその後の展開を暗示していました。
ミアがライリーを迎えに行った際、カンガルーが他の車に轢かれてもがき苦しんでいるのを発見。
ライリーは「トドメを刺して楽にしてあげて」と言います。
しかしミアは怖くて何もできず素通りしてしまいました。そして帰宅してからもどうすればよかったのか悩みます。
そのあと、死にたくても死にきれないカンガルーのような状態に置かれたのはライリーです。
ライリーは地獄のような場所で悪霊に苦しめられていました。
カンガルーにトドメを刺せなかった心残りもあり、ミアはライリーを殺して苦しみから解放してやろうという考えに取り憑かれてしまったように見えます。
なぜ最後にミアが轢かれたのか?
ミアは辺獄で悪霊たちに体を引き裂かれるライリーの魂を解放しなければという強迫観念に取り憑かれ、ライリーを車椅子ごと車道に突き落とそうとします。
しかし実際に車道に落ちて車に轢かれて死亡したのはミアでした。
なぜミアはライリーを突き落とさず自分が死んだのか?
理由はいくつか考えられます。
まず、ミアに良心が残っており、最後の最後で悪霊に抵抗した可能性です。
ジェイドが呼ぶ声に反応し、ライリーを守るために悪霊に操られる自分の身を犠牲にしたのかもしれません。
次に考えられるのは、悪霊は最初からミアの命も狙っていたというもの。
ミアは90秒憑依チャレンジで制限時間をオーバーして霊が見えるようになっていました(オーバーしてたよね?)。
ミアも取り憑かれていたのでしょう。
ミアが死後に幽霊となってライリーの回復を見ました。ライリーは取り憑かれていたものの、魂が地獄のような場所で引き裂かれるほど深刻ではなかったのかもしれません。
ライリーの魂が引き裂かれる映像は、ミアが悪霊に見せられていただけなのかも。
最後にちょっとトリッキーな考察をするなら、「カンガルーの霊がやった」「カンガルーの霊はミアを死の世界に引きずりこみたかった」というパターンもアリかと思います。
カンガルーの霊は、ミアがトドメを刺さずに苦しむ自分を見ても何もしてくれなかったことに怒っていたのかもしれません(笑)。
ミアの精神疾患
ちょっとアングルを変えるなら、一連の物語は90秒憑依チャレンジでミアのうつ病が急激に悪化した末の悲劇と考えることもできます。
ミアは母の死後にうつ病を患っていました。
さらにミアは、ライリーが霊に取り憑かれて頭を机に打ちつける行為に走ってしまったあとでパニック状態のようになっていました。
一連の騒動でうつ病が悪化した、もしくは他の精神疾患を発症したと考えられなくもないです。
そう捉えると、みんな憑依チャレンジしているなかでミアだけ霊が見えるようになったことにも納得がいきます。
(霊は存在するけど、ミアに見えている母親の霊などは妄想というトリッキーなパターンですね)
通常の精神状態でないミアは、入院しているライリーにカンガルーの姿を重ね、楽にしてあげなきゃという強迫観念に取り憑かれたのかもしれません。
ライリーは本当に回復したの?
謎が多く残された『トーク・トゥ・ミー』。
死んで幽霊になったミアが病院で回復したライリーを見ますが、彼が本当に回復したのかも定かでないですよね。
ミアが幽霊少女の体に入って見た、ライリーが悪霊たちに苦しめられているビジョンが本当だと仮定してみましょう。
ライリーの魂はすでに消滅し、ミアが見た気色悪い老人男性の幽霊がライリーの体を乗っ取って彼のフリをしているのかもしれません…。
そんな想像の余白がありました。
『トーク・トゥ・ミー』ネタバレあらすじ解説
制限時間を超えたライリーは悪霊に取り憑かれ、机に自らの顔面を打ちつけ、自分で目玉を取り出そうとする。
姉のジェイドがなんとか止めた。ライリーは重傷で入院する。
ミアには、母親・レアの霊が見えるようになっていた。
入院中のライリーは意識が戻ると自分で頭を打ちつけて死のうとする。
ミアは取り憑かれたライリーを助けるため、病室で呪いの手を使った儀式をする。彼の魂を体に戻せないかと考えての行動だった。
「トーク・トゥ・ミー」と言うと、幼い少女の霊が現れた。
少女の霊はライリーの魂がいる場所を知っていると話し、「レット・ユウ・イン」と言った。
ミアの意識が少女の霊の中に入る。
地獄のような場所でライリーが悪霊たちに凄惨な責苦を受けているのが見えて、ミアはパニックになった。
その後、ミアは母親の霊から「ライリーを助けるためには彼を殺して楽にしてあげるしかない」と言われる。
ミアは父のマックスから「母さんが睡眠薬を飲んで死んだのは事故ではなく自殺だ」と聞かされて動揺する。
自分の部屋に父親が入ってこようとする。
母親の霊が「それは父親ではない」と言った。
ミアは父親に似た霊に首を絞められ、近くにあったハサミでその霊の首を刺した。本物の父親だった。
頭がおかしくなったミアは病院へ向かい、ライリーのベッドのそばに立ってハサミを握る。
しかし、なんとか手を下ろして踏みとどまった。
ミアはライリーを車椅子に乗せて道路の上まで運ぶ。
ジェイドがやってきて「止めて」と叫んだ。
ミアは落下して車に轢かれた。
起き上がったと思いきや、それはミアの霊体だった。
幽霊になったミアは茫然自失としながら病院内に戻る。回復したライリーがリハビリを頑張る!と言っていた。ジェイドと母親が喜んでいる。
鏡を見ると自分の顔が映っていない。
ミアは父親の後ろ姿を見てついて行く。
ロウソクの炎が消えて真っ暗になった。
暗闇の中、「トーク・トゥ・ミー」という声が聞こえる。
ミアは霊となって交霊会に呼び出された。
呪われた手を握る青年たちが、出てきたミアの霊を見て驚いた。
最後のまとめ
『トーク・トゥ・ミー』は、A24最高の興行収入を記録するにふさわしい最恐ホラー映画でした。
ただ、個人的にはA24のホラーは『ミッドサマー』『へレディタリー/継承』からさらにエスカレートしているようで、注目されるために憑依チャレンジをするミアたちと変わらない構図だとも思いました。
正直、この辺の怖さで勘弁してほしいです。
これ以上怖かったり倫理的にキツい作品はトラウマになってしまいそう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。A24ホラー映画『トーク・トゥ・ミー/TALK TO ME』レビュー終わり!
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