ネタバレ考察『ミッドサマー』意味不明なラストの解釈!ペレや人肉ミートパイあらすじ伏線

  • 2024年10月2日

映画ミッドサマーの特徴マインドマップ

映画『ミッドサマー』は、『ヘレディタリー/継承』や『ボーはおそれている』の アリ・アスター監督による、新感覚サスペンスホラー。

この映画は批評家は絶賛しているが、一般の視聴者は支持していないというちぐはぐな評価となった。

見ていてたいして怖くないし、何をテーマにしているか意味不明な人も多かったのではないか。

この記事では『ミッドサマー』の登場人物/キャスト、あらすじネタバレを踏まえて、本質的なテーマやメッセーを考察してみたい。

考察系ネコ
精神を病んだ女性が、狂気の村でなぜか心の傷が癒えていく不思議なホラーだと思いました。

映画『ミッドサマー』の感想をどうぞ!

View Results

Loading ... Loading ...

 

謎の完全解説!

火がついた黄色い小屋

ディレクターズカット版を見直したので、新たな考察を追記していく。

ペレの両親も生贄に!ダニーを救いたかった!

ペレは最初からダニーを村に迎え入れたかったのだろう。

ペレはダニーに、自分の両親は炎の中で死んだ…と語っていた。ホルガ村では最後に生贄を燃やす儀式があった。

ペレの両親も儀式で、自らの犠牲(自殺)を選んだのではないだろうか

ペレは似たような境遇のダニーに共感し、救いたいと考えていたことは確かだと思う。

ペレはその年の女王に選ばれたダニーの唇にキスをしていた。恋人のクリスチャンの悪口も言っていたし、彼はダニーに好意があって、伴侶に迎えたいと思っているのでは。

ミートパイは人肉?

クリスチャンはミートパイを食べ、陰毛(マヤの)が入っているのを発見。

ミートパイの食事の前にサイモンとコニーのカップルが失踪している。タイミング的に彼らの人肉が入っているのだろう。

鶏小屋で解体されていたのはサイモンなので、彼の肉だと思う。人肉&陰毛パイという狂気…。

最初の絵で結末までネタバラシしている

オープニングで登場する絵に、

  1. 雪が降る街で妹と両親が死
  2. 慰められながら異国へ
  3. 落下してくる老人
  4. 最後のダンスの儀式

すべてが描かれている。伏線というか「実は全部最初で説明してたよ〜ん」というネタバラシ的な演出。

最悪なラストの意味を考察

精神障害者にとっての希望

ミッドサマーのラストシーン

『主人公ダニーがボーイフレンドのクリスチャンを生贄にすると決め、火刑の儀式が行われる』というミッドサマーのラスト結末。物足りなさや意味不明な感想を抱いた人は多いのではないか。

オチこれで終わり?とガッカリしたかもしれない。

このミッドサマーという映画は、テーマをしっかりつかみ取らないと、面白味が薄いキレイなホラー映画で終わってしまう。テーマをハッキリさせておこう。

1つの解釈だが『ミッドサマー』のテーマは、“精神障害者にとっての希望”だろう。

絶望を背負い、トラウマで頭がおかしくなって現実世界では生きづらいダニーのような人物にとって、ミッドサマーに出てくる村・コミューンこそが、最高に幸せな場所ではなのかもしれない。

悲しいことに、精神障害者(パニック障害とトラウマ)であるダニーが楽しく暮らせて、かつ受け入れてくれる集団は、まともな人間から見れば狂気そのもの

ミッドサマーは、精神障害者がどうすれば幸せに生きられるか?という“タブー”に1つの答えを出したちょっと危険思想な映画なのだ。

コミューンの狂気がダニーの癒しとなった。彼女は現実へ戻らず、ここでの暮らしを選ぶだろう。

(ダニーの笑顔について解説した記事)

恋愛も自殺させた方がいい

ダニーは最後の生け贄に、ボーイフレンドのクリスチャンを選ぶ。

クリスチャンは、ダニーの妹・テリーの様子がおかしいときに「どうせ気を引くためだろ」と言った(結果、ダニーは家を訪問せずにテリーたちが自殺)。

さらに最後にはマヤと性○為をしている現場も目撃。

ダニーからすれば、恨みの対象であり、最後に笑ったのも本当はクリスチャンを殺したかったからという解釈もできる。

ホルガ村の内部の者は、ラストのイングマールやウルフのように生け贄に志願する。飛び降りた72歳の老女・イルヴァたちも、自らの意思で死を選択している。

そんな風習から影響を受けたダニーは、恋愛も自殺させようと考えたのではないだろうか。クリスチャンを殺したかっただけでなく、2人の関係性を殺したかったとも考えられる。

映画『ミッドサマー』特徴解説(ネタバレ)

美しく明るいホラー

美しく明るいホラー

ひと言でいうと、“美しく明るいホラー”だったという点が挙げられる。

従来のホラー映画では暗い画面が続くことが多い。

一方。ミッドサマーは冒頭以外ずっと明るいシーンだ。

グロテスクな描写についてはどうか?

人の身体が潰れるよなグロいシーンもあるのだが、スウェーデンの牧歌的な景色や花で彩られることで、奇妙な美しさを添えて表現している。

そう、ミッドサマーは、常識を覆した明るく美しいホラー映画なのだ。

ちなみに、同じくA24の作品『Pearl パール』(2022)も明るいホラー映画だった。

(ミッドサマーの外のテーブルで食事をするシーンをオマージュしたNetflix映画『クラッシック・ホラー・ストーリー』なども出てきました。)

ラストは閉塞でなく解放を描いた

ミッドサマーのダニー

恐怖に追い詰められて、どんどん逃げ場がなくなっていく!というのが、ホラー映画のセオリーだ。

しかしミッドサマーは、この論理を覆している。

なぜなら主人公ダニー自身は、カルト集団にどんどん打ち解け受け入れられ、ある種の希望を持ってラストを迎えるからだ。

主人公ダニー視点で考えると、どんどん心が解放されていくのがわかるだろう。

ミッドサマーは賛否両論となっているが、常識を覆したホラーであることは確かで、監督のアリ・アスターもここを一番のウリにしたかったのだと推測できる。

次のページではミッドサマーの微妙だった部分や、独自の解釈について語っていく↓↓