ネタバレ考察『ミッドサマー』意味不明なラストの解釈!ペレや人肉ミートパイあらすじ伏線

  • 2024年7月9日

映画ミッドサマーの特徴マインドマップ

映画『ミッドサマー』は、『ヘレディタリー/継承』や『ボーはおそれている』の アリ・アスター監督による、新感覚サスペンスホラー。

この映画は批評家は絶賛しているが、一般の視聴者は支持していないというちぐはぐな評価となった。

見ていてたいして怖くないし、何をテーマにしているか意味不明な人も多かったのではないか。

この記事では『ミッドサマー』の登場人物/キャスト、あらすじネタバレを踏まえて、本質的なテーマやメッセーを考察してみたい。

考察系ネコ
精神を病んだ女性が、狂気の村でなぜか心の傷が癒えていく不思議なホラーだと思いました。

映画『ミッドサマー』の感想をどうぞ!

View Results

Loading ... Loading ...

 

謎の完全解説!

火がついた黄色い小屋

ディレクターズカット版を見直したので、新たな考察を追記していく。

ペレの両親も生贄に!ダニーを救いたかった!

ペレは最初からダニーを村に迎え入れたかったのだろう。

ペレはダニーに、自分の両親は炎の中で死んだ…と語っていた。ホルガ村では最後に生贄を燃やす儀式があった。

ペレの両親も儀式で、自らの犠牲(自殺)を選んだのではないだろうか

ペレは似たような境遇のダニーに共感し、救いたいと考えていたことは確かだと思う。

ペレはその年の女王に選ばれたダニーの唇にキスをしていた。恋人のクリスチャンの悪口も言っていたし、彼はダニーに好意があって、伴侶に迎えたいと思っているのでは。

ミートパイは人肉?

クリスチャンはミートパイを食べ、陰毛(マヤの)が入っているのを発見。

ミートパイの食事の前にサイモンとコニーのカップルが失踪している。タイミング的に彼らの人肉が入っているのだろう。

鶏小屋で解体されていたのはサイモンなので、彼の肉だと思う。人肉&陰毛パイという狂気…。

最初の絵で結末までネタバラシしている

オープニングで登場する絵に、

  1. 雪が降る街で妹と両親が死
  2. 慰められながら異国へ
  3. 落下してくる老人
  4. 最後のダンスの儀式

すべてが描かれている。伏線というか「実は全部最初で説明してたよ〜ん」というネタバラシ的な演出。

最悪なラストの意味(ネタバレ)

精神障害者にとっての希望

ミッドサマーのラストシーン

『主人公ダニーがボーイフレンドのクリスチャンを生贄にすると決め、火刑の儀式が行われる』というミッドサマーのラスト結末。物足りなさや意味不明な感想を抱いた人は多いのではないか。

オチこれで終わり?とガッカリしたかもしれない。

このミッドサマーという映画は、テーマをしっかりつかみ取らないと、面白味が薄いキレイなホラー映画で終わってしまう。テーマをハッキリさせておこう。

1つの解釈だが『ミッドサマー』のテーマは、“精神障害者にとっての希望”だろう。

絶望を背負い、トラウマで頭がおかしくなって現実世界では生きづらいダニーのような人物にとって、ミッドサマーに出てくる村・コミューンこそが、最高に幸せな場所ではなのかもしれない。

悲しいことに、精神障害者(パニック障害とトラウマ)であるダニーが楽しく暮らせて、かつ受け入れてくれる集団は、まともな人間から見れば狂気そのもの

ミッドサマーは、精神障害者がどうすれば幸せに生きられるか?という“タブー”に1つの答えを出したちょっと危険思想な映画なのだ。

コミューンの狂気がダニーの癒しとなった。彼女は現実へ戻らず、ここでの暮らしを選ぶだろう。

(ダニーの笑顔について解説した記事)

恋愛も自殺させた方がいい

ダニーは最後の生け贄に、ボーイフレンドのクリスチャンを選ぶ。

クリスチャンは、ダニーの妹・テリーの様子がおかしいときに「どうせ気を引くためだろ」と言った(結果、ダニーは家を訪問せずにテリーたちが自殺)。

さらに最後にはマヤと性○為をしている現場も目撃。

ダニーからすれば、恨みの対象であり、最後に笑ったのも本当はクリスチャンを殺したかったからという解釈もできる。

ホルガ村の内部の者は、ラストのイングマールやウルフのように生け贄に志願する。飛び降りた72歳の老女・イルヴァたちも、自らの意思で死を選択している。

そんな風習から影響を受けたダニーは、恋愛も自殺させようと考えたのではないだろうか。クリスチャンを殺したかっただけでなく、2人の関係性を殺したかったとも考えられる。

映画『ミッドサマー』特徴解説(ネタバレ)

美しく明るいホラー

美しく明るいホラー

ひと言でいうと、“美しく明るいホラー”だったという点が挙げられる。

従来のホラー映画では暗い画面が続くことが多い。

一方。ミッドサマーは冒頭以外ずっと明るいシーンだ。

グロテスクな描写についてはどうか?

人の身体が潰れるよなグロいシーンもあるのだが、スウェーデンの牧歌的な景色や花で彩られることで、奇妙な美しさを添えて表現している。

そう、ミッドサマーは、常識を覆した明るく美しいホラー映画なのだ。

ちなみに、同じくA24の作品『Pearl パール』(2022)も明るいホラー映画だった。

(ミッドサマーの外のテーブルで食事をするシーンをオマージュしたNetflix映画『クラッシック・ホラー・ストーリー』なども出てきました。)

ラストは閉塞でなく解放を描いた

ミッドサマーのダニー

恐怖に追い詰められて、どんどん逃げ場がなくなっていく!というのが、ホラー映画のセオリーだ。

しかしミッドサマーは、この論理を覆している。

なぜなら主人公ダニー自身は、カルト集団にどんどん打ち解け受け入れられ、ある種の希望を持ってラストを迎えるからだ。

主人公ダニー視点で考えると、どんどん心が解放されていくのがわかるだろう。

ミッドサマーは賛否両論となっているが、常識を覆したホラーであることは確かで、監督のアリ・アスターもここを一番のウリにしたかったのだと推測できる。

映画『ミッドサマー』ネタバレ感想・酷評

ありふれたプロット

閉鎖的な集団に外部の若者がとらわれ、殺されていく。

このプロットはありふれており既視感がすごい。

ニコラス・ケイジ主演でリメイクした、『ウィッカーマン』などが代表的(それをモチーフにしたのだろう)。

集団の設定が面白ければ成立するのだが、ミッドサマーで特に興味深い点はなかった。

衣装や人々の暮らしぶりが美しくオリジナリティもそれなりにあるが、胸おどる感じまでにはならなかった。

強いて言えば、女性が好きな男性の食べ物に自分の隠毛を混入するという生々しさくらいだろうか(ただこれも良く聞く話)。

画期的なアイデアやテーマを除けば、ミッドサマーは退屈な映画かもしれない。

ホルガ村の慣習に違和感がある

ミッドサマーのホルガ村の住人たち

「ホルガ村では、飲み物を飲む前に、グラスを対面する相手の肩へ一度くっつける」など、いくつもの慣習があるが、違和感があった。

この人たち、普段はこんなことしてないだろうな、と感じてしまうようなリアリティのない動作が多かったからだ。

演者がその所作に慣れていないのか、慣習の設定自体がまずいのかはわからないが、少し気になった。

木の建物がキレイすぎる

ホルガ村の建物の部屋

ミッドサマーのスウェーデンのホルガ村の木造の建物がキレイすぎるのが気になった。

大草原の中にあるわけだから、壁が土で薄汚れているのが普通ではないか?セット感満載だ。

建物に代表されるように、セットにリアリティがなかったのが残念だ。

リアリティのなさで、非日常的な違和感を表現したかったのかもしれないが、そう考えたとしても、上手く機能していない。

ミッドサマーの独自解釈

ミッドサマーのストーリーを独自解釈してみよう。

スウェーデンのホルガ村での出来事はすべて、ドラッグでラリったダニーの幻想!と考えても面白いのではないか。

ダニーは村に入る前に、 マジックマッシュルームで幻想と真実の区別がつかなくなっている。

ホルガ村の儀式もその延長上で、すべてダニーの頭の中の映像だと言えないだろうか。あくまで1つの解釈である。

そして新たな解釈をしておいてなんだけど、この物語はダニーの心理変化にスポットが当たっているので、真実か幻想かというのは重要ではない。

幻想であっても真実であっても大きな違いがないのも、ミッドサマーの大きな特徴で、いろいろな解釈が楽しめるという点は素晴らしいと思う。

映画『ミッドサマー』作品情報・キャスト

基本情報・キャスト

監督・脚本/アリ・アスター

アリ・アスターは2018年公開のホラー映画『ヘレディタリー/継承』で一斉を風靡した若手の映画監督。

ダニー・アーダー/フローレンス・ピュー

ダニー・アーダー/フローレンス・ピュー

ダニーはパニック障害を患う女子大生。心理学を専攻している。妹は双極性障害。

女優のフローレンス・ピューは、2019年の映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』演技力を評価された若手実力派!

リーアム・ニーソンの映画『トレインミッション』や、マーベル『 ブラックウィドウ』にも出演。

クリスチャン・ヒューズ/ジャック・レイナー

クリスチャン・ヒューズ/ジャック・レイナー

クリスチャンはダニーの彼氏。すぐにパニックになるダニーを受け止めきれず、別れを考えている。文化人類学専攻。

俳優ジャック・レイナーは、『トランスフォーマー/ロストエイジ』への出演で有名。

マーク/ウィル・ポールター

マーク/ウィル・ポールター
マークはクリスチャンの大学の友人。楽観的でドラッグや女遊びのことしか考えていないアホ。

俳優ウィル・ポーター『メイズ・ランナー』などで有名。

ジョシュ

ジョシュ

クリスチャンの友だち。文化人類学専攻で、スウェーデンのホルガ村を熱心に研究する。

ペレ

ペレ

スウェーデンのホルガ村のコミューン(共同体)出身で、クリスチャンの大学の留学生。

ミッドサマーのA24制作ホラー

関連記事

A24のホラー映画『トーク・トゥ・ミー/TALK TO ME』、ネタバレあらすじ結末解説や徹底考察レビューをしていきます!正直な感想評価も! シネマグ 怖すぎて映画館で5滴くらいちびりました。90秒憑依チャレンジ絶対にダメ![…]

A24のホラー映画『トーク・トゥ・ミー/TALK TO ME』