Netflix映画『スパイダーヘッド』孤島の刑務所が舞台。体内に直接ドラッグが分泌される治験に参加する受刑者たちが徐々に異変に気づいていくサスペンス・スリラー。正直、駄作でした…。
クリヘムとマイルズ・テラー主演、『トップガン・マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー監督のサスペンスということでかなり期待していましたが、ぶっちゃけ超つまらなかったです。
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・酷評、考察を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
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映画『スパイダーヘッド』作品情報・キャスト紹介
原題:『Spiderhead』
ジャンル:サスペンス・スリラー・SF
監督:ジョセフ・コシンスキー
脚本:レット・リース/ポール・ワーニック
原作:ジョージ・ソーンダース「Escap from Spiderhead」
ジョセフ・コシンスキーさんは『トップガン マーヴェリック』(2022)を監督した人物。
ただ本作『スパイダーヘッド』の残念な出来栄え的には同一人物とは思えないです(笑)。
スティーヴ・アブネスティ|cast クリス・ヘムズワース
©︎Netflix
スティーヴは刑務所兼治験施設で受刑者にドラッグを与えて観察する人物。
演じるのはアベンジャーズ/マイティー・ソーでお馴染みのクリヘムです。
今作では肉体美を披露する機会は少なかったですが、ソシオパス研究者役が似合ってました。
目を見開いてまつ毛が長い感じに狂気を感じるんですよね(笑)。
2022年は奥さんエルサ・パタキーが主演し、クリヘムも出演したNetflixアクション脳筋映画『インターセプター INTERCEPTOR』が公開されましたけど、そっちのほうが全然好みでした。
ジェフ|cast マイルズ・テラー
ジェフはドラッグの治験を受ける被験者。
マイルズ・テラーは『トップガンマーヴェリック』(2022)のルースター役もハマっていました。
映画『セッション』(2014)の主人公ドラマー役のイメージも強いです。
その他の登場キャラ・キャスト
リジー(ジェフと同じ受刑者)|cast ジャーニー・スモレット=ベル
ヘザー|cast テス・ハウブリック
サラ|cast アンジー・ミリケン
マーク|cast マーク・パグイオ
あらすじ
©︎Netflix
ジェフ(マイルズ・テラー)は孤島にある刑務所で、体内に新薬を注入する治験を受けていました。
ラブアクチンを注入されると世界の全てが美しく輝いて見えます。
ボキャブラスを分泌すると言語化の能力がいちじるしく向上します。
観察官はこの治験刑務所を作ったスティーヴ(クリス・ヘムズワース)です。
被験者たちはドラッグの効能で観察部屋でいきなり性行為を始めるなど、恐ろしい内情を目の当たりにしていき…。
『スパイダーヘッド』ネタバレなし感想・海外評価
サスペンスとしては全く面白くないです。海外レビューサイトの評価もかなり低いですね。
孤島でドラッグの治験をやるシュチュエーションは素晴らしいので、非日常的なリゾート治験気分を味わいたい人にはオススメ。
おすすめ度 | 40% |
世界観・設定 | 80% |
ストーリー | 45% |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家46% 一般36% |
※以下、映画『スパイダーヘッド』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『スパイダーヘッド』ネタバレ感想・評価
- 孤島の研究施設での危険な治験。
- 被験者の背中に取りつけたケースをスマホで操作しドラッグ分量を操作
サスペンス好きにはたまらない舞台とアイデアです。
恋愛や高揚感が高まる薬・ラブアクチンN-40を被験者に投入すると、目の前にいるどんな相手とでも性行為をしてしまうぶっ飛んだ治験も面白かった。
中盤から後半にかけて尻すぼみ的にストーリーがつまらなくなっていきました。
中盤はマイルズ・テラー演じるジェフが、治験に疑問を抱いてクリヘムにちょっと反抗するシーンで中だるみ。
まあダークフロックスという気分が最悪になる薬をヘザーという女性に投入しすぎて、彼女が自殺してしまう展開は良かったです。
ただラストのオチには正直がっかり。
- クリヘムはいい奴と見せかけて、誰もが言うことを聞くようになるドラッグ・B-6の効果を試していた
- マイルズ・テラー演じるジェフは治験刑務所の製薬会社がクリヘムの所有だと知って怒り、彼の薬の分泌を操作して混乱に乗じて逃げる
という結末。
伏線回収・シットフィンガー
サスペンス的な伏線回収で面白かったのはシットフィンガーのくだりくらいでしょう。
ちょっと汚い話になってしまいますが、シットフィンガーというのは日本語で“ウ○コ指”という意味。
掃除係のレイはウ○コで落書きする受刑者を「シットフィンガー」と呼び、正体が誰か探していました。
ラストでジェフとリジーが施設から逃げるとき、壁にウ○コで落書きしているサラに会います。
シットフィンガーの正体はサラだったのです。
サラはウ○コでベチョベチョの手でジェフに襲いかかってきます。
考察:支配というドラッグ
映画『スパイダーヘッド』が伝えたかったことはなんでしょう?!
ドラッグ分泌で作られた感情より、ドラッグなしで自然に湧いてきた自由意志のほうが尊いというテーマがひとつあると思います。
あとは、
- ジェフも恋人と親友を自分の飲酒運転で殺してしまった。
- リジーも自分の赤ちゃんを過失で車内に放置して熱中症で殺してしまった。
これらの要素を考えれば、どんなに辛い過去でも乗り越えられるというメッセージもあるのでしょう。
映画のラストでは「自分を許すドラッグはない」という言葉もありました。
普通に考えると『スパイダーヘッド』はメッセージ性までチープな映画となり、満足度はより下がります。
そこで、記事も終盤になってきましたが本作の名誉のためにもっと大きなテーマについて考察したいと思います。
視点を広げると『スパイダーヘッド』のテーマは“支配というドラッグ”だと思いました。
製薬会社を経営するクリヘムは自分でもラブアクチンなどのドラッグを使用しています。
しかしそれ以上に彼が陶酔しているのは支配というドラッグではないでしょうか。
クリヘムの目的は相手を支配するドラッグを製造することでした。
しかし彼のソシオパス的な行動を見ていると、そのドラッグの製造よりも受刑者たちの支配を楽しんでいる印象も受けます。
さらに、支配の他に承認や成功というドラッグもあるでしょう。
承認のドラッグの症状ついては受刑者全員に当てはまります。
SNSいいね社会への批判にも捉えられますね。
成功のドラッグについては、クリヘムの同僚で右腕のマークがその症状に当たります。
マークは非人道的な実験と知りながら、経済的に成功するために研究者としてクリヘムに協力していました。
支配のドラッグも成功のドラッグも、目には見えませんし体に支障をきたすこともないです。
しかし、われわれ現代人の誰もが囚われているとも言えます。
ジェフたちが孤島から脱出するラストは、社会という装置が作り上げた支配と成功のドラッグ・幻影から抜け出すことのメタファーになっていたように感じました。
最後のまとめ
映画『スパイダーヘッド』は、キャストや制作スタッフを見る限りNetflixの期待作でした。世界のランキング入りは果たすと思いますが、内容がまったく面白くないので評価は得られないでしょう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『スパイダーヘッド』レビュー終わり!
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