2023/11/03ついに配信されたNetflix『スライ スタローンの物語』。スライの無名時代、ロッキー時代、ランボー時代、エクスペンダブルズ時代の50年間が本人の口から語られていきます。
作品情報
ぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビュー!
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
Netflix『スライ スタローンの物語』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:96分
原題:『Sly』
ジャンル:ドキュメンタリー・伝記映画
年齢制限:16歳以上推奨
監督:トム・ジムニー
クエンティン・タランティーノやシュワちゃんもインタビューを受け、当時のスタローンについて振り返っています。
※以下、『スライ スタローンの物語』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix『スライ スタローンの物語』ネタバレ感想・評価レビュー
良かった点:スライにとって映画とは?
(大好きな俳優のドキュメンタリーに点数がつけられるかは微妙ですが、冷静に考えるとこれくらいの点数かな)
無名時代の苦労話、ロッキーの成功、酷評される日々、ランボーの成功、コメディに手を出した迷走時代、2010年代のエクスペンダブルズなどが語られて行きます。
シルヴェスター・スタローンが若手時代に「自分がキャスティングされるような映画がなくて脚本を書くしかなかった。」「脚本に人生がかかっていた」というスライの言葉には重みがありました。
改めてわかるのが、ストーリーがスタローンのアメリカンドリームとシンクロしている『ロッキー』はもちろん、すべての映画にスタローンの人生や出来事が色濃く反映されているということ。
だからこそ、私たちはロッキーやランボーに感情移入できるのだと思いました。
ランボーの暴力性は幼少期に暴力を振るってきた父の投影だそうです。だからこそキャラクターとしての悲哀が凄まじかったのでしょう。
ランボーは原作小説はベトナム帰りの殺人マシーンの話らしいですが、スタローンが完全にテーマを書き変えて、ベトナム帰還兵にある種の希望を残したと言っていました。
ロッキー4で、スタローンはドルフ・ラングレンに殴られて失神。心拍数が上がりすぎてICUに運ばれて死ぬかと思った…そうです。アレ?本気で殴り合っているんですか?だからあんなリアリティがあるの?
特殊メイクもあるんでしょうけど、本当に殴っている場面もあるんですね。体張りすぎです。
シュワちゃんからのインタービューで、「80年代はどちらがよりでかいナイフや銃を使うかや、筋肉で競い合っていた」という話も笑えました。
また、ドキュメンタリーの撮影中にまだ『エクスペンダブルズ1』(2010)で負った怪我が治りきっていないと言っており、どんだけ体を張っているんだ?と思いました。いつでも命がけのアクションです。尊敬します。
ちなみに『エクスペンダブルズ』は、往年のロックスターのリバイバルコンサートで老いたミュージシャンたちが観客を沸かせている姿に感激してそこから着想を得たようです。
父と子の深すぎる関係
このドキュメンタリーの1番大きなテーマがシルヴェスター・スタローンと父の関係。
スタローンは父のフランク・スタローン・シニアからことあるごとにDV暴行を受けていたようです。
今の日本の常識で考えて特殊だと思うのはスタローンは暴行を受けても屈しはしなかったようで、「どんな痛みにも耐えられると思った」と父からの暴力行為を昇華(マイナスの出来事を建設的なエネルギーにする)させています。
スタローン映画の暴力性とアクションに対する狂気は、父子の関係から始まっているのだとわかりました。
さらに弟・フランクによると父親はスライに嫉妬していたそうで、『ロッキー』の成功後に父親が俺の脚本が本物だと関係者に見せて回ったようです。
さらにスライが40歳で久しぶりにポロ(馬に乗って行う球技)をやろうと思い立ち観衆の前で父のチームと試合した際には、スライは父にワザと追突されて落馬する危険な目に遭っています。
それ以降スライは2度とポロはやらなかったそうです。相当ショックだったのでしょう。
それからしばらくは父と疎遠だったようですが、スライは父が死ぬ前に会いに行きます。
そして父から「さっき天使が見えて、メッセージを受け取った。人を愛して許せるようになれ」と言われたそうです。
スライからしたら「これまで俺と弟に散々なことをしておいて今さら?」という想いもあったことでしょう。
ただスライの声や表情から、その言葉をしっかり受け取ったことが伝わってきます。
父親の暴力や最悪な行動でも、父子の絆を完全に壊すことはできなかったのです。
私はキリスト教信者でもなんでもないですが、聖書に出てきそうなエピソードだと感じました。
『ランボー5 ラスト・ブラッド』で最後に腰掛けたのは父のロッキングチェアだったんですね。
なぜあのラストだったのか?このドキュメンタリーを見てはじめてスライの想いが理解できました。(ランボー5は個人的にはあまり好きではなかったですが、見直そうかな)
残念な点:語り尽くせないスタローン
撮影時期や契約のせいがあるのかもしれませんが、アポロの息子をロッキーがトレーナーとして支える傑作スピンオフ、『クリード チャンプを継ぐ男』の裏話とか制作秘話も聞きたかったです。
本ドキュメンタリーは96分という丁度いいくらいの長さですが、スライのドキュメンタリーなら私は2時間でも3時間でも見ますよ。
個人的には「2時間越えでも一向にかまわない!」ので、クリード1、そして2のコンセプトの解説なども聞きたかったです。
インタビューでシュワちゃんが、スタローンは3つのシリーズを成功させた(ロッキー、ランボー、エクスペンダブルズ)!と言っていましたが、クリードの成功もそれに並ぶくらいすごいことだと思います(スピンオフとはいえ)。
少しでもクリードに触れてほしかったなあ。
あとは1990年代はコメディ作品で失敗したあと、アクションしかないアクション映画に出続けた…的なまとめ方をされていましたけど、『クリフハンガー』や『デモリションマン』など個人的に大好きな作品も、ちょびっとでも語ってほしかったです。
まあ出演した映画ではなくスライ本人を語るドキュメンタリーなので仕方ないですが、スライを1時間半でまとめるなんて無理ですよ。
CineMagの点数 | 85点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 79% 一般の視聴者 87% |
メタスコア(Metacritic) | 64(100点中) |
最後のまとめ
Netflixドキュメンタリー映画『スライ スタローンの物語』は、彼が映画にかける情熱を知ることができるすばらしい内容でした。
新作『エクスペンダブルズ4 ニューブラッド』は日本では2024年1月5日に公開ですが、楽しみで仕方ありません。
2023年11月時点で77歳のシルヴェスター・スタローン。そろそろ体も大事にしてほしいな。いっぽうで新作もまだまだ見たい。いつまでも彼の活躍が終わってほしくないです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『スライ スタローンの物語』レビュー終わり!
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