映画『シルバー・スケート』は、古き良きロシアの美しい街並みで身分の違う男女が恋をする ラブロマンス。 アイススケートのシーンが多く、ショーのような感じで異国情緒に没頭できます。
ネタバレでストーリーあらすじを解説し、感想レビューを書いています。
映画『シルバー・スケート』基本情報・キャスト
公開・制作:2020年 ロシア
監督:ミハイル・ロックシン
原作:メアリー・メイプス ドッジ「Hans Brinker, or The Silver Skates」(1865年出版)
主演: ヒョードル・フェドートフ/マトヴェイ役
出演:ソーニャ・プリス/アリサ役
出演:ユーリー・ボリソフ/アレックス役
マトヴェイ/ ヒョードル・フェドートフ
主人公・マトヴェイは、パン屋の配達で生計を立てる貧乏な青年。スケートが得意。肺 結核を患う父と二人暮らしです。
うっかり君だけど、イケメン度はかなりのもの。
アリサ/ソーニャ・プリス
ヒロイン・アリサは、化学などの学問が大好きで研究者を目指している裕福な階級の 若い女。父・ニコライは大臣で女性の学問に反対しています。
美女ながら部屋でカエルの解剖をしちゃう学問ガチ勢です。
それにしても女優のソーニャ・プリスはめちゃキレイですね。
映画『シルバー・スケート』感想・評価
評価は84点。
凝ったストーリーが好きな人には向かないかもしれませんが、古き良きロシアの風景・建物・文化・ファッションなどが堪能できて、個人的には楽しかったです。
登場人物が氷上市場でスケートを履いて飛んだり跳ねたりバク宙したり、ア クロバットなスケートショーとしても楽しめます。
アイススケート自体を見どころとして各シーンに大胆に取り込んだのは、映画としては斬新だと思いました。
ただ、ストーリーとしては特にひねったところがなかったのが難点といえばそうかもしれません。
原作小説はなんと1865年の アメリカで出版されたもので、映画化するに当たって脚本でどれくらい手を加えたのかはわかりませんが、「 ロミオとジュリエット」がスケートを履いたバージョン!といえるシンプルな物語です。
終盤でマトヴェイたちがパリ行きの切符を落とすところなど、ツッコミどころもありました(笑)。
当時のロシア考察!スケート Uber Eats
映画『シルバー・スケート』は1899年の年末の設定です。その時代、マトヴェイのようにパンの配達を アイススケートでやっていたのでしょうか。
現代の Uber Eats(ウーバーイーツ)の原型のようで非常に興味深いですね。確かに、街中が凍りついたロシアなら アイススケートで出前を届けたほうが早そうです。
またマトヴェイの父親の“点灯夫”という、街灯を点けて回る仕事にもノスタル ジーを感じました。確かに電気がないときは、こんな仕事もあったはずです。
タイムマシンで当時のロシアに行ってみたいと思いました。
女性の自立をしっかり描いた
映画『シルバー・スケート』では、女性の自立もしっかり描かれているのも印象的でした。
ロミオとジュリエットのストーリーの裏側に、化学者になる夢を叶えたマニアックなアリサと、女性が学問を極めても意味がないという頑固な考えを曲げて制度を変えた父ニコライ大臣の物語があるのです。
アリサがカエルを解剖するところなど、幼い頃から死体をスケッチしていたというピーター・ラビットの作者 ビアトリクス・ポターみたいだと思いました。ヒロインが単なる夢見がちな女性ではなく、ガチの研究者タイプとして描かれているのが斬新だと思います。
エマ・ストーン主演の『クルエラ』みたいな、女性の自立を謳っていそうでまったくそうでもない作品とは違い、『シルバー・スケート』は女性の自立がさらっと描かれているのがかっこいいですね。
Netflix映画『闇はささやく』みたいな、中途半端な フェミニズム物語にもならなくて良かったです。
美しいシーン
『シェイプ・オブ・ウォーター』ばりに ティール色を強調したアリサの部屋は美しくて見応えありました。
ヒロイン・アリサが手を広げ、マトヴェイが後ろから腰を支えるシーンは タイタニックっぽかったですね。
全体的にいえますが、 アイススケート ラブロマンスってロマンチックですね。
映画『シルバー・スケート』ネタバレあらすじ解説
1899年の サンクトペテルブルクが舞台。
パン屋の配達員として働く青年・マトヴェイは、 アイススケートで届け先へ向かいますが、貴族の通行で道が封鎖されたため遅刻してクビになります。
スケートでスリをするアレックスは、マトヴェイのスケート技術を見て仲間に引き入れました。
アレックスは遊びでマトヴェイをニコライ大臣の家のバルコニーに侵入させ落書きをさせます。部屋の中で将来の結婚相手を占っていた大臣の娘・アリサの鏡にマトヴェイの顔が映りこみ、アリサはバルコニーに出て彼の顔を見つめました。マトヴェイは逃げます。
後日、皇室のスケートイベントのチケットを盗んだマトヴェイはアレックスと会場へ行き、金や時計を盗みまくります。マトヴェイは来ていたアリサに気づかれますが、彼女は「明日ソリャノイ通りに来るなら黙ってあげる」と言いました。
翌日マトヴェイが約束の通りへ行くと、アリサは「夫のふりをして」と言って教育省に入り、ロシア初の女性大学研究生になるための試験を受けます。教授・ドミトリは彼女の能力を認めますが、夫であるはずのマトヴェイ(貧乏で読み書きできない)がサインをできなかったため、その場で合格はできませんでした。
クリスマスの日アリサはマトヴェイに連れ出され、スケート靴を履いて凍った川の上を滑ったり、飲み屋でアレックスの仲間達と話したりと楽しいひと時を過ごします。
後日、アリサに一目惚れした公安警備隊長アルカディ・トルベツコイ率いるスピードスケート警備隊が市場を見回っていました。彼らはアレックスの仲間・フライをスリの現行犯で逮捕して手錠をかけます。近くにいたマトヴェイは、スケート靴でフライの手錠の鎖を切り一緒に逃げました。しかし途中でアルカディに追いつかれます。
アレックスがアルカディの足を銃で撃ち、マトヴェイたちは逃げました。しかし、“公爵”というあだ名の仲間が捕まってしまいます。
数日後、不正をするなといつも言っていたマトヴェイの父が肺 結核で死亡しました。
アリサはアレックスからもらった 資本論の本を部屋で読んでいると父のニコライ大臣に見つかってしまい、持っている本を全部焼かれます。好奇心旺盛で化学の分野に進みたいと夢を持っていたアリサは悲しみに打ちひしがれて家出。そして、マトヴェイたちがいる廃船のアジトへ行きました。アリサはマトヴェイに「パリに行って大学に入りたいから一緒に来て欲しい」と言います。2人は愛し合いました。
外からアルカディ隊長たちの声が聞こえます。捕まった“公爵”がアジトの場所を吐いたのです。船は外側から燃やされてフライたちは捕まりました。アレックスはマトヴェイを階下へ突き落とし、アリサを人質に取って交渉します。
アリサはロープで船下に降ろされますが、炎で綱が切れて落下寸前で、マトヴェイがロープを掴みました。しかし、アルカディたちがアリサを確保。さらに彼らは一旦解放したフライたちを射殺しました。
マトヴェイは船の反対側から川に飛び込みます。アレックスは撃たれて沈んでいきました。
マトヴェイは通りがかりの人に助けられ低体温で病院に運び込まれます。心肺停止寸前でしたが、小さい頃に父とスケートをした夢を見た後に、なんとか目を覚ましたました。
アリサはマトヴェイが死んだと思って絶望し、おまけに勝手にアルカディと婚約させられ、貴族の仮面舞踏会に連れて行かれます。そこにマトヴェイが忍びこんでパリ行きの列車チケットを見せ、2人は館から出てスケート靴を履いて駅まで逃げました。
乗車しようとするとチケットが1枚しかありません。館に落ちていたチケットを拾っていたアルカディがホームにやってきます。マトヴェイはアルカディと格闘し、チケットを取って出発した列車に飛び乗ります。しかしアルカディに胸を撃たれてしまいました。
血は流れていません。マトヴェイの祖父の代から伝わる家宝のスケートブレードが銃弾からを守ってくれたのです。
4年後、アリサは学位を取得し、ロシアに戻って教鞭をふるいます。娘に戻ってきて欲しい父・ニコライ大臣は、女性が教授になれるよう影で法案を通していたのです。
アリサはマトヴェイと息子が楽しそうにスケートをしている姿を眺めています。3人は幸せに暮らしていました。
映画『シルバー・スケート』END!
最後のまとめ
Netflix『シルバー・スケート』は、100年前のロシアの街並みやファッションを美しく描き、氷上の ロミオとジュリエットの純愛に浸れる良作だったと思います。
ストーリーが普通でも、見応えのある美しいシーンが多い映画もたまにはいいですね。
映画『シルバー・スケート』感想レビューおわり。
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