映画『ワンピース RED/レッド』(ONE PIECE FILM RED)。挑戦的で良くも悪くも狂っており、思ってたのと違うタイプの作品でした。
楽しめた人には申し訳ないですが、個人的には困惑気味です。
尺の長い挿入歌が6〜7曲…。多すぎました。
華々しいライブシーンとよく考えると超暗いストーリーのミスマッチも気になります。
「こういうところが良かったぜ!」というポジティブな意見中心のレビューにしたいのは山々ですが、本作では難しそう…。辛口レビューになってます。
作品情報・新キャラ・ウタ、ぶっちゃけ感想・忖度なし評価・特にひどいポイント・曲や歌詞の難しさ、ストーリー考察・シャンクスの大失敗、物語のネタバレあらすじ解説を知りたい人向けの記事です!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
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映画『ONE PIECE FILM RED』作品情報・新キャラウタ
ジャンル:アドベンチャー・バトル
監督:谷口悟朗
脚本:黒岩勉
原作:尾田栄一郎「ONE PIECE」(少年ジャンプ)
総合プロデュース:尾田栄一郎
主題歌:Ado「新時代」
オリジナルキャラ・ウタ紹介
キャラ | 声優 |
ウタ(UTA)
超絶的な歌唱力を持ち、世界中にファンを持つ歌姫。今回エレジアで初めて生ライブを開催。シャンクスの娘で幼少期に7年間一緒に過ごした。離れた理由は謎に包まれている。風車村でルフィとよく遊んだ。 |
セリフ:名塚佳織 歌:Ado |
ネタバレなし感想・海外評価
『ワンピース』に何を求めるかで評価が真っ二つに分かれそうな作品。
音楽ライブをたくさん見たいか、そこまでライブをフューチャーしなくていいかによって、気になる・ならないに大きな差がでるでしょう!
前作『ONE PIECE STAMPEDE』(2019)(ワンピース スタンピード)も個人的にはそこまで好きではなかったですが、そちらのほうがまだ楽しめると思います。
海外サイトロッテントマトズの評価はかなり高いですね。
おすすめ度 | 68% |
ライブ映像 | 90% |
ストーリー | 52% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 94% 一般の視聴者 95% |
※以下、映画『ONE PIECE FILM RED』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『ONE PIECE FILM RED』ネタバレ感想・評価・ひどい点
ミュージカルアニメじゃん…
バトル作品であるワンピースをミュージカル仕立てにする挑戦は評価できますが、そのせいで物語全体にワンピースっぽさがありません。
まず、音楽の島エレジアの特設ステージでDIVA・ウタが歌いまくる冒頭のライブシーンは最高だし、ファンタジーなアニメーションも眼福です。
ただ歌のシーンが多すぎて物語のテンポはイマイチ。
「Ado featuring ワンピース」のコラボビデオみたい(Adoさんが悪いわけではなく )。
たぶん細田守監督の『竜とそばかすの姫』より歌唱シーンより多いです。全体的に、ダークなレリゴー!みたいでした。
私もそうですが、麦わら一味の真剣な戦闘シーンがたくさん見たい!という人にはやや退屈だったのでは?
ヒロイン・ウタが夢の世界にみんなの意識を閉じ込めたいメンヘラだと分かってからもストーリーは進まず、ルフィとの風車村の回想に費やされます。
ルフィはともかく、ゾロや私の大好きなサンジでさえそれほど目立ったタイマンはなくモブ扱い。
キャラが多すぎてみんなの一撃が数珠繋ぎに映されてるだけに見えました。
ビッグマム海賊団やコビーやローたちとの協力などの友情も非常に薄い味付け。
麦わら一味が何かを達成する話ではなく、あくまで主役はウタでありAdoの歌声なんですね。
さらに残念なのは『FILM RED』にも関わらず、実質的に赤髪のシャンクスの物語でもないです。
シャンクスの存在感は終盤だけ。
覇気で海軍を圧倒してましたが、なんか水戸黄門が印籠出したみたいに海軍の諦めが早かったのも気になりました(笑)。
ルフィ、シャンクス、ウタという3人の過去を紐解く!というより、全体を通してウタに向けられたスポットが多すぎます。
ウタはヒロインかつラスボスという欲張り設定なので、目立つのは仕方ないかもしれません。
しかし歌唱シーンが多く戦闘も基本的に夢の中なのでバトルの真剣味もナシ。
駄作とまではいかないまでも、ワンピースの映画シリーズというよりは長尺のMVの印象が強かったです。
ミュージカルとして見れば!と思いそうですが、ぶっちゃけミュージカル映画としてもまったく面白くはありません。
- 歌っているのはウタだけ
- 歌詞はキャラの感情とリンクしているかもしれないが、発声法や早口で聞き取れない箇所あり
- ミュージカルとしてもストーリー性が薄すぎ
この3つが理由です。
2022年公開アニメ映画では『バブル』もそうでしたが、コンセプトや映像美とストーリーが釣り合っていない作品が増えている気がします。
コロナ化で制作陣がコミュニケーションが取れずに制作したからでしょうか?
トットムジカ歌詞とか全然聴き取れん…
「Tot Musica」Ado
その傲岸無礼(ごうがんぶれい)な慟哭(どうこく)を
惰性(だせい)なき愁い(うれい)には忘却を
さあ 混沌の時代には終止符を
いざ無礙(むげ)にBlah blah Blah
作詞:cAnOn 作曲:澤野弘之
トッドムジカにいたっては、歌詞をみても抽象的すぎてストーリーや具体的な心情につなげるのが無理ゲー。
聴き取るのも理解するのも難解な歌詞。
これも映画『ワンピースレッド』でストレスを感じるひとつの理由だと思います。
かなり狂った物語
『ワンピース レッド』は、ウタの過去と悲劇にスポットを当てた救われない物語でした。
舞台はカラフルで豪華絢爛。映像を見る限り明るい雰囲気です。
しかし、よくよく考えると本作はエレジアの住民を皆殺しにした少女が精神崩壊するストーリーです(トットムジカ(魔王)の影響はあるにせよ)。
さらに、精神崩壊して配信含めライブを見ている全世界の7割の人間を道連れにしようとしています。
ある意味、やってることはホラー映画『ソウ』のジグゾウと一緒。いくらなんでも怖すぎます。
歌手のAdoさんは激しめの曲も多く歌っていたり、さまざまな声色を使い分けられます。
その七色の声質からインスパイアされて、ウタという性格が分離したようなサイコパスチックなキャラが生まれたのかもしれませんね。
ストーリー考察
ラストでウタはどうなった!?
ラストでウタはどうなったのか?
ウタはシャンクスが差し出した薬を拒否してみんなに歌を届けたので、体力が持たず死んでしまったのでしょう。
ウタが死んだシーンははっきりと映されていなかったので明言はできないものの、流れ的には死亡していると思います。
敵味方含めてルフィとの戦いで心を入れ替えるキャラクターが多いワンピースで、ヒロインが暗黒面に落ちて死亡する結末は珍しいと思いました。
私的には生きていて欲しかったです。
ただ故意じゃないにしても12年前のエレジア住民大量殺人と今回の世界の7割殺人未遂と、第二の人生を始めるにしてもウタの罪が重すぎるのがネックです。
それもあってウタが死ぬラストにしたのでしょう。
シャンクスのやらかし発言…
©︎尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
12年前、エレジアで魔王の音楽を歌ってしまったウタはトットムジカと一体化して暴走して住民を虐殺。
シャンクスたち赤髪海賊団がウタを食い止めたものの、シャンクスはゴードンに「島の崩壊は俺たちがやったことにしてくれ」と言って去っていきます。
ウタがやった!という本当のことは言えないにしても、「父親当然の人物が住民を虐殺して金品を強奪した」と伝えられる娘の身にもなってごらんなさいよ。
普通に「ある悪い海賊団が急にきて島を襲った」とか、そういう嘘を言ったほうがウタは傷つかなかったんじゃないですか!?
それかエレジアに残すよりシャンクスたちが連れていったほうがウタがまともに育ったと思います。過去に苦しむこともないです。
そうしてしまうとなぜウタが赤髪海賊団を憎んでいるか・なぜ離れたか描けないからこういう脚本にしたんでしょう。
ウタからすれば「憧れの船長でありパパが大量殺人犯だった…」とずっと悩んでいたことになって可哀想です。
娘の罪をおっかぶる“シャンクス漢気”と見せかけて、ウタの気持ちを全然考えていないのが納得できません。
シャンクスはウタに海賊になってほしくなかったのでしょう。
確かにシャンクスが罪をかぶればウタが海賊になることは防げます。
ただしメンタル崩壊のリスクは非常に高いです。
普通に考えてこの選択肢を選ぶでしょうか?
そもそも海賊にしたくないなら7年間も海賊船に乗せていたのも変です。
ウタがエレジアに置いてかれたのは「海賊にしたくない。ゴードンに教わって世界一の歌手になってもらいたい」ということで目を瞑ったとしても、魔王トッドムジカの楽譜はゴードンが始末するべきでした。
魔王の楽譜がめっちゃいい曲かもしれないけど、さすがに大量殺人の同じ悲劇を二度繰り返すよりマシでは?
楽譜はウタの声に反応するんですよね?いつ爆発するかわからない原爆を置いているようなものでは?
元ネタは映画『インセプション』
登場人物たちが夢の中に入り、現実と影響しあってミッションを達成する。
この展開どこかで見たことありませんか?
クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』(2010)っぽいですね。
もっというと、『インセプション』を元ネタにして大ヒットした劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』により近いと思いました。
パクリというわけではないですが、制作陣は『無限列車編』の大ヒットを受けて「夢の中の物語にしようぜ!」と決断したのかもしれません。
あとはウタが音楽の力で民衆を葬り去ろうとするあたり、グリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」の印象も受けました。
『ワンピース RED/レッド』ネタバレあらすじ結末解説
盛り上がるウタのライブ!
麦わらの一味は配信ライブで世界的な人気を博している歌姫・ウタの生ライブを見るためにエレジアという島へ。
ウタは美声を轟かせます。超満員の会場が歓喜の渦に包まれました。
ルフィはウタが風車村にいたシャンクスの娘だと気づきます。
そこへビッグマム海賊団のシャーロット・オーブンやシャーロット・ブリュレが、ウタを誘拐しようと襲いかかりました。
ウタウタの実の能力者であるウタは、能力でビッグマム海賊団たちを五線譜に貼り付けます。
ウタの目的は?
ウタはルフィに「海賊をやめてここでずっと一緒に過ごそう」と提案。
当然ルフィは断りました。
不気味な笑みを浮かべるウタは、ファンたちにルフィら海賊を捕らえるように呼びかけます。
一方、元帥のサカヅキの命令で、黄猿や藤虎ら海軍は超危険人物であるウタを捕らえるためにエレジアへ向かっていました。
会場に侵入していた海軍のコビーやヘルメッポらはウタが危険人物だと知っており、ルフィたちに「ここはウタの夢の中だ」と伝えます。
麦わら一味は、ウタの育ての親である島唯一の住民ゴードンとも合流しました。
ウタはウタウタの美の能力でみんなを眠らせて自分も死に、意識の中に“争いのない新世界”を作ろうと目論んでいるようです。
ロビンは夢の中の塔にある巨大な絵を解析。トットムジカという魔王を蘇らせ、現実と夢から同時攻撃すれば夢から覚めることができると知りました。
現実ではルフィたち麦わらの一味だけでなく、会場の観客も全員寝ています。
さびれた会場で起きているのはウタだけです。
夢の中のルフィに正気に戻れと諭されて精神的におかしくなったウタは、寝ている現実のルフィにナイフを突き立てようとします。
赤髪のシャンクスがやってきてナイフを持ったウタの手を止めました。
解き放たれた魔王トットムジカ
ウタは、「残されていたビデオからエレジアの悲劇は自分が起こしたと1年前に知った」と告白。歌の力で魔王・トットムジカを解き放ちました。
ルフィたちは夢の中から、シャンクスや赤髪海賊団は現実からトッドムジカを攻撃し、倒すことに成功。
しかしみんなの意識は現実へ戻りません。
ウタは体力回復の薬を拒否し、最後の力を振り絞ってみんなを夢から解き放つ歌を歌いました。
ラスト結末
歌のパワーで会場にいる人たちが現実へ帰還します。
シャンクスの覇気で海軍たちは徹底することに。
ルフィはサニー号の上で目覚めました。
遠くにシャンクスの船が見えます。
シャンクスたち赤髪海賊団は横たわるウタを囲んでいました。
映画『ワンピース RED/レッド』終わり!
最後のまとめ
映画『ワンピース RED/レッド』は、ミュージカル要素と派手な映像、ストーリーのダークさがややミスマッチに感じられました。
ただ、なんだかんだ次のFILMも楽しみにしてます。次はミュージカルはやめてください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『ワンピース RED/レッド』レビュー終わり!
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