映画『ノイズ』ネタバレ考察/最後の銃声,ひまわりの絵&アイスの解釈,黒いちじくのメタファー,noise

  • 2024年7月16日

藤原竜也・松山ケンイチ出演の映画『ノイズ』(noise)をネタバレ有りで徹底考察しています。

作品情報・キャスト、ぶっちゃけ感想・評価ラストの純の行動の意味・黒いちじくのメタファーを知りたい人向けに徹底レビューしていきます!

CineMag
設定と意味深なラストが光ったサスペンスでしたね。

映画『ノイズ』作品情報・キャスト紹介

公開・制作国・上映時間:2022/01/28・日本・128分
ジャンル:サスペンス
監督:廣木隆一
脚本:片岡翔
原作:漫画『ノイズ【noise】』筒井哲也 著(集英社 ヤングジャンプ)
撮影:鍋島淳裕
音楽:大友良英
出演者
藤原竜也(『Diner/ダイナー』『太陽は動かない』『カイジ』『るろうに剣心』)
松山ケンイチ(『大河への道』)
神木隆之介(『ホリック xxxHOLiC』)
黒木華
伊藤歩
渡辺大知
迫田孝也
鶴田真由
寺島進
柄本明
永瀬正敏

※以下、映画『ノイズ』のストーリーネタバレありなので注意してください!

ストーリーの簡潔なまとめはこちら

映画『ノイズ』考察(ネタバレ)

ノイズの意味

ノイズは作中のさまざまなものを意味しています。

まず島に来た犯罪者がノイズとなりました。完璧に調和したような島に入り込んだ不協和音です。

また、親友同士であった圭太は、純の言葉をいつも真剣に受け取ってこなかったようです(ラストの圭太と加奈の面会シーンで判明します)。

つまり純の言葉がノイズだったんですね。

圭太の態度が狂気のラストを生んでしまったのです。

島民たちにとっての島外の警察もノイズ。殺人事件より島の復興が大事な閉鎖的なメンタリティ。ある意味では異常です。

圭太にしても島民にしても、結局外からの声をノイズにしてしまっているのは己自身だと伝えているのだと感じました。

最後の銃声の意味

ラストで純は森の中で猟銃を2発撃っていました。2発目は銃声だけです。

手に入らないとわかった加奈を撃ったあとに純が自殺した!?など想像が膨らみました。

ただ場所が森の中だったので、そこに加奈がいたとは考えにくいというのはあります(連れてきてわざわざ離れた場所から撃ったのでもない限り)。

それでも純の自殺は十分にありうるのではないでしょうか。

畠山刑事は純を疑っており「これで終わったと思うなよ」の発言。加奈からは「一生圭太を待ち続ける」と言われ、手に入らないことが確定

純が自殺する動機は十分です。

もしくは純がただ普通にイノシシ狩猟をしていただけかもしれません。

しかし加奈が手に入らないとわかった純の表情はちょっと不安に見えました。

ひとりで森で銃を撃っているシーンは純が人の心を失って小御坂のような犯罪者になってしまう未来を示唆しているかのようです。

ひまわり、遊園地、アイスクリームの絵

加奈は留置所の圭太に面会に行きます。そして娘の恵理奈が描いた絵日記を見せます。

「朝起きたらひまわりが咲いていたので、みんなで遊園地に遊びに行きました。とっても暑かったので、アイスクリームを食べました。とってもおいしかったです。」という文章とともに、ひまわり、恵理奈、加奈、圭太、純の4人の絵が見せられます。

これは、恵理奈が父・圭太が犯罪者である事実に耐えられずに描いたウソの絵日記でしょう。現実逃避のための絵だと思います。

学校で楽しかったことを絵日記にしろと課題があり、父の不在を描くのが嫌でたまらず、この絵日記を描いたのかもしれません。

この絵は同時に、恵理奈が純のことを家族の一員のように大切に思っている証明でもあります。だから圭太は「純のことを信じてやってくれ」と加奈に告げたのでしょう。

黒いちじく・かさぶた

まず、中身がグロテスクな黒いちじくは、外側から見ると理想的でも、実際はいろいろとおかしい島民のメタファーになっています。

さらに本作には真一郎が何度も島のために“かさぶた”になると言っていました。

かさぶたって見方によっては黒いちじくの皮みたいですよね。

島民たちは自分たちが良ければそれでいい生活を続けているうちにいろいろと歪み・ノイズが噴出していることに気づかないフリをしています。

ノイズをかさぶたで覆っているわけです。

それがヴィジュアル化されたのが圭太が育てる黒いちじくなのだと思いました。

黒いちじくは復興になるはずが、悲劇の噴出の結晶だったのです。

映画『ノイズ』ネタバレ感想・評価

映画『ノイズ』の評価は75点。佳作です。

ラストで松山ケンイチさん演じる純が加奈のことを昔から大好きで、圭太に罪を被せようとしていたラストには背筋の凍るものがありました。

中盤の神木隆之介さん演じる駐在員・真一郎が自殺するという展開も衝撃的

ストーリーで素晴らしかったのはこの2箇所ですね。

冒頭で犯罪者・小御坂が圭太の娘を性的な目で見ているシーンも恐ろしく、そこからいきなり彼が圭太と揉みあいになって頭を打って死んでしまう急展開も興味深かったです。

しかしそこから中盤までのおじいちゃんと町長がコメディ的に死亡し、住民たちが隠蔽しようとする流れは若干退屈。

感想を語る犬
冒頭とラストは超シリアスなのに中盤だけ妙にコメディタッチなのが気になりました。

島民が閉鎖的で恐ろしいというのを表現しているはわかるんですが、人間的な恐怖がすごい!というわけでもなく、中途半端に感じてしまいました。

一貫してシリアスなテイストにしたほうが良かったと思います。

廣木隆一監督作品では『母性』のほうが好きです。

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映画『母性』

映画『ノイズ』は、原作漫画の設定の良さもあって引き込まれるストーリーでしたが、中盤に妙に緊張感がなくなってしまうのが残念でした。

メッセージ性とラストは素晴らしいと思うので少し勿体無い印象です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『ノイズ』レビュー終わり!