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映画『ナイル殺人事件』ネタバレ考察/灰色と深紅のトレードオフ感想評価,原作との違い,ブルース音楽キャストあらすじ解説

映画『ナイル殺人事件』(Death on the Nile)は、アガサ・クリスティの名作をケネス・ブラナー監督主演で現代に蘇らせたサスペンスの秀作!

CineMag
違和感のある設定もありましたが、映像はゴージャスでしたし、サスペンスとしても丁寧な作りで楽しめました!

作品情報・キャスト、ぶっちゃけ感想・評価無慈悲なトレードオフ・深紅VS灰色のストーリーネタバレ考察!ポリコレによるブルース設定と楽曲解説を知りたい人向けに記事をわかりやすくまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)

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映画『ナイル殺人事件』作品情報・キャストと演技の印象

公開・制作国・上映時間:2022/02/11・米英・2時間7分
原題:『Death on the Nile』
ジャンル:ミステリー・サスペンス
監督ケネス・ブラナー
脚本:マイケル・グリーン(『オリエント急行殺人事件』)
原作:アガサ・クリスティ「ナイルに死す」1937年
撮影ハリス・ザンバーラウコス
音楽:パトリック・ドイル

探偵エルキュール・ポアロ|cast ケネス・ブラナー

探偵エルキュール・ポアロを演じる俳優 ケネス・ブラナー

旧作ファンの存在もあって賛否両論のケネス・ブラナー版ポアロ。

個人的には従来のイメージとは違ってダンディすぎるけど、これはこれでありかなという印象です。

ケネス・ブラナーは監督も務めています。監督として物語の運び方も上手いし、『マイティソー』などヒーローモノからヒューマンドラマまでなんでもOK!

超人みたいな人ですね。『ベルファスト』ではアカデミー脚本賞を受賞しました。

クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルクDunkirk』や『TENETテネット』に俳優として出演し、話題に。

その他の登場キャラ・キャスト

リネットを演じたガル・ガドット

  • リネット・リッジウェイ・ドイル|cast ガル・ガドット(DC『ワンダーウーマン』シリーズ、『レッド・ノーティス』)→人形並みの美しさでした。とゆうか全体を通して記号的・人形的な扱いだったと思います。
  • サイモン・ドイル|cast アーミー・ハマー
  • ジャクリーン・ド・ベルフォール|cast エマ・マッキー→美人だけどマーゴット・ロビーに似てますね…。
  • ルイーズ・ブールジェ|cast ローズ・レスリー(『ゲーム・オブ・スローンズ』イグリット)
  • サロメ・オッタボーン|castソフィー・オコネドー→ポリコレ枠だけどブルース音楽がとっても聞き応えあったのでOK。(ちなみにソフィーが歌っていたわけではない)
  • ロザリー・オッタボーン|cast レティーシャ・ライト
  • ブーク|cast トム・ベイトマン
  • ユーフェミア|cast アネット・ベニング(『マーズアタック』『アメリカン・ビューティー』)→良い意味でキツさのあるキャラ。声もヒステリックで怖いです。アネット・ベニングの演技力に脱帽。
  • アンドリュー・カチャドリアン|cast アリ・ファザル
  • マリー・ヴァン・スカイラー|cast ジェニファー・ソーンダース
  • ウィンドルシャム|cast ラッセル・ブランド
  • ミセス・バワーズ|cast ドーン・フレンチ

『ナイル殺人事件』ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ・海外評価

映画ナイル殺人事件のキャスト

あらすじ:ブルース鳴り響くダンスフロアで、サイモンとジャッキーの熱々カップルを眺めるポアロ。数ヶ月後にエジプトへ旅行へ行くと、友人のブークと偶然出会います。サイモンはジャッキーを捨てて大富豪の女性リネットと結婚し、エジプトに新婚旅行に来ていました。ポアロもその旅行に同行。ジャッキーがサイモンをストーキングしています。そんな中、豪華クルーズ船で殺人事件が起こり…。

サスペンスとして見て損はしない高クオリティ。映像も見応え抜群です。

ただ、海外レビューサイトRotten tomatoesを見ると、一般視聴者と比較すると批評家の評価が若干低めですね。

昔の名作ドラマ版ポワロや小説への思い入れが強ければ強いほど、これじゃない感が出てしまうのでしょう。

おすすめ度85%
エンタメ的な映像90%
推理・ストーリー90%
IMDb(海外レビューサイト)(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)批評家62% 一般82%

※以下、映画『ナイル殺人事件』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『ナイル殺人事件』ネタバレ感想・評価

ケネス・ブラナー版の映画『ナイル殺人事件』の評価は85点。
CineMag
ポリコレに配慮しつつ、現代版としてハイクオリティな仕上がりだと思いました。

映像にはゴージャスという言葉がピッタリだと思います。エジプトのピラミッド、豪華ホテル、豪華客船、シャンパン・ロブスターと、こんな休暇過ごしてみてえ!という願いを映像で擬似体験できます(殺人事件が3件も起こらなければ)。

ストーリーがなくても、それぞれのシーンをぼーっと眺めているだけでエンタメ・アドベンチャーとして満足できるほど。

内容についてはオープニングではまさかのポアロの軍人時代が描かれていました。彼が口髭を生やしている理由も、戦争での爆発の傷を隠すためだとわかります。

そして戦争病院で寝ているポアロを恋人のカトリーヌが訪ねてきます。彼女はのちに爆弾で死んでしまったがことが判明。

オープニングと中盤でこれらの事実が差し込まれ、ポアロ自身の悲劇がナイル殺人事件に重ねられている構造です。

感想を語る犬
ただ正直、ポアロの悲哀とストーリーが上手くマッチしているかというと、そうでもありませんでした。

冒頭のモノクロワンカットについて

ケネス・ブラナー監督と、撮影監督のハリス・ザンバーラウコスは、『マイティソー』『オリエント急行殺人事件』『ベルファスト』など、何度もタッグを組んでいます。

今作では特に、冒頭モノクロで戦場の塹壕を約1分間ワンカットで映す演出が芸術的でしたね。写真集を見ているような印象でした。

想像ですがケネス・ブラナーは「このカット超イケてる!」と確信して、白黒で『ベルファスト』を撮ろうと思ったのではないでしょうか?そう感じるほど素晴らしいカットでした。

『ナイル殺人事件』考察!愛のトレードオフ/深紅VS灰色(ネタバレ)

愛と金のトレードオフ

『ナイル殺人事件』のテーマは愛による悲劇です。

CineMag
愛と他のものを同時に手に入れることはできない!というのがより具体的なメッセージだと考えられます。

二兎を追う者は一兎をも得ずですね。

愛と“何か”のトレードオフが映画『ナイル殺人事件』のストーリーにおけるキーポイントだと思いました。

  • リネットを計画殺害したサイモンとジャッキー。彼らは愛以外に“金”を手に入れようとして悲劇となりました。
  • ブークは、恋人ロザリーとの暮らしのために“宝石”を盗むというあやまちを犯し、結果ジャッキーに銃殺されます。
  • ルイーズは“金”に目がくらんで証言をためらってジャッキーに殺されました。ルイーズの元恋人リネットは“金”を渡され、彼女を捨てました。

みんな愛と金を同時に得ようとして破滅していますね。

愛を金で穢したことによる冒涜のように思えます。

一方、灰色の脳細胞を持つ探偵ポアロは、最愛の人に先立たれてしまいました。そして喪失から事件推理に全力をそそぐようになり、今に至るというわけです。

ポアロは最愛と引き換えに推理能力を得たのでしょう。

ブルース歌手・サロメといい雰囲気になりつつも、事件解決後には「あなたの仕事は見たくなかった」とキッパリ言われてしまいます。

『ナイル殺人事件』は、愛と“他の何か”は両立できない無慈悲なトレードオフの物語だったといえるでしょう。

愛にすがりつく者VS手放した者

事件で死んだ者たちを愛にすがりつく者、対してポアロを愛を手放した者という二項対立の図式で捉えることもできます。

ポアロが自身の優れた洞察力について「灰色の脳細胞」と言っていることを加味すると映画『ナイル殺陣事件』は、愛という深紅VS灰色の物語ともいえるでしょう。

殺されたリネットが灰色に見えなくもない銀のドレス、一方犯人ジャッキーは深紅と衣装がメッセージとぴったりですね。

リネット、ジャッキー、サイモン

愛が赤だとすると、灰色は財力・硬貨や知性の象徴でしょうか。

人間は両方を手に入れようと躍起になり、悲劇が生まれるのかもしれません。

考察:黒人ブルースとポリコレ・曲紹介(ネタバレ)

アガサ・クリスティの原作小説ではサロメ・オッタボーンは白人の小説家ですが、映画ではでは黒人ブルース歌手に変更されていました。

ポリコレ配慮でキャストに有色人種を入れなければいけないという理由からの変更でしょう。

ただ『ナイル殺人事件』は1937年の設定で黒人差別が酷かったはずなので、イギリスの富豪・上流階級と、売れてるとはいえ黒人歌手の立場が同じなんてことはあり得ないと思います。

(まあフィクションだから別にいいんですけど…)

そういう意味では雑なポリコレ配慮だったと思いました。

ただ使用されたブルース楽曲の選曲センスの良さで、このデメリットがあまり気にならなかったのも事実です。

冒頭のクラブでのダンスシーンのブルースや、ラストのゴスペルが作品のテイストとマッチしていました。

サロメ・オッタボーンのモデルになっているのはシスター・ロゼッタ・サープという人物で、ブルース界の超大物です。エレキギターを弾きながらのパフォーマンスはブルースやロックに多大な影響を与えたと言われています。

ラストシーンでサロメが歌っていたのは、ゴスペルグループthe staple singers(ザ・ステイプル・シンガーズ)のスタンド・バイ・ミーです。こちらも映画のラストを締め括るのにふさわしい、素晴らしい楽曲でしたね。

補足的ですがナイル川でブルース音楽が披露されたことで、アメリカで独自の文化を発展させた黒人が、アフリカ大陸へ帰るというメッセージもあると思いました。

最後のまとめ

映画『ナイル殺人事件』は、灰色の脳細胞VS恋人たちの悲哀がナイル川をバックにゴージャスに描き出された秀作・エンタメミステリ映画だったと思います。

アガサ・クリスティの原作ファンやポアロの昔のドラマファンはどう思っているかわかりませんが、ケネス・ブラナー版ポアロの第三弾も見たいですね!

ここまで読んでいただきありがとうございます。『ナイル殺人事件』レビュー終わり!

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