ディズニープラスドラマ『季節のない街』。宮藤官九郎(クドカン)が企画・監督・脚本を務めます。「ナニ」と呼ばれる大災害から12年。被災者や流れ者が暮らす仮設住宅にやってきた青年が、クセの強すぎる住民たちと触れ合うことで忘れていた大切な何かを取り戻す物語。
作品情報・キャスト
あらすじ・ネタバレなしの感想
ぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
全10話ネタバレあらすじ・最終回の解説
これらを知りたい人向けに内容をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。好きな項目から読んでください。)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
ディズニープラス『季節のない街』作品情報・予告
制作国:日本
話数:全10話
英題:A Town Without Seasons
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ、青春群像劇
年齢制限:15歳以上推奨
企画・監督・脚本:宮藤官九郎
原作:山本周五郎の小説「季節のない街」(1962)
配信:ディズニープラス/Disney+
山本周五郎の原作小説は1963年にもドラマ化され、黒澤明監督の『どですかでん』として1970年に映画化もされています。
宮藤官九郎
『池袋ウエストゲートパーク』(2000)や『木更津キャッツアイ』(2002)、『タイガー&ドラゴン』(2005)などで売れっ子脚本家の地位を獲得した通称・クドカン。
連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)も高い評価を受けましたね。
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『季節のない街』あらすじ(ディズニープラス2023)
半助(池松壮亮)は、ミッキーという男に雇われてある仮設住宅へやってきた。
そこは、12年前の「ナニ」と呼ばれる大災害の被災者や遺族などの行くあてがない者、流れついた犯罪者たちが住んでいるいわくつきの地域だった。月収12万円を超えると追い出される。
ミッキーは「仮設住宅で見聞きしたリアルな情報を送ってくれれば報酬を渡す」と半助に言った。
半助は新住民として仮設住宅の一角に住みながら、青年会のタツヤやオカベ、電車バカの六ちゃんなど個性的すぎる人々と交流を重ねていく。
自身も12年前に被災した半助は住民たちの話を聞きながら、次第に打ち解けていった。
そんな中、仮設住宅が取り壊されるという噂が出回り…。
『季節のない街』キャスト
半助(田中新助)|cast 池松壮亮
池松壮亮さんは個性的ですけど、地味でミステリアスな感じもある唯一無二の俳優ですよね。今回もハマり役でした!
庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』(2023)で主役の1号ライダーを演じたのも記憶に新しいですね。
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その他キャスト
役名 | キャスト |
タツヤ | 仲野太賀 |
オカベ | 渡辺大知 |
かつ子 | 三浦透子(『ドライブマイカー』) |
六ちゃん | 濱田岳(『First Love 初恋』『仮面ライダーBLACK SUN』『マイファミリー』『大怪獣のあとしまつ』) |
くに子(六ちゃんの母) | 片桐はいり |
たんばさん | ベンガル |
しのぶ(タツヤの母) | 坂井真紀 |
シンゴ(タツヤの兄) | YOUNG DAIS |
益夫 | 増子直純 |
光代(益夫の妻) | 高橋メアリージュン |
初太郎 | 荒川良々 |
良江(初太郎の妻) | MEGUMI |
ホームレスの父 | 又吉直樹 |
ホームレスの息子 | 大沢一菜 |
ミッキー | 鶴見辰吾 |
島さん | 藤井隆 |
島さんの妻 | LiLiCo |
沢上みさお | 前田敦子 |
沢上良太郎 | 塚地武雅 |
京太(カツ子の叔父) | 岩松了 |
妙子(カツ子の叔母) | 広岡由里子 |
熊さん(前科持ちの危ないあんちゃん) | 奥野瑛太 |
ネタバレなし感想・海外評価
コミカルなやり取りのあとで、仮設住宅で生きる人々の悲哀が浮かび上がってくる渋いコンセプトです。
原作小説をもとに、仮設住宅と被災者をあつかう現代風のアレンジがなされています。
原作小説をリスペクトしてセリフがほとんどそのままの文学的で美しいシーンと、原作にない予想外の設定や展開の組み合わせが絶妙です。
笑いと切なさで心をかき乱され、味わったことのない複雑な感情を抱かされます。
エンタメ性はありますがすごくわかりやすいタイプ!ではないので、その辺は好みが分かれるかもしれません。
終盤へ行くと、見ていられないほど辛いエピソードも出てきます。
個人的には地上波ではできないような人間の深淵を描いた傑作ドラマだと思いました。
2023年のドラマだとネトフリの『サンクチュアリ聖域』と並ぶかそれ以上の圧倒的ナンバーワンです。
おすすめ度 | 90% |
世界観 | 90% |
ストーリー | 86% |
IMDb(海外レビューサイト) | 9.2(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)※随時更新 | 批評家 % 一般の視聴者 % |
メタスコア(Metacritic)※随時更新 | (100点中) |
※以下、ディズニープラス/Disney+『季節のない街』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『季節のない街』ネタバレ感想・評価
笑えるだけでなく文学的・芸術的な面も非常に強いです。
12年前に起こった「ナニ」と呼ばれる大災害は明らかに東日本大地震と津波であり、仮設住宅での暮らしをリアルに描いている部分はあります。しかしそれを単にエンタメとして消費しただけではない深みがあるのです。
電車バカの六ちゃんのようなある面で障害を持っているような人、子供を平等に可愛がれない母親、ホームレスなど居場所をない人びとをよそ者である池松壮亮の視点で距離を取って切りとることで、哀愁・笑い・美しさが画面に共存した素晴らしい作品になっています。
悲哀と美しさは山本周五郎の原作小説の良さでもあるのですが、宮藤官九郎の演出やセリフ、池松壮亮、濱田岳らキャストの演技によって非常に高いレベルで再現されていると感じました。
1話「街へいく電車」ネタバレ
半助は被災者たちが集う仮設住宅にやってくる。飼い猫のトラも一緒だ。
ミッキーという男性から「仮設住宅のリアルな生活を文章にして報告すれば、その都度 電子マネーで1万円払う」と言われたのだ。
仮設住宅の間をぬうように「どですかでん!どですかでん!」という声が聞こえる。近所では電車バカとして有名な六ちゃんだった。彼は自分の頭の中にしかない空想上の市電を運転している。
街の人の多くは六ちゃんの存在を無視していた。
六ちゃんは道に飛び出してきた猫のトラの前で止まり、「危ねえだろ!田舎もんがあ!」と飼い主の半助に罵声を浴びせた(新助はこのとき半ズボンを履いていたので半助と呼ばれるようになる)。
六ちゃんは毎日車両整備をおこたらず、決まったダイヤで運転していた。
夜は天ぷら屋を営んでいる母・くに子の隣に座って、仏壇に「母さんの頭がよくなるように」と何度も祈っている。
ある日、小学生の女の子が電車に乗りたいと言うので、仮設の地域を出て近くの駅までおんぶして送ってあげた。
六ちゃんは不審者あつかいされて警察に捕まりそうになるが、仮設住宅の住民や半助がウソをついて彼をかばう。結局、小学生の女の子は「六ちゃんは私を送ってくれただけ」と言い、ことなきを得た。
エピソード1 終わり
エピソード1の感想
濱田岳さん優勝!!知的障害を持つ六ちゃんをリアリティ2/3、笑い1/3くらいの絶妙なバランスで演じ切っており、圧倒されました。
六ちゃんのようなキャラクターに笑いの要素まで持たせると現代では各方面から苦情がきそうです。実際にくるでしょう。
ただ個人的には、仮設住宅の街が六ちゃんというありのままの存在をしっかり受け止めているように見えて、感動という言葉だけでは言い表せない感情になりました。
街の人と六ちゃんの距離感も絶妙です。「普段は無視してるけど、警察からはかばってやる」という妙な連帯感には感動だけでなくリアリティもあります。
また、六ちゃんはなぜか「母の頭がよくなるように…」と祈っている描写には、悲哀だけでなくあたたかさがありました。
2話「親おもい」ネタバレ
仮設住宅にもかかわらずなぜか青年会を立ち上げているタツヤ。メンバーはオカベと半助を入れて3人だ。
半助はたんばさんの家でタツヤと将棋をさしながら話を聞く。
タツヤの兄・シンゴが急に帰ってくる。シンゴはときどき帰ってきては母・しのぶから金を受け取っていた。
しのぶがシンゴを甘やかして何度も金を渡したため、タツヤは大学にも行けず、しのぶの再婚相手のあきおさんも出て行ってしまった経緯があった。
前科があり刑務所にいたシンゴは、現在は変な集団に所属してヘイトスピーチなどをしているらしい。
たんばさんは遠回しに兄の文句ばかり言うタツヤをたしなめた。
タツヤのもとにシンゴが刺されたと連絡が入る。
病院へ駆けつけると、シンゴの所持品に自分が母や弟、妹と引っ越すための資金として貯めていた通帳がある。
やってきた母に聞くと、「私がシンゴにあげた。あなたと違って優しいから。あなたは家族より貯金の方が大事なんでしょ!」と泣き叫んだ。
タツヤは弁解したかったが涙しか出なかった。
兄・シンゴは一命を取り留める。
タツヤは半助やオカベと白菜鍋を囲みながら、笑顔で現実を受け入れていった。
エピソード2 終わり
エピソード2の感想
第2話も強烈すぎる話でした。親の想いが子供に伝わらないものですが、逆もまたしかり。
タツヤは家族のために一生懸命働いて貯金をためていました。しかし母親からは「勝手に金を貯めている優しくない息子」だと思われていたようです。
こういうすれ違いってどんな家族にもありますが、その最上級バージョンともいうべきでしょうか。
タツヤの心情を思うとやるせなさすぎます。
それでも半助のように「おかえり」と言ってくれる人がいて、タツヤは何も変わらない兄や母とこれからも生きていくと肯定的に受け入れます。
人生の縮図のようなすばらしいエピソードでした。
3話「半助と猫」ネタバレ
住民について書くことがなくなった半助は、おもしろおかしい嘘の報告書をミッキーに送る。しかし報酬はきゅうりだった…。
半助はホームレスの父親が着ているTシャツから、彼を「リッチマン(金持ち)」と名付ける。
半助の猫・トラはでっぷり太って近所には敵なしだった。
トラは近くのにぎやかな通りまで足を伸ばし、天ぷら屋に好物の天ぷらをあげてもらう。
トラがその天ぷらを食べようとするとホームレスの息子がそれをじっと見ていた。トラは仕方なく天ぷらをゆずった。
ある日、ホームレスの寝場所が市の職員に壊される。
ホームレスのリッチマンと息子は、たんばさんの手引きで空き地の廃車の中に住むことになった。
半助は大災害「ナニ」で祖父、父、兄を無くしたことを思い出し、大変だったの過去形じゃ何も始まらない!とたんばさんに語った。
エピソード3 終わり
エピソード3の感想
皆川猿時さんが擬人化された猫のトラを怪演。地上波じゃ無理なくらいのインパクトでしたね!
猫がホームレスに食料をゆずる構図がめちゃくちゃ面白かったです。
4話「牧歌調」ネタバレ
半助は、益夫と初太郎にさそわれて日雇いの仕事を始める。
益夫と初太郎の家は向かい同士だ。2人とも夫婦仲が悪かった。
ある夜、益夫はベロンベロンに酔っ払って初太郎の部屋で寝る。
初太郎の妻・良江は、益夫の胸毛を見て欲情した。
酔っ払った初太郎は益夫の家で寝た。
翌朝、半助が2人を迎えにいくと、益夫と初太郎の出てくる家が逆だった。
良江と光代は、何事もないかのようにいつも通り送り出す。パートナーが取り替えられている…。
半助はあせるが、益夫と初太郎はいつも通り仲が良く、どこか牧歌的だった。
半助はタツヤにその話をする。
タツヤは「子供の父親が全員違うことに夫だけが気づいていない良太郎とみさおの夫婦の方がやばい」と言った。
みさおは元ご当地アイドルだった。しかしライブのあとで1人だけ仮設住宅に置いていかれ、ファンだった良太郎と一緒になったらしい。
みさおが不倫して他人の子を5人も産んだのは地域の人はみんな知っている。だが、ずっと夢見心地の良太郎だけがそれに気づいていないらしい。
ある日、半助は益夫と初太郎と一緒に銭湯へ行き、ロッカーの鍵をすり替える。
服が入れ替わった(元々の自分の服を着た)益夫と初太郎は、自分の妻の家に帰った。
エピソード4 終わり
エピソード4の感想
「こんな夫婦ありえねえ!」の回でした!
まさか夫2人が自分たちがすり替わったことに気づいていないとは!ぶっ飛んでますね。
爆笑の内容でしたが、夫婦を“現象”として捉えた、ある面で非常に芸術的なエピソードです。このドラマ凄すぎます!
5話「僕のワイフ」ネタバレ
半助はミッキーから「仮設住宅の取り壊しが決まっており、住民の弱みを書握るためにお前に報告を書かせている」と聞いて動揺した。
半助の隣に島さん夫婦が越してきた。
島さん(藤井隆)は不動産関係の実業家でとても紳士だった。
島さんは片方の足が不自由でいつも引きずっており、さらに突然白目をむいてフリーズし、「ケケケフン」と言って復活する変なクセがあった。
島さんのワイフ(LiLiCo)はガラが悪く、いつもブチ切れていた。
タツヤは島さんと仲良くなり、島さんが代表を務める会社で働かせてもらうことになる。
ある夜、タツヤと社員2人が島さんの家に飲みにやってくる、社員2人は仮設住宅だったことにびっくりした。
島さんは3人をもてなす。しかしワイフはポテチを投げつけ、「風呂に言ってくる…」と出ていった。超ガラが悪い。
タツヤと社員は「ワイフは夫・島さんへのリスペクトがない」と言って怒った。
ワイフを悪く言われた島さんは社員につかみかかる。
3人とも落ち着いて、島さんは「我が家の名物、ワイフのバラ寿司を食べていってよ」と言う。社員2人は帰った。
タツヤは島さんのワイフが作ったバラ寿司を見る。最高のクオリティだった。
タツヤは島さんのワイフについて勘違いしていたと泣いて謝った。
半助は天ぷら屋で、ミッキーが島さんから金を受け取っているのを見て不審に思う。
天ぷら屋の裏でトラが天ぷらを食っていた。トラは半助に見られていることに気づいて逃げ出し、遅い時間まで帰ってこなかった。
エピソード5 終わり
エピソード5の感想
藤井隆演じる島さんのキャラ最高すぎでしょ!
濱田岳の六ちゃんに並ぶ最高のクセ強キャラです。
島さんはなぜか仮設に住んでますけど、すごく紳士なのが笑えます。
ガラが悪いワイフがとてもきれいな「バラ寿司」を作っていたとわかったときには、「島さん。僕これ食べる資格ありません…」とタツヤと同じ気分になりました。
でも島さんはミッキーと繋がってる?裏がありそうですね。
猫のトラが別の場所でエサをもらっているのを見つかって逃げ出すエピソードも笑えましたが、これも実は猫あるあるです。(私の実家で放し飼いにしていた猫も似たようなことがあり、帰って来なくなった)
6話「プールのある家」ネタバレ
ホームレスの父親(リッチマン)はどんな家を立てようかという空想を常日頃、息子にずっと話している。
息子は父親の意見にさして口をはさまなかったが、プールが欲しいとだけ言った。
ある日、しめ鯖を食べたホームレス親子は腹痛で倒れる。父親は回復したが、息子はずっと寝込んでいた。
父親は衰弱していく息子を見ても何もできない。
雨の中、半助は車の中でぐったりしている息子を見つけ、みんなを呼ぶ。危険な状態だった。息子は死亡した。
タツヤは「おまえがホームレスの寝床を取り壊せと通報したんだろ!」と半助に向かって叫ぶ。
ホームレスの父親は橋の下に住むようになった。「君がねだったのはプールだけだった」とつぶやいた。
タツヤは島さんの会社で仮設に自分の夢だったカフェを作るプロジェクトを進めており、説明会を開いたが3人しか来なかった。
エピソード6 終わり
エピソード6の感想
普通の親子なら、父親は衰弱していく息子を放っておきません。
でも、それができないから世捨て人になっているのでしょう。
ホームレスの父親(リッチマン)は心のどこかが壊れていて精神的な壁のようなものを持っており、その壁を超えて息子を助けることができなかったのでしょう。
見えない理想の家と、見えない壁があるのです。悲哀の文学ですね。
7話「がんもどき 前編」ネタバレ
オカベは大好きなカツ子(根暗で一言もしゃべらない/三浦透子)に今日も話しかけていた。
半助は、飲み屋で益夫から「カツ子は母と2人で住んでいたが、母が金持ちの男と再婚して出ていき、叔父夫婦が住み着いた」と聞く。
カツ子の叔父・京太(岩松了)が飲み屋にやってきて、「カツ子は数年後に再会した母親から、『つぶれたがんもどきみたい』と言われた」と語る。
オカベはカツ子に服をプレゼントするため、半助とタツヤを誘って買い物へ。半助は服屋で働いていた元カノ・ナナと再会した。
兄・シンゴが退院することになり、タツヤは母と兄のことでまた口論してしまう。
タツヤはオーダーした背広を持って家に帰るが誰もいない。母と幼い兄妹は、自分を置いて仮設を出ていってしまった。
叔母の妙子はカツ子は妊娠していることに気づく。叔母の入院中に京太に襲われたのだった。
エピソード7 終わり
エピソード7の感想
目を背けたくなる悲惨なエピソードでした。太宰治の小説を読んでいるような気分にさせられます。
オカベとカツ子の恋愛をずっと応援していただけに、見ているのが辛かったです。心をかき乱されました。
8話「がんもどき 後編」ネタバレ
半助の家に元彼女のナナが遊びに来るようになった。嫌いなものが一緒なのでウマが合うのだ。
妙子は夫の京太に「カツ子に産ませますか?堕しますか?」と迫る。京太は私ではないとシラを切った。
オカベは突然カツ子に包丁で刺されて倒れた。オカベは入院し、カツ子は拘束された。
オカベは警察に被害届を出さなかった。
カツ子は警察に2カ月拘束されている間に中絶の手術をする。その噂は広まったがみんなすぐに忘れた。
カツ子が叔父・京太のことを警察に話し、京太は逃亡を試みたが捕まったようだ。
やがてオカベは退院。
カツ子は2カ月後に仮設に戻ってくる。みんなは普段通りに接した。
半助はナナに「後ろ向きな自分に後ろを向いたら、前向きになれた」とここでの生活のことを話す。それ以来、彼女は訪ねて来なくなった。
オカベはカツ子に自分を刺した理由を聞く。
カツ子は「死んでしまうつもりだったが、死んだ後でオカベに忘れられるのが嫌だったから刺した」と答えた。
オカベはカツ子のまえで弾き語りをする。
タツヤは島さんのPCを見る。復興公営住宅と仮設の立ち退きの計画書があった。
エピソード8 終わり
エピソード8の感想
カツ子がオカベを包丁で刺す衝撃の展開へ。妊娠も含めてなんとか解決?して少しほっとしました。
カツ子はオカベに自分の存在を刻みつけたくて刺したんですね。
オカベも多少はカツ子に思うところがあるようで、弾き語りのあとで「勝手にハモらないで」と言っていました。(ハモリのシーンは超感動的。)
彼女が自分を刺したことや、妊娠していたことに対する葛藤の現れなのでしょう。
出所したカツ子はオカベがプレゼントした服を着ています。背中にタグが付いていたのがかわいかったですね。新しい服なんか買えなかったという事情も一発でわかる上手い演出です。
帰り道をいくカツ子の背中は丸まっていました。
オカベとまた話せたうれしさの裏に、彼に対しての申し訳なさ、心の傷など複雑な感情を抱えていたのだと思います。
半助の「後ろ向きな自分に後ろを向いたら、前向きになれた」というセリフもすごく良かったです。
9話「たんばさん」ネタバレ
前科持ちの熊さんが広場で日本刀を振り回す。飼っていたハムスターがくに子の店のフライヤーに突っ込んで自殺したようだ。
たんばさんが熊に「代わろうか」と話し、彼を落ちつかせた。
ある日など、たんばさんは夜中に来た泥棒に自分から金を渡してやった。
タツヤはたんばさんに「母と姉弟が出ていって兄・シンゴと仲良く街を歩いているのを見かけた。島さんは仮設住宅の住民を立ち退かせようとしていて、自分も説得を任されている。もう自殺したい」と告白。
たんばさんは裏庭に生えていたトリカブトを持ってきて、根っこを切ってタツヤに差し出す。タツヤは一気にそれを飲んだ。
タツヤは横になって「ナニ」で死んだ1人目の父親のことを思い出すと言った。
たんばさんは「君が死んだら1人目の父親との思い出も消える」と言葉を返す。
タツヤは死にたくないと騒ぎ出す。半助や、デートから帰ってきたオカベとカツ子もやってきた。
カツ子は、タツヤが飲んだのはトリカブトでなくヒヤシンスだと気づいた。
タツヤは「半助が住民の情報を売るために仮設に侵入したと知っている」と怒った。
少し経って、島さんがたんばさんのところに立ち退きの説得にくる。たんばさんはあっさりハンコを押した。
六ちゃんは電車に飽きてショベルカーにハマっている。
エピソード9 終わり
エピソード9の感想
ハムスターの自殺からの、くに子がカラッと揚がったハムスターを持ってくる展開が爆笑でした。
たんばさんがトリカブト(本当はヒヤシンス)をお茶菓子みたいにタツヤに出すシーンも爆笑。
爆笑展開でタツヤを自殺の危機から救ったたんばさんにあっぱれ!悟りの人ですね。こんな人になりたいです。
最終回10話「とうちゃん」ネタバレ
たんばさんは仮設を出ていく。噂によると認知症でケアホームに入所したらしい。
島さんが本格的に住民を説得していく。タツヤも説得に回った。
沢上家は立ち退きを渋っていた。ミッキーがやってきて子供たちのまえで「父親が全員違う」と暴露した。
妻・みさおは生まれた赤ちゃんを連れて家を出ていく。
結局、住民は皆しぶしぶ仮設を立ち退いて近くにできる公営住宅に入ることを決断。最後の日にお別れ会が開かれる。
沢上の5人の子供たちがカツ子を人質に取り、校舎に立てこもった。
半助とタツヤ、オカベと妙子、父の良太郎があわてて校舎に入る。
子供たちは、「父ちゃんと母ちゃんが出会ったこの場所がいい。仮設を出たら家族がバラバラになる」と訴える。
良太郎は「おまえたちが父ちゃんの子供だと思っているなら、バラバラで暮らすことなんかない!」と説得した。
仮設が好きになりすぎた半助は大漁旗を持って暴れる。大漁旗が裂ける。半助はミッキーを殴った。
住民たちも参加し、いつの間にか大乱闘状態になった。
そんななか、益夫が島さんの家に放火。一旦部屋から出てきた島さんは「ワイフが!」と言って中に戻る。半助も島さんを助けるために燃え盛る家に入った。
島さんのワイフは外にいた。ワイフは島さんを助けるために突っ込む。
六ちゃんは勝手にショベルカーを運転し、周囲を破壊。ショベルは島さんの家にぶち当たり、衝撃で半助が飛び出してくる。
六ちゃんは「ショベルカーに飽きた」と言って運転席から出てきた。
ワイフが島さんを抱えて炎の中から出てきた。その様子を見たカツ子は生涯はじめての大爆笑をする。
みんなは「最高だ!」と叫びまくった。
翌日から仮設の取り壊し作業が始まった。
仮設の跡地を六ちゃんの電車が今日も元気に走っている。
その後、仮設の住民だった人々は仮設で暮らしていたことをひた隠しにし、すれ違ってもお互いに無視した。
カツ子はアパレルで働いている。
半助は仮設での暮らしを小説にして、カフェで編集者に見せた。しかし「私は好きだけどコンプラ的に無理」と言われる。
外にホームレスのリッチマンがいた気がした。
半助は大漁旗で作ったズボンをはいている。店の外では偶然通りかかったタツヤが手を振っていた。大漁旗で作ったネクタイをしている。
半助は「あんなひどい暮らしはないけど、あんな人間らしい暮らしもない」と仮設での思い出を振り返っていた。
『季節のない街』最終回エピソード10話 終わり
最終回エピソード10の感想
最高の最終回でした。
まず、立ち退きを了承させる段階ではそこまで大きなトラブルがないのが意外でした。でも案外リアルかもしれないですね。
理由を見つけられずに、背中を押してくれる人もおらず、なんとなく居心地が良くて出れなかったという心境なのでしょう。(本当に困窮していく場所ない人ももちろんいるでしょうけど)。
そして、最後の日にみんな大暴れする予想外の展開がすごかった。
子供たちがカツ子を人質に立てこもり、大乱闘、益夫の放火、六ちゃんのショベルカー、カツ子の爆笑と最高の流れだったと思います。神がかっていました。
仮設を出ていった後で、みんな街ですれ違っても声をかけ合わないのもリアルですね。
益夫夫妻と初太郎夫妻がスーパーですれ違うシーンでは切なさで胸がいっぱいになりました。あんな仲良かったじゃない…(パートナーは入れ替わったけど)。
しかしまた2人が親友になってしまったら、遅くまで飲んだくれてその日暮らしになるでしょう。その直感があるから無視し合うのだと思います。
半助の「みんなにとっては仮設じゃない」というセリフがグサッと刺さりました。基本的にみんな名言連発です。
半助の言う通り、このドラマで描かれた仮設には本当に人間らしい暮らしが詰まっていると思います。
個人的に『季節のない街』は生涯ベスト級のドラマになりました。
最後のまとめ
宮藤官九郎が監督・脚本をつとめたドラマ『季節のない街』は、仮設住宅に集う被災者や世捨て人を悲哀たっぷりかつコミカルに描き、人間が生きる本質を突きつけたような傑作でした。
クドカンは本作やNetflixの『離婚しようよ』など、50歳をすぎて円熟味を増してきていますね。ますますファンになっている自分がいます。次回作も楽しみで仕方ありません。
ここまで読んでいただきありがとうございます。ディズニープラス/Disney+『季節のない街』レビュー終わり!
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