デヴィッド・リンチ監督おすすめ映画・ドラマランキングベスト11!難解作品考察・ネタバレなし解説

  • 2024年4月7日

難解だが何度も見たくなる魅力を持つ鬼才デヴィッド・リンチ監督の映画やドラマ。

記事では、リンチ監督の全作品をおすすめランキングで11作品紹介!

さらに奇想天外な作品を作るリンチ監督は一体どんな人物なのかも解説・考察したいと思います。

デヴィッドリンチ監督おすすめ作品ランキングベスト11!

デヴィッド・リンチ監督の作品に興味があるけど、どれから観ればいいかわからないという人の為に、おすすめ作品ランキングを作りました。ぜひこれを機会にリンチマニアになってください!

1位:マルホランド・ドライブ(2001)

デヴィッド・リンチ監督といえばマルホランド・ドライブ!

抽象的ながら美しいシーンと”謎”の多いストーリーでたくさんのファンを獲得しています。観れば観るほど自分なりの解釈が広がる不思議な作品です!

主演のナオミ・ワッツとローラ・ハリングも美しく素敵。僕監修のサスペンス映画おすすめランキングでも第1位となっています!

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『マルホランド・ドライブ』

2位:ツインピークス The Return(2017)(ドラマ)

1990年に一世を風靡したツインピークスの25年後の続編!The Return:リミテッド・イベント・シリーズ。

好みにもよるが、完成度はこちらの方が高く、アイデアや設定もぶっ飛んでいる。ストーリーも難解極まりない。まさにリンチワールド!

25年前の旧キャストもたくさん出ていて感動を誘う反面、新キャストのバランスも絶妙で、前作を観た人は絶対見た方が良いリンチ監督作品の中でも傑作!

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『ツイン・ピークスThe Return:リミテッドイベント』

3位:ブルーベルベット(1986)

リンチ作品の中では比較的わかりやすい作品。

ブルーベルベットの服を纏いブルー・ベルベットを歌うドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)、何でも首を突っ込みたがる若者ジェフリー(カイル・マクラクラン)、短気な変態フランク(デニス・ホッパー)など、個性的な登場人物が織りなすサスペンスは何故こうも美しいのか!?

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ブルーベルベット

4位 ツインピークス(1990)(ドラマ)

自然豊かな町ツイン・ピークスでローラ・パーマーという女性が殺されたことから物語がスタート。

犯人を挙げるため、ちょっとおかしいFBI捜査官クーパーが個性豊かな町の人々とドラマを繰り広げます。

事件は悲惨ですが、全体的には明るいテイストで、笑えるシーンも多いです。

5位:ロスト・ハイウェイ(1997)

妻を殺した容疑で刑務所に入れられた男性が、全く別の若者になってしまうという話。

『マルホランド・ドライブ』の兄貴か姉貴のような作品になっています。

映像はとてもスタイリッシュで、音楽にはデヴィッド・ボウイ、ナインインチ・ネイルズ、ブライアン・イーノなど超ビッグアーティストたちが参加しています。

『ロスト・ハイウェイ』は一度鑑賞しただけだと意味を理解するのがむつかしい作品だと思います。考察記事も用意していますので、ぜひ活用してください。

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映画『ロスト・ハイウェイ』

6位:ストレイト・ストーリー(1999)

10年間口を聞いていない兄が倒れたと電話で聞き、数百キロ先まで芝刈り機で旅をする老人アルヴィン・ストレイトの実話を元にした物語をリンチが実写化!

脚本はリンチ監督ではなく、ミステリアスな雰囲気は少ないですが、素晴らしい映像と登場人物の心の機微が叙情的に見えてくるヒューマンドラマの傑作です。

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映画『ストレイトストーリー』

7位:イレイザーヘッド(1977)

髪型が変なヘンリーが彼女に産ませてしまった奇形児と一緒に生活していくうちに、どんどん頭がおかしくなっていくという話。

突拍子もないいろんなアイデアを楽しむことができますが、グロい描写も多いです。シュールなので観る人を選ぶ作品です。

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『イレイザーヘッド』

8位:インランド・エンパイア(2006)

マルホランド・ドライブの後に作られた長編映画です(3時間)。

マルホランド・ドライブの構造をさらに発展させ複雑にしたタイプの作品で、1回観ただけでは全く意味がわかりません。

マルホランド・ドライブも難解な映画と言われてますが、それが子供向けかと思えるほど難解!デヴィッド・リンチの中で一番難しい映画です。

しかし、何回も観るとシーン毎の関係性から結構素晴らしいテーマがあるのだとなんとかわかります。

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映画『インランド・エンパイア』

9位:エレファント・マン(1980)

見世物にさせられていた異形の青年ジョン・メリック(ジョン・ハート)をみた外科医のトリーブス(アンソニー・ホプキンス)が興味に駆られ、彼が務めるロンドン病院に連れていった後の交流が描かれている。

難解さはなく、人間とは何かを考えさせられる映画。ラストは感涙!

実在した奇形の青年ジョゼフ・メリックの半生をテーマにデヴィッドリンチ監督が映画化した作品です。

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10位 ジャックは一体何をした?(2017)

全部で17分の短編映画。殺人事件の容疑者・お猿のジャックをリンチ捜査官が駅の一室で尋問する話です。

噛み合わないようなセリフが実は最初から噛み合っていたり、狂気的な表現が楽しめたりと見どころは多いです。

イマジネーションが豊かな人向けの作品!

Netflixオリジナルで、そこでしか視聴できないのがもったいない。

解説・考察記事も読んでみてください。

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意味不明『ジャックは一体何をした?』

11位:ローラ・パーマー最期の7日間(1992)

1990年からのツインピークスシーズン1〜2の前日譚の映画。

物語としてはちょっとどうかという部分もあるが、映像作品やコンセプト作品として楽しむと味が出てくる作品!

以上、デヴィッド・リンチ監督のおすすめ作品を挙げてみました!上位のものからぜひ観てみてください!

忠告ですが、インランド・エンパイアやイレイザーヘッドから観るのはおすすめしません。インランド・エンパイアは難解過ぎるし、イレイザーヘッドは強烈すぎるからです(笑)

デヴィッドリンチ監督映画やドラマの特徴を解説

アイデアを大切にしている

デヴィッド・リンチ監督は、インタビューで「アイデアがすべて!」だと答えています。

マルホランド・ドライブは元々TVショーの予定でしたが、リンチ監督は突如として思いついたラストのアイデアを基に、全構成を変更し、映画作品に仕立て上げたそうです。

「自分が惚れ込めるアイデアを作品にすることが私の全てだ!」とも語っています。

テーマが難解

デヴィッド・リンチ監督の作品でよく言われるのが、難しくてわからないというものです。

確かにぼんやり観ていると「何か面白い気がするけど、結局何が言いたいんだかわからん。あのシーン意味がわからん」となりがち。でも自分自身で想像するとハッとする答えが見つかる

リアリティ抜群の不可解さ

デヴィッド・リンチ監督の作品は、”不可解”や”意味がわからない”などと称されることがありますが、それらは妙にリアリティをはらんでいます。

普通の映画であれば、理由がない出来事はストーリーに関係ないとされ、排除されてしまうわけですが、みなさんが実際に送っている日常生活を考えてもらうと、理由がない出来事も案外多いですよね?

そういう”日常の不条理”を敢えて映画の中に放り込んで上手くまとめているのがデヴィッド・リンチ監督の凄さなのです。

絵的な映像

それぞれのシーンの構図や色遣いが非常に絵的で美しいです。ストーリーを無理に追わずに、眺めているだけでも満足できます!

音楽へのこだわり

映画のシーンと音楽がとてもマッチしてます!

リンチ監督は、音楽がシーンを劇的に良くするという考え方であり、映画で使用する楽曲には徹底的にこだわります。

「ブルーベルベット」など既存の楽曲から映画の着想を得たり、シーンにビタッと合うと感じて使用したり、リンチ映画で長く音楽を担当しているアンジェロ・バダラメンティと二人で映画音楽製作を進めたりするそうです。

ノイズ的な音もリンチ映画を語る上で欠かせません。

最近は自分で音楽作品も発表しています。音楽やミュージックビデオも抽象的。

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観る人によって解釈が違う

抽象的な描写が多いので、観る人によってこのシーンは何を表現しているという解釈が違ってきます!まさに”みんな違ってみんないい”

絵画や音楽のように作品を直感で感じろ

デヴィッド・リンチ監督はインタビューで、「音楽の様に映画を感じてほしい。解釈に迷ったら自分の直感に従え!」といっています。

リンチ監督は音楽にも造詣が深くミュージシャンとしても活動、若い頃は絵画の勉強もしていたようです。

さまざまな芸術に対しての素養があるので、映画についても、抽象度が高くても満足度も高いシーンが撮れるのでしょう。

リンチ監督自身も答えを出さずに撮っている

リンチ監督の著書を読んだり、インタビューを聞いたりしていると推測できるのですが、監督自身が具体的な答えを出さずにアイデアのみで撮影しているシーンがたくさんあります。

それらのシーンを組み合わせて一つの作品に仕上げていくので、視聴者が自分で色々な解釈をすることが可能になるのです。

監督が細かい点まで理解して撮影をすると答えが1本に絞られてしまいますが、デヴィッド・リンチはあえて細かい意味を自身で深く追求しないことで、複数解釈でき素晴らしい作品を創り上げているのです!

こうなるとシュルレアリスムとかキュビズムなどの芸術絵画の表現方法に近いですね。

デヴィッドリンチの新作映画公開は!?

僕もリンチファンとして、映画の新作を待望してましたが、リンチ監督は、インタビューなどではキッパリと「もう映画は撮らない」と言っています。

2006年のインランドエンパイアが長編作品最後だとも言ってます。新作が出ないなんて悲しい。

僕の予想ですが、インランドエンパイアを撮影して、自分自身は満足な出来だったにも関わらず、ほとんどの視聴者からまったく理解されず評価も芳しくなかったからヘソを曲げたんだと思います。

要は、自分が撮りたいものは大衆に理解されずお金にもならないから他の事しよう!となってしまったのです(笑)

リンチは元々はシュルレアリスムな作風で画家を目指していた

デヴィッド・リンチ監督は元は画家志望で、シュルレアリスムの作品に多大な影響を受けており、オスカー・ココシュカに絵を習おうとオーストラリアに行ったそうですが、創作意欲が湧かずすぐ帰国したという話もあります。

リンチ監督の映画の構図はとても絵的ですが、その源泉は画家志望というところにあったのでしょう。

また、作品に見られる突発的に思い付いたアイデアを映画に詰め込むという手法も、シュルレアリスムの表現方法の一つ。

リンチ監督の映画は非常に芸術的ですが、バックボーンがしっかりあるのですね。

アーティストとしての一面や彼の若い頃は、「デヴィッド・リンチ/アートライフ」というドキュメンタリー映画で語られいます。↑そちらの考察記事もどうぞ!

デヴィッド・リンチは瞑想からアイデアや着想を得る

リンチ監督はイレイザーヘッド以降からTM瞑想(トランセンデンタル・メディテーション、超越瞑想)を日常に取り入れており、自身の著書「大きな魚をつかまえよう」でも、瞑想の効力を語っています。

マルホランド・ドライブの結末も瞑想からアイデアをゲットしたそう。

デヴィッド・リンチのようなすごいアイデアが得られるなら瞑想くらいするよ!

デヴィッド・リンチは映画会社に出資してもらえない?

映画を作るとき、膨大な資金が必要なため、通常は映画会社がバックについて製作をはじめるのですが、リンチ監督はこれだけ実績と評価がありながら、映画を作ろうとしても映画会社に断られるのだそうです。

次にどんな作品が来るかもわからないし、そもそも一般の人が楽しめたり理解できる映画になるかもわからないので、映画をビジネスと考えた場合、博打要素が大きすぎるのでしょう(笑)

ちなみにデヴィッド・リンチといえば、髪型も独特です。この髪型が創作アイデアに一役買っているかは定かでないですが、風貌からして個性の塊なのです。このヘアスタイルで特殊な電波を受信しているのではないでしょうか?