天才との呼び名も高いクリストファー・ノーラン監督の映画は11作品。全部面白いけど、あえて個人の観点からランキングを作ってみました。
おすすめポイントや感想・解説もどうぞ。
11位:フォロウィング
白黒のフィルム・ノワールで、無名の俳優を使って低予算で仕上げたノーランの長編デビュー作。
作家の男性ビル(ジェレミー・セオボルド)が、フォロウィング(尾行)にハマり、非日常へ足を踏み入れていくストーリー。有名作じゃないけど、サスペンス映画として普通に面白い。ヒッチコックの影響を感じる。
『メメント』よりは複雑じゃないけど、時系列がシャッフルされていて、後半になると行動の意味がわかるようになる。
初期のノーラン監督は、サスペンスを作りたかったのだろう。
10位:ダークナイト
アメコミ映画の金字塔、ダークナイトがこの位置にくることに、納得いかない人も多いかも。
ヒース・レジャーの演技や勢いはもちろん称賛に値するが、善と悪の哲学的概念をアクションに入れ込んだことで、ジョーカーの行動やラストなど細部にリアリティがなくなってしまった。
ノーラン監督のアクションなど凄いシーンも盛り沢山でもちろん傑作だけど、観る人によって大きく評価が分かれるだろう。
9位:プレステージ
因縁のライバルである2人のマジシャンが、狂気のマジック対決を繰り広げる話。マジックのネタバレにサスペンス要素がある個性的な作品。予想できないどんでん返しの連続で、終始「マジか!?」という表情になることは間違いない。
主演はヒュー・ジャックマンと、クリスチャン・ベール。ヒロインはスカーレット・ヨハンソン。
8位:バットマンビギンズ
ダークナイトトリロジーの第1作バットマンビギンズは、両親をマフィアに殺されたブルース・ウェインが、ヒマラヤ山脈付近で忍術の修行をしてゴッサムシティに戻り、バットマンとしてヴィラン・スケアクロウと戦う物語。
ヒーロー・アクションモノとして楽しめる。
主演はクリスチャン・ベール。リーアム・ニーソンや、渡辺謙が出演したことでも話題に。
7位:インターステラー
気候変動で人類滅亡の危機にさらされた近未来。元パイロットのジョセフ・クーパーが、家で本が勝手に落ちるメッセージを受け取り、人類が暮らせる惑星を探す旅に出る。
出演はマシュー・マコノヒーとアン・ハサウェイ。科学的検証もしっかりされていて、重力で時間が変わるなど、SFファンが好きそうな展開が多くて興味深い。
ヒューマンドラマとしても、親子の絆が心に染みる傑作。
6位:メメント
妻を殺された記憶障害の男が、復讐のため犯人を探す物語。彼は10分しか記憶が持たないので、犯人の証拠を身体中に刺青でメモしている。
各シーンは10分ほどで切れ、どんどん過去に遡っていく構成なので、全てのシーンを覚えていないと理解が難しい作品だが、革新的だしサスペンスとして面白い。
5位:インソムニア
『インソムニア』は、ノーラン作品の中では一般的な評価が低い部類に入るが、殺人事件の捜査で不眠症になる刑事をアル・パチーノが演じ、視聴者まで眠くなりそうな鬼気迫る演技が楽しめるヒューマンドラマだ。
SFやトリック、第迫力シーンなどはないが、ノーラン監督の作家性が表現されていて、もっと評価されてもいいと思う。
4位:ダンケルク
視聴者が戦争を疑似体験できるような作りのダンケルク。逃げ惑う兵士や戦闘機のパイロット、船で救助に向かう3人の群像劇にもなっている。それぞれの運命が交錯する瞬間が美しい。
トム・ハーディやキリアン・マーフィーも出演。
3位:ダークナイトライジング
『ダークナイトライジング』は、クリスチャン・ベール主演の「ダークナイトトリロジー」の第3作にして完結編。バットマンの敵は最強のベイン(トム・ハーディ)。キャット・ウーマンはアン・ハサウェイとキャストは相変わらず超豪華。
なぜ、世間的に1番評価されている『ダークナイト』より高順位かというと、映画としてストーリーの完成度が高いから。
2位:TENETテネット
2020年9月に公開され、ノーラン監督の中でも理解するのが最も難しい作品となったTENET(テネット)。
主人公・名もなき者(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が、TENETという組織から依頼を受け、未来で起こる第三次世界大戦を防ぐ物語。
時間を逆再生する銃弾が登場し、さらに人まで逆再生に。その状態で普通の時間軸の人間と戦うという、意味不明っぷり。
映画史に残るであろう革新的な作品だと断言できる。
1位:インセプション
他人の夢に入り込みアイデアを埋め込む技術「インセプション」の使い手コブ(レオナルド・ディカプリオ)が、サイトウ(渡辺謙)からの依頼を受け、超難易度のミッションに挑むSFアクション!
夢の中は何層もあって、それぞれ時間の感じ方が違う設定が素晴らしい。妻や子どもたちとの愛や葛藤も入れ込んでいて、感情移入できる。
夢と現実が融合していて、芸術点も高い。
ノーラン監督の作家性とアイデアと、時間軸トリックのすべてが高い次元で組み合わさった最高傑作だと思います。
ちなみにクリストファー・ノーラン監督の弟ジョナサン・ノーランも、『インセプション』と似たコンセプトの記憶潜入映画『レミニセンス』を作っています。
クリストファー・ノーラン監督映画のまとめ
ランクづけをしてみると、1位の『インセプション』はもちろん、11位の『フォロウィング』まで全部観る価値のある傑作だと改めてわかった。