『パラサイト半地下の家族』のソン・ガンホや、『空気人形』のペ・ドゥナなど豪華キャストが淡い光のような抽象的ヒューマンドラマをつむぎました。
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、本作のメッセージやテーマ考察、ラストのサンヒョンの行動の意味考察を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。好きなところから読んでください。)
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映画『ベイビー・ブローカー』作品情報・キャスト解説
英題:『Broker』『Baby, Box, Broker』ハングル:『브로커』
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督・脚本:是枝裕和
撮影:ホン・ギョンピョ
制作:ジップ・シネマ
監督は『万引き家族』(2018)でカンヌの最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和ですが、本作は韓国映画という位置付け。ただテイストとしては完全に是枝作品ですね。
ちなみに是枝監督の次作はほのぼの日常・文化系のNetflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』です。(こちらも傑作でした)
安藤サクラ・瑛太出演で2023年公開の映画『怪物』も素晴らしい傑作でした。
「怪物 だーれだ?」映画『怪物』子供のいじめ問題や親と教師の言い争いが予想外の展開を見せる!是枝裕和監督×坂元裕二脚本が織りなす濃密なヒューマンドラマ。シネマグ演技・映像・メッセージすべてにおいて期待以上!斬新な表現によ[…]
撮影監督のホン・ギョンピョは映画『パラサイト 半地下の家族』や『バーニング 劇場版』邦画『流浪の月』などを手がけた超実力派。臨場感・説得力がすごいシリアスな映像を得意としています。
本作は第75回カンヌ国際映画祭で、エキュメニカル審査員賞(キリスト教(カトリックとプロテスタント)関係の審査員が素晴らしい人間ドラマに授与する賞)を獲得しています。
登場人物・キャスト解説
ハ・サンヒョン 役|cast ソン・ガンホ
サンヒョンは赤ちゃんを高値で売るブローカー。借金を抱えるダメおやじ。妻子とは別々に暮らしている。
ソン・ガンホの演技は説得力がすごい。完全に役にハマってました。
ガンホは本作の演技で2022年の第75回カンヌ国際映画祭・最優秀男優賞を獲得!
ソン・ガンホが主演を務めたポン・ジュノ監督の映画『殺人の追憶』(2001)は衝撃的でした。
アカデミー賞作品賞を獲得した『パラサイト半地下の家族』の父・ギテク役も記憶に新しいですね。
ユン・ドンス 役|cast カン・ドンウォン
ドンスは教会の児童保護施設の職員で、サンヒョンに協力する人物。
自身も児童施設出身。
カン・ドンウォンは『MASTER/マスター』『新感染半島 ファイナル・ステージ』などで有名。
今作では、何気ない表情から彼のストーリー性が読み解けるような素晴らしい演技を見せてくれました。
ムン・ソヨン 役|cast IU(イ・ジウン)
赤ちゃんのウソンをポストの前に放置したワケあり女性。
冷たい表情×カメラワークで彼女の内面が浮かび上がっていました。
アン・スジン刑事 役|cast ペ・ドゥナ
スジンはサンヒョンらベイビー・ブローカーを現行犯逮捕しようと目論む刑事。
今作いちばん泣けたのはぺ・ドゥナのあのシーンでした。
ペ・ドゥナは『空気人形』やNetflixドラマ『静かなる海』などで有名。
ソン・ガンホとはポン・ジュノ監督の映画『グエムル-漢江の怪物-』(2006)でも共演していましたね
イ刑事 役|cast イ・ジュヨン
スジンの後輩刑事。
女優イ・ジュヨンはドラマ『梨泰院クラス』のトランスジェンダーコック・ヒョニ役でブレイク。映画『野球少女』では主演を務めました。
その他の出演者
ヘジン(施設の少年)|cast イム・スンス
シン・テホ(マフィア)|cast リュ・ギョンス
あらすじ
ドンスが勤めている福祉施設の赤ちゃんポストの前に生後数ヶ月の男児が捨てられた。
雨の中その光景を見ていたスジン刑事は、赤ちゃんをポストに入れる。
ドンスは闇売買をするためサンヒョンのもとへ赤ちゃんウソンを連れていった。
ウソンの母・ソヨンは考え直して施設に戻ってくるがウソンの姿はない。
ドンスは仕方なくソヨンをサンヒョンのもとへ連れていく。
裕福な家庭で育ったほうが幸せだと聞いたソヨンは、サンヒョンとドンスと養父母をめぐる旅に出るが…。
※以下、映画『ベイビー・ブローカー』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ベイビー・ブローカー』ネタバレ感想・評価
おすすめ度 | 82% |
メッセージ性 | 87% |
ストーリー | 80% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.5(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 86% |
ベイビー・ブローカー徹底考察(ネタバレ)
家族になってしまう人間の性
本作で是枝監督が描きたかったのは、個人と個人の絆というより一緒にいると自然と家族になってしまう“人間の性”だと感じました。
- スジン刑事も赤ちゃんを一緒に育てたかった
- 偽装であっても笑い声があふれるサンヒョンたちの“家族”関係に憧れていた
スジン刑事については、なぜそれ程までに赤ちゃん人身売買事件に執着するの詳しくは描かれていません。
推測になりますがスジン自身が赤ちゃんを産めないのかも。
もしくは部下のイ刑事に夫を褒められたとき「あげようか?」と冗談ぽく言っていたのは半分本気で、夫が無精子症などで赤ちゃんを授かれないのかもしれないですね。
- 子供を授かれないスジンが、子供を売ろうとしているサンヒョンやソヨンたちを憎しみから罰したい。
- その反面、自分もウソンの世話をする仲間に加わりたい。
他人同士が集まって赤ちゃんを育てる是非は、現代社会の倫理で測れる枠を超えています。
常識や善悪だけで考えるべき作品ではないのでしょう。
私なりに解釈するなら本作『ベイビー・ブローカー』が伝えたいのは「家族の尊さは善悪の概念を超える」というメッセージだと思いました。
↓『ベイビー・ブローカー』の考察の続きは2ページ目へ↓
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