Netflix映画『ベケット』ネタバレあらすじ感想!考察:ギリシャ危機背景で謎の組織に追われるストーリー評価・解説

Netflix映画『ベケット』(Beckett)は、旅行でギリシャに来た男が事故に遭い、謎の組織に終われて命からがら逃亡するサスペンスアクション。

主演はクリストファー・ノーラン監督の『テネット』などで知られるジョン・デヴィッド・ワシントンです。

若干スローテンポで始まり、中盤から後半にかけてはスリリングさを増していきます。

キャストや見どころ、ネタバレあらすじ解説、感想・評価をぶっちゃけます!

失意の淵にいる主人公がなぜ追われているかわからないまま懸命に逃げる姿が味わい深い

映画『ベケット』キャスト・作品情報

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公開・制作国:2021年8月13日/Netflix/アメリカ

監督:フィルディナンド・シト・フィロマリノ

脚本:フィルディナンド・シト・フィロマリノ/ケヴィン・A・ライス

主演:ジョン・デヴィッド・ワシントン/ベケット役

出演:アリシア・ヴィキャンデル/恋人エイプリル役

出演:ボイド・ホルブルック/大使館職員タイナン役

出演:ヴィッキー・クリープス/活動家レナ役

出演:レナ・キッツォポーリョ/女性狙撃者役

出演:パノス・コロニス/警官クセナキス役

主演のジョン・デヴィッド・ワシントンは、ノーラン監督の『テネット』や、『ブラック・クランズマン』で有名な俳優で、デンゼル・ワシントンの息子。

マーベル映画『ローガン』などに出演している俳優ボイド・ホルブルックも登場。

『ベケット』見どころ/ネタバレなし

ジョン・デヴィッド・ワシントンが、ギリシャの美しい景色の中で痛めつけられながら逃げるシーンが大半です。

個人的な評価は83点くらいで、まあまあのクオリティのサスペンスアクション佳作。

逃亡劇や綺麗な風景が好きな人には向いているでしょう。

※以下、映画『ベケット』のストーリーネタバレありなので注意してください。

『ベケット』わかりやすいストーリー説明

念の為ストーリーを捕捉しておきます。

まず、ベケットを殺そうと追っていたのはマフィアと極右組織です。

マフィアはカラス議員から借金を取り立てるために甥っ子・ディモスを誘拐したわけですが、ベケットに目撃されたので殺そうとしてきます。

ベケットを撃った女性狙撃者はマフィアで、一緒に行動していた警官のクセナキスもマフィア関係者でしょう。

では、米大使館職員・タイナンの正体は何でしょうか?

彼は極右組織・サンライズの所属員だと推測できます。

タイナンの組織は敵対関係にあるカラス議員の誘拐事件を知り、極左組織だと名乗って勝手に犯行声明を出すことで(外国訛りの声明とニュースで言っていましたし)カラス議員を失脚させようとしました。

カラス議員が暗殺されて死亡して目的が達成されたので、誘拐事件について真相を暴く恐れのあるベケットを、もう殺さなくても良いと判断したのだと思います。

もう真相暴かれても左翼の筆頭カラス議員は死んだし、彼の甥のディモスもマフィアに殺されるだろうからベケットは放置でいいや!と考えてのことだと思います(脇が甘いですね…)。

カラス議員を殺したのはおそらくマフィアでしょう。

説明が一番少なかったのは、地下鉄でベケットを襲って、その後デモの集会所で死んでいた男。

彼もマフィアで、カラス議員を暗殺して自分も機動隊に殺された可能性が高いと思います。

なぜ最初で殺さなかったか考察

誘拐された少年ディモスと謎の女性射撃者

逆さまに映っていてわかりにくかったですが、ベケットが事故で突っ込んだ民家で見た女性は、病院で手当を受けてからその民家に戻ってきたときに撃ってきた女性と同一人物です。

ならば、ベケットが病院に運ばれて手当される前にその場で殺せば良かったのでは?と思ってしまいますよね。

ただ、よく考えてみるとその女性は、車内にいたベケットに目撃されたことに気づかず、翌日に警官のクセナキスから事情を聞いて「殺さなきゃ!」となったのでしょう。

結構わかりにくいですね。

『ベケット』ネタバレ感想・評価

Netflix映画『ベケット』の評価は83点。

ジョン・デヴィッド・ワシントンの人間味あふれるやられっぷりや、左手骨折した状態で頑張って逃げている姿が見応えありました。

ギリシャの大自然や遺跡、美しい街並みの中でその逃亡劇が行われていたのが良かったですね。

主人公は恋人を自分の不注意で失って逃げ惑う中で、結果的に真相究明とともに少年を助けることになるのですが、本人の意思や罪の意識というより、何か運命的な力に動かされていた印象があり、そこが感慨深いです。

最初に恋人エイプリルと神託(神のお告げ)の話をしていましたし、ベケットは神託を授かったのでしょう。

そんな抽象的な概念に、政治的なリアリティを組み合わせた本作のオリジナリティは個人的には好きです。

しかし全体的にちょっとわかりにくく、評価が分かれるのではないでしょうか。

序盤がスローテンポでしたし、若干なかだるみ感もあり、ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる主人公の雰囲気がどこか個性的だからこそ楽しめた部分もあるでしょう。

アクションは、終盤にかけてどんどん激しさを増し、ベケットが立体駐車場から下の階を走ってくる車に飛び乗るシーンが最高潮でした。

ベケットが飛び降りるシーン(ネタバレ)

この過激なシーンからベケットが本能で追跡者たちから逃げながらも恋人を失って失望の淵にいて、いつ死んでもいい気持ちが入り混じっていることがわかり、葛藤が垣間見えて味わい深いですね。

ストーリーについては、恋人を失った悲哀と社会情勢を絡めていて良かったのですが、背景について知識が少しはないと入り込みにくい作りだったと思います。

Netflixで配信中の同じサスペンスアクションでいうと映画『SAS:反逆のブラックスワン』の方が面白いと思います。

でもまあ同時期公開のネットフリックス作品でジェイソン・モモア主演の映画『スイートガール』よりは楽しかったです。

ギリシャ危機は主人公のせい?考察

映画の背景にギリシャの危機

デモの中を走る主人公ベケット

なぜ、極右と極左がこれほど対立しているのか?

なぜ、主人公ベケットはこんな大袈裟に一連の事件に巻き込まれたのか?

理由は、2009年に起こって国内外を揺るがせたギリシャ危機です。

作中では西暦何年と説明はなかったですが、米大使館にオバマ大統領の写真が飾ってあったので、おそらくギリシャ危機の最中だと思われます。

ギリシャ危機の影響が続く国内では、緊縮財政政策で国民の1/4を占める公務員の年金カットや、増税など国民の生活に直結する議論が進み、影響をモロに受ける人がたくさんいたので、極右と極左の対立も凄まじかったのでしょう。

映画『ベケット』にはそんな背景があるのです。

ベケットが引き金か?

本作が2009年に起こったと仮定すると、主人公ベケットがギリシャ危機の引き金になったのではないかとも捉えられて感慨深いです。

ギリシャ危機は右派から左派へ政権が移り前政権の財政赤字隠蔽が発覚したことで引き起こされました。

ベケットはラストで少年・ディモスを救います。

ディモスやベケットがマフィアや右翼組織について公表したならば、左派が国民に支持されてそれがきっかけとなり政権交代がなされたという解釈もできます。

明言されてないのでこの説が正しいかはわかりません。

とにかく神託を受けたベケットの悲劇が社会問題と関連したメッセージがあるのでしょう

ということは、テーマの最も深い部分は、ギリシャ危機が神託によって引き起こされたとなります。

色々考えると本作は、宗教が政治と結びついた深い物語ですね。

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