Netflix『ギルティ』(THE GUILTY)は同名のデンマーク映画をジェイク・ギレンホール主演でリメイクしたワンシュチュエーションサスペンス!
トラブルで911の通信課に回された主人公が電話だけで誘拐事件に立ち向かい、衝撃の結末が味わえます。
記事ではネタバレあらすじ解説や、オリジナルのデンマーク版との違い比較、ストーリーの意味・伏線考察、ぶっちゃけ感想・評価をしています。

映画『ギルティ』キャスト・作品情報
監督:アントワーン・フークア
脚本:ニック・ピゾラット
オリジナル:デンマーク『THE GUILTY/ギルティ』(2018)
主演:ジェイク・ギレンホール/ジョー役
出演:ライリー・キーオ(音声のみ)/エミリー役
出演:イーサン・ホーク(音声のみ)/上司ビル役
ジョー・ベイラー/ジェイク・ギレンホール
ジョー・ベイラーはある問題を起こし、現場から通信課に異動させられた警官。
非常に怒りっぽく、思い込みが激しい性格です。
妻ジェスとは別居中で、娘ペイジにも会えない生活です。
映画『ナイトクローラー』などで圧巻のサイコパス演技を見せつけたジェイク・ギレンホールが演じています。
ネタバレなし感想・見どころ
緊急通報911の電話を受け、会話をするだけのワンシュチュエーション映画ですが、予想外の衝撃の事実が発覚するカタルシスや、主人公の心の葛藤などが見どころで、サスペンス・ヒューマンドラマとして見る価値アリです。
狂気の演技ならお手のもの→俳優ジェイク・ギレンホールの鬼気迫る表情なども楽しめます。
ただ、Netflixリメイク版はオリジナルと比較するとわかりやすくて想像の余地が狭く、どちらを先に見た方がいいか迷っているなら、デンマーク版からの方がいいと思います。
おすすめ度 | 78% |
狂気の演技 | 85% |
ストーリー | 82% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.2(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト | 71%(100%中) |
※以下、映画『ギルティ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『ギルティ』ネタバレ感想・評価
- オリジナルデンマーク版が良い→57%
- Netflixのリメイク版が良い→43%
とそこまで差がないので、どちらを先に見るかでも印象が違ってくるかもしれませんね。
デンマークのオリジナルと大きく違う!
赤ちゃんが…
映画『ギルティ』はデンマークのオリジナル版とNetflixリメイク版でストーリーの大筋は一緒ですが、ラストで大きく違う点があります。
最大の違いは、赤ちゃんオリバーが生きていた点です。
デンマーク版では、赤ちゃんが実は生きていたというシーンはありません。
この結末の違いにより、オリジナルとリメイクのテイストはまったく異なるものになりました。
オリジナル版の場合は、赤ちゃんは死んでいるので、母親は保護されますがその先に子供たちと暮らせる幸せな人生は待っていないでしょう。電話に出た娘は赤ちゃん(弟)を母が殺したとのちに知ることになるでしょうし、彼女の人生も闇が生まれます。
対してリメイク版の場合は赤ちゃんが生きています。怪我の程度もそこまで深刻でない可能性もあり、エミリーが精神的な病を克服すれば、時間はかかってもまた子供たちと一緒に暮らせるようになるかもしれません。
一緒に暮らせなくても面会はできるでしょう。
娘に対しての罪
オリジナル版では、主人公が娘に電話で「弟(赤ちゃん)と一緒にいろ!」と指示してしまい、娘が赤ちゃんの惨殺死体を見てしまうシーンがあります。
娘のトラウマは計り知れません。残酷すぎます。
対してリメイク版では、娘は弟に何が起こっているかわかっていない状態です。
デンマークのオリジナルでは、主人公は娘に対しても大きなギルティ(罪)を負うのです。
リメイク版は希望があり、わかりやすい
このように比較すると、デンマーク版がより重くて暗く抽象的な結末だとわかります。
対してNetflixリメイク版は説明が多くわかりやすいです。ジョーが白いバンなどを想像したものを映像化する蛇足的なシーンなどもあります(視聴者が想像するワンシュチュエーションの醍醐味が崩壊してますね…)。
母親エミリーが錯乱したのも「薬が買えなかったから」だとわかり、社会の貧困にいくらか責任を分けているなどの違いもあります。
相違をまとめると、
- リメイク版は主人公が真実を語ったことで希望が見える物語
- オリジナル版は、救えるものと救えないものが浮かび上がる抽象的な物語
となるでしょう。
リメイク版の方がヒューマンドラマ要素が強いですが、観ている側の解釈の幅が狭くなり、サスペンスとしては圧倒的にデンマーク版の方が優れていると感じました。
徹底考察:ギルティ
ジョーは自分と対話している
映画『ギルティ』は、問題を抱える主人公ジョーがエミリーと対話しつつ、同時に自分自身と対話している物語とも捉えられます。
ジョーは青年ジョセフを銃殺してしまい、対するエミリーは息子を傷つけてしまいました。そして2人ともそれぞれの問題によって、自分の娘に会えなくなることに苦悩しています。
ジョーはエミリーを救いながら、自分の心も救済したのでしょう。
ちなみに主人公に娘がいる設定は、オリジナルではありません。
ジョーがエミリーの事件に執念を燃やしたのは、きっと自分の娘ペイジとエミリーの娘アビーが重なったからでしょう。
娘に会いたいというジョーの気持ちが事件を解決に導いたのだと思います。
山火事の意味
山火事はリメイク版にしかない要素です。なぜ、山火事なのでしょうか。
ひとつには、メタファーとして主人公ジョーの怒りっぽい性質を炎であらわしているのだと思います。
エディングでは山火事鎮火後のロサンゼルスの街が映りますが、ジョーの心の炎も消えたことを表現しているのでしょう。
また、オープニングではヨハネの福音書の引用があり、
「真理は汝を自由にする」
という文章から始まります。
聖書関連で考えると、山火事はヨハネの黙示録16章↓
第四の天使が、その鉢の中身を太陽に注ぐと、太陽は人間を火で焼くことを許された。人間は、激しい熱で焼かれ、この災いを支配する権威を持つ神の名を冒涜した。そして、悔い改めて神の栄光を讃えることをしなかった。
新共同訳 新約聖書
こちらを表現しているのかもしれません。
ただし聖書の記載と違い、主人公ジョーは自分の罪を悔い改めました。
ちなみにエミリーが「息子オリバーの腹の中に蛇がいた!」など、何かにつけて蛇の話をしていましたが、これも旧約聖書でイヴをそそのかした蛇が根底にあるのかもしれません。
映画ギルティ伏線解説
オフィスのクジラの写真
序盤で映ったオフィスのクジラの写真が、伏線的にエミリーの水族館の話につながります。
先程の山火事の意味と考えると、クジラや水族館には主人公ジョーやエミリーの心の炎を消す意味があるような気もします。
このクジラの伏線はデンマークのオリジナル版にはありません。
監禁はイヤ!
エミリーがバンの荷台に閉じ込められたとき「もう監禁はイヤだ」みたいなことを言いますが、これはエミリーが精神病棟に監禁されていた事実のわかりやすい伏線になっています。
映画『ギルティ』ネタバレあらすじ解説
ロサンゼルスでは大規模な山火事があり、救急隊員や警察はその対処に追われています。
8ヶ月前のトラブルによって、現場から通信課に回されたジョー・ベイラー(ジェイク・ギレンホール)は、エミリーという女性から電話を受けます。
彼女は、別居中の旦那・ヘンリーに無理矢理車に乗せられたようで、子供と話すフリをして911に電話してきました。
ジョーは旦那ヘンリーの経歴を調べて彼が傷害罪で捕まっていると知り、拉致事件と考えてシリアスになります…。
- クリックで映画『ギルティ』結末ネタバレ!
- ジョーは交通課に電話して高速道路を塞ぐように言いますが、山火事への対処で無理だと言われ、ジョーは電話越しにキレます。
エミリーから車が白のバンだと聞いたジョーは、交通課に連絡してパトカーでそれらしきバンを止めさせます。しかし山火事のせいもあり見間違ったようで違う車だったと報告が入り、ジョーはまたキレました。
エミリーの自宅に電話すると6歳の娘・アビーが出て、「パパが怒ってママが泣いて2人はどこかへ行っちゃった。赤ちゃんの弟オリバーを起こすなと言われた」と話します。
ジョーは、アビーから聞いた父親ヘンリーの情報から車のナンバーを調べ交通課に伝えました。
ジョーは上司のビルに連絡し、アビー保護のため家にティムとナディアを派遣させます。ティムから「ナイフで腹を裂かれているオリバーを発見した」と聞き、ジョーは愕然としました。
頭に血が上ったジョーはヘンリーに直接電話をかけ、「自分のしていることがわかっているのか!」と暴言を吐きます。電話は切れました。
ジョーは相棒のリックをヘンリーの家(家族と別居)に向かわせます。
エミリーが殺されてからでは遅いと考えたジョーは、電話で「シートベルトをしてサイドブレーキを引け」と指示。エミリーはその通りにしますがヘンリーはダメージを受けなかったようです。彼女はバンの荷台に閉じ込められ「監禁はイヤだ」と電話で訴えます。
ジョーはエミリーを励ますと、彼女は子供たちとよく水族館に言ったと話しました。ジョーはバンの扉が開いたら荷台にあるレンガでヘンリーを殴れと指示します。
エミリーから「オリバーのお腹の中に蛇がいたから治してあげた」と聞き、ジョーは青ざめました。オリバーを刺殺したのはエミリーだったのです。彼女は夫ヘンリーを殴って逃亡します。
リックから連絡があり、ヘンリー宅の書類より妻エミリーが精神科に入院し治療を受けていたことが判明。
夫ヘンリーから電話があり、エミリーの薬代が払えずに彼女がおかしくなってしまっていたことがわかります。
エミリーから電話が入ります。彼女は陸橋の端に立っているようです。
ジョーは交通課に連絡し、エミリーの自殺を思いとどまらせるために、「俺は19歳のジョセフという人を傷つけた青年に激怒し、彼を殺した」と真実を告白します。
エミリーは「オリバーのもとへ行く」と言い電話が切れました。
ジョーは愕然としますが、交通課から「エミリーを保護した」と電話が入りました。
ジョーは涙を流します。さらに通信課の上司から「オリバーは生きていてICUにいる」と聞かされ安堵しました。
ジョーはリックに電話し、「ジョセフ殺害事件で俺のために嘘をつかずに真実を話せ」と言います。
ジョー・ベイラーは罪を認め有罪(ギルティ)となり、ニュースで報道されました。
Netflix映画『THE GUILTY/ギルティ』END!
最後のまとめ
リメイク版『ギルティ』は、ジェイク・ギレンホールの鬼気迫る演技に見どころがあり、人間的な成長が描かれていたものの、結果的にデンマークのオリジナルとは全然違うテイストになっていました。
リメイクをやるならまったく同じストーリーにしない方がいい!という意図もわかるのですが、悪く言えばオリジナルの良さが消されていたような印象でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『ギルティ』レビュー終わり!