韓国ドラマ『愛の不時着』が大ヒットした理由を、名作映画やドラマと比較して徹底解説!
ポン・ジュノ監督、 K-POP、『キム秘書はいったいなぜ?』など同じ韓流ヒット作と比較もあります。
ストーリーやキャラの魅力がすごい!など、だれもがわかるものは省いて考察したよ。
(あらすじネタバレを読みたい人は下記へ)
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『愛の不時着』はタイムスリップモノ
バック・トゥ・ザ・フューチャーと同じ構造
『愛の不時着』が人気の大きな理由は、タイムスリップモノに似た カタルシスが得られるからだろう。
ヒロインが自分がいる世界( 北朝鮮)からなかなか帰れない。行き来も自由にできない。
そこにフォーカスすると本作の構造は、映画『 バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなタイムスリップ物語と非常に近い。
登場人物が古きよき時代にふれることで、考え方や価値観が変わって成長していく物語なのだ。
北朝鮮=古きよきと描いた巧妙
タイムスリップものとして考えると、韓国=現代、 北朝鮮=過去だろう。
北朝鮮での舞台を田舎にして古きよきと描いたことで、見る人のタイムスリップ感が強まっている。
のどかな 北朝鮮の風景に癒された人は多いと思うが、ただ単に 北朝鮮だからではなく、古きよき生活に哀愁を感じられたのではないだろうか( 北朝鮮の田舎が本当にいい場所なのかは不明)。
価値観の崩壊に成功
タイムスリップものらしく、現代の価値観の崩壊にも成功している。
資本主義の権化であるヒロインユン・セリが、 北朝鮮でおこげや貝料理を美味しそうに食べているシーンなど、昔の価値観をきれいに肯定。
誰にでも「昔の方がよかった」という思いは多かれ少なかれあるはず。
そんな現代に不満をぶつける懐古主義者を『愛の不時着』は大きく肯定したのではないか。
韓国経済行き詰まりや資本主義の精神的な答えが、 北朝鮮にある描かれ方が面白い。
(※注.懐古主義や資本主義の否定の話ではありません。)
ポン・ジュノや K-POPも!韓国エンタメはジャンルの詰め込みがすげえ!
韓国は国をあげてエンタメを強化していて、ジャンルを詰め込むのが特徴となりつつある。
アカデミー作品賞監督の ポン・ジュノも、『パラサイト 半地下の家族』や『グエムル 漢江の怪物』など見た人はわかると思うが、1つの作品にいくつもジャンルを詰め込んでいる。
Netflixオリジナルドキュメント『世界の今をダイジェスト』でも、 K-POPの流行の理由として、1曲でさまざまなジャンルが聞けると語っていた。
そして『愛の不時着』でもジャンルの詰め込みがいい意味ですごい!
- ラブロマンス
- ヒューマンドラマ
- コメディ
- スパイアクション
1作品でこの4ジャンルすべてが堪能できる!
もっと細かい区分でいくと、禁断の恋、国家問題、友情、復讐、親兄弟、隣人愛など、たくさんの共感できる要素が詰まっていて、どんな境遇の人でも楽しめるだろう。
キム秘書や シティーハンターと比較考察
気づかず会っていた運命の人
注)ドラマ『キム秘書はいったいなぜ?』のネタバレを含みます。
『愛の不時着』では相手が運命の人である理由を、お互い気づかずに過去スイスで会っていたとした。
『キム秘書はいったいなぜ?』もその点が似ている。ヒロインのキム・ミソは覚えていなかったが、恋に落ちる ヨンジュンと幼い頃に一緒にある事件に巻き込まれていたオチだ。
印象に残るラブストーリーには、運命の人だという疑いのなさが不可欠。キム秘書も不時着も、ここを上手く表現していた。
ジョンヒョクの高すぎスペックのギャップ
イケメン、高身長、戦闘力、権力者の息子、さらにピアノを弾ける!そんなジョンヒョクの高すぎるスペックにも注目だ。
『キム秘書はいったいなぜ?』もそうだが韓流は国内ドラマと比べると高スペックで現実離れした男性が多く、ジョンヒョクも例外ではない。
本作で特徴的なのは、一般的に グローバリズムが遅れていると思われている 北朝鮮の男性が高スペックだった、いい意味での裏切り。
財閥の御曹司が高スペックである『キム秘書』よりもギャップが大きい。
ふざけているスケベな男性が、実は凄腕のスナイパーである漫画『 シティーハンター』と似た感じで、一瞬で見る目が変わってしまうのだ。
世界が願う南北の融和/スイスが第三の舞台の理由
愛=平和の究極テーマ
ジョンヒョクとユン・セリの愛が成就するためには、南北の融和が必要だ。
平和への願いがシンプルに描かれている。つまり、二人の愛=平和なのだ。
韓国と 北朝鮮の融和という、世界が願う大きなテーマを愛に帰結させていて、それも大衆の心をつかんだ理由のひとつだろう。
スイスが第三の舞台の理由
推測だがスイスがジョンヒョクとユン・セリの愛の地がスイスだったのは、 永世中立国だからではないか。
過去に 朝鮮戦争があり、未だ休戦状態の韓国と 北朝鮮。遠く離れたスイスを平和のモデルとしたのかもしれない。
実際は、スイスも徴兵制度があり軍隊を持っているなど細かい議論はあるかもしれないが、平和のシンボルとして舞台に選んだのだろう。
まとめ結論!愛は国境を越えるを地でいくドラマ
『愛の不時着』大ヒットの理由を、さまざまな映画やドラマ、漫画と比較してきた。
もう一度まとめてみる。
- タイムスリップモノの カタルシス
- ジャンルの詰め込み
- 平和への願い
これらがバランスよくまとまっていたから、神作になったのだろう。
そして「愛は国境を越える」という誰もが知る文句を、そのまま表現したドラマが『愛の不時着』ではないか。
いわば国境を引かれた『 ロミオとジュリエット』の物語。ジョンヒョクとユン・セリが1年に1度しか会えない最終回のラストはまさに「織姫と彦星」。
共感できない人は、よほどの サイコパスかもしれない(笑)。
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