人気漫画の実写化映画『バイオレンスアクション』(The Violence Action)!橋本環奈がキュートな殺し屋に扮し、ヤクザたちを殺しまくるかたわら、イケメンと出会って青春する異色作!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・良い点・ダメな点評価、ストーリーネタバレあらすじ結末
サイコパスたちの希望を考察を知りたい人向けに徹底レビュー!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
©︎「バイオレンスアクション」製作委員会
登場人物 | キャスト・出演作 |
菊野ケイ 昼は学校で簿記の勉強。夜は殺しのバイトをするピンク髪。 |
橋本環奈 可愛さと狂気のバランスは、橋本環奈さんじゃないと無理だったと思います。 (『銀魂』『かぐや様は告らせたい』『新解釈三国志』) |
テラノ ヤクザの金庫番。簿記の知識がある。 |
杉野遥亮 (『東京リベンジャーズ』橘直人役) |
ヅラさん | 岡村隆史 ギャグのテンポがさすが。安定した笑いを提供してくれました。 |
店長 | 馬場ふみか なんか色っぽい不思議な空気感。 (映画『糸』) |
渡辺 | 鈴鹿央士 おかっぱが似合いすぎです。 (『星空のむこうの国』ドラマ『六本木クラス』) |
みちたかくん | 城田優 凄腕だけど変人の殺し屋役がハマってました。歌手でもあり、歌をしょっちゅう披露していたのがシュールで面白い。 (『新解釈三国志』『コンフィデンスマンJP 英雄編』) |
伝馬組の三台目組長 | 佐藤二郎 くだらないダジャレを披露し、それが滑っていることまで受け止めている感じが面白かった。 (『銀魂』『今日から俺は!!劇場版』『さがす』) |
木下 | 高橋克典 無駄に本格ヤクザでした(笑) (『特命係長 只野仁』『サラリーマン金太郎』) |
アヤベ | 大東駿介 狂った感じの関西弁が良かったです。組長に翻弄されるキャラで目立ってましたね。 (『劇場版 新・ミナミの帝王』) |
金子 | 森崎ウィン (『レディ・プレイヤー1』実写『嘘喰い』) |
だりあ ケイの同僚の殺し屋。 |
太田夢莉 元NMB48メンバー。Queentetのメンバー。 (『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』) |
国津 | 兵動大樹 怒鳴り声が良かった。すべらない話を見返したいと思った。 |
りっか ケイの学校の友達。腐女子。 |
箭内夢菜 (『雪の華』『ブラック校則』) |
ラーメン屋の死体の男性 | 野性爆弾くっきー 出オチ…。 |
あらすじ
©︎「バイオレンスアクション」製作委員会
ラーメン屋を事務所に構える「ぷるるん天然娘特急便」。デリヘルかと思いきや、電話で受け付けていたのは殺しのサービスだった。
凄腕の殺し屋・ケイ(橋本環奈)は今夜も仕事でヤクザたちを殺しまくり、ヅラさん(岡村隆史)が運転する軽トラに乗り込んだ。
ケイは昼間学校で簿記検定の勉強をしている。今の目標は日商簿記検定2級合格だ。友達から同人誌をもらい喜ぶケイ。腐女子の世界にハマっていた。
ある日、学校のクラスで一緒の渡辺(鈴鹿央士)がラーメン屋で殺人を目撃してしまう。しかしケイが好きな渡辺はそのまま事務所でバイトすることになった。
ケイはバスで小銭を出してくれたテラノ(杉野遥亮)となんと殺し屋専門の病院で再会。
ケイはテラノと病室でオセロをしながら世間話に興じる。
テラノの仲間・クラ(猪塚健太)が暗殺の仕事中に撃たれて半身不随になってしまい、テラノは見舞いに来ていたのだった。
後日、ケイは伝馬組の幹部・木下(高橋克典)から依頼を受け、対抗幹部の国津(兵動大樹)の組を襲撃。
しかしテラノと木下が敵同士だと知り、このまま任務を遂行すべきか悩むのだが…。
ネタバレなし感想・海外評価
橋本環奈さんが好きか、もしくはぶっ飛んだアートフィルム系が好きな人はそこそこ楽しめると思いますが、正直言って映画としての完成度が高いというより個性に振り切った怪作です。
見る人によって大きく評価が分かれるでしょう。
正直、格闘アクションやストーリー性を求める人からすればひどい駄作に映るかもしれません。
見方を変えれば、近年の邦画にないオリジナリティとクオリティのボロボロさが共存した稀有な作品。
橋本環奈演じる主人公が、殺しのミッションの最中に簿記の勉強をするなど、シュール過ぎる世界観が癖になります。
おすすめ度 | 50% |
シュールな世界観 | 95点 |
ストーリー | 37点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 4.6(10点中) |
※以下、映画『バイオレンスアクション』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『バイオレンスアクション』ネタバレ感想・評価
青春とサイコパスの融合
仕事で人を惨殺しまくる橋本環奈が、サイコパスな殺し屋ながら心の中に自分なりに大切なものを見つけていく設定がシュールすぎてある意味芸術だと思いました。
ヤクザのおじさん(兵動大樹)に「俺の部下を虫けらのようにしか思っていないんだろ!」と言われ、後日、店長が「虫けら」という言葉を使ったら「そういう言葉使いは良くない」と注意する。
殺した相手の言葉をバイト先で説教されたくらいに受け止めています。でも受け止め方は真剣です。
可愛いような恐ろしいような。
殺し屋ながらスポンジのように純真に、いろんな人の言葉を真正面から受け止めているのです。
殺し屋である自分の境遇を抑圧しながら、表面上は「自分には青春する権利があり、いろんな考えを学びたい」と思っている。これは狂気以外の何ものでもありません。
具体的なシーンでは、バスで出会ったイケメンヤクザ・テラノを殺すミッション中に上から「殺しの判断待ち」の電話が入り、一旦休憩して簿記の勉強をテラノに教わるという展開が個人的に大好きでした。
テラノと病院で会ったときにいきなりオセロを初めて「全部白にしたい…」とかポエムを呟き出しちゃうシーンも爆笑でしたし、ある意味アートを感じました。
殺し屋の狂気が橋本環奈さんのキュートなヴィジュアルで相殺されるからこそ成立した映画だったと思います。
逆にこの狂った世界観に乗れなければ、中身がなくシンプルに面白くない2時間の茶番劇に映ってしまったことでしょう。
アクションがひどい(笑)
本作はアクション映画としてはまったく評価できません。
- 橋本環奈が早回しで銃弾をかわすダサい感じ
- 意味がよくわからないスローモーション
- カットが細かすぎてツギハギ。臨場感がない
- 前後のつながりがない
などなど。
蜷川実花監督の実写映画『Diner/ダイナー』の意味不明なアクションに近いといえばわかりやすいでしょう。
要は、前後の脈絡なく橋本環奈が踊るように宙を舞う抽象的なアクション(笑)。
シリアスな演出というよりは完全にギャグです。
迫力ある暗殺アクションを楽しみたい人からすれば、なかなか辛い2時間だったと思います。
考察(ネタバレ)
小さくてもそれを持つのはいいことだ
私は希望を持っているから。小さくてもそれを持つのはいいことだ
©︎「バイオレンスアクション」製作委員会
何度も登場した上記のケイのセリフからもわかるように、なんだかんだ映画『バイオレンスアクション』は狂った世間のはぐれ者たちの希望を描いた作品だったと思います。
本作の登場人物は皆サイコパス・ソシオパスの集まり。
一見普通な雰囲気の渡辺でさえ、殺人を見たあとでラーメン屋のバイトに志願する変人です。
テラノはケイの異常性を理解できる唯一の存在です。
だからシュールな簿記勉強やオセロのシーンでも、笑えるのと同時になんとなく心が動かされる瞬間があるのだと思います。
象徴的なのが城田優演じるヤクザの殺し屋・みちたかくんです。
みちたかくんは自分のルールに従わない奴は即殺すことに加え、女性嫌悪も持っている性格破綻者です。
しかしラストでケイに敗れてから傷だらけの姿で、クソまずい店長のラーメンを「美味しい」と貪り食っています。
店長のラーメンの味もみちたかくんの性格も、世間的には許されず居場所のない“異端な存在”です。
しかし、わかりあえる瞬間があります。自分以外の別の異常者と出会った時です。
店長のラーメンとみちたかくんとの出会いは、一般人からすれば笑えるシーンでしょう。
でも、みちたかくんの気持ちになると「やっとわかりあえる存在に出会えた…」と人生を変える契機になるかもしれません。
人を救えるのは人との結びつき以外にない。たとえそれが異常者同士の繋がりであっても。
異常者同士の交流=彼らにとっての唯一の希望なのです。
そう考えると本作の何気ないおバカシーンで感動してしまうから不思議。
映画『バイオレンスアクション』からはそんな普遍的なメッセージが浮かび上がってきました。
映画『バイオレンスアクション』ネタバレあらすじ結末解説
テラノの依頼を受けるケイ
クラが医療機器を自分で取り外して自殺。伝馬組のことがどうでも良くなったテラノは、木下が横領している金を全部盗んだ。
ケイにテラノ殺害の指令が入る。
ケイはテラノが隠れている廃墟へ行き、側近たちを次々に倒した。
テラノを殺す前に電話が入る。テラノ殺害を一旦待ってほしいということだった。
ケイは殺害指示まちの休憩中に、簿記の勉強に励む。絶体絶命の状況だったテラノは雰囲気にのまれ、ケイに簿記の勉強を教えてあげた。
数十分後テラノはヤクザに引き渡されることになり、ケイの任務は終了。
しかしケイはヤクザに胸を揉まれ、怒ったテラノがヤクザの1人を気絶させる。
テラノはケイに敵の殺害を依頼。
ケイはヤクザたちを次々に殺していった。
みちたかくんとの最終決戦
伝馬組最強の刺客・みちたかくんがせまってきた。
幹部の木下も部下を引き連れてケイたちを追ってくる。木下はテラノや邪魔なみちたかくんのことも殺すつもりだった。しかしみちたかくんとの戦闘により部下はほぼ戦闘不能状態に。
ケイの同僚であるだりあが加勢する。だりあは、木下の部下で自分の家族を殺害した金子を射殺して仇をうった。
ヅラさんや渡辺が足止めするがみちたかくんに倒される。
ケイはみちたかくんにネイルガンで撃たれて気絶。
みちたかくんは逃げるテラノに迫る。復活したケイがみちたかくんをスピードで圧倒し、彼を倒した。
ケイとテラノたちはヘリがある場所に逃げるがそこには木下がいる。
テラノが爆弾を持って木下にタックル。2人がダムに沈んだあと大爆発が起こった。
ケイに敗れたみちたかくんは偶然ラーメン屋に入ってしまい、店長のラーメンを食べて感動する。
数日後、模試の試験の日に写メが送られてくる。実は生きていてニューヨークにいるらしいテラノからだった。
映画『バイオレンスアクション』終わり
作品情報
英題:『The Violence Action』
ジャンル:アクション・コメディ・青春
監督:瑠東東一郎(『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD』)
脚本: 江良至/瑠東東一郎
原作:漫画「バイオレンスアクション」(やわらかスピリッツ連載)
撮影:高野学
主題歌:Alexandros「クラッシュ」
最後のまとめ
実写映画『バイオレンスアクション』は、期待していた格闘アクションはグダグダで、ストーリー性も薄かったものの、サイコパスが他人に心を開く過程が狂気に満ちていた奇怪な作品でした。
続編が作られるかは微妙ですが、ぶっちゃけ続編がさらによくなるイメージも持てません(笑)
ここまで読んでいただきありがとうございます。『バイオレンスアクション』レビュー終わり!
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