映画『ジェントルメン』あらすじネタバレ感想・解説!ガイ・リッチー監督オシャレ殺人劇考察,評価

  • 2024年3月7日

マリファナ映画『ジェントルメン』は、ストーリーの巧みさに定評のあるガイ・リッチー監督の最新作!オシャレでエレガントなマフィアたちが、“アートな殺人撃”を繰り広げていく予想外の物語が楽しめた!

マシュー・マコノヒーやヒュー・グラント、コリン・ファレルなど“おじさん”キャスト演技もとてもカッコイイ!

『ジェントルメン』あらすじネタバレを解説し、具体的に何が良かったのかなど、感想・評価を超ぶっちゃけていく。

映画ジェントルメン作品情報

監督・脚本:ガイ・リッチー

撮影:アラン・スチュワート

主演:マシュー・マコノヒー/ミッキー役

出演:ヒュー・グラント/フレッチャー役

出演:コリン・ファレル/コーチ役

2024年にはガイ・リッチー本人により、Netflixでドラマ版も制作されました。

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Netflixドラマ『ジェントルメン』

『ジェントルメン』評価・感想/オシャレなおじさま映画

個人的な評価は82点くらい。とにかくオシャレ度が予想以上で、中年男性たちのダンディな色気やエレガントな雰囲気が楽しめる。

途中途中で入る過激な殺しのシーンもスタイリッシュで見応え抜群。ガイ・リッチー節が炸裂だ。ビールと血が混ざったり、妻・ロザリンドの顔に血がかかったりするシーンなど、バイオレンスとアートの融合みたいで素晴らしい!

オシャレ映画『トレインスポッティング』のマフィア紳士バージョンみたいな感じ。

レイがフレッチャーと話している最中に、和牛を取った冷蔵庫に偶然殺したロシア青年の死体がある、編集長のビッグ・デイヴを豚とやらせるなど、過激なブラックジョークをたくさん盛り込んでいたのも良かった。

マリファナの煙でキャストを彩るオープニングもとてもクールだ。デヴィッド・フィンチャーの映画『セブン』のオープニングに次ぐかっこよさ!

マリファナ製造所を見学するユダヤ人マシュー

マリファナというライトドラッグの製造や流通もスタイリッシュに映画いていて、見ている人が“悪ワル”になれる『ブレイキング・バッド』のようなカタルシスも得られる。

キャストの演技も、主人公・ミッキーを演じたマシュー・マコノヒーは風格があって最高にクールだったし、ゲスい情報屋フレッチャーを演じたヒュー・グラントの戯曲のようなウィットに富むセリフもよかった。

フレッチャー「果敢な猛獣は水を探して彷徨う」

みたいな感じだったと思うが、印象深い言い回しが多いのだ。

コーチを演じたコリン・ファレルも、貧困層で好き勝手行動する練習生たちをしっかり面倒みる“大人の味わい深さ”があった。

ストーリーもガイ・リッチームービーらしく、予想外の出来事の連続で最後まで飽きない。ラストは、フレッチャーの脚本を映画化したものが映画『ジェントルメン』だというオシャレなオチもついている。

映画『ジェントルメン』ネタバレ考察,過去作や時系列

ガイ・リッチー監督の過去作と比較考察

ガイリッチー監督の映画ジェントメンの主人公ミッキーと妻・ロザリンド

映画『ジェントルメン』は、一部ファンから絶賛されるガイ・リッチー家督作品、ジェイソン・ステイサムの『ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ』ブラピ主演の『スナッチ/Snatch』の正当な継承作といえるだろう。

その前2作と本作を比較すると、『ジェントルメン』は時系列の複雑さが少なくなっているのが特徴だ。“偶然のパズル”が次々に組み合わさっていくような強烈なガイリッチー節を期待するファンからすると、ちょっとあっさりしすぎて、その点はガッカリかもしれない。

2020年代に複雑で難しめな映画は流行らないと思って、見やすくてオシャレな作品に舵を切ったのだろう。

時系列と偶然のトリック考察

時系列をごちゃ混ぜにし、さらに予想できない偶然でストーリーを予測不能にするのがガイ・リッチー監督の手法(トリック)だ。

映画『ジェントルメン』ではそれらのトリックがどのように使われていただろうか。

時系列では、冒頭でボス・ミッキーが撃たれたように見せかけるシーン(この見せかけ自体が見事だったが)が、フレッチャーの語り部分の前の出来事なのか後なのかあやふやにするのが面白い

偶然という点では、レイの部下が偶然ロシアマフィアボスの息子アスランを殺していて、その死体が冷蔵庫に入っていたのが笑えた。これがフレッチャーを一旦逃すキッカケにもなり、ミッキーたちが想像だにしていなかったロシアマフィアが介入する事になる。

あとはコーチの部下の黒人たちがミッキーを襲おうとして、結果助けるという偶然もガイ・リッチーらしい!

先ほども書いたが、フレッチャーが脚本を映画『ジェントルメン』の実際の製作会社MIRAMAX(ミラマックス)に持っていくオチもひねりが効いていて面白い。

ガイ・リッチーの脚本の緻密さがうかがえる!

映画内のストーリーテリング構造を解説

情報屋・フレッチャーが、自身のネタを物語形式で語っていくのが、映画『ジェントルメン』のスタイルで、映画内のストーリーテリングになっているのが特徴。

有名どころでいうとサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』によく似た形式で小説や映画でいうところの“信頼できない語り手”の手法をとっている。

登場人物が語ったことが真実でなかったり不十分なために、視聴者からすると想定の範囲外の出来事が起こり、そのぶん驚けるという構造になっている。

映画『ジェントルメン』でいえば、フレッチャー自体が監視されていたり、ロシアマフィアの介入があったりと、新事実とピンチが後半で押し寄せることで、カタルシスが得られる仕掛けになっていたわけだ。

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